君の唇に恋してる…   作:とあるP

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4月…君と出会えた奇跡③

4月も中旬に差し掛かった日の放課後。今日は聡主催の勉強会が行われる。教室を見渡すとほとんどの生徒達が残っている。それだけ聡の勉強会は大事なのだ。

 

かく言う奏も今日はレッスンが休みなため教室に残って、友達と談笑している。

 

「…本当に聡の勉強会は凄いのね」

「まぁ学年主席から直接教えて貰える絶好のチャンスだからね」

「そうなんだよねぇ~私も赤点ばっかっだけど、先生の勉強会を受けてから、ほぼ0になったんだ」

「そうなのね…」

 

そんな事を考えていると、聡が勉強会の資料を持って教壇に立ってきた。それを見ると、クラスメイト達は自分の席に着くのであった。奏も皆にならって、自分の席に着くのであった。

 

 

「え~っと皆さん僕の勉強会に集まって頂いてありがとうございます。この勉強会は僕の自己満足みたいなものですから、他に時間を使いたい人が居たら退出しても大丈夫ですからね」

 

そう言っているが、今までの勉強会で途中退出した人は誰一人としていなかった。そんな気を他所に、聡は勉強会の準備をするのであった。

 

「えっとそれじゃあ、勉強会を始めますね。今日は古典から」

 

そこからは怒涛の時間だった。聡は古典から始まり、数学、物理、はては英語まで行った。その間わからない所が出たら、わからない人に対して懇切丁寧に説明し納得してもらうまで教えた。

 

「凄いわね、聡は…実際の教師よりもわかりやすいわ」

「まぁ、先生は嚙み砕いて教えているからね。そこからはアタシ達が自力で解かないといけないからね」

「うんうん。そうなんだよねぇ~」

 

奏も実際に受けて見た感じ、聡は全部を教えいる事はなかった。あと一歩の所まで教えるが、そこからは自分自身が解かないといけないようにしている。それは意味がないと知っているからである。

そんな事を思っていると、聡が勉強会の資料を片手に奏達のところにやって来た。

 

「お疲れ様。あれ?速水さんいたんだ」

「ええ、今日はレッスンが休みだから受けてみたのよ。そしたら結構教え方上手いのね」

「そうかなぁ?いつも通りだけど…」

 

無自覚な聡を奏は相変わらずねと思っている。そんな2人を他所に、クラスメイト達からさっきの勉強会について質問攻めを受けるのであった。

 

「ねぇねぇ先生!さっきの英語なんだけど~」

「ああ、そこはね…」

「なぁ先生。どうも数学でわかんねぇ所があるんだけどよ」

「またかよ。いいかい先ずは…」

 

多くの質問に対して嫌な顔をせずに、丁寧に説明している聡を見て奏は羨ましく思ってしまった。

 

入学初日からアイドルという職業柄、他の人達は近寄って来なかった。勇気を出してくる者が居たが、それは『アイドル速水奏』という存在しか見ていなかった。だから、告白をしていくる者を次々と撃破していった。

 

しかし、聡だけは違った。からかって来る奏を、突き放そうとせずに受け入れてくれた。それを知った奏は更に聡にちょっかいを出してくる。そんな事を見ていたクラスメイト達は、次第に奏は普通の女の子なんだと思い始めた。

 

それ以来クラスメイト達も徐々に奏に話しかける様になってきた。最近の芸能界はどんな感じなのか。噂の熱愛報道はどうなのか?と…

 

一方で奏も答えられる範囲で答え、クラスメイト達にいい印象を与えるのであった。奏は受け答えをしている聡を見ながらある提案をして来た。

 

「ねぇ聡。私もここがわからないんだけど」

「えっとどこ?」

「ここよ♡」

 

そう言って、自身の身体をグッと近づける。その距離は、あと少しでキスが出来るくらいまで近づいている。

 

この行動にクラスメイト達はおお~!と言うが、聡は涼しい顔で問題を解いて行った。

 

「ああ、この問題は結構簡単だよ。まずは~」

『……』

 

この反応にクラスメイト達はもちろん奏自身も呆れるしかなかった。そして、一通り説明し終わると、聡は席を立つのであった。

 

「って感じ。どうわかったかな?」

「エエ、トテモワカリヤスカッタワ…」

「そう?良かった。それじゃあまたね」

「エエ、マタアシタネ…」

 

聡はバックを持つと、教室を出ていった。クラスメイトの女子生徒達は必死に奏のフォローをしているが、聡は皆が見えなくなった途端に、恥ずかしさが混み上げって来た。

 

「ふぅ…全く、奏さんにはびっくりしたよ。…あんな事してくるんだから///」

 

クラスメイト達がいる手間、理性を総動員させて平然を装って居たが、心の中ではドキドキが止まらなかった。

アイドル速水奏に言い寄られてドキッとするはずがない。アイドルを抜くにしても奏は美人な部類に入る。だから、変に悟られないようしたのだ。

 

「けど、何であんな事をして来たんだろう…まぁいいや」

 

そう言って、考えるのをやめた。一方で振られて意気消沈の奏は、クラスの女子生徒が慰める目的で、近くのハンバーガー店に来ていた。

 

「ハァ~」

「……」

「ハァ~」

「……」

「ハァ~~」

「…てか、奏さっきから盛大なため息しかしてないじゃない」

「ハァ~~~」

「お待たせ~!ってかどうしたの?」

「さっきからこんな状態なのよ。もう3回よため息」

「ふ~ん。奏~どうしたの~?」

「ハァ~~」

「ありゃりゃ…こりゃあ重症だね」

 

さっきから奏のため息を聞いているのは、新沼幸子(にいぬまさちこ)肩まで伸びている茶髪にウェーブをかけている。スレンダー体系により、可愛い系というよりも綺麗系。口調はちょっとぶっきらぼうだが、クラスからは慕われている。

 

2人目の女の子は小山内加奈子(おさないかなこ)腰まで伸びている黒髪ロング。一見清楚系に見えるが、それとは裏腹にクラスでも一番のグラマラス体系。本人は胸が大きい事が困っているが、まんざらでもない様子。ほんわか系でクラスのマスコット的な存在。

 

「奏~何があったかこの幸子様に言ってごらん?」

「もしかして先生に関係すること?」

「…!」

 

加奈子の言葉にドキッとする。この反応に幸子はニヤリと笑った。獲物を見つけたと…

 

「そうかぁ~先生絡みなのか~」

「…何が言いたいのよ?」

「べっつに~何でもないよ~」

「え?そうなの?」

「別に何でもないわよ」

 

強情な態度を取る奏に対して、幸子はカマをかけてみる事にした。外に指をさしありもしない事を言い出した。

 

「ふ~ん。そうなんだ…あ!あそこに先生が女の人と一緒に歩いている!」

「え!どこよどこ!?」

しかし、そこに居たのは犬を連れて散歩している人と、汗をかきながら必死に電話をしているサラリーマン風の男の人しかいなかった。

 

それにより、カマをかけられたと知った奏は幸子に詰め寄って行くのであった。

 

「さ~ち~こ~!貴女騙したわね!」

「アハハ!だってさぁ奏って本当にわかりやすいんだもん」

「そうだね~本当に奏ちゃんってわかりやすいよね~」

「ど、どういうことよ?」

 

『先生の事気になるんでしょ~』

「!」

核心を突かれてドキッとする奏。それを見逃さない2人だった。そこからは怒涛の質問攻めが始まる。

 

「ねぇねぇいつから先生が気になっていたの?」

「ノーコメントで」

「先生のどこが好きなの~」

「ノーコメントで」

「先生どうして先生がタイプなの?」

「ノーコメントで!」

「先生が他の人と歩いていたらどうする?」

「…ノーコメントで」

 

一瞬言い淀んでしまった。これには2人も興味が湧いてきた。あのミステリアスな奏が年相応の女の子となっているのであった。

 

「ふ~んまぁあの奏が先生をねぇ」

「…ちょっと、私は何も言っていないわよ」

「けど、あの反応していたら、気になりますって丸わかりだよ~」

「うっ!」

「まぁいいんじゃない。先生結構モテるから競争率高そうだし」

「…どういうことよ?」

 

幸子の何気にない一言に奏が反応する。その様子を加奈子がニマニマして見ていた。

 

「だってさ、皆言っているよ。『先生って顔はイマイチパッとしないけど、よく見れば可愛いよね』って」

「…確かに聡はカッコイイ系より、可愛い系よね」

「でしょ?そうなんだよねぇ先生って可愛い系だから、何か庇護欲をかきたてるっていうか…」

「わかるわ!聡は可愛いよね。それに身長も低いから、男の子って言うよりは弟って感じなのよね!けど、そこがいい…っは!」

 

もう隠しようがない言い方だった。そう言った瞬間奏は耳まで真っ赤に染まってしまったのだ。こうなっては仕方ない。認めようがない。

 

 

奏は聡の事を気になっていると…

 

 

「…やっと自分の気持ちに素直になったか」

「うんうん。素直になるのが一番だよ~」

「…幸子…加奈子」

「いゃ~まさかアイドル速水奏の相手が先生とはねぇ」

「うん。意外だったよね」

「けど、これからどうすればいいのかしら?」

『え?』

 

まさかの発言に固まってしまった幸子と加奈子。この子は何を言っているのかと言わんばかりに奏を見つめる。

 

「だって、こんな気持ち初めてなのよ。それに聡は他の人ともうそういう関係になっているのかもしれないないし…」

「あ~大丈夫だと思うよ。勉強一筋の先生だもん」

「そうそう。それに、先生も奏ちゃんの事好きかもしれないよ~」

「すっ!///」

 

加奈子の好き発言に顔を真っ赤にしてしまう奏。いつもミステリアスな彼女が、年相応の女の子になる瞬間であった。

 

「まぁあれだ!奏はこれからもグイグイ先生を誘惑して行けばいいんだよ」

「そうだよ~応援してるからね~」

「貴女達…わかったわ。私頑張ってみるわね!」

 

ここに、『速水奏恋の応援団』が結成された。とりあえずの目標として聡の気をこちらに引かせる事が課された。

 

果たして、奏は聡を振り向かせる事が出来るだろうか…

 

 

同時刻。聡は謎のくしゃみに悩まされていた。

 

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