後藤、もうひとり。   作:最条真

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疾走してました。
推敲なんてしてない。
勢いで書いた。突発的に書いた。三十分で書いた。
「光の中へ」いいよね……。


ギターを置け。話はそれからだ。

我が後藤家のマイホームは、私の姉たるギターヒーロー(笑)の莫大な広告収入によって度重なる改装工事がなされている。ご近所トラブルが起きないように姉の部屋の壁を防音仕様にしたり(激しいギターの音は家ではそれなりに聞こえる)、姉の動画撮影専用の部屋を増築したり……大抵は姉に関するものである。

 

言っちゃなんだが、私の両親は姉に対して甘すぎる。

莫大な広告収入を得ているからと言って、改装工事を許可する親がどこにいるのか。

ここに居たのだ、実際に。

 

改装工事がなされる前は自由に行き来可能だった姉の部屋も、扉に鍵をかけられるようになってからは、引きこもりに拍車をかける始末である。

 

私は反対したのに!

 

今更文句を言っても仕方がない。

ともあれ私は姉の将来が心配だ。

なまじ金を稼げているのがタチが悪い。

このまま死ぬまでこの家に居座る様が、ありありと予知できる。

 

うちの姉の将来がヤバい。

緊急家族会議(姉は除く)にも上がった議題である。

このままでは陰キャコミュ障クソギターヒーローが誕生してしまう……と。

ちなみに会議にはジミヘンも参加していた。犬ですら会議に参加しているのに我が姉は何をしているのか。そうだね、ギターだね。

 

会議の最中にも聞こえてくるギターの演奏に、わが両親も流石にヤバさを感じたらしい。

寝ても覚めてもギター、ギター、ギター。

彼女曰く、毎日ギターは二十時間弾いているらしい。

それこの前より増えてない?

食事を置く際に姉に聞いて、そんな答えが返ってきた瞬間、流石の私も戦慄した。

 

というわけで緊急家族会議を開くことになったのである。

 

私の名前を付ける際にふざけた疑惑がある両親も、今回ばかりは真剣だ。

姉の将来が真面目にヤバいことに割とマジの方で気づいたのだ。

 

さて、それでどうするべきか。

 

奴が自発的に部屋から出てくるとは考えられない。ライブチケットも拒否された。

 

色々考えるのもめんどくさい。私はついに強行策に出ることにした。

 

 

私は我が妹、後藤ふたりを伴ってクソギターヒーローの部屋の前まで来た。

 

「おねーちゃんあそぼー」

「お姉ちゃん、あそぼー」

 

コンコン、と扉をノックするふたり。

それに続いて、コンコンコン、と数を増やしてノックするわたし。

 

姉はなんらかの危機感を覚えたのか、ギターの演奏をしていない。

何の返答もないので、再び扉をノックする。相変わらず返答はない。

 

こちらは後藤二人。対するあちらは後藤一人。

最初から勝ち目などないというのに、強情な奴である。

 

「ねぇもとりちゃん。やっぱりおねえちゃんだめみたい」

「だよねー。実は私も最初から分かってたんだ~」

 

今更私の姉が自分のスタンスを曲げるわけがない。

そんな負の信頼から、私は素直に正攻法を諦めて邪道に走ることにしたのだ。

 

私は懐から一つのカギを取り出した。

 

「もとりちゃんそれなーにー?」

「ん? これはね、マスターキーって言うんだよ?」

「……ッ!?」

 

部屋の中の動揺が私にまで伝わってきた。

そうだ、私はついにマスターキーという最後の手段を使うのだ。

姉が本当の本当に引きこもった時の最終手段として用意されたソレは、家族会議で全会一致の賛成を得れなければ使用できない最終兵器だ。

 

姉にもプライバシーや人権は一応ある。

あるっちゃあるのだが、将来が危ぶまれる現在、そんな配慮はもってのほかだ。

何時も甘い両親の賛同も得て、ジミヘンも『ワン!』と吠えたので、全会一致と言っても過言ではない。

 

「というわけでお姉ちゃん。今から強制的にこの鍵を解錠するねー?」

「ぇ、ぅあ、ぅッ、や、やめッ!?」

 

私は姉の必死の叫びを無視して、鍵穴にマスターキーを入れて一ひねり。

長年私たちを隔ててきた扉は、意図もあっけなく解錠された。

 

さて、扉を勢いよく開けば、そこには惨めな姿のギターヒーローが。

 

私が知る後藤ひとりは、もう少し綺麗な桃色の頭髪だった。

それは随分色あせて、擦り切れた色と化している。

青色の瞳は、少し淀んで曇天の空のように暗く、髪はボサボサ、肌は相変わらず病的なまでに白く、眼の下には色濃いクマがある。

服装はいつも通り、部屋着のピンクのジャージ。

手には、相変わらずのギターを抱えて。

 

後藤ひとりは、そこに。追い詰められるように壁際にへたり込んでいた。

 

「あ、ぇ、っ。ぁ、あッ」

「おねーちゃーん!!」

 

言葉になり切らない悲鳴を上げている姉に対して、無邪気なふたりは思いっきり駆け寄り、姉の体にダイビング。約一年ぶりの再会だ。感動の再会と言っても過言ではない。受け止めた姉の胸骨が折れる音が聞こえたが、ソレは些事だ。どうせギャグ補正で治る。

 

そんなことより、重大な問題がある。

 

「というわけで、これからお姉ちゃんと全力で遊ぼうと思うんだけど」

「え、っ? ぅ、えっ?」

 

まだ混乱しているらしい姉に対して、私は笑顔で言ってのけた。

 

 

「――ギターを置け。話はそこからだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




急に思い出した。
続くかもね。

この二次創作まだアニメ一話にすら追いついていないってマジ……?
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