我が友、時雨は目が赤い 作:ワレオオバ
情けない。
日間ランキングに乗り、お気に入り登録数が倍になってくださったと言うのに、お前と来たら予約投稿の4/1ネタをそのまま出してそのまま1週間も間を空けるとは誠に情けない。
(良心の呵責)
やっぱりなんだかんだアニメパワーは強かった。
辻鎮守府 浴室前休憩所
誰かが買って置いて行った雑誌が時折置いてある広間のちゃぶ台。
ボクは久しぶりに雑誌を増やす側に回った。
買ってきた雑誌、表紙には色とりどりの着物。
ぺらぺらと流し読みしてお目当てのページを見つけて広げる。
『夏物! 浴衣!』
実に分かりやすいコンセプトだね。
当然、着ていく先は夏祭り
実はちゃんと行くのは初めてだったり。
ドロップ艦は色々と肩身が狭いからね。
お祭りかぁ
どんな浴衣を着て行こうかな?
色はどうしようかな。
提督の制服に合わせて白か、瞳の色の赤か、それともオーソドックスに青か。黒って言うのも悪くないよね。
「ヘイ時雨ー? さっきから何のカタログを見ているのデスか?」
「んー、これかい? これは浴衣のカタログだよ。ほら、もうすぐ夏祭りがあるじゃないか。その時、どんなのを着ていこうかなって」
「それって市民交流の任務デスよね? 制服の方の着物じゃダメなんデスか?」
あっけらかんとそう言い放つ金剛。
色気がこれっぽっちも感じられない。
任務そのものが「お祭りの場にいる事」だから別に何をしたって良いのに。
「……はぁ」
「む、何デスかその『分かってない』みたいなため息は」
「そりゃあ、分かってないからだよ。分からないかな、女の子って生き物はね。好きな人に綺麗だねって言ってもらいたい生き物なんだよ。そんな事も分からないから金剛は彼氏が出来ないんだよ」
「私は彼女の方が良いデース」
「なら尚更アウトだね。金剛はまず明石さんに頼んで乙女回路でも増設してもらいなよ」
「機械で乙女心が分かれば世話ないデース」
「機械で乙女になったくせに何を言うのさ」
◇◇◇
夏祭り
いつもは閑古鳥の鳴いている運動公園に隣接されたお寺もこの数日間だけは大盛況。
運動公園内に並んだ屋台を見回るついでに、財布の紐のゆるんだ人たちがお賽銭を投げてくれる。
更に艦娘は広義的には巫女と言えなくもないので手伝ってもらっても問題無し。お寺は海軍に建物を貸し出すだけで飛躍的に集客力を高める事が出来て、海軍としても立地の良い所に建てられているお寺を広報活動拠点に出来る利点は大きく、大手宗教法人と海軍は協力関係にある。
とても俗っぽい言い方をすれば
艦娘は皆、容姿端麗だから
『艦娘とコラボすると人を呼べて良い!』
という事。
お坊さんだって、お金がないと生きていけないから仕方ないよね。
今日のボクの業務はお祭りの実行委員会の(名目上の)役員として挨拶をする提督の警護。
と言っても最初と最後に市長さんと挨拶するぐらいだから、自由時間は多い。
あれから選んだ浴衣は少し大人っぽい紅白椿の刺繍に藍色の浴衣
提督は「綺麗だ」だって。いやぁ、それほどでもないよ。
「Oh! 時雨、テートク、挨拶回り、お疲れ様ネー」
お寺の境内の中にある間借りしている職員用休憩所に戻ると、飲み物を持った金剛が出迎えてくれた。
「全くだよ。提督に粉かけようって女の人が多くてさ。困ったものさ」
今時、巫女さんやら神主さんやらお坊さんは結婚しちゃいけないなんて時代錯誤な事は言わないけどさ。だからってお寺の女の人が白昼堂々玉の輿を狙うのはいかがなものか。
「だからと言って、無闇矢鱈と威嚇するのもどうかと思う」
「えー」
ちょっと目を光らせていただけなのに。
「テートクの言うとおりネ。時雨に凄まれたら一般人は眼光だけでノックアウトデース」
「人の男に色目を使う方が悪いんだよ」
「相変わらずのキレで安心しマスね」
金剛が渡してくれた飲み物を受け取りながらイスに座る。テーブルの上には出店のたこ焼きが乗っている。
「ん、飲み物ありがとう。このたこ焼き、入れ物が船模様って事は海軍の売ってるたこ焼き?」
「そうデス。龍驤に売上に貢献しろって買わされマシた」
「元から盛況なのに」
「全くデス」
海軍は住民の理解があってこそ。
子供たちに海軍に入りたいと思ってもらえるようにあの手この手でイメージup戦略を推進している。
艦娘の出店というのはその典型例。
街中ではそうそうお目にかかれない艦娘を一目見ようとお店は毎度毎回 大盛況。
「じゃあこのたこ焼き、龍驤が作ったんだ。上手だね」
「イエ、作ってるのは柴田さんデス。龍驤はただの売り子デスねー」
「あっ、そうなんだ」
龍驤は関西人ではない。関西弁なだけである。
◇◇◇
「おや、皆さんお揃いですか」
ボクたちから少し遅れて、大きめの買い物バッグを抱えてやってきたのは浜風と浦風だった。
「おかえり、色々買ってきたんだね」
「はい、色々食べたかったので」
「うちがバッグ持ってなかったらどないするつもりやったん?」
「全部持ちます」
別に着ぐるみでもないし、交流の役目はたこ焼き屋さんで果たしているので自由時間は多い。
舞妓さんのようにただ歩いているだけで宣伝効果はあるからね。
浜風がテーブルの上に戦利品を並べていく。
お菓子、たこ焼き(他のお店)、お好み焼き、りんご飴にわたあめ etc……
有名人が訪れたお店がちょっと知名度が上がるように、艦娘が来た出店と来なかった出店だと売上が目に見えて変わってきてしまう。だから何か買うなら満遍なく買わないといけない。
商工会の方から商品券を貰っているから、こっちの負担はほとんど無いけど。
「気になるものがあれば食べても良いですよ」
浜風は両手に厚くて小さいパンケーキのようなものを両手に持って交互に食べ始める。
「浜風のそれは大判焼き?」
「今川焼きと大判焼きですね。どうせなら食べ比べてみようかと」
「お味の違いはどうデスか?」
浜風はもう片方を一口、もう一つを一口。
少し悩んで
「分かりませんね」
名前が違うだけで同じ食べ物だからね。
「ザンギと唐揚げと山賊焼もあるけぇ、食べて良かよ」
「それって何の共通点があるのデスか?」
「唐揚げと唐揚げと大っきい唐揚げだよ」
「全部唐揚げじゃないデスか!」
「「そう
◇◇◇
「すまない、少し出る。時雨を借りたいのだがよろしいか?」
私服に着替えたテートクの一声。
「もちろんよろしいに決まってるじゃないか。何か用事?」
時雨はいの一番に返事をしてピョンと椅子から立ち上がる。
「……。ああ、そうだ」
ヘイ、テートク何故言い淀むデース
「了解、ごめんみんなちょっと出てくるよ」
「OKデース」
提督の後ろをとことことついて行く時雨。
意味もなく更にその後ろをついて行くと、下駄箱で手を繋ぐテートクと時雨の姿。
あー、用事ってそんな甘酸っぱい感じのサムシング
眩しすぎマスネー
「そんな突っ立って、どうしたん?」
ワタシの後ろから浦風が顔を覗き込んできました。
「アオハルに魂を抉られマシタ。羨マ恨めしヤ」
なお、北上は元からお休み。当然の様に実家に帰っているので今頃彼女とランデブー。こっち来たらブチ構ってあげマース。
◇◇◇
休憩所に来訪者アリ。
祭りのロゴの入ったシャツにメガネ、やや痩せ気味。
おそらくはお祭りの運営の方デスネ。
肩を窄めて、話をする前から申し訳なさそうな顔。
「実はジャンケン大会の司会を務める予定だった方が熱中症で出れなくなってしまったのです。急なお願いで本当に申し訳ないのですが、どなたか司会をやっていただけませんでしょうか」
「本当に急デスね」
「申し訳ありません」
「まぁまぁ、やってあげてもええんやないの」
ワタシの肩を叩く浦風。
「……いや、何故ワタシがやる前提なんデスか」
「ウチは売り子せんといけんし、他に誰が出来るん?」
……提督/時雨は……まぁ、今は呼ばないであげまショウ。
龍驤は仕事中、浜風は再度食い倒れに。
浦風はこの後龍驤と交代で売り子の仕事があって。
となると残るのはワタシのみ
消去法デスネー
「OK、承りまショウ。台本などはありマスか?」
「ありがとうございます! 司会進行の概要冊子は運営本部テントにあります」
「分かりマシた。案内お願いしマスね」
「はい、本当にありがとうございます」
「イエイエ、お互い様デース」
後で間宮クーポンでも強請マショウ
◇◇◇
提督と出店の間を歩く。
ひしめく人の間を割って、少しだけ提督の方が歩くのが早くて歩くのが時々ギクシャクしてるのが愛おしい。
提督は時間のあるうちに色々と回りたいみたいだけど、ボクとしてはもう満足してるぐらいで、その気持ちの差が歩幅に現れているんだと思う。
期待はしてなかったんだ。実はね。
流石に仕事扱いで来ているのに、提督とデートなんてやる時間なんて無い事ぐらい分かっているとも。
うん。
まさか、提督がデートに誘ってくれるなんて。
当然、しばらくしたら戻らなきゃいけないからそんなに長くは居られないけど。
ボクとしてはもう、その心意気だけで胸いっぱいで。
腕を組んで、恋人繋ぎ。
露天で買ったわたあめ。ボクが袋を持って、提督がちぎって口に運ぶ。ちぎったわたあめが大きすぎてボクが一口で食べきれなかった分を提督が自分の口に放り込む。
自分の指を舐める提督にちょっとドキッとした。
一応、ソレ間接キスなんだよ?
「すまない」
いやいや、別にわたあめを催促してた訳じゃないんだ、って、あぁ、その指でそのままわたあめ取らないでよ。
気になるじゃないか。
別に構わないけどさ。
金剛さん
練度41+1
本日のMVP
時雨がアオハル爆発している裏で、青少年の初恋を青田買いしていた。
爪痕ダブハン達成
異国の血の混ざった涼やかな風貌ながら天真爛漫な言動のギャップが多くの少年のハートを鷲掴みにした。
真面目な金剛さんの性自認は男のまま。だからこそ距離が近い、故に男も女も分け隔てなく初恋をハンティングしていた。
何故かpixivで「綺麗なお姉さん」タグを固有扱いしている。
『まずは金剛オネーサンとジャンケンデスよー!皆さん!着いてきてくださいネー!フォロミー!』
「凄いイキイキしてるね」
「何でテレビにワタシが出てるんデスか!?」
「お祭りの映像のはずだけど、ほぼ金剛特集だねコレ」
「テレビクルーに金剛のファンがいたんでしょ」
時雨=サン
42+57(99)
*ヤンデレは隙を与えなければ病みません
浜風
練度29
食いしん坊
オンオフのスイッチがキチンと出来る
浦風
練度30
要領が良い
龍驤同様、京都弁だけど別に京都出身ではない