ブルアカにTS転生してメス堕ちする話   作:アウロラの魔王

12 / 60
ミカとのエピソード書きたいことが多すぎて、手が止まらん!

ミサとミカのイチャイチャを書くことにより、私のメンタルが回復し、またイチャイチャを書く無限ループ。百合はいいぞ。

感想ありがとうございます!


5年生の話・夏

 

 くそっ、これだけは着まいと避けてたのに……。ミカを避けるために休みすぎて、今日出ないと単位が……。

 

 今オレの前に広げられているのは、スクール水着。いわゆるスク水だ。スク水の上半身まで覆う感覚とピッチリと張り付く感覚が慣れなくて、今まで一度も水泳の授業に出ていなかったのだが、単位が足りなくなりそうで出る羽目になってしまった。

 

「―――あれ~?ミサちゃん一人で着れないの?手伝ってあげようか☆」

 

 オレが水泳に出なくてはならなくなった元凶が、ヒョコっと顔を出す。くそっ、一体誰のせいでこんなに葛藤してると。

 

「い、いらないっ!一人で着れるから!」

 

「ほんとぉ?じゃあ先に行って待ってるからねー」

 

 そう言うと、ミカはプール♪プール♪と上機嫌に駆けて行く。能天気で羨ましい。

 

 オレはオレで、覚悟を決める必要があった。意を決して、水着に足を通す。ええい、ままよ!

 

 

 

 プールで水を掛け合ったり、泳いで競争したり、クラスメイト達がはしゃいでる横でオレはタオルを全身に巻いて、プールサイドで一人項垂れていた。

 

 やっぱり、体に張り付いてて妙な感覚が、特に股に張り付いてるのはいつまで経っても慣れない。ま、まあ出席はしたし、あとは隅っこで大人しく座って―――。

 

「―――ミーサちゃんっ☆」

 

 声とともに、バシャッと水を掛けられる。全身は濡れ、当然スク水も濡れるので不快感が増す。

 

「―――ミカああああああッ!!」

 

「きゃー☆」

 

 ミカを追い回すも、すばしっこくて捕まりやしない。

 

「あ、ミサちゃん勝負しようよ」

 

「……またかよ」

 

「せっかくプールに来てるんだし、水泳で勝負ね!負けたら勝った人に学食のパフェ奢りで!」

 

「やるなんて一言も言ってな―――」

 

「―――わーい!不戦勝だー!みんなに言いふらしてこよー☆」

 

 そう言うやいなや、プールに飛び込み泳いでいく。

 

「待ちやがれ!?クソッ!やってやらぁ!!」

 

 オレも追いかけるように飛び込み、ミカを追った。

 

 

 

 バシャバシャと水をかき分け、進んでいく。隣を見れば、ミカも同じ速度で進んでいた。

 

 そして、ゴールをタッチする。

 

「―――ナギサ!」

 

「―――ナギちゃん!」

 

「どっちが勝った!?」

 

「私だよね!?」

 

「えっと、完全に同時でした」

 

 審判役をやっていた桐藤ナギサが、困惑しながら判定を出す。使ってるのはミレニアム製の判定装置だ。コンマのズレもない。つまり完全に同時だった。通算16回目の。

 

「はぁ!?またかよ!」

 

「ちょっと!その機械壊れてないよね!?」

 

「先程、別の方で測りましたが正常に作動したのを確認しましたよ。というかお二人もそれを見ていましたよね?」

 

 確かに、見たが……。というかコイツ、なんでプールで紅茶飲んでんだ。

 

「うー……納得いかなーい!」

 

「それはこっちのセリフだ。こうなりゃもう一回だ!今更へばったとか言わないよな!?」

 

「当然!決着つくまでやるよ!そっちこそ、疲れて溺れても助けてあげないからね!」

 

「は?ならこっちもお前が足攣って溺れても助けてやらないからな!」

 

 ミカとどつき合いながら、早歩きで開始位置へと向かう。

 

「はぁ……仲が良いのか悪いのか……。お互い暴力に訴えないだけ、まだマシなのかも知れませんけど」

 

 その日はベルが鳴るまで勝負したが、結局勝負の決着はつかなかった。

 

 

 

 

 

 ―――ピンポーン♪

 

 夏休みに入ったある日。家でゴロゴロしていると、インターホンが鳴った。荷物を頼んだ覚えは無いし、まさか不良が家まで押しかけてきたんじゃないだろうな、と思いながらドアを開けると見知った顔が。

 

「ミーサちゃん!あーそーぼー!」

 

 ドアをそっと閉じようとしたが、足を挟み込まれ阻止される。

 

「ッ―――お前、どうやってこの家の場所知ったんだよ……!」

 

「ッふふん、私の情報収集能力を舐めないでよね……!」

 

 突然の来訪者ミカは得意げな顔でドアを力ずくで抑えている。コチラも全力で引いてるのだが、ビクともしない。

 

「良いことを教えてやる……!それは、能力の無駄遣いって言うんだ……!よかったな、また一つかしこくなったぞ!」

 

「それは、どうもありがとう……!お礼に外に連れ出してあげるねっ」

 

「間に合ってます!お帰りはどうぞあちらです!」

 

 拮抗していた力は突然崩れた。掴んでいたドアが耐えきれず壊れたのだ。

 

「あっ」

 

「あっ、じゃねーが。壊れたじゃねえか!」

 

「えっと、ごめんね」

 

「……チッ、素直に謝られるとこっちも怒れないだろうが」

 

 壊れたものは仕方ない。スマホを取り出して、修理屋に依頼しておく。……修理が終わるのは夕方ぐらいか。

 

「あ、ミサちゃん。えっと、今日は……ごめんね。ドアの修理代はこっちで出しとくから……」

 

 所在なさげに立っていたミカは、申し訳なさそうな顔で帰ろうとする。これじゃあオレが悪いみたいじゃねえか。内心で舌打ちしながら、急に空いた予定を埋めるべく、ミカに声を掛ける。

 

「待てよ。修理代はいらない。代わりにちょっと夕方まで付き合えよ」

 

「え?」

 

「え?じゃなくて、だ、だから遊びに行くんだろ!着替えてくるからちょっと待ってろ!」

 

「あっうん!」

 

 

 

「……」

 

「……なんで制服?」

 

「し、仕方ないだろ!学園と家の往復ぐらいだから必要無かったんだよ!」

 

 よく見れば、ミカは普通に私服だ。白のワンピースと麦わら帽が眩しい。黙ってれば美少女だから、普通に似合ってるのが悔しい。

 

「ふふっ、じゃあ今日はミサちゃんの服見に行こうか?」

 

「は!?な、なんでだよ!?」

 

「だって、これから必要になるじゃん!」

 

「これからって、お前まさか毎日来る気じゃ……!」

 

「ほら!行こミサちゃん!」

 

「ちょ、引っ張るな!自分で歩ける!」

 

 なぜか急に上機嫌になったミカに首を傾げながら、渋々付いていくのだった。

 

 

 

 はぁ、ミカといると調子が狂う。というか、なんでこんなイライラするんだ。ミカとの勝負にも結局乗ってしまうし、どうしてもミカには負けたくないって思ってしまう。さっきもオレが先に引けばよかったんだ。なんで力比べみたいなことを……くそっちゃんと自制しないと。あーもう!イライラするぅ!

 

「着いたよ!」

 

 ミカの声で、意識を現実に戻す。目の前にはブランド名を掲げた洋服店が。

 

「おい、ここって」

 

「うん!私の行きつけのお店だよっ」

 

「いや、そうじゃなくて。ここって結構有名なブランドじゃん」

 

「そうだけど、え?何か問題あった?」

 

 いや、普通に高い。って思ったが、トリニティってお嬢様学校だった。隣を見れば、ブランド店がズラーっと並んでいる。普段、家の近くにある一般向けのショッピングモールで買い物してたから、忘れてた。

 

「いや、なんでもない」

 

「んー?変なミサちゃん。ほら行こ?」

 

 ミカはオレの手を引っ張って店の中に入っていく。

 

「いらっしゃいませ」

 

「今日はこっちの子の服見に来たから」

 

「かしこまりました。お申し付けがございましたら、お呼びください」

 

「ミサちゃん!さっきのドアのお詫びってことで、好きな服選んでいいよ!」

 

 選んでいいって言われてもな。服の良し悪しが分からないし、あと……。

 

「ヒラヒラとフリフリ多すぎないか……?」

 

「かわいいじゃん?」

 

 見る分にはよくても、自分で着るのはちょっと。

 

「ヒラヒラとフリフリ以外でお願いします。ヒラヒラとフリフリは嫌だ」

 

「むぅ……絶対似合うのに、仕方ないなぁ。じゃあこっちのショーパンとかは?このブラウスとの組み合わせよさそう。あっ、このキュロットかわいい!」

 

 渡される服を吟味していく。確かに、先程まで見ていた服よりかは、ヒラヒラとフリフリが低減されてる。これぐらいなら、まぁ。ふと、横を見るとミカがオレの顔をじっと見ていた。

 

「な、なんだよ」

 

「うーん、さっきなんでお店に入るのためらったのかなって」

 

「いや、それは……時間差で聞いてくるなよ」

 

 聞くならさっき聞いてくれ。

 

「えっと、なんか気になっちゃった」

 

「はぁ……オレは普段、家の近くにある一般大衆向けのモールで買い物するから、こういう高級ブランド店だと金銭感覚が追いつかないってだけだから」

 

「あー、それならそうと言ってくれればよかったのに」

 

「……今日はミカの遊びに付き合うって決めてるから良いんだよ。だから、別にミカが悪いって訳じゃないから。勘違いさせるような態度取ったのは……悪かった」

 

 ミカが驚きに目を見開いていた。

 

「謝る機能付いてたんだ」

 

「ロボットじゃねえよ」

 

「あはは!ごめんって!でも、私に気を遣ってくれたんだね、ありがとう!」

 

 オレは笑うミカに、別にとそっけない返事しか返せなかった。……やっぱり、コイツといると調子が狂う。オレはもう、誰とも関わる気なんて無かったのに……。でも、叶うならもう少しだけ……。

 

「あっ、ショーパン履くなら、このワンピースとかどう?」

 

「え?これ下短すぎないか?」

 

「だから、下にショーパン履くんだよ」

 

「あ、なるほど」

 

「ちょっと着てみよう!」

 

「あ、ちょ」

 

 試着室に無理やり押し込まれてしまった。外に出て行っても、押し返されるだけだろう。……仕方ない、着るしかないか。

 

 制服を脱ぎ、綺麗に畳んでから脇に置く。どっちから着るか悩んで、ショートパンツを手に取り足を通した。良い生地使ってるからか肌触りがいいし、伸縮性もあるから体の動きを阻害しないの良い。次に、ワンピースを手に取り、どうやって着るのか少し悩んだ後、普通に上から被った。手に取ったときから感じていたが、ワンピースもすごくさらさらしていて、肌の上をよく滑る。肩出し袖に腕を通し、近くの全身鏡で確認する。

 

「……あれ、これなんかえっちすぎないか」

 

 白いワンピースの丈が、下に履いたショートパンツが見えるか見えないか、という絶妙すぎる位置にあった。これ、あれだ。スカートの下見えた!うおおお!と思ったら下にショートパンツ履いてるじゃねえか!ってなるやつだ。

 

 ぴらっと下をめくると、オレンジのショートパンツが眩しい。鏡にはピンク髪ショートの女の子が、スカートをめくって見せており、もう4年も見た顔なのにドキッとしてしまった。鏡の中の女の子は顔を赤らめていて、なんだかイケないことをしてる気分になり、余計に顔が赤くなってしまう。

 

「―――ミサちゃーん!ちゃんと着れたー?」

 

「わあああああっ!?」

 

「もう!ミサちゃん!1年生の頃もそうだったけど、なんで私が声掛けると驚くの!?」

 

「いや、ちが!その、ちょっと間が悪かっただけで」

 

 バクバクする心臓を抑えながら、何とか弁明する。

 

「……あれ?」

 

「え、どうかしたのか?」

 

「あ、ううん。……気のせい?」

 

 ミカはオレの頭を見て、首を傾げていたが、そのまま視線を落とすと目を輝かせた。

 

「あ!ミサちゃんすごい似合ってる!私の見立てに間違いは無かったね!」

 

「ちょっとこれ、女の子っぽすぎないか?」

 

「女の子だから当たり前じゃない?」

 

「いや、そうなんだけど、そうじゃないっていうか……」

 

 中身が男なんです。とは言えないしどう説明したらいいんだ。

 

「あ、そうだ。これ、ミュールサンダル。なるべく、ローヒールのもの選んだけど、合わなかったら言ってね」

 

 そう言って差し出したのは、白いサンダルだった。

 

「靴も変えるのか?」

 

「さすがにその恰好じゃ学園のブーツは合わないから」 

 

 確かにと思い、足をサンダルに通す。履いてみると、サイズがぴったりだった。

 

「あれ?ぴったり」

 

「ホント?よかったぁ。学園のブーツ見てサイズは確認してたけど、やっぱり実際に履いてみないと分からないよね。あ、留め具するからじっとしててね」

 

 ああ、オレの靴見たからサイズ分かったのか。

 

「じゃーん!我ながらパーフェクトなコーデ!すっごいかわいいよ!」

 

 両手をいっぱいに広げて、喜びを表すミカ。

 

「かわいいより、かっこいいのほうがうれしいなぁ」

 

「はいはい、かっこいいよ!」

 

 なんか今適当じゃなかった?

 

「ん?あ!ミサちゃん、後ろちゃんと羽通してないじゃん!」

 

「え?あ、ホントだ。普段ワンピースとか着ないから気が付かなかった」

 

 制服は、上下別れてるから気にしなくてもいいし。

 

「ホントだじゃないよ、もう。ほら、通してあげるから後ろ向く!」

 

「いや自分で、あはははっ!ちょ、くすぐったいって!」

 

「はい、通ったよ!ミサちゃん、ちゃんと羽のお手入れしてないでしょ。すごくボサボサだよ」

 

「いや、だって面倒くさいし」

 

「面倒くさくても、ブラシぐらい入れるの!もう、今度お手入れセット持って来て、ミサちゃんの羽を徹底的にお手入れしようかな……」

 

 ミカ、今なんかすごいこと呟いてたような。

 

「あ、これ、そのまま着ていくのでタグと会計お願いしまーす」

 

「え!?」

 

「お支払いはいかがなさいますか?」

 

「カードで」

 

「ちょ」

 

「あ、元着てきた服はクリーニングに出して指定した住所に届けて」

 

「かしこまりました」

 

 オレが止める間もなく、会話が進んで店員さんにタグを取られる。

 

「じゃ行こっか!」

 

「行くって、この格好でか!?」

 

「当たり前じゃん?そのために着替えたんだし。ほら、行くよー!」

 

「お、おい!」

 

 最早当然のようにオレの手を取り、引っ張っていく。

 

 外に出て前を歩くミカの隣に並ぶ。その顔は、やたらと上機嫌で鼻歌まで歌っていた。

 

「待てってミカ。金なら自分で払ったのに」

 

「~♪ん?別にいいよ。さっきも言ったけど、ドア壊しちゃったお詫びだって」

 

「いや、あれはオレも」

 

 悪い、と言おうとしたところで指で口を止められる。

 

「いーの!代わりに、今日はたくさん遊ぼうね!」

 

「……わかった」

 

「うん!あ!あそこでタピオカ売ってる!」

 

 ミカが指差す先に、キッチンカーが止まっており、タピオカミルクティーが売られていた。

 

「今どきタピオカ……?」

 

「もう!私が飲みたいから良いの!ミサちゃん行くよ!」

 

「はいはい」

 

 どれにしようかなー、とメニューを眺めるミカ。オレも、何味を頼もうか。やっぱり抹茶かな。

 

「ミサちゃん決まったー?」

 

「オレは抹茶で」

 

「じゃあ私はプレーンにしようかな」

 

「プレーンって普通のタピオカミルクティーじゃん」

 

「色々飲み比べてみると、最終的にここに落ち着くんだよね」

 

 1周まわって戻ってくるとか、歴戦の猛者かよ。

 

「ここ座って飲も」

 

 ミカの示したベンチに二人並んで座り、タピオカを飲む。抹茶うめー。

 

「……」

 

 ミカがこっちをじっと見ていた。

 

「な、なに?」

 

「隙アリッ!」

 

「おい!?」

 

「ん~♪抹茶もおいしいよねー」

 

 オレが口を離した隙に、ミカはオレのタピオカに吸い付く。とりあえず頭を叩いておく。

 

「痛ーい!なんで叩くの!」

 

「なんで叩かれないと思ったの」

 

「もうしょーがないなー。私のタピオカも一口上げるから」

 

「……な!?ばっ、おま」

 

「ほらほらー」

 

 こいつ……。それはもう楽しそうな顔で、オレにストローを向けてくる。

 

「じー」

 

 くっ。飲まないと引かないつもりか。さっき、自制すると言った手前、対抗意識燃やして我慢比べするわけにはいかないよな。こっちが折れるしかないか……。

 

「……い、いただきます」

 

 あ、これって、か、間接キス。ど、どうしよう、オレ彼女出来たことないからこの後どうすればいいんだ!?ぢゅーっと吸い上げてると、ちゅるんとタピオカが入って来たのでさっと口を離す。

 

「おいしい?」

 

「ま、まあまあ」

 

 やばい、こんなのうまく顔を見れない。

 

「……」

 

「ミカがプレーンがいいって気持ちは分からなくもないけど、やっぱり抹茶の方が……ってミカ?」

 

「あ、ごめん。ボーっとしてた」

 

「どうかしたのか?」

 

 ミカはうーん、とオレの顔と頭の上を交互に見て唸ってた。頭の上?ってことはヘイロー?自分で見ようとするが、さすがに鏡に映さないと見えない。ミカのヘイローはいつも通り、宇宙みたいななんかすっごいやつ。

 

 あれ?オレこの世界来て初めて、他人のヘイロー見た気がするぞ?話すときって顔見るから、ヘイローが視界に入らないんだよな。普通に考えて、人の頭見ながら話す人なんていないし。あと、結構似たような形が多い。そこまで、細かく覚えられない。

 

「オレのヘイローがどうかしたのか?」

 

「あーうん、なんて言えばいいのかな。……ごめん、やっぱり見間違えたのかも」

 

「そうか?」

 

 そうには見えないんだが、帰ったら一応ヘイロー確認しておくか。

 

「……ミサちゃんってさ、昔言ってたあれってまだ目指してるの?」

 

「あれって?どれだ?」

 

 昔なんか言ったっけ?

 

「ほら、男の中の男を~ってやつ」

 

「あ、ああ」

 

 そういえば、なんか言った覚えあるな。そもそも男なんだから目指す意味がないのでは。しかもあれ、動機がモテたいだった気が……めっちゃ逆の位置にいるんだが。

 

「ま、まあ?オレは男だからな。なにもおかしいことは無いだろ」

 

 言ってから、これ他人に話すの恥ずかしい奴では?と思い、心の中で悶える。

 

「そっかぁ、正直ミサちゃんのことだから忘れてると思った」

 

 半分くらい忘れてたとは、口が裂けても言えない。

 

「ミサちゃんが覚えてるかは知らないけど、1年生の入学したての頃、野球したいからチーム作ろうって言った1週間後に、サッカーやりたいとか言い出す子だったんだよ」

 

 変な子じゃん。ノリと勢いで生きすぎだろ、前のオレ。……と思ったけど、オレも人のこと言えねえ……。

 

「正直、全然覚えてないな」

 

 とりあえず、過去の話にして流してしまおう。このままだと、黒歴史を量産しそうだ。

 

「だよね。当時も夏休み前には野球もサッカーも何ソレ?って言ってたし」

 

 はえーよ。突発的奇行にもほどがあるだろ。もう少し、間を持たせろ。

 

「ねえ、ミサちゃん。5年生になって再会してから、ずっと聞きたいって思ってたんだけど」

 

「なんだよ……?」

 

「ミサちゃんって―――」

 

 ミカが口を開いたところで、割り込む者がいた。

 

「お前、光園ミサだな?」

 

 話しかけてきたやつの格好を見て、目がスッと細まる。

 

「ってあれ?二人いますよ?」

 

「どっちもやりゃいいだろ」

 

 持っていたタピオカのフタを親指で弾いて、中身を目の前の不良どもにぶち撒ける

 

「うわ!?」

 

「なんだこれ!?」

 

「カエルのタマゴ」

 

 そう言いながら、不良の一人を蹴り飛ばし、近くにあったゴミ箱にシュートする。

 

「―――なるほど?サッカーやるのもいいな。目指すはメジャーリーガーか」

 

「ミサちゃん!」

 

「ああ、ミカ悪いけど」

 

「メジャーリーグは野球だよ!」

 

「そっちかよ」

 

「くそ!バカにしやがって!」

 

 不良が戦闘態勢に移る。せっかくの休日なのに、面倒になったな。

 

「ミカ、悪いな。せっかく遊びに誘ってもらったのに。埋め合わせはするから、お前は先に―――っておい何やってんだ」

 

 ミカはオレの隣に並んで、サブマシンガンを構えていた。

 

「ミサちゃんを一人にしておけないよ。それに、二人でやった方が早く片付くでしょ?」

 

「……言っておくが、フォローは期待するなよ」

 

「いらないよ。私って結構強いんだから」

 

 自信満々な笑みに、知ってると返した。

 

 銃撃戦が始まり、オレは前に出ると、盾で銃弾を受け止めていく。全部で5人か。いつもより、人数が少ない分衝撃も軽かったので、そのままトリガーを引き一人無力化する。

 

 ミカは大丈夫か?と思い、横目で見たら余裕そうに銃弾を避けて反撃してる。

 

「バイバ~イ☆」

 

 あ、なんか降ってきた。大丈夫そうだな。

 

 こっちも終わらせるべく、銃身で殴りつけまた一人無力化する。さてあと、と思ったところで上から隕石が降ってきて残りを爆散させる。

 

「あぶなっ」

 

「あ、ごめーん!大丈夫だった?」

 

「な、なんとか」

 

 さっきの隕石で、不良は全員無力化されたらしい。いや、隕石ってなんだ。空を見るが、とても隕石が降るような天気には見えない。……あれ?オレ二人しか倒してねえな。

 

「ミサちゃんが盾になってくれたおかげで、倒しやすかったよ。ありがとね!」

 

「あーうん。巻き込んだのはオレだし、役に立ったならよかった」

 

 ふぅ、と息を吐き、緊張を解く。

 

「……ねえ、ミサちゃんってやっぱり……」

 

「ん?」

 

「ううん、今言ってもしょうがないし、また別の機会にするね」

 

「お、おう?」

 

 そんな含みを持たせた言い方されると、気になるんだが?

 

「今はそんなことより、デートを楽しも!」

 

「え!?で、でーと!?」

 

 でーとってデートのことか!?

 

「あはは!ミサちゃん顔真っ赤~」

 

 真っ赤にもなるだろ、おい!ミカに手を引っ張られ、デ、デート……を再開することになった。

 

 

 

「あ、ミサちゃん。みてみて~」

 

「なんだ、びっくり箱か?それぐらい」

 

 ミカの持った箱の横が開いて、銃弾が飛んできた。

 

「おおおおいっ!?」

 

「あはは!びっくりしすぎだよ」

 

「誰だってびっくりするわ!?」

 

 街中を歩きながら、面白そうな物を見つけては手に取って。

 

「あ、お茶の茶葉売ってる。ナギちゃんに持ってったら喜ぶかな?」

 

「ナギサが飲むのは紅茶だろ?他のお茶って飲むのか?」

 

「うーん、あまり見ないかも。あ!梅昆布茶だって、これ新作の紅茶だよって渡したらどんな顔するかな」

 

「やめてやれ、絶対泣くから」

 

 お店に入っては色んなものを物色して楽しんで、この世界に来て初めて普通の日常を過ごした。

 

 

 

「あー!楽しかった!ミサちゃんは?どうだった?」

 

「ん、まあまあ、かな」

 

「ふふっ、そっか」

 

 気が付けば、日が傾いており、じきに空も夕焼け色に染まるだろう。

 

「あ!最後にこのお店に入ろうよ!」

 

 ミカが指を差したのは、アクセサリーショップだった。

 

「ああ」

 

 ミカに手を引かれて、店に入る。店には色々な装飾品が置いてあり、一目で高価そうだと分かる。

 

「へぇー、色々あるね。こんな所に、いいお店があるなんて知らなかったな」

 

「ミカも知らないお店なのか?」

 

「うん、結構穴場だよね。店の入り口も分かりにくかったし」

 

 知る人ぞ知る名店ってことか。

 

「そうだ!ミサちゃんって誕生日いつ?」

 

「もう過ぎてるぞ?」

 

「え?そうなの?」

 

「……5月8日」

 

「あれ?私と同じ?」

 

「キヴォトスに何万人の生徒がいると思ってんだよ。誕生日ぐらい被るだろ」

 

 そうだ別に被っても何もおかしなことは無い、はずだ。

 

「うーん、そっかぁ。誕生日一緒だったんだ。それじゃあ、誕生日近いからプレゼントするねってできないね」

 

 またなにか買うつもりだったのか。もう、服を買ってもらってるから、十分なんだが。

 

「誕生日プレゼントは来年の楽しみに取っておくね!ミサちゃんも何か買っておいてね?」

 

「ん!?オレも買うのか!?」

 

「当たり前だよ、誕生日一緒なんだもん。だから、プレゼント交換しようよ。きっと、その方が楽しいよ」

 

「……まあ、考えとく」

 

「わーい、楽しみー☆」

 

 誕生日プレゼント、か。ミカが喜びそうなものってなんだ?まあ、誕生日は来年だし、ゆっくり考えるか。

 

 店の中を見て回ってると、一際輝きを放つ宝石が目に留まる。

 

「ミサちゃん、なにか見つけた?」

 

 手に取って眺めていると、横からミカが覗き込んできた。

 

「たぶん、エメラルド」

 

「ホントだ。え?すごく大きくない?」

 

 子供の手とは言え、手のひらと変わらないサイズだ。ペンダントだろうか。それでも、大きい気がする。

 

「んー、店員さん。羽飾り用のパーツって置いてる?」

 

「はい、ありますよ。少々お待ちください」

 

「ミカ?」

 

 店員が持って来た部品を、慣れた手つきでエメラルドと繋げると、流れるようにオレの羽に取り付ける。

 

「っておい」

 

「あー、ミサちゃん羽おっきいから見栄えいいなぁ。ちゃんとお手入れすれば、もっと良くなるのに勿体無い」

 

 そう言いながらミカは、オレの羽をわしゃわしゃと撫でる。

 

「ミ、ミカ、くすぐったいっ」

 

「店員さん、このエメラルド買います」

 

「ミカァ!?この大きさ、オレでも相当高いって分かるぞ!」

 

「色も輝きも、普通の市場に出回らないくらい良いから、すっごい高いね。なんでこのお店に置いてあるかは、分からないけど」

 

「で、でも買うために見てたわけじゃないし」

 

「気になったんだよね?だったら、買った方がいいよ。これは私の経験則!次があるか分からないしね☆」

 

「む、むぅ」

 

 しどろもどろになってるうちに、ミカが会計を済ませてしまう。行動早すぎだって!

 

「ミ、ミカそんなカードほいほい使って限度額は大丈夫なのか……?」

 

「あー、私のはちょっと"お願い"してあるから」

 

 お願いって……いや、聞かなかったことにしよう。

 

 店の外に出ると、ミカはグッと体を伸ばす。空はすでに夕焼け色に染まっていた。羽に着けたエメラルドが、夕日を浴びて一層輝きを増す。

 

「ん~っ!ふぅ……お店の中だと、邪魔にならないように羽をたたまないといけないから、外だと思いっきり羽伸ばせるー」

 

 羽が大きいと気を遣うの分かる。うっかり羽たたむの忘れて、店の中荒らした経験あるからな……。

 

「その、ミカ。今日は……あ、ありがとう。服買ってもらったり、アクセサリーも買ってもらって」

 

「お礼言う機能付いてたんだ」

 

「その流れ朝もやった」

 

 天丼はダメだ。許されない。

 

「あはは!私も楽しかったよ!服は最初に言った通りドアのお詫びだし、エメラルドは……えーと、そう!初めて一緒に遊んだ記念だから!」

 

「今思いついただろ……」

 

「えへへ」

 

「オレ、さ。こうやって遊ぶの、初めてだったから、なんて言えばいいのか分からないけど、た、楽しかった」

 

 自分の顔に熱が集まっていってるのは、夕日に照らされているせいだ。ミカはポカーンとした顔のあと、満面の笑みを浮かべた。

 

「そっか、そう言ってもらえたならうれしいな!」

 

「うん……」

 

 ミカはニコニコとオレを見ていたが、オレはなんだか気恥ずかしくなり顔を背ける。

 

「あ!私そろそろ帰らないと。それじゃあ、ミサちゃんまた明日ね!バイバーイ!」

 

 ミカは夕日の方へ走りながら、こちらに大きく手を振る。

 

「あ、うん。また、明日」

 

 見えなくなるまで手を振り返した後、オレも家に帰るために踵を返し、ミカとは反対方向へ向かう。

 

 今日は楽しかったな。級友と遊ぶのが初めてだったからかもしれないけど、まだ一緒に居たい、まだ遊んでいたいって思った。

 

「ミカ……ん?また明日……?」

 

 アイツ、明日も押し掛けてくる気か!?

 

 次の日、案の定家の前にはミカがニコニコと立っていた。

 

 




光園ミサ
ミカと水泳対決したが、なぜか全く同じタイムが出続ける。ミカが遊びに来た時、ドアを引く力が拮抗するなど。最近フィジカルに自信が無くなってきた。前のミサと今のミサにそれほど差はない。強いて言うなら、今のミサが持たない6年間の記憶。はじめて友達と遊びに行った。はじめて普通の日常を楽しんだ。ミカといるとずっとモヤモヤしてる。メンタルがかなり回復した。おや?ヘイローのようすが…。

聖園ミカ
ミサのフィジカルに対抗できるゴお姫様。ドアを壊したのはやりすぎたので落ち込んだ。このお姫様も大概メンタル弱い。ミサと遊べて楽しかった。がある一点が気になって仕方がない様子。ミサから目を離しちゃいけないとずっとモヤモヤした気持ちを抱えてる。結局夏休みは毎日ミサと遊んでた。

桐藤ナギサ
ミカの幼馴染なので、ずっと出さないのは不自然過ぎるので出した。なぜかプールでイスとテーブルと紅茶を持ち込んでる。ミカからお土産に紅茶と騙されて梅昆布茶飲まされた。


前のミサ、今のミサと便宜上分けたけど、作者の中では完全に同一人物。まあ、前のミサは全く話に絡まないので、特に隠すこともないんですけど。単に、前のミサってどんな人だったんだろう→今のミサと変わらないやってするためだけの設定。

結構な伏線をバラ撒いてるけど、ここ伏線!みたいな分かり易いサインは出さない。個人的に、それは伏線じゃないと思ってる。そして、この話を聞いてモヤモヤする読者がいるのが楽しい。

ミサとミカの関係は、ミサのモチーフの天使が分かったら、なるほどってなるようにしてる。

感想返しってしたほうがいい?

  • いる
  • いらない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。