今回で修行編エピローグとなります。
初等部4年生になった。
「なんだテメ―――ぐああッ!?」
とは言っても、シエルさんが卒業してからというもの、あまり学園に行ってない。
「侵入者だ!こっちに―――ぎゃあああッ!?」
なんというか、行く気が起きないのだから仕方ない。それでも、一応進級に必要な最低出席日数は計算してあり、必要な日だけ行くようにはしてる。
「クソ!なんなんだアイツ!?―――うわああッ!?」
学園に行ってない日は、こうして街をぶらついてる。
「ま、まさか……コイツが噂の黒野サユリを倒したガキ―――うぐッ!?」
そのついでに見かけた不良をすべて倒してる。向こうから来られるより、こっちから潰した方が楽だ。
「―――ふぅ……この周辺の不良は殲滅できたかな。次は―――このエリアにするか」
そんな日を繰り返していたある日のこと。出席日数に余裕を持たせるため、特に用事も無いけど学園に向かっていたときのことだった。
「……?」
いつもは人が居るはずの大通り。今は人っ子一人おらず閑散としている。どういうことだ?と辺りを見渡していると、通りの奥から大量の戦車と人が雪崩れ込んでくる。
「いたぞ!」
「あれが光園ミサだ!」
「よーし!やっちまえッ!」
見えてる範囲だけでも50は下らない。奥の方からさらに増えてるので、100超えてそうだ。数を揃えたら勝てると思ったのだろうか?バカバカしい、ゴミをいくら集めたところで黒野サユリ一人にすら届かないことも分からないのか。
新たに盾が取り付けられた愛銃を構える。盾を付けたうえに、銃の下部にトリガーも増設した。後部のトリガーを取り外したわけではなく、下部のトリガーを引くことで連動して後部のトリガーが押し込まれる仕組みだ。内ではなく外の増設なので、難しいものではなかったが、そこそこ大きい装置なので後部のトリガーを直接使えなくなったこと、あと下部のトリガーが連動性なのもあって重たく、引くのにかなり握力がいることだろうか。オレはあまり気にならなかったけど。
その甲斐もあって、この重機関銃を片手で扱うことが可能になり、後部のトリガーを押すだけだった左手がフリーになった。これからは左手で銃身を抑えることが出来るし、それ以外のことも出来る。代わりに総重量が40kgを超えたが、まあ大した重さじゃない。
改造された愛銃を構え、先頭を走る不良に突撃する。先頭の不良はギョッとしていた。なんだよ、まさかマニュアル通りの戦い方すると思っていたのか?バカが、これは戦いだぞ。そんな素直な戦い方、するわけ無ぇだろうが。
持っていた愛銃を槍のように突き出し、不良の腹をえぐりそのまま持ち上げ、地面に叩きつける。驚きに固まった周囲に向かってトリガーを引き、銃弾の雨を浴びせ掛ける。
「な、なんなんだアイツは!?」
「オイ!戦車隊!早くアイツを撃て!」
飛んできた戦車砲を横に避け、後ろの爆風でブーストして飛び上がり、そのまま不良を蹴り飛ばす。次に近くに居た不良は銃身を振り回し、吹き飛ばす。不良たちとの距離が近くなったからか、撃って来たが銃に取り付けた盾を上手く使い、弾を逸らしながらこちらも走り回り、銃を撃って周りの不良を無力化していく。
戦車が近くなってきたから、そろそろ鬱陶しいな。潰すか。
戦車はその構造上、砲身の角度には限界があり、真上と真下が死角になる。砲身の旋回も、街中じゃ満足にできないだろう。だったら……。
足に力を入れて飛び上がり、建物の壁に着地し、そのまま壁を走って戦車の上に向かって飛ぶ。
「―――は?」
「じゃあな」
着地した戦車に、銃弾を撃ち込み続け、飛びのいたと同時に戦車が爆発する。
爆発した戦車を通り抜け、周りの不良を処理しながら次の戦車に向かう。―――ッ!
咄嗟に構えた盾に、衝撃が襲う。盾の隙間から見えたのは、小型の戦車だった。大きい戦車に挟まれて気付かなかった。それでもやることは変わらない。次の弾を装填する前に一気に近づき、砲身に組み付く。
「こ、こいつ何を―――え?」
トントン、と何回か地面を両足で叩いた後、砲身を鉄棒代わりに砲身と同じ高さまで飛び上がり、グッと砲身を地面に沈めるように押し込む。当然、戦車の本体が引っ掛かって沈むわけないが、そこに着地と同時にさらに力を加え、引っ掛かってる砲身を下に押し込むと、戦車の後部がふわっと浮き上がる。
「ふぅッ―――おおおおおおぉぉぉッッ!!!!」
その浮き上がった勢いを利用して、砲身を担いでそのまま一本背負いをして、戦車を地面に叩きつけた。
「フーッ……!フーッ……!」
「ヒッ」
「バ、バケモノ……」
そのまま、もう一つの戦車に取り付き、砲身を無理やり引き剥がして破壊する。
「―――こ、こんなバケモノなんて聞いてないぞ!?クソッ、私は降りる……ひっ」
「……」
「た、たすけて……」
オレは無言で撃った。不良はその場に倒れる。誰も逃がさない。―――さぁ、殲滅戦だ。
ザーっと雨が降っている。オレの後ろの方には、大量の不良と戦車の残骸が転がっている。途中から数えてなかったが、やっぱり100人以上いた。トリニティだけじゃなく、他の学区からも集まったんだろう。
流石に弾を受けすぎて、ボロボロになった盾を取り外して、その場に捨てる。新しい盾をバッグから取り出し、取り付けた。
結局、学園に行けなかったな。今からじゃ間に合わない。
激しい雨が、全身を濡らしていく。火照った体に丁度いい。
いつも、こんなのだ。戦って、戦って、戦い続けて。
―――なんでオレ、戦ってるんだろう……。どうして、なんのために……。
…………オレが戦うために生まれたから、なのかな。わからない、なにも、わからないよ……。
疲れた体を引き摺って、家に着いた頃には雨も上がっていた。
「……ただいま」
日はとっくに暮れて、家の中は真っ暗だった。電気は付けないまま、自分の部屋にバッグと銃を置いて、床に寝転がる。体が濡れたままで気持ち悪いが、拭く気も起きなかった。
スカートのポケットからスマホを取り出し、履歴を見る。
『着信履歴 0件』
分かっていても、残念な気持ちは抑えられない。そのままスマホを操作して、通話履歴の画面を呼び出す。
『シエルさん 323件』
―――ポチッ、プルルルルッ―――ガチャッ
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「―――シエルさん、久しぶり。え?昨日も掛けた?あはは、そうだったけ」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「そういえば、聞いてよ。今日ね、学園に行こうと思ったら不良の集団に襲われちゃってさ」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「え?全然大丈夫だったよ!オレ強いからさ。もうシエルさんを悲しませないぐらい強くなったんだから!」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「うん。そういえばシエルさんのほうは大丈夫?うん、今日雨凄かったよねー。あはは!」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「―――あ、見てシエルさん、星がきれいだよ。この星、シエルさんも見てるかな。ねぇ、シエルさん。―――シエルさん?」
『お掛けになった電話番号は、現在使われておりません』
「シエル、さん……」
―――ピッ、ツーツーツー
スマホが手から滑り落ち、床に落ちる。オレはそちらに目を向けることもなく、フラフラとした足取りでベッドに倒れこむ。
「…………つき」
「……ずっと、傍に居てくれるって、言ったのにっ…………うそつき…………」
ふと、転がったバッグから零れ落ちる物があった。シエルさんから貰った赤い封筒だ。それを拾い上げると、キッチンに持っていき火を付けた。
十分に火が付いたことを確認して、テーブルの上の皿に落とす。火が付いたそれは、煌々と燃えており、暗い部屋を照らしていた。オレの記憶も燃やしてくれたらよかったのに。そうしたら、こんな気持ちにならずに済む。いっそのこと、最初から出会わなければ―――。
「……あーあ、こんな世界―――」
―――壊れてしまえばいいのに
光園ミサ
シエルと別れた後も何とか生きている。戦闘力は類を見ないほど高くなっており、今のミサならヘルメットを被ったサユリとも、正面から渡り合えただろう。メンタルやばすぎて、エア電話しないと心を保てない。このままメンタルを回復できなかった場合、色彩反転ルート(BADEND)。
サユリ戦だけで3つもBADあるのにまだ増える。ちなみにサユリの所は、ミサ死亡END、ミサ誘拐END、どちらもシエルが間に合わないと起きます。かなり特殊なルートだけど、シエルと恋人になっていた場合、かなり早い段階で間に合うがミサを人質に取られ撃てず、無抵抗のままシエルが嬲り殺されるシエル死亡ENDがあった。いやぁ正規ルート通ってよかったー。
主人公が痛めつけられてる裏で、さらに主人公曇らせるようなこと考えてる作者がいるってマ?
まあそんなつらい修行編も終わり、次回から新章開幕!やっと私のお姫様を出せる…!
しかし、今回も書いてる最中涙が止まらなかった。花粉つらいなー。特に電話のシーンはちょっと生々しすぎたかなって。ミサのメンブレシーンを書いてたはずが作者がメンブレしちまうよぉ。
はやくお姫様書きたいから続きもすぐ書くね。そういえば、ミサのBADあと3つあるんだよね。ミサだけで七つの嘆き(BADENDスチル7枚)回収できるよやったね!(白目)
感想返しってしたほうがいい?
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