「みんな、少しいいだろうか」
真嶋先生が退出した直後、葛城がクラスメイトに向けて語り掛けた。
「皆との親睦を深めるため、今から簡自己紹介を行いたいのだが、どうだろうか?。」
「確かに、そうだな。」「賛成ー」「やろやろ」
「ありがとう。まずは提案した俺から始めさせてもらう。
俺は葛城康平。中学の時は生徒会に所属していた。この学校でも立候補する予定だ。これから3年間よろしく頼む。」
ふぅん。生徒会ねぇ……あんな、特に権力も無く雑務を押し付けられるだけの役職にそんな魅力があるのかねぇ……。
「もし良ければ、端から自己紹介をして貰いたいのだが……大丈夫だろうか?。」
葛城のその言葉を皮切りに、端から順に自己紹介が始まっていき、ボクの番が回ってきた。
「ボクの名前は榊原 康一。趣味は読書で、好きな物は甘いもの全般……。まぁ、3年間よろしくお願いします。」
あんま長々と話すのも面倒だったので、趣味と好物だけ言って簡単に終わらせる。
ボクの番が終わり、その後も自己紹介は進んでいき、最後の一人になった。
「私は坂柳有栖と言います。私は産まれ付き先天性の疾患を患っており、体があまり丈夫ではありません。
ご迷惑をおかけしてしまうこともありますが、どうかよろしくお願いします。」
と、彼女はクラス全体に軽い会釈をしてから席に座った。
座る直前に一瞬、目が合った気がしたが、まぁ気の所為だろう。
――――――――――――――――――――
お堅い学校とは言え、入学式なんて大抵どこも同じ様なものだ。お偉い人の有難いお言葉を頂戴し無事に終了した。
そして昼前。 ボク達は真島先生から一通り敷地内の説明を受けた後、解散となった。大半の生徒はその足で寮へと入っていく。残りは早くもグループを作っていて、カフェに向かう者や、貰ったポイントを使いショッピングに向かう者……喧騒はあっと言う間に過ぎ去っていった。
ちなみにボクは、特にしたい事も一緒に遊びたい人も居ないので、寮へ向おうと席を立とうとしたその時だった。後ろから誰かに話しかけられた。
「榊原君、ちょっと良いですか?」
「ボク何かに用かい?ロリッ……じゃなくて、坂柳さん」
「はい、これからこの学園内の施設を見て回ろうと思っているのですが、一緒に来てくれないでしょうか?。」
「……何故ボクと何だい?。普通こういうのって女の子同士で行くんじゃないのかい?。」
「榊原君とお話がしたい……という理由ではダメでしょうか?。」
そう言うと彼女は上目遣いで此方を見てきた。
「分かりました。そういう事なら、まぁ良いでしょう。ボクも一人で回るのは味気ないと思っていたので。」
本音を言えば一人で回る事に対し何とも思っていないのですが……まぁ、ボクも『坂柳有栖』には少々興味があったので丁度いい機会でしょう。
「ありがとうございます。では、参りましょうか。」
――――――――――――――――――――
誤字脱字や矛盾等ありましたら、コメントお願い致します。