第55話 BEST FRIEND
俺がギルドに戻り、ナツ達もアカネビーチから帰って来て数日。
『週刊ソーサラー』
毎週水曜日に発売されるそれは、新しい魔法商品やホットなギルドの紹介、美人魔導士のグラビアなどで人気を博する魔法専門誌。
ちなみにミラも何度かモデルをしていた。
そんな大御所の雑誌が、フェアリーテイルの大特集って事でギルドを取材するらしいのが・・・・・・。
「・・・・・・ハァ~~~~~」
「スゴイため息ね」
カウンターでうつ伏せになっている俺にルーシィが声をかけてくれる。
そりゃ、ため息だって出るさ。
本来ならバックれるところだが、ジジイから「おお、祐一、今回はちゃんと取材を受けるんじゃぞ」なんて言われてたのだ。
断ろうとはした。
だが、エルザからの鋭い視線があり受けざるを得ませんでした。
ありゃ、「受けないのならば、それ相応の覚悟があるのだろうな?」って物語ってた。
まず間違いなく刻まれるな。
「ハァ~~・・・・・・」
「・・・・・・ねぇ、なんでそんなにイヤなの? あたしなんて取材のためにバッチリおしゃれしたっていうのに」
そう言われてみれば、いつものルーシィの髪型じゃないな。
服装は相変わらずエロいが。
ハァ・・・・・・いいよな、頭がお気楽なやつは。
「今、心の中でバカにしなかった⁉︎」
「気のせいだろ。それより、なぜ俺が取材をイヤがってるのか、だったな」
「うん」
「まぁ、そんな特別な理由はねぇんだけどな。ただ―――――――」
―――――――――ベチャ。
言いかけたところで何が俺の頬に直撃した。
これは・・・・・うん、ミラが作ったショートケーキだ。
誰かな~、こんなことをしたのは?
まぁ、こんな事する奴は限られてるが。
「てめっ、この変態パンツ野郎‼」
「んだと!? へなちょこ炎‼」
やはりというべきか、ナツとグレイである。
・・・・・・さて、と。
「死ネ」
【銃士‐ザ・ガンナー‐】で幾多もの銃を展開し、発砲する。
「「ぎゃああああ‼‼」」
二人の絶叫が辺りに響くのだった。
◆◆◆
「食い物を粗末にするな」
「「はい、すいませんでした・・・・・・」」
数分後、争いを収めた俺は2人を正座させて説教をしていた。
ぶちまけられたショートケーキは、ナツとグレイが美味しく頂きました。
「わかったならそれでいい。 はい、解散」
ぱんぱんと手を叩いて解散させる。
さて、ソーサラーの記者から逃げる術を考えないとな。
「クール! COOL‼ クゥール‼‼」
ふと、そんなうるさい声が聞こえた。
マズイ、これは・・・・・・。
声の発生源を見ると、そこにはエルザがとんがり頭のやつと喋っているのが見えた。
とんがり頭が特徴な、男の名前はジェイソン。
言わずもがな、週ソラの記者だ。
「換装できる鎧は全部で幾つあるんです?」
「100種類以上だ」
「COOL‼ 一番のお気に入りは?」
「バニーガールだな」
「バ、バニー!?」
「あの耳が可愛いんだ」
「COOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOL‼‼‼‼」
テンション高すぎだろ。
いや、気持ちは分かるけども。
ジェイソンはエルザの取材を終えると、次はハッピーのもとへ、
「OH! ハッピー‼ 君はなぜ青いんだい?」
「猫だからです」
「COOL‼」
次はレッド、
「レッド! 君はなぜレッドなんだい?」
「身体が赤いからだぞ」
「COOL‼」
そしてグレイ、
「何故君はすぐ服を脱ぐんだい?」
「脱がねぇよ‼ 人を変態みてーに‼‼」
「あい。もう脱いでます」
「おわっ!?」
「COOL‼」
その次に怒り心頭のナツへと取材。
「あ・・・・・・握手してください‼」
「うっせぇ‼‼」
あ、殴られた。
「やっべ‼ カッコよすぎ‼ 流石ヒーロー‼ 『こんなCOOLな握手は初めて』・・・と」
何かメモ書きしてる。
プロだな、超ウゼェけど。
ナツの取材の後はエルフマンを取材し、
「貴方にとって漢とは?」
「漢だな」
「COOL‼」
次はカナ、
「今度グラビア出てよー」
「いいから此処座って飲め‼」
「COOL‼」
次はレビィ達、
「チーム『シャドウ・ギア』‼ 三角関係って本当!?」
「「ノーコメントだ‼‼」」
「?」
「COOL‼」
次はマカオとワカバ、
「2人は古参のベテラン魔導士だけど、戦ったらどっちが強いんですか?」
「そんなもん俺に決まってんだろ?」
「ああ? お前な訳ねぇだろ!」
「やんのか!?」
「おお!?」
「COOL‼」
次はマックス、
「フェアリーテイルグッズの最近流行の商品はなんですか?」
「魔導士フィギュア、一体3000J。ミラちゃんやルーシィが人気高いな」
「COOL‼」
「キャストオフも可能‼」
「COOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOL‼‼‼‼」
お次はウォーレン、
「ズバリ! フェアリーテイル一番人気のある魔導士って誰だと思いますか!?」
「うーん、そうだなぁ・・・やっぱナツとかじゃねぇか?(ルーシィやミラちゃんがエロい格好すればいいと思う‼)」
「本音がダダ漏れだぞ・・・・・・」
「COOL‼」
お次はラキ、
「何でそんな『一風変わった言い回し』をするんです?」
「『独特の表現』って、貴方の頭の『光合成する玉葱』に言われたくないわ」
「COOL‼」
お次はリーダス、
「その口癖の『ウィ』にはどんな意味が!?」
「ウィ?」
「COOL‼」
お次はナブ、
「自分にしか出来ない仕事を探し続けていることで有名なナブは、仕事は見つけたのかい?」
「ほっとけよ!?」
「COOL‼」
お次はビジター、
「今の気持ちをどうぞ‼」
「取材の舞」
「COOL‼」
お次はアルザックとビスカ、
「お二人は付き合ってるんですか?」
「え、ええっ!?」
「わ、私達はその・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ポッ/////」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(ポッ/////」
「COOL‼」
もういい加減くっつけよお前ら。
「ロキ! 君とルーシィってどういう関係!?」
「愛し合う関係かな?」
「違う‼」
「COOL‼」
あ、何かロキが何時の間にかいた。
ルーシィがツッコミを入れてる所を視るに、勝手に出て来たのだろうか?
「ロメオ君は、大きくなったらフェアリーテイルに入るのかな?」
「うん!」
「COOL‼」
いや、もうどの辺がCOOL‼か分かんねぇよ。
てか、さっきからルーシィが積極的にアピールしに行ってるが、なぜかスルーされている。
あ、更衣室に入っていった。
アレに着替える気か?
「ああっ! 祐一じゃん!?」
「げ」
見つかったよ。
「うわ、やベーよ、本物の祐一だ‼ COOL‼」
うわ、近づいて来やがった。
つーか、無駄にテンション高いし、ウゼェ・・・・・・。
俺が取材を嫌う理由。
それはただ単に、コイツが苦手なだけだ。
五月蠅いし、人のは無し聞かねぇし、ただCOOL‼しか言わねぇし。
「君はなぜハーレムが好きなんだい?」
「漢の夢だからだ」
「COOL‼」
ホラな?
「みんなー注目~~~♡ あたし歌いまーす‼」
突然、そんな声が聞こえたかと思うと、ステージにはルーシィが立っていた。
ただ、その姿が異様というか何というか、
「「「「「なぜバニーちゃん!?」」」」」
そうバニーちゃんの服を着ていたのだ。
いや、似合ってるけどさぁ・・・・・・その格好で「歌いまーす」と言われても、なんか気乗りしないと言うか。
なんか違う店に来たような感じがするぜ。
未成年お断り的な。
みんなも突然の事でざわめいていた。
だがその直後、部屋の明かりが消えた。
事故ではない。
ミラの歌が始まる合図だ。
ステージ両端の垂幕がかかり、誰もがミラの歌を期待した。
だが、垂幕が上がりそこに座っていたのは―――――――
「「「「「ガジル――――――――!?」」」」」
そう、ガジルだ。
一丁前に白スーツを着こなし、ギターを持っている。
これには全員が驚いた。
あのエルザでさえ動揺を隠しきれていない。
そんな皆の反応をよそに、ガジルが語り出した。
「オレを雇ってくれるギルドは少ねえ
飢えた狼だって拾われたら懐くモンだぜ
たとえ、かつての敵だとしても友と思い歌ってみせよう 」
――――ボギョ~~ン
「ギター下手いな」
「ああ、でも何気にいい事いってるぜ」
「がんばれガジル君」
グレイのぼやきに俺は頷き、ジュビアはガジルを応援した。
「オレが作った曲だ。『BEST FRIEND』聞いてくれ」
そして歌い出すガジル。
「カラフル カラフル シュビドゥバー 恋の旋律~ 鉄色メタリック~ トゥットゥットゥッシャララ~~ シュビドゥバ~ シャララ~~ 」
「つーか何言ってんだオメェ!?」
とてもじゃないが、上手いとは言えない御点前に、皆は当然の事ながらブーイング。
「ガジッと噛んだら甘い蜜~~ 」
ステージにいたルーシィも踊り子にされてるし・・・・・・ご愁傷様。
ただ1人、感涙しているやつがいるが・・・・・・。
「COOOOOL‼‼ 不条理な詩にスキャットが響く‼‼ 今年最大のヒットソングだ‼‼‼」
「あんた大丈夫か?」
大丈夫じゃないだろ。
頭とか感性とか頭とか耳とか頭とか音楽性とか頭とか頭とか頭とか・・・・・・。
「サイコーだぁぁぁぁぁ‼ フェアリーテイィィィィィルッ‼‼」
「カオスだな、まぁいつも通りっちゃそれまでだが・・・・・・・・・」
その後、物を投げられて怒ったガジルを先頭に、あちらこちらでケンカが勃発大乱闘魔導士ブラザーズが開始。
そんなこんなで後日、雑誌が発売された訳だが、妖精の尻尾の悪名を高くしたことは言うまでもない。
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