イナズマイレブン 雷鳴への挑戦   作:For AP

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11話:ベータ襲来

 

 

 

 ──未来意志決定評議会エルドラド本拠──

 

 

 相変わらずここは辛気臭い場所ですねぇ……招集命令があったから態々来ましたけど……本当なら来たくないんですぅ。ま、仕方ないですけど。

 

 

 お邪魔しまーす

 

 

 私は入室許可を受け議会にテレポートしました。セキュリティ面でも、利便性でもテレポート技術って優れてますよねぇ。

 

 

 議長? お呼びでしたけど、何か御用でもあるんですかぁ? 

 

 

 テレポートした先では円卓にお偉方が複数座っています。本当に若い人がいないですよねぇ〜。実力も能力も大したことなさそうなのに、エラそーでムカつきます。

 

 私は早くお勤めを終わらせたいので、私は社交辞令を省いて話を切り出しました。お偉方って放っておくと延々話をするのが嫌いです。

 

 

「ベータ。お前にはタイムインタラプトへの介入を行ってもらう」

 

 

 タイムインタラプト──歴史の転換点となる重要な出来事。エルドラドはそのターニングポイントに介入することで、現実を書き換えている。

 

 

 でもぉ……タイムインタラプトへの介入は危険性を孕んでいるから綿密な計画をもとに行われる……っていう話でしたよね? それに、私は暫く待機の予定では? 

 

 

 思わず疑問が口から飛び出てしまいました。私たちエルドラドの計画における私の担当は先の話だったはず……今はアルファが任務に当たるという予定でした。私が動かないなんて勿体無いけど、それはそれで秘密兵器みたいなのでアリだなぁ〜なんて思っていたんですけど……

 

 

「……そうだ。計画を把握しているようで何より。だが、そうも言っていられる余裕は無くなった。手が空いているのがお前しかいないのだ」

 

 ……? 

 

 

 随分と切迫している状況みたいですけど……一体どういうことでしょう? この私を困らせるなんて、議長ったら困った人ですねぇ。要領を得ない説明にちょっぴりイライラしますけど、私はカワイイので、声を荒げたりなんてしません。

 

 

 勿体ぶらないで教えてくださいよ。議長〜。

 

「そうだな……時間の流れに特異点が発生した。とでもいうのがわかりやすいだろうか。シンギュラー・ポイント。常識や法則によって規定されない何者か。本来ならば存在し得ない【ナニカ】が突如生まれ、時空を歪めているのだ。放置しておくと、未来に位置する我々に何か悪影響が出かねない」

 

 

 議長の周りの取り巻きが同調するように相槌を打つ。確かに……それは相当困ったことですわ。でも、どうして急にそんなものが発見されたんでしょう。

 

 

「従って、私たちはそのような未来を望まない。有害な過去を棄却する」

 

 

 そうして、議長はマジメ腐った表情で机を叩いた。

 

 

「だからこそベータには時空に突如生まれた腫瘍を切除する任を与える」

 

 

 腕を組みながら、語りかけてくる議長の表情はいつもより強張って見えました。怖い顔をしているあの人がこんな顔をするなんて、珍しいですねぇ。

 

 

【セカンドステージチルドレン】

 

 

 私たちエルドラドの不倶戴天の敵であり、世界を滅ぼす者。私ですら強敵だと感じる怪物たち……そんな宿敵よりも優先しなければいけない歪みとは、一体何者なんでしょうね? ま、私の敵では無いと思いますが。

 

 

「場所は、約200年前のドイツ。そこで1人の男を潰してこい。────これがアーティファクトだ」

 

 

 具体的な命令が下されるとともに、議長から手渡されたのは、薄汚い千切れかけの紙切れだった。確かに200年の歴史が刻まれているといって間違いない。……でもこんなもの渡さないでくださいよぉ……手が汚れちゃうじゃないですかぁ。

 

 

 これは……すっごい昔のチケットです? 

 

「そうだ。特異点が6連覇を果たした大会のチケット……200年以上前のものだ」

 

 

 へぇーそんなに昔の大会のチケットの半券が残ってるなんて珍しいですねぇ。大体、今は殆ど電子化されちゃってますし、知らない人も多いでしょう。私は資料室に出入りできるので知っていますけど。

 

 

「あまりにアーティファクトの摩耗が激しいため、正確な時間にタイムジャンプするのは難しいかもしれない。だが、小学生の特異点と遭遇することはできるだろう。本格化する前に目を摘んでしまえ」

 

 

 ふーん……小学生……簡単そうな任務です。でも他にアーティファクトはなかったんですかねぇ? 位相がズレて変なところに飛ばされないといいですけど。

 

 

「過去で特異点を潰し、以後サッカーに関わらぬようにしろ。方法や手段は問わぬ。ただ、サッカーと特異点との関係を断ち切るのだ」

 

 

 …………随分寛容な条件です。いつもは手段や被害予想とかも制限されることが多いので、自由にやらせてもらえるのは嬉しいんですけど。……何か裏がありそうですね。

 

 それに大体の概要は理解できましたけど、議長は大切なことを言い忘れてます。なんてったって、エルドラドはタイムインタラプトへの介入を行う際は、複数人での作戦行動を推奨しているはずなんです。

 

 

 私、今のところチームないんですけどぉーどうしろってんですかぁ〜? 1人でも潰せるとは思いますけどねー。

 

 

 私に敵う人なんていませんし〜適当に封印しちゃおうかなぁ〜 そんな私の楽しようという思惑は、議長の言葉で遮られたんです。

 

 

「単独行動は許さん。チームで特異点とサッカーで試合を行い、撃破するのだ。それが1番効果的であると演算の結果導き出された」

 

 

 釘を刺されちゃいましたー。全くぅ! この人たちはサッカーを消したがってるのに、サッカーに執着するんですからぁ。でも、私もサッカーなら思う存分敵を甚振れるので嬉しいかな? 

 

 

「そのために予備のメンバーを選考し、すでにエリア08に召集してある。連れて行け」

 

 

 準備が早いこと早いこと。そんなにビビっちゃってるんですねぇ。情けなぁ〜い。そう思いながらも、優しい私は言動には出しませんでした。

 

 

 はぁーい。かしこまりましたぁ。早く終わらしてきますわ。

 

 

 適当に返事をしながら振り返って、テレポーターを起動しました。あと10秒程度で、召集されたチームメンバーと合流するでしょう。

 

 即席のチーム……差し詰めプロトコルオメガ2.0といったところでしょうか。なんだか私らしくないですけど、ワクワクしますねぇ。特異点がどんなに悲劇的な結末を迎えるのか、今から楽しみでなりません。

 

 

「いいか? くれぐれも注意しろ。特異点の情報は数少ない」

 

 

 議長の忠告が、背後から聞こえます。見縊らないで欲しいですわぁ。────そうだ!! 議長に聞き忘れてたことがありました。

 

 

 あぁそうでした。その特異点さんのお名前は? 

 

 

 かわいそうですし、手向けの言葉ぐらいはかけてあげましょう。

 

 

 

「────アインス・リヒター。本来ならば存在し得ない、未知の人間だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──リヒター家グラウンド──

 

 

 

 いつもの如く練習を繰り返したアインは、運動後のストレッチをしながらクールダウンしていた。汗を拭きながら、傍のアトリと談笑を楽しんでいたのだ。

 

 夜は更け、月は天辺に至り窓からは月光が差し込んでいた。鈴虫の鳴き声が涼しげに聴こえる。

 

 …………しかし、アトリと談笑していたはずのアインは徐に、何もないはずの空間に振り返る。つられてアトリもその方向を見つめた。

 

 

 

 アインたちが座っていたゴールの対面に位置するゴールの前に、怪しげな男女が佇んでいる。タイトで奇抜な模様をした衣服が尚更怪しげに見えた。

 

 数を数えると……11人。サッカーができる人数の不審者が揃い踏みしていた。どこから侵入したのかわからないが、ここはリヒター家の私有地。犯罪者と言って間違い無いだろう。

 

 

 

「何者だ」

 

 

 しかし、アインは不審な侵入者たちに淡々と質問を投げかけた。動揺は全く見られない。彼らが何者の正体を把握し、確認をしているような冷静さだ? 

 

 

「はぁい、未来からあなたのことを潰しにきましたベータちゃんで〜すぅ!!」

 

 

 不審者の中から一歩前に出た少女が、名乗りを上げる。悪びれもしないその態度に、使用人であるアトリは顔を顰めた。

 

 

「未来……未来人か」

 

 

 それでもやはりアインは動揺しない。顎に指を当てながら何かを考える素振りを見せた。

 

 一方でそんな彼が信じられないベータは声を上げるのだった。

 

「あれぇー? 意外と驚かないんですね。少し恥ずかしいかもー?」

 

 かわいこぶったかのように拳を額に当て、おどけた様子を見せる。「へてっ」といいたげなその言動から、飛び散る星を幻視した。

 ベータは自らの魅力を最大限に理解しているようだ。しかし、この2人にそんな愛嬌は通用しない。

 

 

「アインス様。セキュリティを呼びます」

 

「…………いや、要らない。アトリ、お前は家に戻っていろ。俺がコイツらの相手をする」

 

「…………わかりました。ご無事で」

 

 

 やはり彼らには何の意味もなかったようだ。

 

 耳打ちでなされた話し合いの結果、アトリはアインスの言葉を信じ、躊躇うことなくグラウンドから去っていった。素晴らしい信頼感である。

 

 

「あれぇー? お姉さんを返してしまってよかったんですかぁ? 誰か呼んできて貰えばよかったのにぃ〜」

 

 

 そんなベータの言葉を鼻で笑いながら、アインは答える。

 

 

「お前たちの目的は、俺だろう? ならば面倒なことはしない」

 

 誰が見ても煽っていることがわかるその言動に、ベータは感情を揺さぶられた。

 

 

「…………なんですかぁ? その態度。ちょっぴりむかついちゃいましたぁ。じゃあ早速サッカーであなたのことを潰しますねぇ……」

 

 

 そう言ってベータはサッカーボールをアインに蹴りこもうとする。いつのまにか残りのチームメンバー10名で彼の周囲を囲んでいることからも、シュートを蹴り返すことでサッカーという名のリンチを行うのは明白だろう。

 

 

「待て」

 

 

 ボールを蹴ろうと力を込めた瞬間、アインがベータを制止した。

 

 

「命乞いですかー? 無駄ですよぉ? こっちは任務で来ているので、失敗したら怒られちゃいます」

 

 

 しかし、意味はなかった。ベータは磨かれた身体能力を持ってアインを破壊しようとサッカーボールを蹴り込んだ。

 

 ────刹那、アインが指を弾く。

 

 

 

 ッッッ!?!? 

 

 

 思わず漏れたであろう驚きの声が、グラウンドに響く。

 

 アインに打撃を与えようと蹴り出されたボールが何者かによってトラップされ、攻撃は中断されたからだ。

 

「誰だ!!」

 

 ベータは思わず声を上げた。侵入者は銀髪、蒼目の女性でアインと酷く似通っている。しかし、確実にアインではない。

 

 

 

 

「────デュプリだよ。俺の」

 

 

 未来人たちはアインのその回答に動揺し声を上げる。そしてアインが指を弾くと、ボールの簒奪者とアインの他に9名の人影が現れた。

 

 

「……デュプリだと?」

 

 

 ベータは動揺した様子で、口調が乱れる。仲間たちも、予想外のあまり、どよめきだした。

 

 ベータは気持ちを落ち着けるためにも、通信でコチラを確認しているであろう人物を、問いただすのであった。

 

 

「議長。どういうことですかぁ? この時代の人間がデュプリを扱えるなんて……アレって限られた人間にしか使えないチカラですよねぇ? どうしますぅ?」

 

 

 ベータは表面上動揺を取り繕いながらも、上役を問いただす。

 

 

 〈……だからこそ彼奴は特異点なのだ。従来の計画通り、サッカーの試合をもって、タイムインタラプトを達成せよ〉

 

 

 ベータは身につけたデバイスの通信機能によって、指示を乞うも想定通りの言葉しか得られない。諦めたベータはアインに決断を告げるのであった。

 

 

「…………Yesマスター。────特異点さーん。サッカーでお相手しますから準備してくださーい!」

 

「…………望むところだ。塵芥(ゴミ)ども」

 

 

 ベータは自分を軽んじるかのようなアインの言動に、青筋を立てる。

 

 

「てめぇ…………いい度胸じゃねぇか!! ぶち殺してやるよぉ!!!」

 

 

 斯くして、星空が見つめる中、未来人と特異点の試合が決定したのだ。決して交わることはないであろうマッチアップ。時間と空間を超えたサッカーが今始まろうとしている。 

 

 

 夜はまだ終わらない。

 

 

 




 
プロトコルオメガ2.0のメンバーは急に集められた面々なので、原作のメンバーとは異なります。

イナイレの新情報出ましたね!
まだまだ先のことで、詳細はわかりませんけど、キャラ数がとてつもなく多いのは嬉しいです!!
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