遠い昔遥か彼方の銀河系で我々が目にしたことのあるような反乱事件が銀河の中心地コルサントで発生していた。

※pixivにも同じ作品が存在しますがご了承下さい

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二・二六事件 別名クローン反乱事件
クローン製造中止に対し一部のクローントルーパーが皇帝の名を奉り元老院議員を殺傷した事件である。

コルサントの標準日が2ヶ月と26日であった事と指導者だったクローンキャプテンの番号が“CT-226 ”だったことに由来する。

元来熱心な帝国の信奉者であるCT-226はこれから生まれる兄弟達と共に皇帝の為に戦う事を望んでいたが元老院でクローン製造中止が決定し、彼が派遣された惑星で元老院議員の横暴を目にし決起を決意。

同じくクローン製造中止に反対していたクローンルテナントの“CT-1936”と“CT-229”が計画に賛同した。

彼らの第一目標は銀河帝国を腐敗させている元老院にあると考え自分達の中隊を率い元老院襲撃を計画した。

またもう一つの目標であるクローン再製造を皇帝シーヴ・パルパティーンに認可させる事も計画の一つであった。

一時期はカミーノの元老院議員を支持しクローン再製造を認めさせようとしたが結局失敗に終わった。

既にカミーノのティポカ・シティが一部将校の独断によって破壊され、クローン技術が文字通り消え去っていたからだ。

しかし元老院議員の指示案はCT-226が反対した為却下された説もある。

結果彼らは26日に己の兵舎を同部隊の兄弟達と共に飛び出した。

5時10分頃反乱部隊は元老院オフィス・ビルを襲撃たまたま居合わせた元老院議員と帝国地上軍人、警備隊を数十名殺傷。

また同時に財務省や旧ジュディシアル・アーコロジーも襲撃しターゲットである君側の奸、つまり防衛徴兵法案に賛成した元老院議員、政府関係者を殺害しようとした。

8時50分頃にはホロネット・ニュースの本社を襲撃し反乱宣言を発表。

しかし彼らには想定外だったのか皇帝シーヴ・パルパティーンはこれに激怒し、自らショック・トルーパー師団を率い鎮圧すると発言するほどだった。

当然皇帝自らの出陣はなかったが皇帝の激怒は熱心な信奉者であるCT-226らを大いに驚かせた。

鎮圧に対しては地上軍の重鎮であるハースト・ロモディ将軍、パヴリス将軍そして新世代の将軍であるカシオ・タッグ准将が任された。

またISBや情報部も鎮圧作戦に協力しマルリーン提督やウルフ・ユラーレン提督も参加した。

鎮圧司令部はクローン・トルーパー達を真正面から破り鎮圧するのは難しいと考え降伏させる事を決意。

オフィス・ビル内に降伏を促す放送を入れ同じくオフィスビル中にこの内容を簡略化したビラを撒いた。

ビラにはこう書かれていた。

クローン兵ニ告グ
一、今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ歸レ
二、抵抗スル者ハ全部逆賊デアルカラ射殺スル
三、オ前達ノ兄弟ハ國賊トナルノデ皆泣イテオルゾ
帝国軍最高司令部

この時点で完全に自分達の大義がない事に気づきこれ以上の抵抗は無駄だと感じたトルーパー達は次々と降伏。

指導者のCT-226は自決し残りの2人も逮捕された。

この事件は帝国を大いに震撼させる出来事でありクローン製造中止と帝国防衛徴兵法案の賛成が銀河中で大きく支持される結果に至った。

結局彼らの行動は逆効果だったのである。

逮捕されたCT-1936とCT-229は軍事裁判に掛けられ銃殺刑に処された。

こうしてこの事件は予想外であったものの帝国の今後に特に影響を与えることなく終結したのである。
-隠された銀河史 第四章“クローン戦争前後の隠された秘密”より抜粋-


襲来

遠い昔、遥か彼方の銀河系で。

 

クローン戦争は終結した。

 

3年に渡る永き大戦は最終的に独立星系連合指導者達全員の死とジェダイの反乱で幕を下ろした。

 

銀河共和国は第一銀河帝国へと変貌し、やがてはクローン戦争の象徴たるクローン・トルーパーも新たな防衛法案の到来によって第一線を退く運命となっていた。

 

多大な犠牲の下、銀河は大きな転換期に入ろうとしていた。

 

当然受け入れきれない者も大勢いる。

 

分離主義者として共和国と戦った者、ジェダイとして反逆者に仕立て上げられた者、共和政の崩壊を嘆き疑いを持つ者、そして“()()()()()()()()()()()()退()()()()()()()()()()()()()()”。

 

それぞれの不満を持つ者はそれぞれの形で抵抗を始めた。

 

ある者は連合軍の残党を率いて抵抗を始め、またある者はひたすらに逃げて身を隠し、またある者は“()()()()”を起こそうと暗躍を始めた。

 

無論ある者はその運命を受け入れ、ある者は運命に不満を持ちつつも何も抵抗せず、ある者は忠誠を尽くした祖国から離れていった。

 

そしてある者はまた別の道を行こうとしていた。

 

自らが退役する運命を、自らの兄弟達がこの銀河系から消えゆく運命を変える為に黎明の帝国軍の中で同志を募り運命を変えようとしていた。

 

彼らはクローン・トルーパーも故郷ティポカ・シティの消滅も全て皇帝ではなく皇帝の周りにいる“()()()()”が原因でありこれらを排除すれば全てが上手くいく。

 

皇帝は分かってくれるはずだしクローン・トルーパーとして再び兄弟達は銀河を守る尖兵となるし故郷だって再建される。

 

彼らは少数で僅かな限られた勢力であったがそれでも粛々と拡大しその思想を兄弟達に広げていった。

 

無論帝国とて完全に彼らを察知していなかった訳ではない。

 

新設された秘密警察組織たる帝国保安局は早速職務として帝国情報部と共に彼らの存在をマークし動向を探っていた。

 

彼らはISBや情報部から“皇道派”と密かに呼ばれ始めた。

 

皇道派の殆どはクローン・トルーパーによって構成されており、首魁は何名かのクローン・オフィサーだとされている。

 

皇道派が一体どのような動きをするのかはまだ完全には把握出来ていない。

 

だが彼ら皇道派がどんな動きを見せようと帝国の政策に影響が出ることはない。

 

皇帝は皇道派のことを哀れには思っていても心が揺れ動くことはないし君側の奸呼ばわりされた官僚らも気にしている余裕はなかった。

 

だが皇道派は既に行動の準備を始めていた。

 

君側の奸を討伐し皇帝に自分達の思いを理解してもらう為に立ち上がろうとしていた。

 

彼ら皇道派は自分たちの未来とこれから生まれてくる兄弟達の未来の為に決起に打って出ようとしたのだ。

 

珍しく雪が降り頻る大都市コルサントにて、ある兵舎に何千人もの皇道派の将校達が率いる部隊が結集していた。

 

皆クローン・トルーパーであり上官である先に生まれた兄弟の言葉に耳を傾けている。

 

彼らの攻撃目標は財務省、旧ジュディシアル・アーコロジー、そして“()()()()()()()()()()”。

 

インペリアル・センター(コルサント)の機能を一部麻痺させその間に一気に君側の奸を討ち果たすのだ。

 

合言葉は士気団結、そして“()()()()”。

 

雪の降り頻るコルサント、今日はコルサントの標準日で数えるとちょうど2月26日。

 

クローン達による“銀河維新”の始まりである。

 

だがそれは多くの者にとって予想外の始まりでありその過程で死ぬる者にとっては絶望の日だ。

 

皇道派のクローン達は目的の場所へ向かって雪のコルサントを進軍する。

 

そのうちの一つである元老院オフィス・ビルでは何も知らないセネイト・ガードらが警備に当たっていた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-コルサント 連邦地区 元老院オフィス・ビル-

元老院ビルの周りにはセネイト・ガードやセネイト・コマンドー、コルサント保安部隊の警官らが警備に当たっていた。

 

今日の雪はコルサントにしては珍しく降り積もり、セネイト・ガードの濃藍色のローブにも白い雪が積もり消えていく。

 

ブラスターについた雪はまだ一部消えずに残っておりきっとこのブラスターは相当冷たくなっているだろう。

 

本来共に警備に就いていたクローン・ショック・トルーパーらコルサント・ガードの部隊は突然の配置換えで撤退し代わりとしてTKトルーパーのショック・トルーパー部隊が来る前の間、セネイト部隊と保安部隊で警備の任務を担っていた。

 

現在は保安部隊の警官達がオフィス・ビル周辺の警備についていた。

 

だが彼らもクローン達同様共和国の古い存在として徐々に消えゆく運命にあった。

 

セネイト・ガードとセネイト・コマンドーはその役割を徐々にショック・トルーパーと皇帝の新たな衛兵たるロイヤル・ガードに奪われかけていた。

 

皇帝シーヴ・パルパティーンは最高議長の時代からセネイト・ガードではなく新たなレッド・ガードという私的なガードマンを雇い多用してきた。

 

やがてレッド・ガードはロイヤル・ガードと名を変え、帝国軍の兵士として警備に加わった新生ショック・トルーパー共々帝国の象徴として輝き始めていた。

 

かたや共和国の古き象徴たるセネイト・ガードらは時代遅れの産物、或いは役に立たないものとして消えゆく運命にあった。

 

クローン戦争中、セネイト・コマンドーの部隊長の1人が連合軍に寝返り度々最高議長の身に危険が迫ってその身を守れなかったことも要因なのかもしれない。

 

共和国の蒼き衛士達は帝国の紅き衛士達にその座を追われようとしていた。

 

それはクローン・トルーパーも同様で最近ではショック・トルーパーもクローンだけではなくなっている。

 

徐々にTKトルーパーにショック・トルーパー特有の赤いラインが入った非クローンのショック・トルーパーも登場し共和国軍の主たる歩兵として戦ったクローン達の消失が日に日に感じられる。

 

私の目の前にいるコルサント保安部隊の警官達だって既に新設された保安組織に併合されることが決定されている。

 

銀河共和国の象徴達は素早くそれでいて密かに消えゆこうとしていた。

 

その事に寂しさを覚えない訳でもないし危機感を覚えていない訳でもない。

 

もしこのまま完全に赤い布切れ連中に仕事が奪われるのは嫌だしそのせいで無職になって路頭に迷うのも勘弁だ。

 

それにコルサント生まれの私にとってはセネイト・ガードも保安部隊の警官達も憧れの的だった。

 

共和国時代は確かにリム域の出身者にとってはいい時代じゃなかったかもしれないが私にとってはそれほど悪い時代ではなかった。

 

そこそこ自由だったし辛いこともなかったしむしろ豊かな時代だったと思う。

 

今や数年前のように戦争が起きてコルサントでデモが発生し、分離主義者共がコルサントに攻め入って同僚が惨殺されるようなことはなかった。

 

あのいい時代の名残が消えていってしまうのは悲しくもあるし寂しさに満ち溢れている。

 

「TKショック・トルーパー隊は後2時間ほどで到着するそうです」

 

同じ隊のセネイト・ガードの伍長が上官の保安部隊長に報告した。

 

普通のセネイト・ガードは通常すぐに伍長へ昇進する、だからむしろ伍長というのはスタート地点に近いかもしれない。

 

私はコルサントの戦いの功績と勤続年数により軍曹に昇進したがあまり嬉しくない。

 

伍長は私と同様セネイト・ガード用のDC-15Aブラスター・ライフルを装備しており腰のホルスターにはDC-17ハンド・ブラスターが保持されている。

 

本来セネイト・ガードの持つ武器は儀仗用のものだが我々が使っているDC-15Aブラスター・ライフルは全て本物だ。

 

銃床が木製となっているが武器としての価値はクローン・トルーパー達が使っているものと変わらない。

 

敵は来ないだろうがこれでいつでも襲撃者達を迎え討てる。

 

「そうか…そうなれば警官隊も元の仕事に戻れるだろうな。もしかすると我々もこれが最後の任務かもしれん」

 

「そんな、縁起でもない。我々はまだ役に立てます」

 

部隊長の自重めいた言葉を吐き報告に来た伍長はすぐに否定した。

 

自分達が明日クビになるかもしれないことなど考えたくないだろう。

 

だがそうなるかもしれない漠然とした不安感を伴う状況が静かに差し迫っていた。

 

我々は皆、変革する銀河系において旧時代に位置する存在だ。

 

いつ不要であると言われてもおかしくない。

 

なんなら本当にやってきたショック・トルーパー達に解雇通告書を叩きつけられる可能性だってあるのだ。

 

「しかし既に帝国には我々の代わり(ロイヤル・ガード)がいて昔はいなかった正規軍もいる。帝国の中で我々に与えられる役割とは何だ?」

 

部隊長は少々キツめに伍長に問い詰めた。

 

伍長は弱々しく「それは…」と言葉を濁した。

 

「答えられないということは我々の役目はもはやないということだ。認めたくは……ないがな…」

 

部隊長は悲しく呟いた。

 

私も伍長もヘルメットの中で渋い顔を浮かべながら唇を噛み締めていた。

 

それは他のセネイト・ガードやセネイト・コマンドーらも同様だった。

 

「はぁあ、ダメだ、こんな話しては。任務に集中、諸君任務に集中だ」

 

「了解…」

 

部隊長は無理矢理に意識を変えさせ周りのガード達も警備に専念するよう意識した。

 

同じ頃、我々は気づいていなかったが巡回中の警官達が異変を察知していた。

 

3人1ユニット体制の警官達はまだ真夜中である為ライトをつけ、辺りを照らしながら巡回を続けていた。

 

そこにある一団が駆け寄ってくるのだ。

 

「ん?」

 

ユニットのリーダーである巡査部長が真っ先に気がついた。

 

前方から完全武装のクローン・トルーパー達が隊列を組んで駆け上がってくるのだ。

 

一番前を先導して進む指揮官と思わしきポールドロンとマントをつけたクローン・トルーパーはサーベルを構え、他の部下と思わしきクローン・トルーパーはほぼ全員が銃剣付きのDC-15Aブラスター・ライフルを装備していた。

 

クローン達は部隊色なのか未だアーマーにカラーが残っており全員が白襷を身に纏っていた。

 

緑色のアーマーカラーのクローン・トルーパー達は平時とは思えない様子でしかも相当の人数、明らかに一個中隊以上の人数がいる。

 

ただ事ではないと思いつつも一応友軍である為部下達に警戒は呼びかけつつもトルーパー達に駆け寄り敬礼した。

 

「演習ですか!」

 

敬礼と共に巡査部長はトルーパー達に尋ねるもその返答はなく、代わりに暴力が彼らに降り掛かった。

 

警官3人は背後のクローン・トルーパー達に取り押さえられ地面に組み伏せられた。

 

理解も出来ず警官達はそのまま気絶させられた。

 

クローン・トルーパー達は部隊長と共に元老院オフィス・ビルに向かって突撃する。

 

だが既にその様子を見ていた警備のセネイト・ガードによって上の部隊へ報告された。

 

「敵襲来!!クローン・トルーパー部隊の襲撃!!警官隊を制圧し完全武装でこちらに来てる!!応援を要請する!!」

 

その一方は確認したセネイト・ガードの銃声と共に上階の警備隊にも聞こえた。

 

「何!?」

 

「2人、確認と応援に迎え。我々はビル内の門の警備を固める!」

 

部隊長は速やかに命令を出し同じ部隊の2人のセネイト・ガードは現場へ向かい我々は一旦扉前に集結した。

 

私はその間に警報を鳴らし他の部隊やオフィス・ビル内にも危機を知らせた。

 

急いで簡易のバリケードを取って来させ、前方に展開しようとした。

 

その間に応援に向かったセネイト・ガード2人は地獄を見ていた。

 

「応援にっ!」

 

立ち止まるとそこには既に何人ものセネイト・ガードが斃れており、辺りには何十人ものクローン・トルーパーがいた。

 

既に足音で2人が現れるのを察知していたクローン達は一斉にブラスター・ライフルを向け引き金を引いた。

 

まず最初の弾丸で片割れのセネイト・ガードが撃ち殺され残されたもう片方のセネイト・ガードも反撃するも焦って弾丸の狙いが外れ地面に着弾した。

 

冷静なクローン・トルーパーの射撃はセネイト・ガードを見逃さず残りの1人を速やかに制圧した。

 

「応援に向かわせた隊員2名から応答が途絶えました…!」

 

私は部隊長に険しい表情を浮かべながらそう報告した。

 

部隊長も同様の表情を浮かべており既に足音はすぐそこまで迫っていた。

 

すると別のセネイト・コマンドーの隊長が私達の方へ近づいてきた。

 

「隊長、たった今入ってきた報告だと既にこのオフィス・ビルは包囲されているらしい…我々の逃げ場はもうない」

 

「そんなっ…!」

 

私は思わず声を上げてしまった。

 

だが部隊長は冷や汗をかきつつも冷静に命令を出そうとした。

 

「全員遮蔽物に隠れて応戦!襲撃者を何人たりともビル内に侵入させるな!セネイト・ガードの誇りを思い出せ!」

 

「了解!!」

 

セネイト・ガードやセネイト・コマンドー達は一斉にドア前の柱や遮蔽物に隠れ、或いは姿勢を低くして敵を迎え撃つ体制を整えた。

 

こんな訳のわからない状況でもセネイト・ガード達は皆まともに動けている。

 

部隊長もセネイト・コマンドーの隊長に向けて「我々も一旦中へ」と先導した。

 

私を含めた3人は近くの柱を盾にしてブラスター・ライフルを構えた。

 

辺りには殆ど設置出来なかったバリケード、そして警備のセネイト・ガード数十名という敵に対してあまりにも心許ない状況だ。

 

ましてや相手が歴戦のクローン・トルーパー相手となると余計に。

 

足音がどんどん大きくなりやがてはクローン・トルーパーのヘルメットが見え始めた。

 

クローン達はいきなりブラスターを発砲し我々に牽制射撃を与えてきた。

 

「撃て!!」

 

部隊長の命令でセネイト・ガード達は一斉に引き金を引きブラスター・ライフルを発砲した。

 

一点への集中射撃で何人かのクローン・トルーパーに命中させることに成功したがすぐに反撃が訪れた。

 

Z-6回転式ブラスター砲を手にしたクローン・トルーパー達が前に出て惜しげもなくその火力を一斉に我々に向かって投射した。

 

何発ものブラスター弾がばら撒かれ、バリケードは一瞬にして破壊され、建物に被弾して破片が飛び散り、何人もの仲間がブラスター砲の前に犠牲となった。

 

クローン達はブラスター砲を放つ傍から再びブラスター弾を放ち更に火力で我々を圧倒した。

 

我々セネイト・ガードも負けじと応戦するが練度と火力の前では全く太刀打ち出来ず多くのセネイト・ガードやセネイト・コマンドーがブラスター弾を被弾しその場に倒れた。

 

「怯むな!撃ち続けろ!」

 

そうして味方を鼓舞しながら隣でDC-15Aブラスター・カービンを放っていたセネイト・コマンドーの隊長もブラスター砲の弾丸を何発か喰らい遠くへ吹き飛ばされた。

 

「隊長!」

 

別のセネイト・コマンドーが隊長の肩書きを呼んだが返答はない、即死だ。

 

すぐにそのセネイト・コマンドーもブラスター弾を喰らって死亡しどんどんオフィス・ビルを守るセネイト・ガードやセネイト・コマンドーの数が減っていた。

 

辺りには建物の破片と破壊されたバリケードの残骸、そしてセネイト・ガードやセネイト・コマンドーの無惨な死体が斃れていた。

 

多くの誇り高き衛兵達が仲間であったはずの祖国の兵士達に蹂躙され抹殺されていた。

 

かつて同じ光景をここ(元老院オフィス・ビル)で目撃した。

 

分離主義者のバトル・ドロイドにオフィス・ビル内を蹂躙され多くの仲間が殺された。

 

だが昔は今目の前で戦っているあの白き装甲服の兵士らと共にバトル・ドロイドを追い返したはずだ。

 

それなのに今は共に協力して戦ったはずの兵士達と銃器を向け合い殺し合いをしている。

 

本当に訳が分からない状況だ。

 

「部隊長!既にコマンドーも合わせた全部隊の半数以上が死傷!このまま入り口を死守するのは無理です!」

 

伍長は部隊長と私の側に駆け寄り悲痛な顔で訴えた。

 

私が部隊長の分まで応戦している間に部隊長は伍長へ返答した。

 

「だが我々は引き下がる訳にはいかん!ここで全滅しても…!」

 

その間に1人のクローン・トルーパーがサーマル・デトネーターを起動し建物内に投げた。

 

爆弾が転がり我々のだいぶ近くまできた。

 

「伏せろ!!」

 

部隊長は私と伍長の頭をしっかり押さえ地面に伏せさせた。

 

サーマル・デトネーターはその直後爆発し、辺りに高威力の熱と破片をばら撒いた。

 

多くのセネイト・ガード達が負傷しその場に倒れた。

 

その中には我々の部隊長も含まれていた。

 

「グハッ!!」

 

部隊長の呻き声が聞こえ、そのまま血を吐いた。

 

「隊長!!」

 

伍長はすぐに部隊長に尋ねたが返答はなくただ呻き声が聞こえるだけだった。

 

私は部隊長を伍長に任せるとすぐに立ち上がり辺りを見回しつつブラスター・ライフルを構えた。

 

既にクローン・トルーパー達は近接戦闘を開始しておりすぐ近くまで浸透しセネイト・ガード達に銃剣刺突の一撃を加えていた。

 

同じ部隊の1人のセネイト・ガードが敵に銃剣で突き刺されそうになっているのを私は敵にブラスター弾を命中させて助けた。

 

既に2人の部隊長がやられ防衛陣地は敵に蹂躙されつつある。

 

「総員!!敵を迎撃しつつビル内まで後退!!内部で襲撃者を迎え撃つ!!」

 

ブラスター・ライフルで敵兵を牽制しつつ私は残されたセネイト・ガードやセネイト・コマンドーらに指示を出した。

 

まだ生きている隊員達はブラスター・ライフルを手に取りクローンを牽制しつつビルのドア前まで後退した。

 

「伍長、隊長は?」

 

部隊長の息がまだ残っているのであれば命に替えてでもビル内まで連れて行く。

 

そこで治療を受ければなんとか回復するはずだ。

 

だが伍長からの返答はNO、つまり部隊長は既に息を引き取っていた。

 

セネイト・ガードやセネイト・コマンドーらが急いでビル内に撤退する中、私は「すみません…」と一言だけ呟き部隊長からホルスターごとDC-17ハンド・ブラスターと弾薬をを引き取り、手に持っているDC-15Aブラスター・ライフルをもぎ取った。

 

「軍曹殿!!武器が!!」

 

近くに慌てて駆け寄ってきたのはまだ新任の二等兵だった。

 

彼はまだ入ってきたばかりで本当に右も左も分からない、そんな状態だった。

 

この状況は彼にとって本当に不幸だろう。

 

「これを使え」と私は部隊長の持っていたDC-15Aを二等兵に手渡した。

 

「ありがとうございます!!」

 

ブラスター・ライフルを受け取ると二等兵は急いでビル内に入って行った。

 

「我々も急ぐぞ!!」

 

「了解!!」

 

私と伍長は迫り来るクローン・トルーパーを倒しつつ急いでビル内に入り非常用の隔壁を起動した。

 

隔壁が閉まり外とビル内は完全に閉ざされた別空間となった。

 

しばらくは時間を稼げるはずだ。

 

尤も敵は戦闘のプロだろうから速やかにドアを打ち破るだろうが。

 

「今のうちに後退してバリケードを作り敵を迎え撃つ!!少しでも時間を稼げば増援はくるはずだ!!」

 

他のセネイト・ガードやセネイト・コマンドーらと共にビル内に控えていたセネイト・ガードらと入れ替わるように私はビルの中の奥へと後退した。

 

何人かは負傷者を抱えたままであり私自身も先ほどの爆弾の影響か体の節々が痛かった。

 

「一体どうしてこんなことに…!!なんでクローン達が…!!」

 

伍長は錯乱しているようだった。

 

それは内心私も同様だ。

 

むしろ私も隠せていると思っているだけで表情に出ているかもしれない。

 

「分からん!!だがこれは間違いなく“()()()()()()()()()”…!!ジェダイと同じように彼らまで……」

 

後に続くというのか、あの滅んだ騎士の将軍達の後を。

 

戦争最後のジェダイの反乱は結局ジェダイの滅亡で幕を下ろした。

 

私もあの時は元老院地区周りの封鎖に駆り出された。

 

あの時と同じでクローンもジェダイと同じく反乱を起こそうというのか。

 

一体なんのつもりで、なんの意味があって。

 

「ともかく今はここを死守せねば…!まだ官僚や文官も大勢…」

 

するとどこかから爆発の音が聞こえた。

 

その直後には警報が鳴り響きヘルメットに内蔵されたコムリンクに通信が入った。

 

『こちらD区画第24警備分隊!!クローンがバリケードを破って内部に侵入してきた!!直ちに応援を!!応援を!!うああああ!!』

 

通信は途切れ雑音が鳴り響いた。

 

私と伍長は顔を見合わせ声を上げた。

 

「総員!来られる者だけでいい!現在の戦闘地点の応援に向かう!」

 

「了解…!」

 

私が所属している部隊は既に半数がやられ多くが負傷兵だ。

 

五体満足で無事な隊員ももしかしたらもう心が限界かもしれない。

 

実際私だってかなりキツい。

 

それでもいかなくては、セネイト・ガード(元老院の守護者)としての使命を果たさねば。

 

幸いにもまだ戦える隊員達は立ち上がり私についてきてくれた。

 

既に他の部隊も現場に急行している。

 

元老院オフィス・ビルにはセネイト・ガード以外にもコルサント保安部隊の警官や本来であればショック・トルーパー部隊が警備に当たっている。

 

その為少しは持ち堪えられるはずなのだが重装備を持ったクローン・トルーパーの部隊相手ではあまりに分が悪すぎる。

 

既に我々が急行した現場も悲惨な光景が広がっていた。

 

綺麗だった元老院オフィス・ビルは床中に物が散乱し、敵を阻んでいた簡易バリケードはほぼ破壊され辺りには撃ち倒されたセネイト・ガードや警官が倒れ込んでいた。

 

だがまだ生き残ったセネイト・ガードや警官達が必死に応戦している。

 

「撃て!」

 

加勢したうちの別の部隊の指揮官が全員に命令を出した。

 

その指揮官に合わせて応援部隊のセネイト・ガードや警官達はそれぞれ疎に発砲した。

 

銃弾は何人かのクローン・トルーパーを負傷させるに至ったが既に遮蔽物に隠れていたクローン・トルーパー達は一斉に手際よく反撃を始めた。

 

応援部隊もすぐに遮蔽物に隠れたがその間に何人かが撃ち殺されまた犠牲者が出た。

 

銃撃戦はしばらく続き、通路には青いブラスターの弾丸が飛び交う。

 

これは同じ軍、共に戦う証であったはずだ。

 

それなのにお互いの銃口は同じ方向を向いていない。

 

殺し合いだ。

 

クローン・トルーパー達は着実に衛兵達を撃ち倒し、距離を詰めている。

 

逆にこちら側は襲撃者達に押されっぱなしで数では圧倒的有利に見えるのに劣勢に陥っていた。

 

セネイト・ガードや警官達では到底クローン・トルーパーの練度には追いつけない。

 

彼らは建物の中での戦闘においてもプロフェッショナルだ。

 

せめてショック・トルーパーさえいてくれればと弱気な心が露わになり始めた。

 

また1人、また1人と仲間が撃ち殺され我々は再び一歩ずつ後退し始めていた。

 

コムリンクからはあちこちで悲痛な叫び声が聞こえている。

 

『こちらイースト・ウィング警備隊!!敵がすぐそこまで迫ってきている!!誰か応援を!!』

 

『ガニ・リデュリ議員オフィス前!!もうダメだ!!ああああああ!!』

 

『クソッ!!敵は大勢だ!!しかも手強いぞ!!』

 

『もうおしまいだ!!』

 

元老院オフィス・ビルの警備隊は皆混乱している。

 

敵は何故かクローン・トルーパーでしかもかなり大勢で組織だって行動している。

 

あちらこちらで防衛網は突破され元老院オフィス・ビルに雪崩れ込んできた。

 

このままでは後1時間、いや30分も戦い続ける事は出来ない。

 

外部との連絡も取れない為応援が今すぐ到着する可能性もかなり低い。

 

「クソッ!」

 

ブラスター弾が私の持つDC-15Aに被弾し手からこぼれ落ちた。

 

ブラスター・ライフルは火花を散らしもう拾っている余裕もない為ホルスターからDC-17ハンド・ブラスターを引き抜き、再び応戦した。

 

だがやはりブラスター・ピストルではブラスター・ライフルのようにやるのは難しい。

 

敵の指揮官もDC-17でを持っているが明らかに扱い慣れている。

 

扱いやすい武器を失ったことで私は精神的にも物理的にも追い詰められていた。

 

そこへさらに追い討ちをかける事態が発生する。

 

それはヘルメットのコムリンクから流された情報だった。

 

『こちら第52警備分隊…!たった今パワー制御室の警備隊と連絡が取れなくなった…!現在現場へ急行中…!!』

 

「何!?」

 

さらに最悪な報告が届いた。

 

『こちらドア・コントロール室!!敵がすぐそこまでっ…!!うああああああああ!!』

 

ドア・コントロール室から届いた通信は悲鳴によって途切れ、直後建物の灯りが全て消えた。

 

それと同時にコムリンクを繋ぐ通信回線も完全に途絶した。

 

奥の方でヘルメットに手を当て「おい!おいどうした!!応答しろ!!」と声を荒げるセネイト・ガードの隊長から察するに全員が同じ状況らしい。

 

この元老院オフィス・ビルの電力供給を管理するパワー制御室が敵の手に渡ってしまったのだ。

 

そしてもう一つの最悪なことも実現した。

 

突然背後の非常用ドアが閉まり始めたのだ。

 

勿論理屈は理解出来る。

 

クローン達によってビル内のドア・オントロール室が制圧され我々を閉じ込める為にドアが封鎖されたのだ。

 

だが一瞬の出来事で脳内は混乱していた。

 

「軍曹!ドアが…!!」

 

「ああ分かってる!!」

 

このままでは逃げ道もなく訳もわからずクローン達に皆殺しにされる。

 

そんな恐怖がこの場の全員に湧き上がっていた。

 

そして遂に恐怖は理性の堤防を乗り越えた。

 

ある1人の警官が慌てて立ち上がり逃げようとする。

 

その警官はすぐにクローン・トルーパーによって撃ち殺され斃れた。

 

だがそれだけではこの波を止める事は出来ない。

 

「後退だ……後退!!後退!!」

 

「いっ今のうちに後退だ!!」

 

迫り来るクローン・トルーパーの圧力ともう痕がない恐怖に負け敵に銃口は向けつつもそれぞれ疎に後退を始めた。

 

無理やりにドアを破壊し慌てて逃げ出すように引き下がった。

 

無論そのような後退の仕方ではいたずらにクローン・トルーパーの射撃の的となるだけだ。

 

後退中に何人ものセネイト・ガードや警官が撃ち殺され、屍は積み重なっていった。

 

「どっどうしましょう軍曹!!」

 

伍長は焦り私に声を荒げて尋ねてきた。

 

「我々も後退するしかない!!私が援護する!お前も私の後退を援護しろ!」

 

「了解!!」

 

ハンド・ブラスターで突貫してきたクローン・トルーパーを撃ち倒し勢いが引き下がれた所を我々は牽制射撃をしつつ後退を始めた。

 

既に同じ部隊の隊員が何人生きてるかもう分からない。

 

もしかしたら伍長と私以外はみんなやられた可能性もある。

 

「クソッ!どうしてこんなことに…!!」

 

思わず声が漏れてしまった。

 

一体なんでクローン達が襲撃してきたんだ。

 

なんの目的があって、どういう理由で。

 

どうして仲間や部隊長は死ななければならなかったんだ。

 

どうして我々は今こんな目に遭っているんだ。

 

同じ“()()()()()()”だったはずなのに。

 

「うわっ!!」

 

「伍長!!」

 

伍長が流れ弾で負傷し肩を抑えていた。

 

私は伍長の肩を取り近くの物陰まで連れて行った。

 

「くっ……!すみません軍曹……」

 

応急処置を施していると伍長は私に謝罪した。

 

「何を言うか、ここで休んでいろ……あとは私がなんとかする」

 

「はい…」

 

私は伍長のブラスター・ライフルを代わりに手に取ると再び走り出した。

 

なるべく敵兵に見つからないように。

 

まだ残存して戦う警備隊がいるなら戦わなくては。

 

こんな最悪な状況でもまだ私の中に残るセネイト・ガードとしての誇りが私を突き動かしていた。

 

あちらこちらでクローン・トルーパーが纏って行動しており、見つかれば即座に殺される。

 

なんとかして味方に合流しなければ。

 

医療班がいれば伍長の傷も良くなるはずだ。

 

物陰に隠れつつ辺りの様子を伺う。

 

すると私の目の前に1人で周囲を警戒しながら歩いているクローン・トルーパーの姿が目に入った。

 

そのクローンはポールドロンにマントを着けておりサーベルとDC-17ハンド・ブラスターを持っていた。

 

最初に我々を襲撃してきた時に部隊を指揮していた指揮官格のクローンだ。

 

あの特徴的な姿を見ればすぐに分かる。

 

「指揮官さえ倒せれば少しは敵を…!」

 

部隊長が打ち倒されればクローン達も少しは混乱するはずだ。

 

もしかしたら一気に状況が打開するかもしれない。

 

私はブラスター・ライフルで指揮官のクローンを狙撃しようとしたが既に伍長のDC-15Aには弾丸がなかった。

 

このままではクローンが視界から外れてしまう。

 

私は意を決して静かにクローンに飛びかかった。

 

「何!?」

 

首を絞めその間にハンド・ブラスターで撃ち抜けば殺せる。

 

クローン・トルーパーは必死にもがいているが私はガッチリ抑えていた。

 

DC-17に手をかけた瞬間、私は後頭部を何かで強打された。

 

「ぐわっ!」

 

その衝撃で私は振り払われてしまい、壁に打ち付けられた。

 

そこにはもう1人の別のクローン・トルーパーがいた。

 

しまった、失敗した。

 

しかしせめて指揮官だけは差し違いてでも倒さねば。

 

「うおおおお!!」

 

私はDC-15Aの銃床で指揮官のクローンを思いっきり殴りつけようとした。

 

だが指揮官のクローン・トルーパーはサーベルで銃床を受け止め、攻撃を抑え付けられてしまった。

 

その間にもう1人のクローン・トルーパーが銃剣で私の腹部を思いっきり突き付けた。

 

再び壁に打ち付けられ、トドメの一撃と言わんばかりに指揮官のサーベルで私は斬り付けられた。

 

その瞬間、腹部の痛みは立つ力や意識と共にふっと消え私はそのまま地面に倒れた。

 

銃剣が引き抜かれ腹部からは血が流れているのが分かる。

 

だがもうどうすることも出来ない、このまま訳も分からず死ぬのだ。

 

朦朧とする意識の中である話し声が聞こえた。

 

「キャプテン、マス・アミダ宰相を発見しました!」

 

部下と思わしきクローン・トルーパーが敬礼し指揮官に報告した。

 

すると先ほどまで冷静だった指揮官は「何!?」と豹変したように声を上げた。

 

「今すぐ案内してくれ、そうか…ようやく…!」

 

その後の言葉が死にゆく私の心の中に深く残った。

 

「君側の奸さえ倒せれば我々はまだ祖国の為に戦える…!さあ行くぞ、陛下の目を覚ます時がきた」

 

「はい…!」

 

3人は私には目もくれずにその場を去った。

 

だが私には彼らの姿が忘れられなかった。

 

我々はまだ祖国の為に戦える、そうかなんだそうだったのか。

 

彼らは我々と同じだ。

 

古いものとして居場所がなくなっていく事を恐れていたんだ。

 

だから血を流してでも居場所を作る為に何かを変えようとした。

 

彼らの背中は何故か殺し合ったのにも関わらず我々と重なって見えた。

 

消えゆく古き者達の悲しき背中だ。

 

言ってくればもしかしたら何か出来たかもしれないのに。

 

もう、“()()()”だ。

 

私は静かに目を閉じた。

 

クローン・トルーパー達の背中をどうすることもなく見送って。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうもEitoku Inobeです〜!

本日は2月26日、と言うことで皇道派inウィルズ銀河版の短編です

本当は襲撃者側の皇道派クローンの目線にするつもりだったのですがBBとの兼ね合いもあって少し延期となりました

また来年ということで!

そいではまた〜〜〜

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