FANTASY☆ADVENTURE   作:神爪 勇人

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第44話 楽園の塔

 

「ホントにこっちで合ってんのか?」

 

星が良く見える夜空の下、俺達は海の波に揺られてゴムボートを進めていた。

炎の滅竜魔法をジェット代わりに噴射させて、ボートを進めている。

 

「大丈夫だっての。俺の力が信じられないのかよ?」

「そういう訳じゃねぇが・・・・・・」

 

まぁ、疑いたくなるのも判る。

今は何処を見渡しても海しか見えず、エルザを連れ去った奴等の姿も見えないからな。

 

「大丈夫です祐一さん! ジュビアは信じています‼」

「いい子だなぁジュビアは。みんなも見慣れえよ」

「分かったよ、悪かったよ・・・・・・」

 

疲れたように溜め息を吐いたグレイ。

 

「ま、そう心配すんな。匂いも音も気配もちゃんと察知出来てる。後はソレを追うだけだ。ナツも匂いは感じてるだろ?」

「お・・・おふぅ・・・・・・・・」

 

ゴムボートに揺られて絶賛船酔い中のナツが、力無く答えた。

 

「本当に大丈夫なの・・・・・・?」

「大丈夫大丈夫、俺が追うわ」

 

吐くのを堪えているナツを見て、ルーシィは不安と疑問の声を上げた。

まぁ、滅竜魔導士だからな、乗り物酔いを仕方ねぇわ。

 

「クソッ‼ 俺達がのされている間にエルザとハッピーが連れてかれたなんてよ! まったく、なさけねぇ話だ・・・・・・」

「本当ですね・・・エルザさんほどの魔導士がやられてしまうなんて・・・・・・」

「やられてねぇよ、エルザのこと知りもしねぇくせに・・・・・・‼」

「ご・・・ごめんなさい・・・・・・・・」

「グレイ‼ 落ち着いて‼」

 

グレイは不機嫌丸出しに舌打ちして、ドカッと腰を落とした。

如何にも険悪だな、雰囲気が。

 

「アイツ等、エルザの昔の仲間って言ってた。あたし達だってエルザの事、全然分かってないよ・・・・・・」

「・・・・・・ま、何かしらの事情を抱えてるのは、エルザだけじゃねぇ」

 

ナツもグレイもジュビアもルーシィも、フェアリーテイルの皆だってそうだ。

 

「下手に触ると、古傷抉るような真似になるかもしれねぇからな。だから皆、仲間の過去にはあまり進んで干渉はしなかった。それが間違ってんのか正しいのかは知らねぇが、1つ決まっている事はある」

 

それは、フェアリーテイルに身を置いてるなら、当たり前のことだ。

 

「エルザが・・・家族が困ってんなら、それがどんな理由であれ、どんな相手であれ、俺達は遠慮なんてしねぇで助けるって事だ」

 

マカオを心配したロメオ。

かつての兄弟子と戦ったグレイ。

ファントムに狙われたルーシィ。

いつだってフェアリーテイルは、家族と、仲間と、助け合って生きて来た。

それは今回だって変わらない。

 

「エルザの事、全然分かってねぇって? だったら、助けた後にでも聞いてみりゃいいんじゃねぇか?」

「聞いてみればって・・・・・答えてくれなかったら?」

「さぁ?」

「さぁ?って・・・・・・・」

「いや、だってさぁ、言いたくないから古傷だろ?」

「そうだけどさぁっ! じゃあどうすればいいのよ‼」

「答えてくれないんなら吐かせればいいんじゃね? ホラ、自白剤とか」

「そこまでする!?」

「エルザの事知りたいって言ったのルーシィじゃん」

「そうだけどっ‼」

「じゃあアレだ、洗脳系とか読心系の魔法を使うとか」

「もっと悪いわっ‼」

 

ギャーギャー騒いでいる間に、進行方向に何かが見えて来た。

アレは、塔だ。

 

楽園の塔

 

あそこに、エルザがいる。

 

 

◆◆◆

 

 

「見張りの数が多いな」

 

グレイの言う通り、見張りの兵士はズラッと並んで立っており、とてもじゃないが気づかれずに抜ける事は出来無さそうだ。

ゴムボートを人目に付かない崖下に止めて陸に上がったまではいいが、さてどうするか。

 

「気にする事ァねぇ‼ 突破だ‼」

「ダーメ‼」

 

突撃思考のナツを、ルーシィが抑えてくれる。

ナツはもうちょっと考えて動くことを覚えてくれないだろうか。

 

「エルザとハッピーが捕まってんだ。下手な事したらエルザ達を人質に取られかねねぇよ」

「しかも塔らしきモノはずっと先の方だ。ここでバレたら分が悪いな」

「てことはやっぱ・・・・・・」

 

チャポッと、静かな水音が後ろにある海から聴こえて来た。

視ると、海面から顔を出したジュビアがいた。

身体が水に変化するジュビアに、水中を調べて貰っていたのだ。

【完成‐ジ・エンド‐】で同じ魔法を会得してる俺が行っても良かったが、ジュビアの立候補により彼女に任せたのだ。

 

「祐一さんの仰った通り、水中から塔への地下に入れる抜け道がありました」

「水中ルートで決定だな」

 

まぁ、原作通りだし。

 

「水中を10分程進みますが、息は平気でしょうか?」

「10分くれぇなんともねーよ」

「だな」

「余裕~」

「無理に決まってんでしょ‼‼」

 

ああ、やっぱルーシィは無理なんだ。

 

「んじゃ、コレ使え」

 

水と風の魔法で、頭をすっぽり覆う水球を掌に造った。

風の魔法で酸素を内に留めているから、この水球ヘルメットを被れば水中でも呼吸が可能だ。

一応、ナツとグレイにも渡しておく。

 

「て、祐一はどうするの?」

「俺は大丈夫。ジュビアの魔法を使えるから」

 

ジュビアの魔法【水流‐ウォーター‐】で身体を水に変化させれるし、水中での呼吸も移動も問題無い。

 

「ジュビアと同じ魔法です。貴女では無くジュビアと・・・です」

「あー、ハイハイ。てか、何に対抗してんのよ・・・・・・」

 

身体を水流に変化させて、俺は海に潜った。

さて、侵入するか、楽園の塔へ。

 

 

 

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