イベント終わるまでになんとかミユ固有2にできそうで安心。
お話沢山書いたら、カヤ代行がプリンを一日4個食べてもいいと言ってたので頑張って書きました!え?やっぱりプリン無しで?―――弾劾だ!
あれから、私達は後のことを《正義実現委員会》に任せ、三人で遊びに行くことに「待って、待ってください」
「えー、急に何ナギちゃん」
「なんで自然な流れで付いてこようとしてるんですか」
「うーん、そうは言っても」
私は背中に引っ付いてるミサちゃんを見る。どうやら、人前で泣いたのが恥ずかしかったらしく、私の背中に引っ付いて離れようとしなくなってしまった。
「帰っても良いけど、そうしたら私にくっついてるミサちゃんも一緒に帰ることになるね?」
「ぐっ……そ、それならミサさん、私の後ろに隠れてもいいですよ」
「(ササッ)」
「……」
ナギちゃんは私の後ろのミサちゃんに手を差し出すが、ミサちゃんはナギちゃんとの間に私が入るように逃げてしまう。
「ぷっ、まぁこれが積み重ねた信頼の差って奴なんだよね」
「し、仕方ありません。このままで遊びに行きましょうか」
本当に渋々と言った様子で私の同行を許したナギちゃん。とはいえ、このまま歩くとなると私もちょっと歩きづらい。そう思ってると背中側から服を引っ張られる。
「ミ、ミカ……」
「ん?なぁに?」
「その、な、泣き跡隠せるようなメイクって無い?」
なるほど、ずっと顔を背中に隠してると思ったら、泣いた後の顔を見られたくなかったらしい。思ったより乙女な理由に背中がゾクゾクする。
「んー、一応手持ちのメイクセットで出来ると思うけど、ミサちゃんそんなにメイクして欲しかったんだね」
「か、からかわないでっ」
「あはは!ごめんごめん。ナギちゃーん」
「はい?なんでしょう」
「ちょっと化粧室行ってくるね」
そう言うと、ナギちゃんは疑うような目で私を見る。
「……何をしてくるつもりですか?」
「やだなー、私の事どこでも発情する猿かなんかだと思ってない?ミサちゃんのメイクが崩れたから、直してくるだけだってば」
「はぁ、わかりました。ここで待ってるので、くれぐれも変な事はしないように」
「はーい。じゃ、行こっか」
ミサちゃんを連れて、近くの化粧室へ向かう。化粧室に入ると、いくつか並んでる鏡台の一つに、ミサちゃんを座らせる。ピンクヘイローになっているからか、素直に応じる。鏡に映った自分を見てミサちゃんも気が付いたのか、目を彷徨わせていた。
私はその様子を見ながら、化粧品ポーチを取り出し、使う物を並べていく。ふと思い出したことがあったので、ミサちゃんに近づき囁く。
「ミサちゃん、帰ったら"おしおき"ね?」
「え!?」
ミサちゃんは驚いた顔をしていたが、ミサちゃんのヘイローは濃いピンクに発光していた。んん?見たことない反応だ。
「え、じゃないでしょ。"私"って言おうねって約束破って、"オレ"って言ったよね?」
「あ、あれはその……」
「ダメだよね?」
「……はぃ」
ミサちゃんは消え入りそうな声で同意する。それに伴ってミサちゃんのヘイローも、ピカピカと光ったり消えたり。うーん、反応に困るなぁ。
数分後、ミサちゃんをメイクし直してナギちゃんの所へ戻ってきた。ミサちゃんも、私の背中から離れ普通に歩いている。
「おまたせー☆」
「あぁ、二人共おかえりなさい。ミサさんは、大丈夫ですか?」
「ごめんナギサ、私のせいで時間取らせちゃって……」
「ミサさんの責任ではありませんよ。どうしてもと言うなら、ミカさんが責任取ります」
「酷くない?」
ナギちゃんの言葉を受け流しながら、どこに行くのか尋ねた。
「ふふふ、実は最近出来たという大型のショッピングモールに」
「あぁ、この前ミカと行ったところ?」
「え……?」
「あはは!服買ったり、映画観たり、お茶したり楽しかったねー☆」
「あ、はい。で、では、こちらの喫茶店は」
「ここって、ジャンボパフェ食べたところだっけ、ミカと行った」
「そだねー☆」
「こ、こちらは!」
「ミカと行った」
「ここ!」
「ミカと」
「こ!」
「ミ」
打ちひしがれ膝を突くナギちゃん。そりゃ、2年もあったんだから大抵の所はミサちゃんと行ってるに決まってるじゃん。
「ミカ、私何か悪いことしたかな……」
「ナギちゃんの自業自得だから、放っておいていいよ」
実際、今まで遊ぶ機会なんて作ろうと思えば作れたはずなのに、そうしなかったのはナギちゃん自身に問題があると思う。私も二人っきりにさせないだけで、一緒に遊ばないとは言ってない。そもそも、私が誘ってもお茶会があるからと断ったのは、ナギちゃんじゃんね。
私も付き合いがあるからと、お茶会に行ってたけど、ある時期からパッタリ行かなくなったなー。あぁ、そういえばミサちゃんは私と同じなんだって気付いた日からだっけ。私がお茶会よりもミサちゃんの近くに居ることを選んだのは。
「うぅぅぅん……あ!こ、ここはどうです!?昨日オープンしたテーマパーク!」
スマホを弄っていたナギちゃんが見せてきたのは、先日のプレオープンでかなり話題になり、昨日オープンしたばかりにも関わらず大盛況だったテーマパークだった。あれ?でもナギちゃんって……。
「テーマパーク……!」
が、それをナギちゃんに指摘する前に、ミサちゃんがすごく乗り気になってしまった。
「まぁ?正直、子供っぽいテーマパークとかあんまり興味無いけど、どうしてもっていうなら」
チラチラとナギちゃんのスマホを見ながら話すミサちゃん。わかりやすいなぁ。
「興味無いなら別の所にしよっか!」
私がそう言うと、一転して泣きそうな顔になり私に縋り付いてきた。
「嘘、嘘です。ごめんなさい、本当はすごく気になってます」
「最初から素直になればいいのに」
「では、決まりですね」
そう言うナギちゃんは、心なしか顔色が悪い。ナギちゃん、この手のアトラクションのあるテーマパーク苦手だもんね。
「ナギちゃん、大丈夫?」
「も、もちろんです」
ナギちゃんが大丈夫と言っている以上、私からは何も言えなかった。その後私達は、目的地までバスを使おうということになり、移動することにした。
特に何事も無く、テーマパークに到着した。本当は、バスの中でミサちゃんを虐めようかと思ったけど、ナギちゃんの目もあるし、楽しみにしてるミサちゃんに水差すのも悪いかなと思ったので、夜までは好きに楽しませることにした。
「ここがテーマパーク……!」
「以前までは、トリニティの外まで赴かねばならなかったことを考えると、こうして近場に出来たのは大変喜ばしい事ですね」
ミサちゃんは、あちらこちらにあるアトラクションに、目を輝かせながら目移りさせていた。
「……噂には聞いてたけど、すごく大きな施設だねー」
「そうですね。聞くところによると、かなり強い影響力を持つところが投資してるとか」
「へぇー、そうなんだ。ところで、その影響力を持ったところって?」
「それは……私も知りません。けれど、どうにもミト様も関わってるらしく……」
ミト様……確か、胡散臭そうなフィリウスの代表だっけ?
「ミカ!ナギサ!どこから回ろう!?」
と、そこにはいつの間に買ってきたのか、ミサちゃんがテーマパークのマスコットキャラクターを模したカチューシャを、頭に着けて手を振っていた。
「すごくノリノリですね。いつの間にカチューシャ買ってきたんですか?」
「うん!ジェットコースターとか乗ってみたい!」
「テンション振り切れてて聞いてないよ」
「こっち行こう!こっち!」
ミサちゃんは私達の腕を引っ張りながら、パーク内を進んで行く。仕方ないなぁ、ずっと勉強ばっかで息も詰まってただろうし、今日くらいは好きにさせてあげようかな。
ミサちゃんに連れられて来たのは、パーク内を縦横無尽に駆け巡る巨大ジェットコースターだった。わーお、いきなりハードなの来たね。
「こここここ、これに乗るんですか……?わ、わかりました行きましょう」
案の定、ナギちゃんは青い顔で震えていたが、見栄か意地かは分からないがニッコリと笑って、列に並ぶミサちゃんについて行く。
列が進むたびに、ナギちゃんの顔が面白いくらいにどんどん青くなっていった。ミサちゃんは、ナギちゃんの顔に気付かずにおしゃべりしていた。ミサちゃんは普段人の機微には鋭い方だったと思うのだが、気付かなくなるくらい鬱憤が溜まっていたのだろうか。今度お出かけするときは、こういう所にも連れて行ってあげよう。そんなことを考えてると、私達の番が回ってきた。
「やったー!一番前だ!」
ミサちゃんの言う通り、私達が乗るのは最前列だ。大きなコースターな事もあってか、三人ずつ乗れるので2:1で分かれるとかそういうのは無いようで安心した。
『こちら、三人ずつお乗りください。羽が生えてる方は、危険ですので必ず畳んでください』
荷物をスタッフに預けると、アナウンスに従い、羽を畳んで最初にナギちゃん、次にミサちゃん、最後に私が乗り込む。チラッとナギちゃんを見ると、乗っただけなのに既に吐きそうな顔をしている。ミサちゃんもようやく気が付いたのか、ナギちゃんを見て驚いた顔をしていた。
「ナ、ナギサ?大丈夫?苦手なら別に無理して乗らなくても……」
「わ、私なら大丈夫です」
「でも、震えて……」
「これは武者震いです」
「そ、そうなんだ」
流石のミサちゃんもナギちゃんを心配していたが、本人が大丈夫というので追及を諦めた。
安全バーが下りた後、ジェットコースターが動き始め、ゆっくりとレールに沿って登り始める。
「なんか、私もドキドキしてきちゃった……」
「ミカ、ミカ。ジェットコースターはね、両手を上げて叫ぶのがマナーだからね。一緒にやろ」
「へぇ、そうなんだ。ナギちゃんにはやらせなくていいの?」
「いや、怖がってる人に無理矢理やらせるのは悪いかなって」
ミサちゃんの視線に釣られてナギちゃんを見る。ナギちゃんは、両手で安全バーをしっかりと挟み込んでいて、お祈りまで始めていた。そんなナギちゃんを見て、私はちょっといたずらしてやろうとナギちゃんに声を掛ける。
「ナギちゃんナギちゃん!ジェットコースターに乗るときは、両手を上げて叫ぶのが"ルール"なんだって!」
「ええ!?そ、そうなのですか!?」
「い、いやあくまで楽しむ為のマナーであって……」
「そうだよ!だから、ナギちゃんもやろうね!そういう"決まり"だからね!」
何か言ってたミサちゃんを遮って、ナギちゃんに嘘を吹き込む。すると、ナギちゃんは神妙な顔になり。
「……わ、わかりました」
と、覚悟を決めた顔でジェットコースターの先を睨む。私はそれを見て、一仕事を終えた清々しい気持ちになった。
「ええと、いいのかなぁ?」
「いいのいいの。これを機に、ナギちゃんも苦手を克服するチャンスじゃんね」
やがて、頂点まで到達すると傾き、一気に加速した。
「きゃー!」
「わー♪」
「いやぁぁぁぁぁ!」
三者三様の反応を残して。
『本日はご利用いただき、誠にありがとうございます。お足元に気を付けてお降りください』
「あー、楽しかったー!自分で飛ぶのとまた違った楽しさがあるね!」
「緩急の付け方とか、三回転とかすごかったねー」
「うんうん!途中、終わったと見せかけてもう一回落とすのはびっくりした!」
「……」
私とミサちゃんが感想言い合ってる中、一人真っ白に燃え尽きてる人が居た。
「ふふ……ここが、天国なのでしょうか……?」
「帰ってこーい」
「……ハッ!」
ミサちゃんがぺしぺし叩くと、ナギちゃんはようやく意識を取り戻した。
「わ、私は一体……?」
「次はどこ行くー?」
「そこでナギサスルーするんだ」
こういうタイプのアトラクションばかりなのに、いちいちナギちゃんに構ってたら日が暮れるじゃんね。
「うーん、あれ乗ってみたかったんだけど」
そう言ってミサちゃんが指差したのは、フリーフォール型の絶叫マシンだった。ミサちゃん、絶叫系好きだったんだね。
「わ、私は大丈夫です。行きましょう……アレ高すぎませんか?」
「だって、333mあるもん」
「さんっ!?なんでトリニティタワー並の高さあるんですか……」
トリニティタワーというのは、トリニティの観光区にあるタワーで、その名の通り3つの塔を指す。小さいものから順に、333m、666m、999mとなっている。トリニティにおいて、最も有名な観光名所の一つとして挙げられる。一般開放されてるのは666mの塔までだが、その巨大な塔を一目見ようと、999mの塔も観光客でいっぱいになることが多い。
「……ごめんね、ナギサは怖いの苦手なのに無理言って、私はいいから他のにしようか?」
「うっ」
しょんぼりしたミサちゃんが、無理した笑顔でそう言うとナギちゃんは呻き声を漏らす。わかるよ。ミサちゃんのあの顔を見ると、すごい罪悪感あるよね。わかる。
「……行きますよ」
「え?」
「行くと言ってるんです!先程のジェットコースターに比べたら、ただ落ちるアトラクションなんて怖くありませんよ!そうですよね、ミカさん!?」
「そうだねー」
どう見てもヤケクソだったが、言わぬが花だろう。その後、ナギちゃんに押されるままアトラクションに乗り込む。アトラクションが上昇し始めると、冷静になったのかまた顔が青くなるナギちゃん。
「ナギサ、大丈夫……じゃなさそう」
「うぅ……!」
「ほら見て、ナギちゃん。トリニティタワーがよく見えるし、景色も綺麗だよ」
「ほ、本当ですね。景色がすごく綺麗でぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
一番上に到達した辺りで、ナギちゃんに声を掛けて意識を逸らしてあげると、急に落ちて絶叫していた。これぐらい絶叫してもらえると、絶叫マシン冥利に尽きるよね。
「ミカ……」
「えへへ、ごめんつい☆」
その後、グロッキー状態になったナギちゃんを休ませる為、近くのレストランで休憩がてらお昼を取ることにした。
「立派な外観だったから、高いお店なのかなって思ったけど、案外安いんだね。ミサちゃん、何食べる?」
メニューを見ると、どれも一品5000~10000程度だった。テーマパークだから、軽く食べられるものを出してるのかな?
「そうだね、安い……安いか?じゃ、じゃあ私はこのブルーオーシャンジャンボパフェで」
「もう!それはデザートでしょ。ミサちゃん、普段食べてなかったんだからちゃんとしたモノ食べないと!」
「うっ……夏限定って書いてたからつい。じゃあこのサイコロステーキで」
目を離すと、すぐ偏食しようとするんだから。
「ナギちゃんはどうする?」
「では、私は三色シチューで」
わーお、カラフル。私は、パエリアにしようかな。注文も決まったので、呼び鈴を鳴らし店員を呼ぶ。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「パエリアとサイコロステーキと三色シチューで、前菜にサラダの盛り合わせと食後のデザートにブルーオーシャンジャンボパフェお願い」
「お飲み物はいかがなさいますか?」
「三人とも紅茶で」
「かしこまりました。少々お待ちください」
注文を終えると、ミサちゃんが嬉しそうな顔で私を見ていた。
「ミカ、パフェ……!」
「ふふ、最近勉強がんばってたからご褒美だよ」
「そういえば、このまえ期末試験でしたね。どうでしたか?」
「え?うーん、90点台は堅いと思うけど、結果が出ない事にはなんとも」
「余計な横槍さえなかったら、ミサちゃんなら余裕だよ」
「そ、そうかな?」
今回は、警備も強化してるみたいだし、ウチの首長にも釘は刺しておいたから大丈夫だと思う。必要無いかもしれないけど、一応ダメだった場合のことも考えておかないとね。
「大丈夫そうで、安心しました。私も《ティーパーティー》での話は聞いていましたから」
「……正直、今でも意味が分からないんだけど、急に停学になるかもって言われたと思ったら、次の期末で良い点取れって言われて。"お茶会"にかこつけて何してるわけ?」
ジトーっと、ミサちゃんは疑わしいものを見る目でナギちゃんを見る。ミサちゃんの疑念は尤もだろう。様々な思惑が重なった結果というか、ミサちゃんに関してはほとんど事故みたいなものだったけど。
「えーっと、ごめんなさい。《ティーパーティー》内の話を外に漏らすわけには行かないので、あまり詳細を話せないのです」
「ふーん、まぁいいけど」
いいけど、と言いながらもその顔には不満が浮かんでいる。ミサちゃんからすれば、納得出来ないよね。前菜のサラダをポリポリと食べながら、二人の会話を見守る。
「そ、そういえば!ミサさん、この前誕生日でしたよね?まだ直接お祝いしてませんでしたね、おめでとうございます」
傍から見ていても苦しいと分かる急な話題転換。ミサちゃんも呆れてたけど、その話題に乗ってあげた。
「直接も何も、今年は今日初めてお祝いしてもらったんだけど」
「え?」
「ん?」
二人は話が噛み合わず、首を傾げる。それを見て、私はそういえばと冷や汗が流れる。
「あの、モモトークで誕生日の日に送ったと思うんですけど」
「きてないよ、ほら」
「……おかしいですね。私の方には履歴が残ってるんですけど」
「どゆこと……?」
ナギちゃんは、悩んだ素振りを見せたかと思うとハッとなり、私を見てきた。私はサッと顔を背けて無視する。
「ミカさん……?」
「あっ!料理来たみたいだよ。おいしそうだねー☆ほらほら、これミサちゃんのだよ」
「あ、うんありがとう。いただきます」
ミサちゃんは料理を受け取ると、ナイフとフォークを持ち嬉しそうに食べ始める。よし、ミサちゃんの意識は逸らせた。ナギちゃんも、それを見て問い詰めても聞き出せないと悟ったのか、料理に手を付けた。
その後、真っ先に食べ終えたミサちゃんが、パフェを持って来てもらえるように頼んで数分後。
「―――デカい」
ミサちゃんの目の前には、ミサちゃんの頭より大きいパフェが鎮座していた。澄んだ青い海を思わせるブルーハワイに、星形のチップなどを中に浮かせ、底にはシリアルを細かく砕いて敷き詰めて砂のように演出。上にはバニラ、ウエハース、サクランボ、ゼリーと乗せ放題。下と上の落差やカオス具合たるや……。
「ブルーオーシャンって言うだけあってすごく綺麗だねー」
「写真撮って、ツイに上げとこ」
そう言ってスマホを取り出すと、カメラを起動して写真を撮る。一応、事前に店員さんに撮影は大丈夫と聞いていたので、問題ないだろう。
「ミサさんってSNSをやってらしたんですか?」
「私がミサちゃんに教えたら、思いのほかハマっちゃって……」
ナギちゃんは驚いた顔をしている。意外なのかもしれないが、そもそもミサちゃんは承認欲求の塊みたいなものだから、むしろ適正しかなかった。元々は、普通の女の子はこういうことしてるんだよ、と教えたのだがまさかこんなにハマるとは思わなかったよ。
ミサちゃんのツイのアカウントを確認すると、先程上げた写真がもう一万いいねも。コメントも沢山ついててミサちゃんはご機嫌そうだ。自己肯定感の低さと承認欲求の高さを同時に消化できる、良いツールを教えて上げられたんじゃないかな。
「そうなんですね。まぁ、炎上しないようにだけ気を付けてくださいね」
「……そのー、もうしちゃったというかなんというか」
「は?」
私は無言でミサちゃんのアカウントを見せる。
「……"トリニティの問題児"」
ミサちゃんのユーザー名だ。SNSでは本名はダメだよ、と教えたらこうなった。どうしてそうなった。ミサちゃん、そう呼ばれてるのミサちゃんだけだから、それはもう個人を指してるんだよ。
当然、SNSをやっている他のトリニティ生も気が付いて、即ミサちゃんは身バレし炎上したが、なぜかフォロワーが増えた。トリニティでは引かれる事でも、他の学区だとフーンで流されることが多い故なのかも。こういうところで、トリニティの内と外とで常識が変わるんだなー、と実感させられる。それはそうと、今度ユーザー名は変えさせよう。
「いただきまーす!あむっ……んー!おいしー!」
私達の気を知ってか知らずか、呑気にパフェで舌鼓を打って幸せそうな顔をしていた。その顔を見ると、色々どうでもよくなる私がいて、いい気分になる。
「ミサちゃん!私にも一口ちょうだい!」
「はい、あーん」
「あー……ん!おいしっ!」
「だよね!」
「ふふっ」
食後のティータイムも済ませた後、会計して出る時ミサちゃんは「……たかっ」と呟いていた。ミサちゃん、前は月の支払いがこの十倍以上のマンションに住んでたのに、偶に金銭感覚バグってるよね。
その後、遊ぶのを再開した私達は、午後からはショーなどを中心に見て回った。水を使ったショーを見ていた際、ハプニングもあり……。
『ひゃっ!?……あはは、濡れちゃった』
『ミサさん、大丈夫で……!?』
『……わーお』
『へ?―――あ!?み、みないで!?も、もう……えっち……』
ブラウスが濡れ、下のピンクのブラが透けて見え、しかもそれを恥ずかしがって隠すのが可愛すぎて、危うくその場で押し倒し掛けた。……あぶないあぶない、夜までは我慢しないと。
そんなこんなで楽しんだ私達は、最後に大きな観覧車に乗った。
「わー……!いい景色!」
「本当ですね。ってわざわざ絶叫マシンで景色を見せなくてもよかったじゃないですかっ」
「あははー、あれはちょっとしたスパイスだよ。ねっ、ミサちゃん……ミサちゃん?」
ミサちゃんの方を見ると、イスに座ったまま舟を漕いでいた。
「んぅ……?」
「あー、今日は結構ハシャいでたもんね。着くまでの間横になる?」
「ぅん……」
「そのまま横になると頭痛めちゃうから、ほら私の膝の上に頭乗せていいよ」
「んー……すー……」
私の膝に頭を乗せると、そのまま可愛らしい寝息を立て始めた。頭を撫でると、くすぐったそうに身を捩る。
「ふふ、疲れてたんだね。すぐ寝ちゃった」
そうして頭を撫で続けていると、向かいに座ってるナギちゃんがジッとこちらを見ていた。
「どうしたの?ナギちゃんも頭撫でたかった?」
からかい気味にそう聞くと、ナギちゃんは慌てて否定する。ここにも素直じゃない女の子が一人。
「ベ、別にそういうわけでは!?ただ、仲が良いな、と思いまして」
「それはそうだよ。もう何年も一緒にいるし、今は一緒に住んでるしね」
「そうですよね……ん?一緒に住んで?そ、それって一体どういう」
「あ、あれ?言ってなかったっけ?」
「聞いてませんが!?」
ナギちゃんに、ミサちゃんとの時間を増やすために一緒に住むことにした、という経緯を説明する。
「ミカさん、貴女は本当に昔からその場の勢いで物事を決めますね」
「あれ?褒められてる?」
「褒めてませんが」
「いやー、照れるなー」
「褒めてませんが!」
私はぶーと口を尖らせて拗ねる。そこまで強く否定しなくていいじゃんね。
「まぁ、確かにその場の勢いで決めたけど、別に勢いだけで決めたわけじゃないよ。私達と一緒に居ないときのミサちゃんが、どういう生活してたのかも分かっちゃったしね」
「……どういうことですか?」
私は、ナギちゃんに少し前にあったことを話した。それは、《勉強部屋》で出前を頼んだ後、用事で少し出なければならなかったので、ミサちゃんに先にご飯を食べさせていた。その後、用事を済ませ部屋に戻ると、ミサちゃんは食べたものを吐き出していた。
『ミサちゃん!?』
『あ……ごめ……ご飯……ゲホッゲホッ!』
『それよりもこれって、ミサちゃん一旦病院に行こう』
『で、でも……どこも悪くなんて……』
『いいから!』
『……うん』
その後、病院で一通りの検査を受けさせた後、お医者様から告げられた事に私は驚愕した。
「拒食症!?」
「の一種なんじゃないかって。一人でいると、精神に強いストレスが掛かってご飯が食べられなくなっちゃうみたい。そのせいで、ご飯を全く食べない日もあるみたいで……」
「……気付きませんでした」
「私だってそうだよ。私達といる時は、おいしそうにご飯を食べるから、余計にね」
しかも、ミサちゃんの話を聞く限り、ご飯を食べられなくなったのは初等部の4年生辺り。つまり、元々の精神への強いストレスが原因だろう。一種のうつ状態だ。ミサちゃんは、長い間この状態が続いてるからか、異常を異常と認識できなくなっていた。兆候はあったのに、気付けなかった私に嫌気が差す。
「……まさか、ミサさんが妙に痩せてるのは」
「……たぶん、そう」
ミサちゃんのメンタル面が弱いのは分かっていた、分かっていたはずだったのに……!掴んだ座席がミシミシと悲鳴を上げる。周りと壁を作るのも、自分の心を守る為の一種の防衛本能だったのだろう。
「それで、色々参考にするためにミサちゃんのスマホを見てたら、誕生日の日にナギちゃんが呑気におめでとうメッセージ送ってるから、ムシャクシャしてつい……ごめん」
「そういう事情でしたか……それなら良い、いえ良くはないですけど、仕方の無いことではありますから私は構いませんよ。……ミサさんの前でこの話をしなかったのは」
「……うん、あまりミサちゃんの精神に負担掛けたくなくて。ミサちゃんが聞いたら、絶対に気にしちゃうから」
元気になったように見えても、ミサちゃんは今でも限界ギリギリだ。だからこそ、ちょっとでもメンタルが揺さぶられたら、すぐに崩れてしまう。この前の、通達書を渡された日がいい例だろう。
「治る見込みは、あるんですか?」
「うん幸い、食生活を改善して、ケアすれば徐々に回復するだろうって」
「ほっ、それを聞いて安心しました」
「それで、ミサちゃんには病気の事とか伝えずに、一緒に暮らす理由も私が一緒に居たいからって言ってあるから」
「……分かりました。ミサさんには秘密にしておきますね」
「うん!ありがとうナギちゃん!」
やっぱり、持つべきは幼馴染だよねー。
「ミカさんの事情は分かりました。たぶん、私ではミサさんを元気にすることは出来なかったかもしれません」
「ナギちゃん……」
「それでも!ミサさんに、その、えっちなことをしてるのは全然!全く!許せない事なんですが」
「あ、あれもケアの一環だから……」
「でも、一番許せないのは何もしてこなかった私なのかもしれません。なので、今はミサさんをミカさんに預けます。私がミサさんに何が出来るかを定めるためにも」
「……うん、分かった」
下りに入った観覧車。西日がトリニティタワーを照らし、一層輝かせていた。
「……あまり、景色を楽しめませんでしたね」
「あはは……そうだね、でも」
膝の上のミサちゃんの頭をひと撫でする。
「また今度、三人で楽しもうよ」
「そうですね。……ミカさん、あと一つだけ聞かせてもらっていいですか?」
「改まってどうしたの?」
「ミカさんは、ミサさんの事好きですか?」
「え?好きだよ?だって大事な友達だもん」
「いえ、そういう意味ではなく……」
ナギちゃんは、口をまごまごさせていたがどういうことなんだろう?ナギちゃんの言ってる意味がよく分からなかった。
「……自分で気が付いた方が良いと思いますので、私からは何も言いませんが……ですが、早めに気付いた方が良いかもしれませんよ」
私は、ナギちゃんの言葉の真意を読み取れず、首を傾げるばかりであった。そうしてる内にゴンドラが地上に近づいてきたので、ミサちゃんを揺すって起こす。
「ミサちゃーん、そろそろ着くよー」
「んー……んぅ?あれ?ミカのチンチンは?」
「何の話!?」
「ミカさん……」
「ち、違うから!?夢の私だから!」
最後の最後で、寝惚けたミサちゃんに爆弾を落とされて終わったデートだった。
園を出て、ナギちゃんと別れた後、私とミサちゃんは同じ帰路に着く。帰ってる最中も、ナギちゃんに言われたことが頭の中で回っていた。ナギちゃんの好きと私の好きは何か違うのだろうか。
「―――カ、ミカ!」
「え!?ご、ごめん。なに?」
「なにって、着いたよ」
「え、あ……」
考え事をしていたら、いつの間にやら家に着いていたらしい。
「あはは、ごめんごめん。ちょっとボーっとしてた」
「……大丈夫?疲れてるなら、家の事は私がやっておくけど」
鍵を開けて、家の中に入りながらミサちゃんは心配そうに私を見る。
「大丈夫だよ!それより、ちゃっちゃとお風呂入ってご飯食べちゃおう!私もうお腹ペコペコだよー」
「そ、そっか。何かあったら言ってね。私は、その、ミカの味方だから……」
「ふふ、ありがとうね」
そう言ってミサちゃんの頭を撫でると、顔を赤らめて俯く。それを見て猛烈に、襲い掛かりたい衝動に見舞われたが我慢した。
その後、何事も無くお風呂と食事を済ませ、ベッドに入っているとネグリジェ姿のミサちゃんがソワソワしながら私を見ていた。
「ね、ねぇミカ。今日はしないの?」
「え?なにを?」
急にどうしたんだろう。ミサちゃんは顔を赤くしてモジモジする。
「な、なにってその……ほら!私、悪いことしたから"おしおき"を……」
「……」
ミサちゃんってドMだったのだろうか。ミサちゃんが顔を赤らめてる横で、真剣にそんなことを考えてしまう私。ミサちゃんのヘイローは相変わらず濃いピンクに発光している。どういう感情なんだろう。あ、でもナギちゃんが居る時は光って無かったな。
とはいえ、据え膳食わねばと言う奴だろうか。とりあえず、ミサちゃんを押し倒してみた。
「ひゃうっ、あ……んっ」
そのまま、ミサちゃんの鎖骨に何度も唇を落とすと、面白いくらいにミサちゃんが鳴く。
「えっちだね、ミサちゃん」
ミサちゃんの耳元でそう囁くと、白い肌が朱に染まっていく。
「う、うん……!えっちなわるい子だからいっぱいおしおきして」
手を広げ、そう誘ってくるミサちゃんを見て、またもナギちゃんの言葉がリフレインする。
『ミカさんは、ミサさんの事好きですか?』
好きだよ、大好き。なのに、どうして心がモヤモヤするんだろう。私は、そのモヤモヤを振り払うように、ミサちゃんにその欲望を吐き出した。
―――後日。
『♪撲殺天使アルミサエルちゃん♪
なんかユーザー名変えた方がいいよって言われたので変えたよ!
トリニティの問題児だけどよろしくね!』
「……違う!そうじゃない!」
ミサちゃんに、ユーザー名を変えさせたけど、特に意味が無かったのは言うまでもない。
光園ミサ
今回ずっとピンクだった子。幸せそうにしてる裏で、クソ重曇らせ設定あるの良いよね。SNSではフォロワー100万人越えの有名人。おかげで他校にも名が知れ渡る。基本、その日の出来事や、食べ歩きの報告などが主な内容。そして、自己主張の激しくなるヘイローくんちゃん。
聖園ミカ
その場の感情と勢いで行動すると言われたら、そう。でも、何も考えてないわけじゃない。え?誕生日メッセ?だってムシャクシャしたじゃんね。ナギサに言われた言葉は、ずっと心の内で引っ掛かってる。
桐藤ナギサ
相変わらずの被害者枠。とはいえ、今回の騒動に関しては自分の悪い部分が大きかったと結論付けた。その上で、ナギサなりのミサとの向き合い方を模索していく。
R-18お待ちの方はもうちょい待って。ネタは大量にあるけど、中一の話を書き切りたいので。次話がミサ視点で、次の次がナギサ視点ってもう決まってるのよね。仕事の掛け持ちを始めてから執筆時間が…時間が…。
感想返しってしたほうがいい?
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いる
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いらない