最近、メメントモリのEtoile(エトワール)聞いてるんだけど、歌詞がめっちゃミカで泣いた。ボーカルがシモツキンだし、普通に良い曲だからおすすめ。
ミカと過ごす、3度目のクリスマスがやってきた。
「やー!やっと終わったー!もう、勘弁してほしいよね。クリスマスと終業式を重ねるのはさ」
教室にて、ミカはそう言いながら体を伸ばし、ぐでーっと机に倒れる。
「ねー、ミサちゃんもそう思うでしょ?」
「……私は、全校生徒強制参加のクリスマスのミサが一番きつかったな。音楽堂貸し切ったやつ」
「あー、いつもなら自由参加だったけど、今年は被っちゃったからねー」
いつも参加しない生徒の、早く帰らせてくれオーラは凄まじかった。
「ミサちゃんミサちゃん、この後どうする?」
「んー去年までなら、ナギサんちでパーティーしたり、私の家で遊んでたけど……」
「あー、ナギちゃん今年もダメそうなんだよね。なんかフィリウスの首長候補になっちゃったらしくてさ、あっちこっちに敵がいっぱいみたい」
「ふーん」
少し心配ではあったけど、ナギサはこのまま行けば原作通りではあるのか。……ミカがどうなるのかが読めないけど。それとなく、パテルの首長を薦めて……いや、意味が分からんな。うん、放置しとこ。最悪、ミカじゃなくても良いかもしれない。
「じゃあ、今年もミカと二人か。とりあえず、クリパの準備するために街に買い物でも行く?」
「そだね、賛成!街のイルミネーションも見てみたいし!」
という訳で、クリスマスパーティーの準備も兼ねて街の様子を見に行くことにした。
「わー!今年もすごいね!あ!あの飾りかわいー!」
街の色んな所にイルミネーションが飾り付けられ、クリスマスムード一色だった。
「ミカ、そんなにふらふらすると他の人にぶつかっちゃうから」
「えへへ、ごめんごめん。かわいくてつい」
光るものに引き寄せられるように、ふらふらするミカの腕を掴んで止める。
「今日のお夕飯はどうする?」
「今夜冷えるらしいし、温まるビーフストロガノフにしようかなって思うんだけど」
付け合わせに、サラダや人参のグラッセでも作ろうかな。
「わーい!ミサちゃんの手料理大好き!」
半年前にミカに作って以来、こうして偶にミカに料理を作るようになった。オレは別に毎日作っても良かったんだが、ミカが毎日は申し訳ないからと、オレへの負担も考えて外食で済ませることもある。それでも週5くらいで作ってはいるので、外食は本当にたまの息抜きぐらいだ。オレが料理を作るとミカが喜んでくれるし、オレも料理を楽しんでいた。
「―――あれ?ミサさんじゃないですかぁ!」
聞き覚えのある声が聞こえて、振り返る。
「なんだ、ユイノか」
「なんだって友達に酷くありませんか!?」
以前知り合った《正義実現委員会》に所属している
「ユイノちゃんだ、やっほー☆」
「あ、こんにちはミカさん!お二人でデート中でしたか!」
「うん、私の家でクリパするから買い物のついでにね☆」
「クリパいいですねぇ!」
オレは基本ミカと居ることが多いので、当然ミカとユイノに面識が出来る。しかし、ユイノの方が先輩のはずなんだがな……。オレ達は中一で、ユイノは中三だ。なのに、どうみても関係性が逆転してるように見える。まぁ、本人達が付き合いやすい関係が良いだろう、ということにしておこう。
「ユイノは今パトロール中?」
「そうです、クリスマスは色々ありますから、メンバーフル投入で全域の警備に当たっています」
「うわー、大変だねー」
人が多くなると必然的にトラブルも増えるからな。仕方の無い部分もあるだろう。
「まぁ大変ではありますが、ミサさんのいる所は比較的大人しいのでその点助かっています!」
「私を見た瞬間逃げ出すからね」
「そういえば、去年行った夏祭りでも似たようなことあったよねー」
「あはは!流石はミサさんですね!」
今年の夏ぐらいから不良に絡まれることが減り、それどころかオレを見た不良が悪さをやめるという、治安維持に謎の貢献をしていた。そんな訳で、ここ半年くらいかつてないほどに、かなり平和に過ごさせてもらっている。
「―――せ、先輩!」
「あれ、ハスミちゃんじゃん」
「あ、ミカさん」
しばらく談笑していると、黒髪の少女がユイノを呼びに来る。
「あ、前にナンパに絡まれてた子」
「あ、その節はどうも……」
「ミサちゃん?言っとくけど、同じクラスだからね?」
「え、そうだったの!?」
少女を見るとコクコクと頷いていた。いや、気付けよ俺。
「ハスミさんが前に話していた助けてくれた人って、ミサさんの事だったんですね」
「ハスミちゃん、委員会に入ったんだぁ~」
「は、はい。あの日、ミサさんに助けられたのに、私はミサさんの事を助けられなかったから。そんな私を変えたくて委員会に入ったんです」
「私は別に気にしてないけど」
ミカにはお仕置きされたけど、結果丸く収まったし。
「私が気にするんです!なので恩返しさせてください!」
「あ、はい」
「ミサさん、もしかして結構モテます?」
「困ってる子見かけたら、何も言わずに助けるから割とね」
ミカとユイノが後ろでヒソヒソと話しているが、よく聞こえない。何の話をしてるんだろう。
「あ、ちょっと待っててください、電話が」
ユイノの制服のポケットから着信音が流れる。クラシック好きなのか。
「はい……はい……分かりました。直ぐ向かいます……はぁ」
「電話何だったの?」
「近くで暴漢が数人暴れてるから、応援が欲しいそうです」
「クリスマスで羽目を外し過ぎたやつだ」
「そのようですね。では私達は仕事があるので、これで。ハスミさん、行きますよ!」
「はい!ミカさん、ミサさんまた学園で!」
「お仕事がんばって~☆」
挨拶もそこそこに、慌ただしく去っていく二人。
「来るのが唐突なら、去るのも唐突だった」
「ホントだね」
「私達も行こっか」
「うん!まだ買い物も済ませてないしね!」
必要なモノの買い物を済ませ、家に送った後も二人で街を歩くことにした。そういえば、ハスミって名前どこかで聞き覚えあるような……まぁいっか。
「こうして見て回ってると、普段見慣れた場所でも全然違って見えるね!ふしぎー」
「うん……そうだね」
オレは曖昧に返事をしながら、バッグに視線を向ける。コレ、いつ渡そう……。タイミングを見計らっていたら、どんどんタイミングを外して行ってるような、そんな感じに。
「どうしたの?」
「う、ううん!なんでも!」
ば、ばか~!オレのバカ!今渡せたじゃん!うぅ、去年まではどうやって渡してたか思い出せない。こんなに緊張してたっけ?
「―――くしゅっ」
「ミカ?大丈夫?」
「えへへ、ちょっと冷えて来たね」
「あ、だったら」
「ん?」
今渡すしかない!そう思い、バッグの中を漁り、目的のモノを取り出す。綺麗にラッピングされたそれをミカに差し出した。
「これ、あとで渡そうって思ってたんだけど、クリスマスプレゼント」
「え!いいの!わー、なんだろー!開けてみていい?」
「う、うん」
ミカはがさがさと包装を剥がすと、中身を取り出す。
「マフラーだ!あ、私の名前が入ってる!」
「その、ミカ冬寒そうだったし、今年は誕生日プレゼント渡せなかったから、なにか凝ったもの渡そうって思って。初めて作ったから、ちょっと失敗もしたけど」
「え?もしかして、手編み?」
「うん、ミカの名前入れる時、色を変えたんだけど初心者にはちょっと早くて、形が歪になっちゃった」
「そ、そっかぁ。あ、私もプレゼント今渡すね。はい!」
ミカから渡されたものは可愛くラッピングされていて、開けるのに躊躇したが貰って開けないのも失礼と思い、中身を取り出すとマフラーだった。
「……え、これって」
「あはは、考えることは一緒だったんだね。ミサちゃん、毎年冬は寒そうだったから、今年は誕生日に何も渡せなかったし、って思ったんだけど。まさか、そこまで考えが似るとは思わなかったよ」
マフラーには『MISA』と入っており、名前を入れるところまでシンクロしてしまうとは。
「今着けてもいい?」
「あ、じゃあ私も!」
二人共その場でマフラーを巻く。
「えへへ、お揃いだね!」
「な、なんかちょっと恥ずかしい」
そう二人で笑いあっていると、日が落ちて来たからか、付いていなかったイルミネーションが一斉に付いていく。それは光の波が広がっていくようで、神秘的な光景だった。
「わぁ……!すごい!あ、みてみて!巨大ツリーだ!」
「ミカ!急に走ると危ないって!」
その大きなクリスマスツリーは、今日用意されたものの中で一番大きいツリーだった。
「今日は曇りで、星は残念ながら見れなかったけど、一番大きなお星さまは見れたね☆」
ツリーの一番上で輝く星を見て、ミカはそう言った。
「……うん、そうだね」
その後、観光もそこそこに帰宅したオレ達は、買ってきた食材で当初の予定通りささやかなパーティーを開いた。
料理も食べ終わり、食器を洗い終えると、部屋の中にミカがいないことに気付く。
「あれ?さっきまでソファでだらけてたのに」
玄関の方には向かっていないだろう。キッチンの前を通るから流石に気付く。なら、と思ってテラスの方を見ると、いた。冷えるので、自分の分のタオルを肩に掛け、ミカの分のタオルを持って外に出る。
「ミカ」
「あ、ミサちゃん」
「はい、流石に冷えるよ」
「えへへ、ありがとう」
そのまま、ミカの横に並んで空を見上げる。今日は天気が悪く、生憎の曇り空だ。
「……何見てたの?」
「んー、星が見たいなって急に思っちゃったから出てきたんだけど、何も見えないね」
あはは、と頬を掻きながら苦笑する。
「……こうしてると、二年前のクリスマスを思い出すね」
「うん、あの時は私が外に出てたのをミカが見つけたんだっけ」
「あはは、あの時と逆になっちゃったね」
二年前も色々あったな。今年も負けず劣らず色々あったけど。
「……ミサちゃんはさ、昔の方が良かったとか、昔に戻りたいって思うことある?」
「思わないよ」
「そうなの?」
「あの時、こうしていればって思う事はあるけど、それで昔に戻りたいって思わないよ。だって、それは今の良さや今の関係を否定することになるから。……確かに、昔の方が良かったと思う瞬間はあるかもしれない。でも、それはこれから変えていけるものだから。昔の方が良かったなら、今を昔より良くしていけばいい。私はそう思うよ」
「……。ミサちゃんはすごいなぁ。私はそんな風に考えたことないや」
「すごくなんてないよ。失敗ばっかりしてさ、ずっとミカに迷惑掛けてる。たぶん、今も」
「……」
星が見えない空は、どこまでも暗く飲み込まれそうだ。
「ねぇ、ミカ。何か悩んでいる事があるんでしょ?」
「ど、どうして?」
「分かるよ。ミカが私の事を分かるように、私だってミカの事が分かるんだもん。半年前からだよね?」
「……別に頼りにならないから、ミサちゃんに相談しないとかじゃないからね?」
「分かってるよ。……私の事なんだね、悩みって」
傍で見ていたから分かる。たぶん、ナギサに言われたんだろう。だから、誰にも相談できずにいる。
「うっ……」
「話したくないなら、話さなくてもいいよ。話してくれるまで待つから。ミカが私の味方だって言ってくれたように、私もミカの味方だからね!」
「ミサちゃん……」
「ほら下見て、星は見えないけどこの光も綺麗じゃない?」
「あ……すごい、街の光が海みたいに広がってる」
「ずっと上向いてたら首が疲れちゃうからね。偶には下を見ないと!」
人々の暮らしが光となって、街を行き交う車が光の川を作っている。
「ミカ、これだけは憶えておいて、ミカが辛い時や苦しい時があったら私が必ず助ける。何があっても、どんなことがあっても絶対に。ミカが私にそうしてくれたように」
オレはミカに向かって、小指を差し出す。
「約束」
「……えっと」
しかし、ミカはそれを見て戸惑うように見るだけだったので、無理矢理ミカの手を取って小指を絡める。
「ゆーびきーりげーんまーん、うーそつーいたーら、はーりせーんぼーんのーます!ゆびきった!はいもう約束したから、約束破ったら針千本飲ませまーす」
「ええ!?というかこの場合飲むのミサちゃんだよね!?」
「そんなことはない」
「もう……私、ミサちゃんに相談しないかもしれないよ?」
「ずっと待ってるよ」
「私、助けてなんて言わないかもしれないよ?」
「勝手に助けに行くから大丈夫だよ」
「……そっか、じゃあミサちゃんにはずっと待ってて貰おうかなー!」
よく分からないけど、元気が出たらしく笑ってそう言った。
「私としては、気になるから早く言って欲しいかなーって」
「えー、どうしよっかなー」
「うぅー!いいじゃん!私頑張ってるのにー!」
「あはは!じゃあもっと頑張って貰おうかな」
「むー」
そんな感じで言い合ってると、空からヒラリと冷たいものが落ちてくる。
「―――あ」
「……ふふ、ホワイトクリスマスだね」
「ホントだね」
雪の結晶は、ヒラヒラと街に降り注いでいく。この分だと明日は積もってるかもしれない。
「冷えちゃうし、そろそろ部屋に戻ろっか」
「そうだね―――っぷちゅ」
「ってミサちゃん、言ってる傍からー」
「い、今のはくしゃみじゃなくてしゃっくりだし!」
「はいはい、部屋に戻るよー」
「ちゃんと聞いてよー!?」
ミカ、必ず守るよ。だって、もう決めたから。
光園ミサ
地味に色んな所に知り合い作ってる。ユイノとは街中で会った際、普通にお茶する仲。シエル談議で盛り上がる。ミカの事は悩んでるのは気付いてたけど、いつか相談してくれるのを待ってる。なお、されない模様。
聖園ミカ
最近、ミサの女子力が留まる事を知らないのでちょっと焦ってる。ミサの友達が増えるのは嬉しいけど、ナギサに言われた事が気になって、ずっとモヤモヤ。内容が内容なのでミサに相談出来なかったが、「まぁいっか!」と思考放棄。ミサに心配かけるくらいなら考えない方がいいってなった。
桐藤ナギサ
ミトの置き土産により政争のど真ん中に放り込まれる。おまけにミサの友人枠をユイノに取られそうになってる。ナギサ様、おいたわしや。
結目ユイノ
半年前に出会ってからずっと交流が続いている。パトロール中にミサを見かけては声を掛け、お茶をしては怒られるを繰り返してる。最近では新人のハスミと行動を共にすることが多い。
ナギサ様がどんどん不憫に…。でも高校生になるまでナギサ様出番増えねぇんだ、ごめんよ。
感想返しってしたほうがいい?
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いる
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いらない