ブルアカにTS転生してメス堕ちする話   作:アウロラの魔王

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仕事終わった後にちょろちょろ書いてるから、時間掛かっちゃった。

今回は、後半にナギサ視点あり!ミカの視点は、色々核心ついちゃうのでまだ温めます。

感想ありがとうございます!それと、非ログインでも感想書けるようにしました。設定よく見ずに、そのまま投稿したから確認してませんでした!ちゃんと見ないとダメだね。


5年生の話・秋

 

「―――準備はいい?」

 

「―――いつでも」

 

 緑が色づき、秋が深まったころ、トリニティ学園にある初等部の教室は、緊張感に包まれていた。オレとミカの二人は向かい合って相対し、誰もが固唾を飲んで見守っている。

 

 オレと机を挟んだ向かい側のミカは、手に何かの紙を持って笑みを浮かべている。自身の勝利を疑わない顔だ。やれやれ、力の差を思い知らせてやらないといけないな。

 

「いくよ―――!」

 

「いくぞ―――!」

 

「「せーのっ!」」

 

 掛け声とともに机の上に叩きつけられるテスト用紙。オレのテスト用紙とミカのテスト用紙。見比べてみて、確信し笑みが浮かぶ。逆にミカは驚愕に目を見開いていた。

 

「―――フッ、オレの勝ち、だな」

 

「うわぁーん!また負けたー!ぐやじいいいいいっ!」

 

 ミカは机に突っ伏し、足をバタバタさせてる。

 

 オレのテスト用紙は、どれも90台後半。ミカのは90台前半だ。勝ったとはいえ、結構僅差まで縮めてきたな。だが、それはそれ、これはこれだ。ここでミカを煽り散らかさねば、男が廃る!

 

「ププーッ、たまにしか学園来ない奴にテストの点で負けてどんな気持ち?ねえ、どんな気持ち?ざーこざーこ!」

 

「うぎぎぎぎぎぎっ……!」

 

「ミカさん、落ち着いてくださいね」

 

「ナギちゃん、私はこの上なく落ち着いてるよ……!」

 

「般若のような顔で言っても、説得力がありませんよ」

 

 むふー、と満足げな顔でミカを見る。

 

「っま、オレを見習ってがんばりたまえよ」

 

「次は絶対勝つもん!」

 

「はっはっはっ!」

 

「ミサさんも、あまりミカさんを煽らないでください」

 

「あ、はい」

 

 ナギサに怒られたので、この辺でやめておこう。将来的に権力を持つ人にはやはり媚びておくに限る。

 

「なんでナギちゃんの言うことは素直に聞くの!?」

 

 そうは言われましても。ミカがポカポカ殴ってくるが、めっちゃ痛いやめてくれ。お前のポカポカは重機関銃みたいな音鳴ってるから。

 

「ほら、授業始まるからさっさと座れよ。ちゃんと勉強しないと永遠に勝てないぞ、ざこミカちゃん」

 

「むぐぐ……」

 

「ミサさん……?」

 

 いや、違うんだ。今のは馬鹿にしたわけではなくだな?勉強意欲を引き出そうとしただけなんだ。本当なんだ信じてくれ!

 

 

 

 学園行ったり行かなかったりしながら、ミカやナギサとも交流が増え、友人と言える仲になったころ。

 

「ミーサちゃんっ♪」

 

「……なんか、もうお前が家まで来るのにも慣れたな」

 

 家のドアを開けた先に、いつも通り立っているミカ。

 

「休みの日に何の用だ?せっかくゴロゴロしてたのに」

 

「何もしてないじゃん」

 

 ゴロゴロしてたんだよ。

 

「今日、ナギちゃんの家行くからミサちゃんも一緒にどうかなって」

 

 誘ってくれるのはうれしいが、ちょっと心配が。

 

「急にオレが行ったら迷惑だろ」

 

「大丈夫!私も連絡してないから!」

 

「おい」

 

 迷惑が服着てる二人揃って行ったら、でもナギサのことだからなんだかんだ言いながら許してくれそう。

 

「はぁ、着替えてくるからちょっと待ってろ」

 

「りょーかいっ」

 

 

 

「……制服じゃん」

 

「オレが秋服なんて持ってるわけないだろ」

 

 男のオレに何を期待してるんだ。

 

「じゃあ、ナギサの家に行くか」

 

「先に洋服屋寄ろうね」

 

「なんで!?」

 

「当たり前じゃんね?」

 

 抵抗したが、結局ズルズルと引き摺られ洋服屋に連行された。最期の抵抗で、せめてと思いスカートは却下して、ズボンに落ち着いた。でも上は丈が長めなトレーナーみたいなシャツを着せられてしまった。

 

「ミカ、これ膝下まであって落ち着かないんだけど」

 

「でも、下ズボンだから平気でしょ?」

 

「そうだけど……でも全体的にシルエットがダボッとしてるというか」

 

「そういうのがかわいいんだよ」

 

「……かっこいいのがいいのに」

 

 この分野に関しては、ミカに勝てる気がしない。さっさとナギサの家に向かおう。

 

「じゃあ、冬服も買っちゃおっか☆」

 

「え…………?」

 

「逃がさないよ。このままだと、冬出かけるときも制服で来そうだし」

 

 なんで分かるんだ。こいつ、エスパーか!?

 

 その後、冬用に数着買わされた。ズボンは死守したが、上がなんかスカートと一体になった感じの服とか買わされて、これ結局スカートなのでは?と言ったが、ミカは下がズボンだから大丈夫でゴリ押してきた。こいつ、下がズボンならスカート履かせても問題ないと思ってるんじゃないだろうな!でも、下ズボン履いてるなら別にいいかぁ。

 

 その後制服を家に送り、ナギサの家に向かった。で、今ナギサの家の前に居るのだが……。

 

「でっっっか」

 

「大きいよね、ナギサちゃんのおうち」

 

 大きな門の横にあるインターホンを鳴らす。

 

「めっちゃオシャレな音楽とか流れるかと思ったけど、普通のピンポンなんだな」

 

「ミサちゃんが、お嬢様にそういうイメージ持ってるのは分かったよ」

 

『はい、どちらさまで―――あら、ミカさん』

 

「やっほー☆遊びに来たよナギちゃん!」

 

「急にテンション上げるな。悪いなナギサ、今すぐこいつ持って帰るから」

 

「いや、来たばっかりだよね!?」

 

『ミサさんまで、大方ミカさんの差し金でしょうけど』

 

「あ、あれー?ナギちゃん、私のことなんだと思ってるの?」

 

「さすが幼馴染だな。ミカのことをよく分かってる」

 

 インターホン越しに、はぁと溜息が聞こえてくる。

 

「おいミカ、がっつり迷惑掛かってるぞ責任取れ」

 

「ええ!?ミサちゃんも結構乗り気だったよね!?」

 

『ミカさんの責任はあとで追及するものとして「ナギちゃん!?」せっかく来て頂いた友人をそのまま追い返すのもなんですから、どうぞ入ってください』

 

 大きな門が音を立てて開いていく。

 

「なんか、納得行かない……」

 

「どうしたんだよ、早く行こうぜ」

 

「むー……」

 

 不満気なミカを後ろから押しながら、門をくぐった。門はくぐると勝手に閉まっていった。ハイテクだなー。

 

 無駄に長い道を進んでいくと、広い庭に出た。庭の真ん中辺りに、いくつかのイスとテーブルが用意されており、その一つにナギサが座っていた。

 

「いらっしゃいませ、ミカさん、ミサさん。お好きなイスに座ってください」

 

「お邪魔します」

 

「わーい、どっちに座ろうかな?」

 

 どっちに座っても変わらねえよ。早く座れ。

 

「ミカさん、遊びに来るのは構いませんが、次からは事前に連絡をくださいね。こちらも、もてなす準備がいりますので」

 

「わかった!」

 

 わかってなさそう。ナギサもそれが分かってるのか、はぁと溜息を吐くだけで、それ以上の追及は無かった。

 

「ミサさん、毎日ミカさんの相手を任せてしまってすみません」

 

「オレも慣れたし、別にいいよ」

 

「あれ?まるで私が迷惑掛けてるような」

 

 学園では毎日ちょっかい出してきて、学園行かなかったら毎日家に来るじゃねえか。

 

「迷惑は掛けているでしょう」

 

「ミサちゃんが寂しくないようにしてあげてるんだよ!?」

 

「それでも、毎日来なくていいだろ」

 

「あれ?寂しいのは否定しないんだ?」

 

「ばっ!ちが!?」

 

「あれあれ~、ミサちゃん顔赤いよ~」

 

「おいミカァ!」

 

「ふふふっ」

 

 ミカがオレをからかって、オレが怒って、ナギサが笑ってそれを見ている。最近ではいつもの光景だ。

 

「こちら、紅茶とケーキをどうぞ」

 

 人数分用意されたティーカップとケーキスタンド。オレとミカが来たのは急だったのに、……まさかな。

 

「オレたちが急に来たから、慌てて取りに行ったのか?」

 

「いえ、最初からここにありましたよ?」

 

「え、でも」

 

「最初から、ありました」

 

「あ、ハイ」

 

 笑顔の圧に押され、頷いた。ナギサもあまり人に弱みを見せたがらないよな。ナギサから視線を外し、ケーキを選ぼうとスタンドに目を移す。

 

 うーん、どれにしよう。どれもおいしそうだからな。こっちは苺のカヌレかな、これにしよっと。

 

「あっナギちゃん、梅昆布茶どうだった?」

 

「ぶふっ」

 

「えっ」

 

 唐突に発したミカの言葉に、ナギサが口にしていた紅茶を噴き出した。

 

「お前マジで渡したの……?」

 

「うん!新作の紅茶だよー☆って」

 

「……ミカさん」

 

「なになにー?」

 

「その節は、"どうも"ありがとうございました」

 

 そう言うと、ナギサの手によってミカの口にロールケーキがねじ込まれていた。

 

「むむむーっ!」

 

 は、速い……。ミカの口にロールケーキが入るまで気付けなかった。ミカがこっちに助けを求めているけど、見なかったことにしよう。このカヌレおいしい。

 

「ミサさん」

 

「は、はい!」

 

 やばい、目が合った。

 

「なぜ、ミカさんを止めてくださらなかったんですか?」

 

「止めました!でも、ミカは言ったところで止まりません!」

 

「むむーっ!」

 

「それもそうですね」

 

 ロールケーキを最後まできっちりねじ込んでから、ミカから手を離した。こわ、ナギサは怒らせないように気を付けよ。

 

「むぐぐ……はぁ、もう心が狭いんだからナギちゃん」

 

「紅茶と騙されて梅昆布茶飲まされた、私の気持ちになってください」

 

「ミサちゃん!たすけてって目線送ったのになんで無視したの!」

 

「巻き込まれたくなかった。ただそれだけだ」

 

「それに、ちょっとくらいは私の弁護してくれたっていいじゃん!」

 

「お前の行動のどこに弁解の余地があったの……?」

 

 とりあえず、自分の行動を正当化するのはやめなさい。

 

「そういえば、ずっと気になってたんだけど、ミサちゃんって"力"あまり使わないけど理由ってあるの?」

 

「へ?」

 

「そうですね、私も気になってました」

 

 力、単純に筋力の話じゃないのは、二人の様子から明らかだ。なら、なんなのか。疑問はぶつけてみるしかないだろう。

 

「……"力"って、なに?」

 

 オレがそう言うと、二人は驚愕に目を見開いていた。この反応で確信した。ずっと感じていた。オレとこの世界の住人の間にある差異。それは、あまりにもキヴォトスにおいて常識だったがために、オレは知ることが出来なかったものだった。

 

「え、えっと」

 

 ミカがナギサに目配せすると、ナギサは困惑しながらも頷いた。

 

「こういうの?」

 

 ミカが何もないところに、サブマシンガンを向けると隕石が降ってくる。その現象、誰も突っ込まないなと思ったけど、なるほどキヴォトスでは普通だったからか。EXスキルやノーマルスキルに相当する謎の現象は、キヴォトスでは当たり前のように存在する"力"で引き起こされている、ってことか。

 

 元の世界の常識で戦っていたオレと、キヴォトスの常識で戦っていた彼女たち。ずっとおかしかったのは、オレだけだった。

 

「ミサちゃん?大丈夫?」

 

「え?」

 

「その、顔色悪かったから……」

 

「あーその……」

 

 隠したってしょうがないし、正直に言うしかないだろう。

 

「たぶんオレ、今まで使ったことない……」

 

 ミカがあまりって言ったのは、どこかで無意識に使ってたんだろうか。……もしかして、黒野サユリと戦ったときのあれも……?

 

「やっぱり、変、だよな……」

 

「変っていうか」

 

「まあ、ものすごく珍しい事案では、ありますね」

 

 すごく気を遣われてる……。

 

「あ、いえ!"力"が強すぎるから、と成長するまで"力"の使い方を教えない、というのが過去に実際ありましたから」

 

「成長前に使うと、体に悪影響を及ぼす子とかいるからねー」

 

「そ、そうなのか?」

 

 本当に気を遣ってるわけじゃなく?

 

「うーん、じゃあさ!実際に今使ってみればいいんじゃない?成長っていう面でも、もう十分なはずだよ」

 

「……そうですね。大丈夫かどうか、現時点で判断しようがありませんし。一度使ってみた方がいいでしょう」

 

「決まりだね!」

 

 あれよあれよという間に、オレが"力"の試し撃ちを行うことが決定していた。

 

 

 

「一応何が起こってもいいように、向こうの山が見える方角なら誰もいませんので安全に行えますよ」

 

「りょ、了解」

 

 いつもの重機関銃を構えて、山の方を見る。

 

「ミサちゃーん!硬いよー!リラックスリラックスー!」

 

「わ、わかってるよ!」

 

 とはいえ、今まで無意識下でやってたことを意識してやろうって話だ。硬くもなる。

 

「ミサさん、自分の内に集中してください。そしたら、底から力が湧き上がる感覚があるはずです」

 

 集中してみるが、よくわからない。

 

「ナギちゃん、そんな説明じゃダメだよ!ミサちゃん!ぐっとしてバーンッ!だよ!」

 

「ミカさん……?まさか、今までそんな使い方を」

 

「なるほど」

 

 ぐっとしてバーン、ぐっとしてバーン。

 

「ぐっと?」

 

 構えてる重機関銃に違和感があり、見るとあの日のように光を放っていた。だとすると、あの日のように光の銃弾が出るはずだが……。

 

「ミサちゃんの銃光ってる!おもしろーい!」

 

「ミカさんの助言で本当に……?」

 

 何かおかしい。脳が、尋常じゃないレベルで警鐘を鳴らしていた。―――違う、あの日、光を放っていたのは銃弾そのものだ。銃が光ったわけではない。だったら、これはなんだ。ダメだ、これを地上に向けて撃つのはまずい―――!?

 

 予感は的中し、咄嗟の判断で、重機関銃の照準を山からズラす。それと同時に銃口から巨大な光が迸った。莫大な光量と熱量が空を裂き、飛んで行く。

 

 熱い、眩しくて何も見えないし、耳鳴りがして何も音が聞こえない。

 

 時間にして10秒程度。光の照射が終わり、光が晴れると山が一文字に焦げた跡を残していて、レーザーの通った跡は、融解してドロドロになっていた。

 

 こ、これは……やばすぎるだろ……。

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……うーん、封印かな」

 

「……封印ですね」

 

「こんなもん、人に向かって撃てねえよ……」

 

 あまりにも危険すぎる、という判断が下された。

 

「今まで通り、"力"使わないように戦えばいいのか。……力んだときに、うっかり出そうだな」

 

「いや、そんなお漏らしみたいに言われても。"力"なら銃に纏わせて殴ればよくない?今までも、たまに無意識だろうけどやってたよね」

 

「そんなんでいいのか」

 

「……まあ、無理やり抑えつけてうっかり出るよりは、マシですかね」

 

 聞く限り、色々応用利きそうなのか。キヴォトスの常識を甘く見ていたのかもしれない。

 

「実験も終わったし、ケーキ食べる続きしようよ!」

 

「軽く流すじゃねえか……。こっちは結構ショックだってのに」

 

「え?"力"のこと知らなかった理由も分かったし、教えられてなかったのも危ないからだよね?」

 

「そうですね、"力"が強すぎたパターンなので、これから加減を覚えたらよいかと」

 

「私だってやりすぎないように結構抑えてるんだからね?」

 

 抑えても隕石は降るのか……。

 

「まあ、あれだよね?ドアを開けるのに全力を出す人はいないし、友達の肩を叩くのに全力で叩く人が居ないのと一緒だよ」

 

「そういうもんか」

 

「そういうもんだよ」

 

 オレっていつも深く考え過ぎなのかな。オレもミカぐらい頭軽かったら生きるの楽だったのにな。

 

「あれ?私のこと見つめてどうしたの?あっ、もしかしていいこと言ったから惚れちゃったのかな!?」

 

「ミカの頭軽くて羨ましいなって」

 

「あれ!?なんで私今貶されたの!?」

 

「それは私もたまに思いますね」

 

「ナギちゃん!?う~……こうなったらケーキバカ食いしてやるんだから~!」

 

 ミカはスタンドから直接ケーキをバクバク食べ始める。

 

「おい!そのケーキオレも食べたかったのに!」

 

「へへ~ん、早いもの勝ちですぅ」

 

「うぜぇ!」

 

 ミカやナギサと一緒じゃなかったら、きっとオレはまた一人で悩んでいたかもしれない。口には出さないけれど、二人に会えて、友達なれてよかった。

 

 

 

 

 

 

「―――ミカァ!それオレが取ったケーキ!」

 

「あれ~?ごっめーん良く見えなかった~。ん~おいし~☆」

 

「ふざけんなテメェ!」

 

 今、私の目の前でそっくりな、しかし正反対な二人が今にも殴り合いそうな雰囲気で睨み合ってます。ミサさんの忍耐強さには感服しますね。私なら既に手が出てます。

 

 長いピンク髪が特徴的な私の幼馴染の聖園ミカさん。短いピンク髪が特徴的なクラスメイトの、いいえ友人の光園ミサさん。女の子っぽいミカさんとは対称的に、男の子っぽいミサさん。金眼のミカさん、銀眼のミサさん。こうしてみると本当に。

 

「姉妹みたいですね」

 

「「誰がこんな奴と!」」

 

「むむっ」

 

「ぐぐっ」

 

 そっくりですね。

 

 ミサさんと知り合ったのは今年の始めですが、初めてミサさんを見たのは1年生の頃だったでしょうか。あの頃はミカさんとミサさんで勢力が二分されてて、混沌としていたのをよく覚えています。

 

 あの頃のミサさんは、明るく社交的で自然と人の輪の中心に居るような方で、ミカさんとよくぶつかっていましたね。ミカさんもよく愚痴をこぼしていました。

 

 1学期のころはそんな感じだったのですが、決定的に変わったのは夏休み明けの2学期でしょうか。ミカさんにそっくりだった長い髪をバッサリ切ってしまって、授業にもあまり出ずに射撃訓練場に籠もりっきりになってしまった。

 

 風の噂では、事件に巻き込まれたと聞いてましたが、それが彼女を変えてしまったのか。ただ、あの日のミカさんの言葉が気になりました。

 

『ミサちゃん、泣いてた。こわい、たすけてって』

 

 その日のミサさんは、普通に笑ってましたし、なんだったらミカさんを煽ってます。なのに、煽られた本人からこんな言葉が出てくるのはどういうことなのか。思えば、あの日のミカさんもどこか様子がおかしかった気がしますが、次の日には元のミカさんに戻っていました。

 

 姉妹のようにそっくりなので、何かしらのシンパシーを感じていたのか。しかし、それ以降それとなくミカさんに尋ねるものの、はぐらかされる。ですが、ミカさんはミサさんを見かけるたびに、ずっと目で追っていました。何故かと尋ねたら。

 

『わかんない。でも、目を離したらいなくなりそう』

 

 それから、ミカさんはミサさんを度々追い掛けてました。

 

 3年生になったある日、ミサさんが大怪我した。ヘイローが壊れかけるほどと聞いて背筋が凍りました。ミカさんもショックを受けてるだろうと思い、声を掛けたのですが……。

 

『……あの女……結局……』

 

 何を言ってるかは、所どころ聞き取れませんでしたが、その時聞いたミカさんの怒りようと、底冷えする声が耳を離れません。再度声を掛けると、いつものミカさんに戻りました。

 

 4年生になり、ミサさんが不良狩りしているという噂が流れました。噂ではなく、事実だったようで、ミサさんから距離を取る方が増え、ミサさんも学園にほとんど来なくなりました。

 

 ミカさんは何故そうなってしまったのか、知っている様子でしたが、そのことを聞こうとするとすごく嫌そうな顔をされます。

 

『あの女はね、ミサちゃんを壊して戦闘マシーンを作るのが目的だったんだよ。……許せない』

 

 そう吐き捨てたミカさん。あの女が誰かは分かりませんが、ミカさんは昔から思い込みが激しいきらいがあるので、今回もそうなのではないかと疑いましたが、なにぶん既に卒業した生徒らしく、真実は闇の中でした。

 

 5年生になる前、クラス分けのデータが端末に届いた。そこには私とミカさん、そしてミサさんの名前がありました。ミカさんからはうれしそうな電話が来ました。今まではクラスが違うせいで時間が合わず、学園にいつ来てるかも分からなかったので会えなかったけど、これからは会える、と。

 

 ですが、私はミカさんに言いました。危険すぎる、ミサさんに関わるのはやめておこう、と。相手は不良殺しだの、不良千人斬りなんて噂がある相手だ。下手に関わればミカさんが危険に。ですが、ミカさんは真っ向から私の忠告を否定しました。

 

『違うよ、ナギちゃん。ミサちゃんは今、ずっと戦っているせいで、どうやって普通の日常に戻ったらいいか分からないんだよ。今ミサちゃんに必要なのは、普通に過ごすことだよ』

 

 そんな馬鹿な、そう思いました。ですが、5年生になりミサさんが教室にやってきた。教室が静まり返る中で、ミカさんは物怖じせずミサさんに話しかけ、彼女の関心を自分に向けることに成功しました。

 

 その後、気を引こうとミサさんに話しかけ、授業の質問をするという形でミサさんの気を……いえ、あれは1年生の頃の私怨が含まれてましたね。しかし、事件はその後に起こりました。

 

 お昼の後の授業、体育は面倒だと帰ろうとするミサさんを、ミカさんが止めようとします。しかし、引き留めるために放った言葉が彼女の逆鱗に触れたのか、凄まじい怒りを露わにして、思わず『危ない!ミカさん!』と割って入りそうになりましたが、ミサさんはミカさんに手を上げることはせず、体育で決着をつけると息巻いて出て行きました。

 

 普通に手を出すものだとばかり思っていたので、ポカーンと私にあるまじき表情をしてしまいました。ミカさんは、ミサさんが手を出さないと確信していたように涼しい顔をしていたのも驚きました。ミカさんは、ミサちゃんはやさしいからね。と言ってましたが、本当に?

 

 その後の対決でも、ファウルを取ることなく、正面からミカさんと勝負していました。熱くなって周りが見えてなかったミカさんと、熱くなりながらも最後まで冷静だったミサさん。最後に軍配が上がったのは、ミサさんでしたね。ただ、勝利して悠々と帰ろうとしたのにミカさんにハメられてたのは、可哀想でした。

 

 後日、ミカさんにミサさんを紹介され、挨拶させていただきました。近くに居て分かったのですが、ミサさんは意外と冷静に物事を捉え、ミカさんが授業の質問攻めをしていたときも感じましたが、かなりの教養の高さが伺えました。そのせいで考えすぎるきらいがあるようですが。ですが、ミカさんに怒りを爆発させそうになったときも、努めて冷静になり、理性的に対処しようとしてました。結局、ミカさんに煽り倒されて怒りを爆発させるのですが。それでも、ミサさんは暴力をいたずらに振るうことはせず、言葉をぶつけるのみです。

 

 ここまできて、ようやく私は自身が風聞に惑わされていたのだと気付けました。噂が本当かどうか確かめもせず信じ込み、挙句にそれを通してミサさんを見ていたのです。フィルターを通さずミサさんを見れば、誤りだったとすぐに気付けたこと。私は自身をとても恥ずかしく思いました。同時に、ミカさんが正しかったことも。

 

 ミサさんを見ていると、たまに泣き出しそうな顔になったり、妙に怒ってたりと精神が安定しないことがしばしばありました。普段は、眠そうな顔をしていますので、余計に目立ったと思います。ミカさんはそれに気が付くと、すぐにミサさんをからかいに行きます。

 

 最近では、精神が安定してきたのかあまりそういう行動を取ることは少ないですが、心配で目が離せないというミカさんの言葉がよくわかりました。だからといって、夏休みに毎日遊びに行くのはやり過ぎですが。しかし、ミカさんがミサさんと交流する中で、勉強を頑張るようになったのは、うれしい誤算でしたね。

 

 まさか、こうしてミサさんと親しい間柄になるとは思いませんでしたが。新たに淹れ直した紅茶に口を付ける。

 

「ナギサ!」

 

「ナギちゃん!」

 

「「どっちが姉だと思う!?」」

 

 テーブルを乗り出して、二人が唐突にそんなことを言うものだから、驚いて目を見開く。

 

「えっと……なんの話ですか?」

 

 思い出に浸りすぎて、二人の話を聞いていませんでした。とはいえ、なんとなく想像はつきますが。

 

「さっきナギちゃんが姉妹みたいだって、言ったでしょ?」

 

「だから、ミカよりオレの方が姉っぽいよなって言ったらこいつが」

 

「なんでミサちゃんが姉になるの!どう見ても私だよ!?」

 

「姉が人のケーキパクるわけ無ぇだろ!」

 

「だったら!家でずっとゴロゴロしてるようなのが、姉になれるわけないじゃんね!?」

 

「なんだと!」

 

「なにさ!」

 

「―――ぷっ、あははははははっ!」

 

 二人のやり取りに、堪え切れず思わず吹き出してしまいました。

 

「ナ、ナギサ?」

 

「ナギちゃん?」

 

「いえ、ふふっすみません。なんかおかしくて、あはははは!」

 

 二人は笑っている私を見ると、毒気を抜かれたのかストンとイスに座り直す。

 

「ナギサに免じて、今日の所はこれで勘弁してやるよ」

 

「それは私のセリフだよ」

 

 よくわかりませんが、二人は仲直りしたようです。

 

「―――というか、ナギサはいつまで笑ってんだよ!」

 

「あははっ!すみませ、あはははは!」

 

「ナギちゃん、ツボに入ると中々収まらないもんね……」

 

 二人を見て、ずっと三人で仲良く過ごせますように、と願った。

 

 




光園ミサ
要介護系主人公。精神が安定してきて、調子に乗り出した。これが男の煽る姿か…?ミカの策略により、抵抗の少ないラインを見極められて女の子っぽい服を着せられる。甘いものは結構好きなので、ナギサの用意したケーキをパクパク食べる。二人から微笑ましげに見られているが、気付かない。キヴォトス人の不思議パワーの源を知り、試し撃ちしたら文字通り必殺技過ぎたので、即封印された。今回のごん太レーザー、どれくらいやばいかというと色彩ビナーのレーザーぐらい。

聖園ミカ
毎日家に遊びに来る女。目を離すと危ないからね、しかたないね。ミサを日常に引き戻したことにより、間接的に世界救ってる女。お前がナンバーワンだ。それはそれとして、過去に自分がやられたことはやり返す。最近では、ミサの精神が安定したこともあり、普通の友人関係で落ち着いてるが、本人的にはまだモヤモヤ。

桐藤ナギサ
最初はミサから距離を取っていたが、ミサとの交流の中で自身の間違いに気づいて、改めて友人認定された。ミサの精神の不安定さを知り、気に掛けていたがミカの行動が素早過ぎて特に出番がなかった。三人で過ごすのは楽しいのでずっと続いてほしいと願っている。なお、エデン条約編。


Q.どうやってレーザー防ぐんだよ!

A.暁のホルス呼んで来い

ついでにミサの属性は神秘、重装甲。重装甲なのはミカに弱いからというネタ。役割は耐久型のタンク。回避は低いが、高命中、高い攻撃力を持っていて置物性能高め。シールド持ちだがスキル構成が弱いので、あんまり採用されない悲しみの恒常キャラ。レーザー?封印したじゃんね?

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