すみません、色々と用事が重なってしまい約2ヶ月ぶりの投稿になってしまいました。次回以降は定期的に投稿いていく予定ですので、これからもよろしくお願い致します。
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トイレから戻ってきて数十分が経ち、本日の授業の終わりを告げるチャイムが教室中に鳴り響いた。
「ふぅ……ようやく終わりましたか」
さてと、放課後はどうしましょうかねぇ……
学園内を探索するか……もしくは、先程感じたクラス間での授業態度の差について考察するか……
放課後の予定について熟考していた時だった。
『本日午後5時より第一体育館にて、部活動の説明会を致します。部活動に興味のある生徒は第一体育館に集合して下さい。繰り返します。本日──』
機械的な女性の声と共にアナウンスが校内に響き渡る。
部活動ですか……生憎とそんな面倒な事、ボクは興味無いですねぇ……ですが、まぁ何か新しい情報を得られるかも知れませんし、一応行ってみますか。
部活説明会へ向おうと席を立ち、第一体育館まで向かった。あと数分で目的地まで着こうとすると所で背後から足音と聞き覚えのある声がした。
「ちょ、ちょっと待って……」
「おや、どうしたのですか? 神室さん……」
神室さんが、走って追いかけてきた。
しかし、どうやら息を切らしている様で落ち着くまで数分待っていると再び口を開いた。
「……アンタ、説明会に行くつもり?」
「はい、そのつもりですが」
いや、もうここまで来ているのですから、それ以外に無いでしょうよ、普通に考えて……
「……そ、その……私も一緒に行っても良い?」
彼女は、吃りながらに問いかけてきた。
「おや、驚きました。昨日の一件があるので、ボクは避けられると思ったのですがねぇ…… 」
まさか、彼女の方から来るとは……
何か裏でもあるのですかねぇ……
「で、どうなのよ」
「えぇ、君が望むならボクは構いませんよ」
別に断っても良いのですが、何故彼女が昨日の一件があったのにも関わらず、ボクに接触して来たのか……
その理由が気になるのでねぇ……
「あっそ、じゃあ早く行くわよ」
そう言うと彼女は、足早に第一体育館まで歩を進めた。
いや、『あっそ』って……
自分から誘っておいて随分とまぁ無愛想な態度な事で……
ボクも彼女に続いて目的地まで向かった。
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「思っていたよりも数倍、人が多いですねぇ……」
「確かにそうね」
ボクらは第一体育館へと到着した。既に100人近く人がいる、大体全校生徒の3分の1程度ですかねぇ……
二人で少し後方の位置に立ち、軽く雑談をしながら所定の時刻を待っているとステージの方から声が聞こえた。
「一年生の皆さんお待たせしました。これより部活代表による入部説明会を始めます。私はこの説明会を務めます、生徒会書記の橘と言います。よろしくお願いします」
ステージに立っているのは少々小柄な体格の女子生徒だった。
橘の舞台挨拶を皮切りに運動部文化部の各代表者が登壇し、各々順番に説明を始めた。
彼ら彼女らは、新入部員獲得の為に新入生の興味を引こうと頑張っている。
その為、活動内容について淡々と真面目に説明をする人や、ウケを狙ってくる人など、それぞれの部活の特色が出ていてとても興味深い。
まぁ……入部するつもりは微塵も無いんですけどねぇ……
そんな事を考えていると隣に立っている彼女から話し掛けられた。
「ねぇアンタ、どっかに入部するつもりあんの?」
「いえ、今の所は無いですかねぇ……」
今の所と言うか、元から無いんですけどねぇ……
「ふぅん……じゃあ、もし仮に入部するとしたら運動部か文化部ならどっちが良い?」
「それなら、運動部ですかねぇ……」
個人的には運動は得意ですねぇ……特に格闘技全般。
ですが、部活に入ってまでやろう思いませんねぇ……
何故ならボクにとっての、運動ってモノは顧問だの先輩だのに指示されて強制的にするモノでは無く、好きな時に好きな様に自由にするモノだと思っているのでねぇ……
その為ボクが部活動に入部する可能性は今の所は無さそうだ。
「では、そう言う神室さんはどうなんです?」
そう彼女に問い掛ける。
「私は今の所、美術部ね」
「……美術部ですか?」
ボクは意外そうな顔で彼女を見つめる。
「何よ、なんか文句あるの?」
「いや……別に文句って訳じゃないのですが……」
……意外だ。何と言うか、彼女からは運動部のイメージがあるんですよねぇ……
「好きなのよ、昔から絵を描く事が……アンタはどうなのよ?」
「えぇ、ボクも好きですよ。まぁ、ボクの場合は絵だけでは無く、芸術全般好きですがねぇ……」
と、2人の他愛ない雑談の中、その後も先輩が一人、また一人と各々の部活について紹介していき、説明会は喧騒の中進んでいく。
そして最後の一人になる。その生徒は男性だった。
身長は、170センチメートル以上はあるだろうか。細身だが、筋肉質のある体に耳まで掛かった黒髪。シャープな眼鏡を掛けた、知的さを醸し出す男……
彼はマイクの前まで歩を進めると、無言で一年生たちを見下ろしている。
その沈黙は10秒、30秒、1分と続いた……
もしかして緊張でもしているのですかねぇ……
「がんばってくださーい」
「カンペ、持ってないんですか〜?」
「あはは! あははははっ!」
一年生の野次が飛ぶ。しかし、それでも生徒会長は一言も言葉を発しない。
すると、野次を飛ばしていた一年生も、何の反応も取らない生徒会長に対して白けてしまったのだろうか、喧騒は少しずつ静寂へと変わっていた。
それでも、壇上の男は喋らない。ただ静かに、ジッと、ジッとしている。
そして、弛緩した空気が徐々に予想外の方向へと変わっていった。まるで、化学変化の様だった。
体育館全体が、信じられない程に張り詰めた、静かな空気に包まれていく。
誰に命令された訳でも無いのに、決して話してはいけないと感じる程の、恐ろしい静寂。
最早、何人にも口を開く事は出来ない。そんな静寂が1分程続いた頃だろうか……
ついに、ゆっくりと全体を見渡しながら壇上の男が演説を始めた。
「私は生徒会長を務めている、堀北 学と申します」
「生徒会もまた上級生の卒業に伴い、一年生から生徒会役員の立候補を募集しています。資格は特別必要ありませんが、注意点として、部活動を行う生徒の立候補は原則として受け付けておりません。これは当校の校則であるのでそれを理解して頂きたい」
口調こそ柔らかかったが、彼から放たれた肌を突き刺す様な緊張感と圧はこの広い体育館に居る100人を超える一年生達をたった1人で萎縮させてしまう。
当然ながら、生徒会長だからその様な力が備わっている訳でも無い。目の前にいるこの堀北 学という生徒個人の持つ力だろう。
場を支配する気配が、より一層重たいものへと変わっていく。
「それから……私たち生徒会は、甘い考えによる立候補は微塵も望まない。何故だと思うだろう。それは簡単な事だ。当校の生徒会には学校の規律を変える権利と使命がある。学校側から期待されている。故に、その事を理解出来る者のみ歓迎しよう」
淀みなく演説すると、彼はマイクを元の場所に戻し、真っ先に体育館から出て行った。その瞬間、彼の目からは一年生への侮蔑とも取れる様な視線を感じた。
「皆様、お疲れ様でした。部活動説明会は以上で終了となります」
緊迫とした雰囲気が場に流れる中、司会役が説明会の終了を告げる。穏やかな口調のおかげで弛緩した空気が多少、解れてきた……恐らく、そうなる様に事前に打ち合わせをしていたのだろうねぇ……
「只今より入部の受付を開始します。部活動に入部したい生徒は受付を済ませて下さい。この場で決められない生徒は、四月中でしたら何時でも申請を受け付けていますので安心して下さい。本日は有難うございました」
「あっ、ごめん。私、美術部の受付の方に行ってくる」
そう言うと彼女は急ぎ足で美術部の受付場まで駆けていった。
「了解です。それでは神室さん、また明日、学校でお会いしましょう……」
そう彼女に告げるとボクも足早に会場を後にした……
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