ありふれは"いけない"律者達は世界最強 ~最強の錬金術師と最強の戦乙女~   作:siera

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遅くなりました……orz

不定期更新とはいえ楽しみにしてくれた方、待たせてしまい申し訳ありません。アンケートの結果だと、投稿時間帯は特に気にしていない方が多かったので、今後も決まった時間の投稿ではなく、自分なりの時間帯で投稿していきます。

(慣れてきたら予約投稿を使ってみたいなとは思ってます……。)


さて、今回は芽衣視点。ブローニャ、キアナ達が脱出した一方、芽衣の方は……?
次回からまたブローニャ(銀狼)視点に戻ります。


起源と霊海(れいかい)

 とある海底のさらに奥、海底の迷宮に囚われた一人の少女、「雷電 芽衣」は荒廃した船の墓場を歩き回っていた。どこまで歩いてもこの場所には空高くを泳ぐ魚の群れと海底奥底なのに天井(水面)から届く陽光のような光、水中の様に泳ぐ魚群の中で息ができる自分…これらの要因がここが別世界だと説明している。

 

量子の海はマンガやアニメで出るような異世界のような所だとは以前ブローニャやゼーレから聞いたことがあったが、自身がこうして体験するのは初めての事…いや、この前まで量子の海を彷徨い、その先の世界の泡の月で「メイ博士」と「プロメテウス」に出会った世界に居たのだから、2度目になる。

 

とはいえそこは少し違う月の世界というだけで、根本的な部分は私達が知る世界と大きく変わっていなかったいわゆる「並行世界」に近い場所。今回はそれとは真逆、私達の世界とはかなりかけ離れている「異世界」に分類されるタイプだろう。ただ、何をもってこの深蒼の水底のような海底の墓場でしかないこの場所で自分達の世界とは違う場所だと思ったのか、その理由は――

 

「……また」

 

白く深い霧と共に視界がぐにゃりと歪み、眼前の景色を変えていく。それはこの船の墓場を歪ませ消し去り、何処からか現れた緑色が視界に入り、歪み続ける景色が森の中の小さい国の景色へと姿を変えていく。芽衣はこの場所に飛ばされてから、このような幻の世界に幾たびか捕らえられたことがある。砂漠の国、巨城そびえる都市、山々そびえる大地、海底に浮かぶ大型船の上など……飛ばされる景色はバラバラだ。

 

その幻は必ずこの世界の人々の以前の歴史を映し出し、芽衣の瞳と心、脳裏の奥へと刻み付けようとする。ただ、最初の光景はどの幻も平和そのもの。人々の笑顔、幸福に満ち満ちている表情、豊かな大地、人種を超えて交流する町の人達……本当に平和な光景なのだ。そう、最初の頃だけは……

 

「……くる」

 

『さあ、宴を開こうぞ!今宵の宴は……獣人どもの血肉をもって晩餐としよう!』

『『『おおおおおおおおおお!!!』』』

『な、村長!?!?何を言い出すのだ!?』

『黙れ!!獣人などという汚らわしい種族と共に過ごしてきたこの数十年…この苦痛を知らぬだろ!?』

『お前たちはあの魔族と同じだ、汚らしい穢れたゴミだ!全員やれ!殺せ!!』

『や、やめろ!?』『キャアアアアアアアア‼‼‼‼』『ガァ⁉』『全員殺せ!?』『やめて…!やめてぇええええええええ‼‼』

 

「……酷い、いつみても酷い光景だわ」

 

芽衣に映る景色は、先ほどまでの和気あいあいとした祭りの光景なんかではなく、血しぶきと刃が吹き荒れ舞う地獄絵図であった。そう、これが幻が必ず到達する終着点の景色。どんなに多種族が手を取り合い平和を謳歌していても、最後は必ず殺し合いを始める。

 

獣人の過去のせいで、亜人の見た目のせいで、国の利益のために、人間こそ至高だと証明するために、ただ殺しを謳歌する為に……多種多様の吐き気を催す身勝手な理由で先ほどまで手を取り合っていた隣人を斬り、裂き、殴り、蹴り、潰し、焼き、犯し、殲滅せんと全てを血に変えていくのだ。

そんな変えることのできない幻影の末路を芽衣はこの数か月、何度も見せられているのだ。この不快な場所から脱出しようにも出口になりそうな場所は何処にもなく、出口も扉も何もないので出ようにも出られない。壁や天井、足元の大地も全て調べ上げ、攻撃して壊そうとしたが、大地は砕けても岩だけ、天井や眼前の景色に斬りつけても雷轟纏いし斬撃は虚空へと飛んでいき、何も起きることなく消えていくばかり。どうにかこの場所から出ようと行動しているが、一向に出れる気配が無い。その為、この地に居る限り彼女はいつ来るかわからない幻影を待つことしかできないのだ。

 

「それにしても…幻影はこれで6つ目。そのどれもが同じ末路を辿ってる幻影…この場所はこれほど惨たらしい情景を幾度と見せて、一体何を伝えようとしているの」

 

そしてこの幻想が見せるのは、残虐な歴史だけでは無かった。芽衣の周辺に集まる鎧を着た数人の幻影。顔は陰り、まるで精気がなさそうな揺れる足取りで芽衣に剣を構えながら近づいてくる。

その幻影に軽くため息をつきながら、芽衣は腰付近で浮遊する3枚の刀で構成された翼刃から刀を一つ引き抜き、幻影へと振るう。

雷の剣筋を光らせながら振るった一撃は、幻影の喉を両断したが……その傷はまるで煙の様に揺らめき、何事も無かったかのように前進する身体を止めようとしない。そして、斬られた事を気にする素振りを見せることなく、斬られた幻影が剣を芽衣へ振るった。それを慣れた足さばきと身体で躱し、一度家の屋根へと飛び乗り躱す。

 

「やっぱりただ斬るだけじゃダメね。刀にエネルギーを纏わせないと」

 

そう、この幻術の空間の人間はどういう力なのか芽衣に攻撃できるのだ。攻撃の方法としては、武具での攻撃なので対処はできるのだが、こちらから攻撃しても煙の様にすり抜け当たらない。だが、向こうの攻撃は当たるのだ。それだけ聞くと対処しようのない詰みの状況に思えるだろうが、一つだけ幻影に攻撃できる方法がある。

 

それは"崩壊エネルギーを使った攻撃"では効果がでる事。

芽衣はまだ気づいていないが、この空間の敵は魔力で攻撃すれば普段通り戦う事が出来る。そしてこの世界での魔力とは「崩壊エネルギーが変質した物質」、つまり律者である芽衣の体内に内包されている強力な崩壊エネルギーもまた相手に通じるのだ。しかも崩壊エネルギーは魔力よりはるかに強力なエネルギー、この幻影達にとっては相手にしたくない化け物のような存在である。

 

それを前5回の経験で気づき、その力をもって難を逃れてきていた。今回も芽衣は刀の刀身に崩壊エネルギーを纏わせるように放出し、そのまま幻影を斬り伏せる。先ほどとは違い、幻影から苦悶の叫びが聞こえると共に、声の主たる幻影は斬り口から煙の様に霧散し消えていく。

戦闘を駆けていた仲間が倒れたのにも関わらず、気にする素振りも無く後衛にいた兵士達も一斉に駆け出し剣を高く振り上げ、雄たけびを上げながら近づいてくる。芽衣は気にする素振りも見せず翼刃に刀をしまい、そのまま宙へ浮かぶ翼刃を敵へと振るった。雷光纏いし芽衣の一撃は全てが静止して見えるほどに早く、三つの空飛ぶ刃を自在に振るい、幻影を一瞬で蹴散らすのだった。

 

彼女の背後で、多種多様の苦悶の声を叫びながら崩れさっていく幻影達。それを見届けると、空間が再度揺らぎ、元の船の墓場であった場所に戻る。おそらく敵を全て倒したからだろう、「過去を見る」→「幻影と戦う」この一連の動きを行う事で幻影の体験者は解放される様だ。芽衣は元の場所に戻ったのを確認すると、戦闘で少し乱れた髪を整え近くの岩に座り込んだ。

 

「はぁ…ここ一ヶ月同じような事だけで進展が起きない…どうすればいいのかしら」

「長期的な任務だったり、閉鎖的な場所での行動は慣れているけど、進展が無いのはいつでも不安になるわね」

「……あら?あれって」

 

芽衣はとある船の残骸の奥が淡く点滅する床の弱光に気付く。芽衣が立ち上がり光の元へ歩く。光が漏れているのは老朽化し崩れた船の残骸が床に散らばっており、その下の床が光っている様子。

芽衣がこの1ヶ月間無かったこの空間の唯一起こった異変へ手を出さない理由はない。周りの瓦礫を翼刃で斬り、斬撃の衝撃と風圧で残骸を吹き飛ばす。

 

隠されていた光は青く光る魔法陣、こんなものがこの場所に隠されていたとは気づかなかった。なんなら以前、休憩時に作っていた焚火が近くに置かれていた。

その時に気付かなかったとなると、おそらく先ほどの幻影の攻略がカギになったのだろう。そうでなければひときは注意深い芽衣がこのように光り目立つモノを見逃す事は無いだろう。

 

「これは……」

 

魔法陣の近くの床に手を当てる。すると魔法陣から発せられるエネルギーを感じられた。崩壊エネルギーに近い何かがこの魔法陣を形成しており、そのエネルギーがどこかに流れていくのを感じられていく。

 

「なにかしら…このエネルギー、どこか崩壊エネルギーに似ているけども、何かが()()()()…?」

「……たしかブローニャちゃんやキアナちゃんと一緒にやったゲームだと、こういうのは上に立てば何かが起こるんだったわよね…?大丈夫かしら……」

 

学園時代によく遊んでいたキアナやブローニャのゲームでそんなモノがあったように思う。あまり芽衣本人は二人に誘われた時ぐらいしか遊んだことが無いので曖昧だが、こういうのは試してみるに限る。

魔法陣の中心部分に立つ。それに反応したのか、淡い光だった輝きが眩しさを感じるほどにその輝きを増していく。

 

周囲の景色が白光で消えるほどに強くなっていき、芽衣の身体も魔法陣と同じ様に青い光に包まれていく。ほどなくして、極光で溢れた魔法陣の上から芽衣の姿が光の粒子となって消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――眩しさに目を閉じ、光が与える強く温かい温もりが皮膚から感じなくなったのを判断とし、ゆっくり閉じていた瞼を開ける。

閉じた瞼の奥の景色は、廃材でできた海・廃船の墓場ではなく、陰気な景色など見当たらない白い大理石でできた道と神殿の台座が現れたのだ。どうやらアレはゲームや漫画でよくある転移用の魔法陣であったようだ。

足元を見ると先ほど墓場で乗った魔法陣と同じモノが下に描かれていた。どうやら役目を終えた魔法陣は光を失い、眠りについている。

 

今自分がいる台座から伸びる大理石の道の先、中央に神殿のような建造物があり、四本の巨大な支柱に支えられていた。支柱の間に壁はなく、吹き抜けになっている。

神殿の中央の祭壇らしき場所には精緻で複雑な魔法陣が描かれている。また、周囲を海水で満たされたその神殿からは、海面に浮かぶ通路が四方に伸びており、その先端は円形になっている。おそらく芽衣が立っている場所もその四方に伸びる通路の一つなのだろう。

 

「ここがゴールかしら。綺麗な場所、ギリシャの神殿跡の様」

 

ゴールであり最終地点であろう中心の円形広場へと続く通路を歩く芽衣。円形広場の中心には先ほどとは違う別の魔法陣が描かれており、その前には四角柱の小さな祭壇であろうオブジェクトが置かれていた。

どうなろうとこの場所ではこの魔法陣以外調べられる場所も無い、警戒を怠らず巨大魔法陣の上に立つ。すると先ほどとは違い、魔法陣を構成する光だけが強く光る。

 

すこしして、芽衣の脳内に膨大な情報が彼女の意志に関係なく強引に刷り込まれていく。突然の出来事に苦悶の表情を浮かべた芽衣であったが、以前()()との短くも壮大で愛に満ち溢れた輝かしい舞台劇の経験がある。彼女の脳は少し頭痛が響く程度に抑えられ、意識は落ちることなく耐えることが出来た。

脳内に刷り込まれるこの世界の現状と悲惨な過去…どうやらあの時みた幻影は過去現実に起こった一時の末路出会った様だ。

 

不快感に苛まれながらもこの場所の意義を刻み込まれた後、今度は芽衣の身体に彼ら彼女らが扱っていた古代魔法が刷り込まれていく。

その感覚は以前、かの場所で送られた加護に似た何か。一時だけ肉体に与えられる強大な祝福、その感触に酷似していた。彼女は直感的にこの力…「古代魔法」の仕組みを脳内で理解した。

 

「(この魔法という力…かなり使えるけど、その効力が得られるのはこの「世界のみ」みたいね。)」

「(…完全な感覚による直感だけど、わかる。試練を終えた後に消えてしまうあの"祝福"と似ている。試練の場から離れたら自然と消えてしまう祝福と同じ、この「世界の泡」から抜けたら消えてしまう様ね)」

「一時とはいえ、「再生魔法」お借りします。「メイル」さん」

 

「メイル」…メイル・メルジーネ――

この遺跡の守護者であり、自身の無念を引き継ぐ新たな真なる解放者を待ち続けた女性。

この場所―――刷り込まれた情報によると【メルジーネ海底遺跡】というらしい―――で試練を超えたモノに、自らの魔法を与え、この世界の崩壊…神を打倒してほしいと願う者からの贈り物であった。

 

芽衣は無意識に心の奥底で、メルジーネの魔法の継承と、()()の力を継承した時の事を重ねる。

生まれた世界は違えど、同じような道を進み…最後に世界を変えられる者へと力を、知恵を、願いを託す――

 

自然と口が笑みを創り出し、胸元に当てた手を優しく握る。脳の奥底に輝き見えるピンクの水晶華は、彼女がこの後の道しるべを水晶の輝きをもって指示した。

 

「私達がこの世界から出る為にも、貴方達が相手にした神に挑むことになるでしょう。皆さんの思い、私に託させてください。必ず…貴方方の目指した未来を、この世界にもたらして見せます」

 

いつの間にか終えていた魔法陣による継承の儀。芽衣は台座に置かれていたメルジーネの紋章が掘られた2枚のコインの内の1枚を手に取ると、静かにその場に座り込み、台座に向け頭を下げた後静かに祈った。

この場にいない彼女メイル・メルジーネの安らかな眠りを思いながら。

 

祈りを終え、立ち上がり出口へと向かおうと魔法陣から離れようとしたその時であった。優しくもどこか凛々しさを感じる声が背後から聞こえたから。

 

『まだ私はここにいるわ、優しい攻略者さん』

「っ!?」

 

驚き勢いよく背後へ振り向く芽衣。その手は警戒心を強く表し、翼刃の鞘に納められた刀の一つに手を変えいつでも引き抜ける用意をしていた。

強い警戒をしつつ振り向いたその先に居たのは、一人の女性。白くゆったりとしたワンピース、エメラルドグリーンに近い鮮やかな若葉の如き髪、水性生物に似た扇上で美しい水色のウロコが天井の海から指す光で輝くヒレの如き耳。

この場所を創り上げ、守護していた"解放者"の一人、メイル・メルジーネその人であった。

 

でも生きた本人と言う訳ではないらしい。彼女の身体はメダルを手にした祭壇から淡い光のオーブが集まり現れており、足先の指は薄く奥の祭壇が透けて見えていた。

 

『初めまして。私がメイル・メルジーネ、解放者の一人よ。といっても、これはあくまで霊体、私自身はとうの昔に死んでしまっているわ』

「(…あの船の墓場でも、時折あの場に捨てられた船に乗っていたであろう人物の霊体が襲ってきた時があった。…なら、解放者本人も霊体になってても、不思議ではない…かしらね)」

 

おそらく敵の罠や幻影の類では無いと判断し、刀の柄にあてた手を離し近づく。だが警戒心は緩めない、もし敵意があるのなら直ぐに斬る構えを取れるように。

 

「初めまして、私は雷電芽衣よ」

『ライデン・メイさん?少し変わった名前なのね』

「ええ、私はこの世界の人間では無いからそう思うのは仕方ないかもしれないですね」

『この世界の人間ではない?……神の使徒、とは違う。けどどこかそう感じさせるオーラがある…貴方、一体?』

「…そうですね。変に誤解されないように、説明しましょう」

 

そういい芽衣は自身の事を隠すことなくメルジーネに話した。自身がこの世界の人間ではないこと、とある場所から事故のような形で仲間と共にこの世界に来たこと、気が付いたらこの海底遺跡に居たこと、そして…自身の律者の事も全て話した。

 

最初はそんなことがあるのかと、半信半疑の様であったメルジーネであったが、彼女の言葉に含まれる感情が伝わったのか、受け止めた。

細かい所はよく理解できていないようだが、自分はこの世界の神と無関係であるという部分はしっかりと伝わっている様であった。

 

『そんなことが…偶然とはいえ、関係の無い芽衣さん達にまで私達の余計な事情に関わる事態になってしまうなんて、大変な迷惑をかけてしまったわね』

「メルジーネさんが謝る事ではありません。こちらで起こった事故なので…それで、何故こうして現れたんですか?魔法や知識は刷り込まれたはずですし、こうやって話しかける必要も無かったと思うのですが」

『……そうね、本当なら話しかける事はしなかったわ。けど、そうするべきと考えたから、私は出てきたの』

 

少し申し訳なさそうな表情が崩れることなく話し続けるメルジーネ。彼女は何故、芽衣に話しかけたのか、その理由を語りだす。

 

メルジーネが亡くなり、霊体になって数十年が経過し、時が経つにつれ自身の身体を形成する力が徐々に薄れていた。もう数日もすれば喋る事もできなくなり、最後は身体を形成できる力も無くなり、完全に消える状態であったらしい。

そんな時、芽衣がこの場所にやってきた。彼女はこの海底遺跡を攻略し、自身の知識と魔法を受け継いだ始めての人物、その為彼女にある願いを託したいと思い、話しかけたそうだ。

 

「成程…理由は分かりました。それで、お願いというのは?」

『それは……あぁでも、すぐにでもお友達に会いたい貴方にお願いするのはどうかなのかしら』

「私達の事は心配しないでください。確かに離れ離れになって寂しいとは思います。けど、何となくわかるんです…「近い内に必ず再会できる」って」

「なので、是非聞かせてください。貴方が私に頼みたいという"お願い"を」

 

困り顔のまま長考していたメルジーネは、芽衣の野菜い言葉をきき、意を決し、覚悟を決めた様子で芽衣の顔をみて、彼女は芽衣に…いや、起源の律者に告げた。

 

それは芽衣自身、薄々予想していた言葉であった。そして彼女はその承諾を受け取り、彼女が伸ばした手を握った。その表情は友を思い笑みを浮かべた時とは全くの別人、強い覚悟と決意を抱いた戦士の表情である。

 

『雷電芽衣さん…貴方に、この"最後の試練"となって欲しいの』

 

両者この願いを了承し、その契約として手を握りあう。片やこの身が消え果る前に望みを託した者。片やその望みを受け取り願いを叶えんと決意を刻んだ者。

 

この契約は後に、海底遺跡へ訪れる新たな攻略者とのし烈な戦いに発展する。それが、かの親友達であっても。

 

 

 

互いに契約が成立し、握り絞めた手を離す両者。そして芽衣は、メルジーネが願った契約を果たすため、翼刃から一本の刀を引き抜く。そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――その刃で、彼女を()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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