イナズマイレブン 雷鳴への挑戦   作:For AP

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5話:デュプリは友達に数えられますか?

 

 

 

《どうしたらデュプリを生み出せるのか》

 

 そんな難題は、案外簡単に解決できた。化身を出すまでに1年半ぐらいかかったのに、デュプリはものの一瞬で発現したので、拍子抜けだな。

 

 化身の力──KPというやつだろうか。それを10分割する。そんな単純な方法で、デュプリを扱うことができたのだ。化身アームドの様に、自分を核にして化身を纏うのではなく、化身の力を分割し体外に放出する。感覚的な問題すぎて、表現しにくいが、とりあえずそういうことだ。

 

 とは言っても、デュプリを生み出し、維持するためには集中力が必要になるから、簡単な技術ではないと思う。コレを指パッチン一つで発動するセカンドステージチルドレンってやっぱりすごいんだな。エルドラドが恐れるのも当然だ。

 

 早速俺は体から化身を切り離していく。2度目ともなると案外再現は容易い。

 

 

 背後の影が蠢き、化身が召喚されようとしている。しかし、そうはならなかった。化身の元となる力が分割され、光子となってアインの周りに散ったのだ。そしてその光の粒から10人の男女が生み出された。

 

 

 よし……無事にデュプリを呼び出すことができた。

 

 年齢も体格も性別もバラバラでなかなか個性的な分身達だ。皆銀髪で青い瞳をしていることは一致しているが、雰囲気や容姿は全く異なっている。自分に似てるからちょっと不気味なんだよなぁ……ドッペルゲンガーって不吉だろ? そんな感じ。

 

 デュプリ達はみな、無言で本体である俺をじっと見つめている。

 

 

[俺の考えって共有されてるのかな? 俺が何して欲しいかわかってる? ]

 

 

 その問いを聞いて俺の化身、デュプリ達は揃って頷く。どうやら俺の思考は俺の半身達にも共有されている様だ。いちいち呼び出すために指示をしないといけないのは不便だから助かったな。

 

 

[じゃあ早速修行を始めよう。ポジションは分かれてるんだよな……? ]

 

 

 デュプリ達はまたもや頷いた。

 

 

[そう? 都合がいいな。えっと……ムキムキな君がGK? ──違う? 君はMFか]

 

 

 他のデュプリと比べて一際小柄な女の子が手を挙げている。

 

 

[あぁ、君? ちょっと意外だったよ。────ごめんごめん、他意はないんだ。名前は────エルフ? みんな名前があるんだね。──えっ? 覚えないと練習しないって? デュプリが本体に逆らうとは生意気な]

 

 

 デュプリ達が俺の方に近づいてきて、メンチを切ってくる。みんな俺よりもガタイがいいからちょっと怖いって……自分に似てるのも嫌だし……

 

 

[……わかったよ後で覚えます。 だから修行するぞ! ]

 

 

 そう聞いたデュプリ達は一斉にスタジアムから逃げ出そうとする。どうやら俺の指示を拒否しようとしているみたいだ。

 

 デュプリたちの服を掴み引き止める。結構な勢いで引きずられてしまった……本体に逆らいすぎだろ、この分身……

 

 

[逃げるなって、何を嫌がってるんだ? ──修行がハードすぎる? 俺は毎日欠かさずにやってるんだ。気にすんなって]

 

[じゃあ、まずは軽めにマラソン50キロ、それからパス練習で休憩、その後はドリブルで10キロ、シュート1000本といこう。あとは……タイヤ引きをして……必殺技練習かな? ]

 

 

『ぶんしんフェイント』

 

『ざんぞう』

 

『とうめいフェイント』

 

 

 10人のデュプリが揃って逃走していく。今度は必殺技までふんだんに使用して、ずいぶん必死な様だ。俺が時間をかけて覚えた技を逃げるために使うのか……

 

 少しイラっとした俺は、グラウンドから走って逃げ出していくデュプリたちに向かって、足元に転がっているボールを全力で蹴り飛ばす。あんまり俺の修行を邪魔する様なら、実力行使も厭わないぞ? 

 

 

[逃げ出したら、ファイアートルネード治療法するからな? 余計なことは考えるなよ? ────ヨシ! じゃあその共通練習が終わったら、ポジションごとに分かれて練習だ]

 

[MFとDFが攻めと守りの連携練習、GKとFWは俺と一緒にシュートとキャッチの練習だ]

 

 ようやく人に向かってシュートを打てるなぁ!! 自分の必殺技の威力を把握できるのは嬉しいことだ。父さんたちにも見せてないし、受けてもらってもいなかったからやっとフラストレーションが解放される。

 やっぱり必殺技と必殺技のせめぎ合いが見たいんだよ!!! 

 

 

[────? なんでエルフ泣いているんだ……? 怖い……何が? 修行は楽しいだろ? ]

 

 

 

 

 

 

 こうして前途多難でこそあるものの、無事にデュプリ式訓練を始めることができた。予想通り、デュプリの修行結果は本体の俺にフィードバックされ、成長を感じられた。デュプリを消した時は気絶するかと思うほど、体力・精神力ともに磨耗してしまったが……まぁ慣れるだろ!

 

 事前に覚えておいた『グラビティション』も役に立ちそうだ。初日ということで2倍の重力をかけてみたけど、想像以上に辛かった。でもそれが気持ちいいんだ。

 

 更に俺は強くなれる。そう実感した。

 

 だったら……次にするべきことは実績作りかな? ドイツ代表に選ばれる様な能力を世界に示さなければいけない。今の俺の実力で、国を代表する立場になることができるのかは不明だがいつかはやらなければいけないことだ。

 

 

 だから、チームに入ろう。俺1人だけでなく、仲間と共にサッカーする。そんな時期が俺にも来たのだ。連携力には自信がある。イメージトレーニングは欠かしていないからな。

 

 

 

 

 

 

 後日、父さんにサッカーチームに入りたいと言うと……とても喜ばれた。なんでも俺が同年代と仲良くなろうとするのが珍しいようで……

 

 確かに友達はいないよ? 話し相手も家族かメイド、執事達って言う悲しい人間かもしれないけどさ……だからって実の息子をコミュ障扱いしないでくれよ……そもそも敷地内から出ないから友達ができる機会なんてないじゃないか……

 

[え? シエルは友達がいるって? お茶会が定期的に開かれてる? そんなバカな!? 俺は誘われたことすらないぞ??? ]

 

[全く冗談が上手だなぁ。嘘をつかないでくれ、アトリ。────―嘘じゃない!? ]

 

 心が折れそうだ。

 どれだけ体を鍛えたとしても、未だに俺の心は貧弱なままだった。

 

 

 アトリ……俺、分身できるんだけど……それって友達に数えていいのかな? 

 

 

 

 

 

 ──数日後──

 

 

[初めまして、アインス・リヒターと言います。よろしくお願いします]

 

 俺のことを見つめる大勢の子供達を相手に挨拶を行う。こういう経験が浅いから、とても緊張して動悸がする。この時ばかりは表情筋がカチカチで良かったなぁとしみじみ思った。動揺を悟られるわけにはいかない。クールにいかないと。

 

 こうして父さんの友人が監督をやっているという、サッカークラブ【ヒンメルクラウン】に入ることとなったわけだ。

 小学1年生から6年生まで幅広い年代の子どもたちが揃っている。人数も結構いるから、先ずはスタメンを取らないといけないな。頑張るとしよう。

 

 ついでに友達もね…………? 

 

 

 

 





【デュプリ一覧】
 デュプリは皆アインと同じく髪が銀、瞳が青です。年齢はアインより高く、14歳ぐらいとします。出番もあまりないと思いますが、名前を置いておきます。

 FW 気だるげな表情をした少女 ヴァイ
 MF メガネをしている男       トライ
   ポニーテールの少女       フィア
   小柄な少年           フィン
   筋骨隆々の肉体を持った男    ゼクス
 DF 額に傷が入っている男      ズィート
   怒った様な表情をしている男   アハト
   目を常に閉じている少女     ノイン
   お姉さんっぽい女性       ツェーン
 GK 小柄で幼い女の子        エルフ 
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