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皆さんありがとうございます。
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ボクが向かった先はコンビニエンスストア、通称コンビニ。店内に入ると、この学園の生徒で賑わっていた。
「コンビニにしては、結構広いですねぇ……」
通常のコンビニの2倍程度の空間がある。
その為だろうか、品揃えは相当良い。例えば、おにぎりだけでも20種類程置いてあるし、他にも野菜や果物、惣菜等……もはやスーパーマーケットと言っても差支えない程の品揃えの良さである。
と、そんな事を考えながら店内を徘徊していると『とある』コーナーが目に止まった。
「無料品、1ヶ月1人3個まで」
カゴの中には、歯ブラシやシャンプー、絆創膏といった日用品の類が所狭しと詰められていた。
「無料品ねぇ……来月から支給させる金額が極端に少ない人への救済措置と言った所ですかねぇ……」
これを見てボクは自分の考えが間違えではない事を確信した。
最終的に今晩食べるお弁当1つと無料品のシャンプーを1つ買い物カゴに入れ、レジへ向かおうと視線をふと、前にやる。すると、視界の端に不審な動きをする紫の髪色をした女子生徒がいた。ボクはその姿に見覚えがあった。確か……神室……神室真澄さんだった様な……
そんな、ボクの回顧を横に彼女は手に取っている商品を見ずに周りに視線をやりながら商品をカバンに入れようとしていた。まぁ、要するに万引きしようとしていた。
全く……入学初日に万引きって……どんな教育受けてたのでしょうかねぇ……
まぁ、別にボクからすれば彼女が万引きしようが、それがバレて退学になろうが知ったこっちゃないんですけどねぇ……
学校の下す評価ってのが、個人単位での話ならまだしも、もしもクラス全体での話なら、万引きなんて事が学校にバレたらどうなるのか……いやはや、考えたくもないですねぇ……
仕方ない、止めますか。
そう思うと直ぐに行動に移した。
「何をしているんですか?」
ボクは彼女にだけ届く位の小さな声でそう言いながら、腕を軽く掴んだ。すると彼女はカバンに入れようとしていた商品を床に落とし、鳩が豆鉄砲食らったかの様な表情でこちらを振り返り見つめた。
「だ、誰よアンタ」
一応、クラス全体で自己紹介したのですがねぇ……
「榊原 康一です。君と同じAクラスの。……って、そんな事はどうでも良いんですよ、万引きをバラされたくなければ付いて来て下さい。」
「……分かったわよ」
ボクは早急に会計を済ませ、彼女と共に店を出た。
店を出た瞬間、何処からか視線を感じた様な気がしたが……
まぁ気の所為である事を願おう……
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店から出て、来た道を戻り寮の自分の部屋まで着いた。
ドアを施錠し、部屋の明かりを付けた所で彼女が口を開いた。
「好きにしなさいよ……」
「……え?」
「だから、犯すなり、なんなり好きにしなさいよって言ってるのよ。その為に部屋に連れ込んだんでしょ!」
成程……どうやら彼女は大きな勘違いをしている様だ。
「安心しなよ。別にボクはそう言う目的で君を連れ込んだ訳じゃないからねぇ。と言うか、よくもまぁイキナリそんな発想に辿り着いたねぇ……エッチなビデオの見すぎじゃないのかい?」
「エ、エッチなビデオって……じゃあどう言う目的で自室に連れ込んだのよ!」
彼女は顔を真っ赤にして勢い良く捲し立ててきた。
「どう言う目的ねぇ……君の質問からは、ちょっとズレますが、今朝、教室で真嶋先生が説明していた『Sシステム』について覚えていますか?」
すると、彼女は目を閉じて顎に手を当て考える素振りを見せた。
「Sシステム……? あぁ、毎月10万円分のポイントが支給されるってヤツよね?」
「はい、その通りです。では、もしも毎月10万円分のポイントが支給されないとしたら……?」
「支給されないって……どういう事よ!」
「言葉通りの意味ですよ。ボクの予想では多分……と言うか、ほぼ確実に貰えません。」
「予想って……一体どんなのよ?」
「そうですねぇ……コレは真嶋先生の発言なんですけど『この学校に入学を果たしたお前達には、それだけの価値と可能性がある』それって裏を返せば今のボク達には10万ポイントの価値があるけど、例えば、テストの点数が低いとか、監視カメラに授業中の居眠りが写ったり……後はまあ、それこそ万引きがバレたとかで生徒の価値が下がれば、それに比例してポイントも下がるって事だと思うんですよ」
と、昼にカフェで坂柳さんに説明した事と同じ事を説明した。
「……素行不良や成績不振でポイントが下がると?」
「そういう事ですね。それに、ちょっと考えれば分かると思うけどさ、もし真嶋先生の言葉通りに生徒全員に毎月10万円なんて無条件で配ってたら、1ヶ月で4800万円、1年間で5億7600万円……。いくら何でも高校生の為だけに使う金額にしては多すぎるでしょう」
「あぁ、それと後もう一つ。君がさっき万引きしようとしていたコンビニに、とっても興味深いコーナーがあったと思うんだけど知ってるかい?」
「興味深いコーナーって……もしかして、『無料品コーナー』ってヤツの事?」
「そう、その通りです。普通に考えて、もしも本当に毎月10万円分のポイントが支給されるのであれば、無料品コーナーなんて設置しませんよね。いくら何でも甘すぎます」
「……成程、確かにアンタの予想は筋も通ってるし正しいと思う。でも、だったら何で私の万引きを止めたのさ? 別に私の万引きがバレて私のポイントが下がろうが退学になろうが、アンタには関係無いでしょ? もしかして、下らない正義感ってヤツ? だったら放っておいてよ!」
彼女は、勢いよく捲し立ててきた。
「……正義感? イヤイヤ何を勘違いしているのですか?
そんなクソの役にも立たないモノの為なんかじゃないですよ。
別にボクは、君の万引きがバレてどうなろうが、どうでもいいのですよ」
正義感ですか……そんな下らないモノ、産まれた時にへその緒と一緒に捨てましたよ。
「じゃあ、何で止めたのよ!」
再び彼女が声を上げる。
「君の万引きがバレるとボクにも迷惑が掛かる可能性があるからですよ。」
「……何で私の万引きでアンタに迷惑が掛かるのよ?」
彼女はキョトンとした顔で此方を見てきた。
「先程、素行不良や成績不振でポイントが下がると言いましたが、それが生徒個人での話か、クラス全体での話かと言う所までは、実際の所まだ分からないのですよ」
「いや、何で私の万引きでクラス全体の評価が下がるの
よ?」
「いや、あくまでも可能性の話ですよ。しかし、まぁ日本の学校教 育では良く、連帯責任なんて言葉が多様されてるじゃない ですか。なので、あながち有り得ない話では無いと思いますがねぇ……」
「……分かったわよ、もう学園内で万引きはしない。
これで満足?」
「はい、分かって貰えたならば結構です。もう帰って良いですよ」
「そう、じゃあサヨナラ」
そう言うと彼女は、玄関へと向かい扉に手を掛け外へ出ようとした。
「あぁ、ちょっと待って下さい。1つ言い忘れていました」
そう言うとボクは彼女を呼び止めた。
「……何よ?」
彼女は振り返ると、眉をひそめた目で此方を見てきた。
「分かっているとは思いますが、今日の出来事は全て2人だけの秘密でお願いしますよ」
「……何言ってんのよ? 自分が万引きしたなんて事、誰にも言う訳ないでしょ……」
彼女は呆れた顔をこちらに向けた。
「ボクが言いたいのはソコじゃなくて、ポイントの件ですよ」
「あぁ、毎月10万ポイント貰えないって話?」
「そう、それです。一応100%確信がある訳ではないので、秘密にして貰えますか?」
「分かったわよ。黙ってれば良いのね?」
「はい、お願いします」
「そう、じゃあサヨナラ」
そう言うと彼女は今度こそ扉を閉めて帰って行った。
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「全く……入学初日から万引きとは、変わった人も居るのですねぇ……」
そんな事を自分しか居ない部屋で呟いていると、薄っすらと眠気がよぎった。
思い返せば、朝から色々ありましたからねぇ……そりゃ眠たくもなりますか。
ボクは買ってきた弁当を食べ、シャワーを浴び、新品のベッドへと横になり、瞼を閉じ意識を手放した……
そんなこんなでボクの学園生活、最初の日は慌ただしくも終わりを告げた。
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入学初日だけで合計6話も掛かりましたが、ようやく1日が終わりました。ここからは先は今迄よりもハイペースに進めようと思いますので、これからも読んで貰えると幸いです。