イナズマイレブン 雷鳴への挑戦   作:For AP

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15話:数多の出逢い

 

 

 

 日本に引っ越してから数週間が経ち、学校生活にも慣れてきた頃。俺は運良く隣の席になった守君と、ホームルームを聞き流しながら雑談に耽っていた。

 

 

「アイン! 聞いてくれよ!! 昨日すっごいやつを見かけたんだよ!! ズバーンって感じのシュートを不良に叩き込んでさー」

 

 

 守君が()の話を熱心に語る。おそらく、昨日夕暮れ時の河川敷で将来の親友に出会ったのだろう。

 

 

[どんな人? ]

 

 

 俺は心当たりがあるにも関わらずとぼけた返答を返す。

 

 

「えっとなぁ……白くてツンツンした髪をしてて……日焼けしてる……俺たちと同年代のやつだったんだけど……」

 

 

[あんな感じの人? ]

 

 

 俺は黒板の前に立っている男を指差した。丁度今、先生がホームルームで転校生を紹介していたのだ。

 

 

「そうそうあんな……って!! あ──ー!?!?」

 

 

 守君の声でっか。守君は転校生を指差しながら大声をあげて立ち上がった。つい最近見たばっかりって感じの光景だ。立場は逆だったけど。

 

 でも彼はちゃんとこのクラスに入ってくれたか。俺が転入生として入学したから別のクラスになってしまうかな? なんて懸念していたんだけど大丈夫だったみたいだ。

 

 転校生の名前は【豪炎寺修也】雷門中の不動のエースであり、炎のストライカー。今はトゲトゲしい雰囲気をしているものの、後々守君の親友として彼を支える存在となる男だ。

 

 彼の必殺シュートによって、イナズマイレブンは再起することになるわけだから、守君に次ぐキーマンであるというわけだな。

 

 ほら、守君は休み時間になったとたん、豪炎寺君に入部の誘いをかけている。まるで運命を感じたみたいに。

 

 

「豪炎寺、お前もサッカー部に入らないか? 木戸川清修ってサッカーの名門校なんだろ? どうりであのキック! すごいはずだぜ!!」

 

 

 意気揚々と守君は豪炎寺君に語りかけている……が。

 

 

「サッカーはやめたんだ」

 

「どうして……」

 

「俺に構うな」

 

 

 豪炎寺君は守君の勧誘に対し、頑なに素気無い態度を取っている。まぁ当然断られてしまったようだ。

 

 ……初期の豪炎寺君は妹の夕香ちゃん交通事故を、自分のせいだと気に病んでいるからな。悪いのはグラサンの所為なのに。

 

 

「円堂! 冬海先生がお前を呼んでる。校長室に来いってさ。大事な話があるらしい。俺、嫌な予感がするんだ。例えば廃部の話とかさ」

 

 

 悲しげに顔を伏せていた守君は、いきなり現れた半田君に呼ばれてどこかに去っていった。コレは…………夏未さんに呼び出されたな。いよいよ原作が始まるというわけだ……

 

 

 待ちに待ったこの日が来てしまったか……10年間ぐらいこのために頑張ってきたと考えると感慨深いものがある。

 

 ま、大変なのはここからだけどさ。

 

 

 

 

 

 

 

 ──放課後──

 

 

 

 

「────てなわけで帝国と練習試合することになったわけだ」

 

 

 部室に集まった部員たちに守君は、帝国との練習試合の決定を告げた。理事長代理とかいうよくわからない権限を持った夏未さんに焚き付けられたのだろう。顔を真っ赤にして、ムキになっていた。

 

 

「ムリ、絶対ムリ」

 

「ボコボコにされて恥かかされるだけですよ」

 

 

 しかし、部員はそんなやる気の守君とは打って変わって、既に廃部を認めたかのように諦めていた。ネガティブな言葉が飛び出し、暗い空気が部室の中に漂い始める。

 

 ……それも無理はないよなぁ。この世界に来てから帝国について調べ直したけど、本当に黒いウワサしかなかったもの。帝国に負けると学校が破壊されるっていう代表的なウワサに始まり、事故を故意に起こして対戦校を陥れるなどなど真実と嘘が入り混じって混沌とした評価となっていた。学校としてそれでいいのか? 

 

 

 ────これもすべて影山ってやつのせいなんだ。

 

 

 ……冗談めかしていったけど、あながち間違ってないんだよなぁ。イナイレ世界の宿命の悪役として、多くの作品に出現してるし、あの人。

 

 

 守君は暗く、俯く部員達を横目に、帝国戦までに部員を11人集めると言って部室から飛び出していった。俺は追いかけるとしようか。

 

 

 

 

[守君。新入部員にアテはあるのかな? 豪炎寺君に断られてしまったとなると、最低限必要な部員数は俺を除いてあと4人だよね? ]

 

「────ない。ひたすら探すだけだ!!」

 

 守君はなんとしても成し遂げると、自信満々にそう言った。時間は短い。頑張ってほしい。

 

 

 ま、大丈夫なのは知っているけどね。

 

 

[そうかぁ。じゃあ手分けして探そうか]

 

 

 俺も一応手を貸すべきだろうか? ──いや、違う人を集めてしまいそうだし、俺は傍観しておくとしよう。ということで、時間を潰すべく、俺は雷門中の探検を始めたのだった。一応、部員集めしてる風じゃないと酷い奴になってしまうからな。

 

 

 

 

 

 

 ──校舎内──

 

 

 

 あの小柄な男の子は……レアキャラの香りがするぞ。

 

 たまごろう? だっけ。漫画では重要なキャラだったけど、ゲーム内では何回も話しかけないと仲間にならなかったはずだ。

 

 ……仲間にするというわけじゃないけど、なんだか好奇心が湧いてきた。話しかけてみようか。

 

 

[君、ちょっといいかな? ]

 

 

「────!!」

 

 

 たまごろうに逃げられた……話しかけただけなのに……悲しい。

 

 

 

 

 ──体育館──

 

 

 

 

 ……なんか見覚えあるなぁ。あのバスケ部の人……町田だっけか? 

 

 よくわからないけど隠しキャラみたいで、俺は仲間にはしなかったけど、とある配信で愛人枠として使われているのを見たことがあるぞ……

 

 ホーントレインが得意な人だった気がする……無性にドラゴンキャノンを教えたくなってきたぞ……

 

 でもなんだか汗でテッカテカに光り輝いている……それにどう考えてもあのパンプアップした筋肉は中学生には見えないよ……話しかけにくい……

 

 また今度ということで……

 

 

 

 

 ──教室──

 

 

 

 薄暗くなりつつある雷門中を探索していると、自分の教室である少女に話しかけられた。

 

 

「あ、あの……円堂君とどういう関係なの?」

 

 

 大谷さんだ。まさか話しかけられるとは思わなかったけど、何か用事かな? 

 

 

[うん?幼い頃の友達……かな? 一度しか会ったことはなかったんだけどね。君は? ]

 

 

「お、大谷つくしです! お友達からよ、よろしくお願いしますぅ!!」

 

 

 顔を赤くして駆け出して行ってしまった。なんだったのだろう? 

 

 

 お前もサッカー部に入らないか? 

 

 

 

 

 

 

 とは流石に言わなかったよ?

 

 

 

 

 

 

 

 ──自宅──

 

 

 その日の夜。俺は雷門中の近くに用意された一軒家の中で、豪勢な夕食を食べていた。勿論調理したのは一緒の一軒家に暮らしている、アトリとムクロ。2人とも昔からよく料理をしていたようで、その腕前はプロ級だ。

 

 家も綺麗だし、日本での暮らしに不満は全くなかった。地下には当然広大なサッカーグラウンドが用意されているしね。でも、本来はもっととんでもない豪邸になってしまいそうだったんだ。維持に使用人を雇わなければいけないということで、どうにか断ったけどさ。

 

 

[ってわけで今は部員集めに奔走中なのさ]

 

 

 食卓を囲んでいるのは俺とアトリとムクロの3人。実家で使用人と食事を共にすることはなかったけど、2人は家族のようなものだし、ここには厳しいルールなんてない。気ままに暮らすことができていた。

 

 

「────私に入れってわけ?」

 

 

 ムクロは俺の部活話に対し、不服そうな態度を取る。そもそも付いてくるとは思っていなかったから、ムクロに何かをしてもらおうとは思っていなかったんだけど……

 

 

[今は大丈夫。そのうち力を貸してもらうことになると思うけどさ]

 

 

 どうせなら守君たちの強化のために、一肌脱いでもらうとしようか。

 

 

「アインス様もムクロも仲のいい友人ができて良かったですねぇ。2人とも友達が少ないですから」

 

 

 ステーキを口に運びながら、今後どのようにしていくか考えていると、思わぬところから言葉の刃物が飛来し、俺とムクロを切り裂いた。

 

 

[うるせぇ! ムクロよりマシだ!!]

 

「うるさい! アインよりマシよ!!」

 

 

 図らずも、ムクロと同じ反応をしてしまった。……これが似たもの同士という奴か……アトリは苦笑いしながら、俺たち2人に目を配る。

 

 

「そういうところですよ。でも……守君と夏未さんでしたっけ? 友人ができたのは良かったですね!!」

 

 

 ムクロは雷門中理事長の娘こと、雷門夏未と同じクラスみたいだったようで、仲良くなったらしい。確かに少し似ているところもあるし、昔の孤高の彼女を知っている身としては成長が感じられて嬉しいよ。

 

 ムクロにとって日本は母国であるはずだけど、友達がいない学校に通うのは辛いからね。

 

 ……なんか過保護すぎないかな俺。ムクロの親なのか? そうそう、ムクロの両親とは話したことがあるが、なぜムクロが捻くれたのかわからないぐらい良い人たちだったということだけは言っておこう。

 

 

[アイタタタタ!! ]

 

 

 ムクロにほっぺたを引っ張られた。俺の邪念に勘付いたのだろう。

 

 

 

「なんか失礼なこと考えてない? ……ほら早く練習に付き合ってよ」

 

 

[いったぁ……待ってよ。まだ食べてるでしょ?]

 

 

 勿論ムクロが付いてきたのはサッカーの練習を俺に見てもらうためなのだろう。……そのぐらいしか理由ないしな。だからといって、食事直後に運動させるのはダメでしょうが! 

 

 

 というわけで、俺についてきたのはアトリとムクロの2人だった。アトリがついてくるであろうことは想定していたが、まさかムクロが……ドイツを発つと話をした時に、妙に反応が薄かったのも、俺の両親に直談判することを考えていたからなのだろう。

 

 ムクロは母さんに妙に気に入られているから、多少の無理は効く。それに1人留学が増えるぐらいなんでもないような資産があるからね、ウチ。

 

 まぁ家でも寂しくないのはいいね! アトリなんかは知り合いもいないし、できにくいだろうからムクロがいて助かった。結構この2人も仲がいいからな。

 

 

 俺がこうやってのんびりと夕食を堪能している頃、今頃サッカー部のみんなは一致団結して努力を始めた頃だろうか。……いいなぁ。参加できない俺は水を差してしまうから混ざっていないけど、本当は混ざりたかったなぁ……

 

 

 

 

 

 

 ──何処か──

 

 

 

 おっ! 久しぶりだな!! ────ちゃんと成長してるみたいだな。

 

 

 日本に反応があったから、来たって? ありがと! 

 

 どうだい? もう計画は始まってるんだろ? 

 

 ……修行漬けねぇ。きみたちは石を使わないもんね。そりゃ大変だよ。

 

 

 みんなと練習しすぎて、やり過ぎちゃわないか心配だって? 大丈夫だよ。壁は高い方がいいからね。こっちも時間はないけど少し動かせてもらうし、心配はいらないさ。

 

 そうだ。情報交換しとこう。手を繋いで。

 

 ────ありがとう。中々楽しそうに過ごしてるじゃないか。良かったねぇ。

 

 

 ────え? 愛着が生まれてしまったって? それに目的を遂げたら私はどう生きればいいのか? ────うーん……自由に暮らしなよ。別に無慈悲になれって言うわけじゃない。俺も維持は慣れたし、君もそのまま生きると良い。何かあれば電話かけてくれ。コレ、番号ね。

 

 

 

 じゃあまた会おう()()

 

 

 

 

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