やっと…やっとお姫様出せる…ここからが本番だぞー!
感想ありがとうございます!なんというか、欲しい反応貰えた時って思わず口がニヤってなりますね。
5年生の話・春
「―――ふふっ、それじゃあはじめようか?吠え面かかせてあげるね」
「うるせぇ。吠え面かくのはお前だ」
トリニティ学園の体育館。バスケットボールを突きながらオレと向かい合うのは、ピンク髪の女―――聖園ミカ。
なんでこんなことになったのか、話は数時間前に遡る―――。
―――見て、光園ミサよ。
―――ホントだ。学園に来たくなければ、来なきゃいいのに。
5年生に無事進級し、学園に来たらこれだ。ヒソヒソと話してる生徒を一睨みすると慌てて去っていく。ふん、と鼻を鳴らして長い廊下を進む。
教室に着いて、躊躇なく開け放つと、直前までざわついてた教室がシンと静まり返る。注目を浴びるが、無視して座席表を確認する。……窓際の一番後ろ。日が当たるいい位置だ。これなら寝るために、たまに学園に来てもいいかもしれない。
そのまま、真っ直ぐ自分の席に向かい、腰を下ろす。早速、寝ようと思ったら隣の席から話しかけられた。
「―――ミサちゃん、久しぶりだね!」
……?だれだ?
「あ、あれ?覚えてない?」
「……どこかで会ったか?」
「え、ええー……」
なにやらむくれているが、周りの人は慌ててオレに話しかけたソイツを止めに行ってる。
「むぅ……いいや!ここまで来たら思い出してもらわないと!」
クソ面倒くせえ……。
「ほら!私見て何か思い出さない!?」
思い出すって言われてもな。目を引くとすればピンク髪だろうか。でもトリニティって意外とピンク髪多いんだよな。
「ぐぬ……ほら1年生の時とか……」
「1年……」
でも、オレ1年の頃もあまり教室にいなかったし。
「と、隣の席だった……」
「隣?」
1年の頃。隣の席にいた。ピンク髪。あっ!
「ピンクロリ!」
「ミサちゃんあのころあんまり身長変わらなかったよね!?しかも、今は私の方が大きい!」
「は?これからまだ大きくなるんだが?」
こいつ失礼だな。まあたった数cmの差なんて一瞬でひっくり返せるが。
「で?何か用か?ピンクロリ」
「いや久しぶりだし挨拶しておこうと―――ってちょっと待って!ピンクロリって何!?まさか私の名前覚えてないの!?」
「は、じゃあ名を名乗れよ」
「なんで上から目線なの……?はぁ、聖園ミカだよ。今度はちゃんと覚えてよね」
みその、みか。ん?聖園ミカ?
「冗談も休み休み言え」
「なんで自分の名前で冗談を言わないといけないの……?」
嘘だろ……?ミカは一番距離を取ろうって思ってたのに、普通に知り合ってるじゃん。しかも1年生のときから。
「1年生の頃から、その人をおちょくる性格は治んなかったんだね」
「人をおちょくったことなんてないが?」
「え?本気で言ってる?」
「え?逆になんで本気じゃないと思うんだ?」
「……」
なんなんだコイツ……。まあ、隣がミカだからといって、別にまともに相手しなければ向こうも飽きるだろ。
「ほら、そろそろ始業ベルなるぞ。勉強しろ」
「ミサちゃんも勉強しようよ」
「オレはもう終わったの」
「うー……」
なにやら恨みがましい目で見ていたが、手でしっしっと追い払っておいた。
ふぅ、ようやくゆっくり眠れる。
~1限目~
「ミサちゃんミサちゃん」
「……」
「この問題なんだけど、あってると思う?」
「……あってる」
「わー!ホントだ!ミサちゃんありがとー!」
「……」
~2限目~
「ねえミサちゃん。この問題おかしくない?なんでわざわざ作者の気持ちになって考えないといけないわけ?」
「それぐらい考えてやれよ……」
「他人の気持ちなんて分かるわけないじゃんね?」
「正論やめろぉ!」
~3限目~
「ミサちゃんミサちゃん」
「今度は何?」
「これの訳なんだけどさ……」
「……Benedictus Dominus Deus」
「わ、はやーい!」
「お前、わざと問題振ってるだろ……」
「あれ、気付いた?」
「お前が聖歌の訳を知らないわけねぇだろ」
「へぇ?わかるんだ?そういうの」
「1年の頃、聖歌の授業で熱心に歌うお前見てればな」
「思い出したの?」
「……ちょろっとだけだ」
「ふーん?次の時間も楽しみだね!」
「おい、まだ続けるのか……?」
~4限目~
「ミサちゃんミサちゃん」
「……」
「あれ?ミサちゃーん」
「……」
「えいっ、こしょこしょ」
「あはははははッ!!―――何しやがるッ!?」
「きゃーこわーい☆」
「なんっ、ぐっ……なんだよ」
「あ、うん、え~と……なんだっけ?」
「―――ぶっ殺すぞてめぇっ!?」
「あはははははっ!」
「ミサちゃーん、お昼食べないの?」
「いらない……」
つかれた……。今までの学園生活全て合わせても、今日の方が断然疲れた。
「ミカさま!これ、喫茶店で出てた新作スイーツです!」
「わー☆ありがとー!」
コイツ人気だな。自然と人が集まってくる。まあ、オレの周りとミカとの間の空間が不自然に空いてるが。
「あっ、ミサちゃんも食べる?」
「菓子ばっかり食ってないで、ちゃんと飯食えよ……」
「えー、だってお菓子の方がおいしいんだもーん」
「ご飯だってちゃんと作ればおいしいだろうが」
「うーん、あっじゃあそこまで言うなら、ミサちゃんが作って来てよおいしいごはん」
「は?」
何言ってんだコイツ。なんでそこでオレが作る話に?
「あれ?もしかして出来もしないのに言ったの?」
うっぜええええええええ!さっきから人のこと煽り散らかしてなんなんだ!
「でき…………る」
「わー!じゃあ楽しみにしてるね!」
死にたい。なんで出来るって言ったんだオレ。出来ないって言えばわざわざ作らなくてよかったのに!でも、出来ないって言ったら普通にバカにされそうで、めっちゃ腹立つ!コイツにバカにされると妙にイライラすんのはなんでだ。
「あの、ミカ様。光園ミサとあまり関わらないほうが……」
取り巻きの一人がそんなこと言いだした。そうだ、もっと言ってやれ!でも、わざわざオレに聞こえるように言うな!
「うん?なんで?」
「光園ミサには色んな噂が……。それに、こんな危険人物が教室で暴れたら……」
それを聞いたオレが暴れるという発想は無いのか。噂のことは知ってるし、今更どうこうしないけど。
「……ただの噂だよ。それに、暴れる気があるなら最初からやってるよ。それをしないのは、暴れたらどうなるか分かってるし、そもそも意味が無いことだって分かってるから、でしょ?ミサちゃん」
「なんでそこでオレに振るんだよ……」
ミカってこんな理知的なキャラだったか?もっと直情的というか、感情的なイメージがあったが……。でも、あれはエデン前後だったから、ああなってた可能性はあるんだよな。いやでも、裏切り者探しで情報かく乱を仕掛けるくらいには知恵が回るんだよな。……ゴリラのイメージが先行しがちだが。
「……特に理由もなく暴れないって、ここで宣言しといてやるよ」
「真面目じゃん」
「うるせぇ」
はぁ、ホントに疲れた……。ちょっと寝ようかな。
「あっ、ミサちゃーん」
「……なんだよ、今から寝るとこなんだが」
「次、体育だから移動だよ?」
「は……?」
時間割を見ると、確かに体育だった。オレの寝る時間……。……帰るか。そう思い、荷物を持って立ち上がろうとすると、横から声を掛けられる。
「更衣室行くの?なら私も一緒に」
「いや、帰る」
「え?なんで?」
「……ここじゃ寝られないから」
「えー!ここまで来たら最後まで一緒に授業受けようよ!」
コイツ、なんでそこまでしてオレに絡むんだ。まさか、1年の頃になにか怒らせるようなことしたのか?
「なら、勝負しようよ」
「はぁ?勝負?」
「うん!この後の体育でミサちゃんが勝ったら、好きにしていいよ」
「……お前が勝ったら?」
「え?うーん、私がミサちゃんを好きにする!」
オレに何のメリットもないだろうが。
「帰る」
「―――あれ?こわいの?」
「あ?」
「だってそうでしょ?勝負からしっぽを巻いて逃げ出すなんて、負けを認めてるようなものじゃんね?」
「……それで、挑発してるつもりか?才能無いな、やめとけ」
「ふーん、そうやって逃げるんだ―――2年前、ヘルメット団から逃げたみたいに」
―――ミシッ
「……どういう意味だ」
「どうって、そのままの意味だよ。戦うのが怖くて、傷つくことが怖い。泣き虫で、弱虫で、可哀想な―――ミサちゃん♡」
―――バァンッッ!!!!
机を叩いて、無理やり言葉を止める。周りの人は、ざわついて顔を青くしているが、ミカは涼しい顔をしていた。
「……上等だ、吠え面かかせてやる」
「ふふっ、どっちがかくことになるのか、楽しみだね」
―――そして、今に至る。
「ウォームアップは済んだ?」
「ああ」
履き替えたシューズをキュッキュッと鳴らして、調子を確かめる。正面のミカは、髪を結んでポニテにしていた。
「時間は10分。その間に、点を多く取った方が勝ち」
「シンプルでいいな」
近くに居た生徒に審判を任せ、ボールを渡す。ジャンパーはオレとミカ。すでに向かい合って互いに戦意をむき出しにする。
「―――ふふっ、それじゃあはじめようか?吠え面かかせてあげるね」
「うるせぇ。吠え面かくのはお前だ」
笛が鳴り、ボールが高く放り投げられる。オレとミカは完全に同時に空中へ飛び上がり、僅かな身長差でミカに先手を許してしまう。
「―――ちぃっ!」
「ボールこっちに回してっ!」
ミカはオレの横を、通り抜けるとボールを受け取り、そのままゴールにシュートを入れる。鮮やかな流れだ。ミカが相手でなければ賞賛してるところだ。
ミカはこっちに振り返ると、勝ち誇った笑みを浮かべて自陣へと戻っていく。あの野郎……。
試合が再開した。ボールを味方に渡し、すぐにオレに戻してもらうとそのままドリブルして、相手陣地にボールを運ぶ。カットを駆使し、ディフェンスをすべて避けゴール前で飛び上がり、そのままボールをゴールに叩きこんだ。
「力技すぎ……」
ゴールリングに掴まってぶら下がりながら、声が聞こえた方を向くとミカとバッチリ目が合った。ので、鼻で笑っておく。
「~~~っ!?」
気持ちいいな、これ。
ボールが相手に渡され試合が再開する。その後も、互いに譲らず点を取りあい、防御を捨てて攻撃一辺倒でシーソーゲームのようになっていた。
「ピーッ!ろ、66-66!」
「ハァ……!ハァ……!」
「ふぅ……!ふぅ……!」
体操服の裾で流れた汗を拭う。向こうも、袖で額を拭っており、その表情に余裕はない。
「同点……」
「時間はっ!?」
「あ、あと20秒ですっ!」
泣いても笑っても最後の攻撃だ。だが、目の前のミカはそう簡単に抜けそうにないし、抜かせてくれないだろう。どうする……。ボールを取られないようにドリブルしながら考える。
「あと10秒!」
ふと視界に入ったものがあった。ちらっとそちらを見ると、目が合う。時間がない。これに賭ける!
「5秒!」
動き出し、ボールを背中に隠しミカから見えないようにする。その状態でミカの横をドリブルしながら抜ける。ミカがオレの手からボールを奪おうと手を伸ばすが。
「―――ッ!?ボールがない!?一体どこに……!」
「3!」
そう、オレの手にボールは無い。ドリブルしたように見せかけ、背中に隠した時にパスを出した。
「―――シュートを打て!」
「え!?そんな、いつのまに!」
「2!」
「え?え?」
「なんでもいい!ゴールに向かって投げろ!」
「は、はいっ!」
「1!」
時間はゼロになった。だがボールはまだ空中にあるため、試合はまだ終了していない。
「そんなシュートでゴールに入らないよっ」
ミカの言う通り、ボールはリングに弾かれる。だが。
「ほら―――え」
ゴール前で飛び上がったオレは空中でボールを掴み―――。
「―――らぁあああああッ!!」
リングにそのまま叩き込んだ。
「ピ、ピピーッ!!66-68でミサチームの勝利っ!」
「っしゃああああああああッ!!」
「あー!!負けたー!!悔しいいいい!!」
「最後お前もよく投げたな。褒めて遣わす」
「あ、ありがとうございます……」
「いや、誰」
最後、他の人の力を借りたとはいえ、これはチーム戦。勝ちは勝ちだ。
「ミカ、勝負はオレの勝ちだ」
「あー、そうだったね。仕方ない、約束は約束だし、この後帰ってもいいよ。まあ―――」
ミカが言葉を区切ったタイミングで、5限目の終了のベルが鳴る。
「今日、5限目までだからこの授業で終わりだけどねっ☆」
「…………は?」
「じゃあ、約束通り帰っていいよー。また明日ねー」
「……………………は?」
終わったー、熱い勝負だったねー、そんな言葉を吐きながら、クラスメイト達は体育館を出て行く。
「―――く、くそったれえええええええええ!!」
次があるなら、あの女の勝負には乗らないと、誓うのだった。
光園ミサ
グレミサちゃん。言葉遣いが荒っぽくなって、現代ミサにまた一歩近づいた。とうとうミカと邂逅してしまう。関わらないようにしたら、向こうから積極的に話しかけて来て困惑してる。ミカのクリティカルな煽りに負け勝負に乗ってしまった。なお、勝負に乗った時点で負けてた模様。メンタルがちょっと回復した。
聖園ミカ
言わずと知れたゴリ私のお姫様。ミサが自分のことを忘れていたので、内心ブチギレていた。ない、内心……?ミサ自身でも把握してない心の内をさらっと暴き、それを煽りに利用した。なお、それがあまりにもクリティカルだったのは想定外。勝負に乗らせて、勝ちムーブをした女。こいつ、ホントにミカか?
ブルーアーカイブ、始まったな。ミカ出た途端に、世界観透き通り始めて困惑を隠せなくなりそう。
ところで2周年新規先生だからゴズ君HCすら勝てなくて泣きそう。
さて、次の話を書かなくては。春ときたらやっぱ次は夏だよね!
感想返しってしたほうがいい?
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いらない