ブルアカにTS転生してメス堕ちする話   作:アウロラの魔王

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感想いつもありがとうございます!

今日は早めの更新。

ふふふ、ハフバ前に石が二天分出来た。とりあえず、フェス限キャラは取るのと、そろそろ全知さんください。カジキシロコはスルーで、ハフバで引けたらいいなぐらい。やっぱり、全知さんのバフ+コスト回復が唯一無二過ぎる。


蒼森ミネの話

 

「―――光園ミサ、覚悟ッ!」

 

 中等部3年になって、しばらく経ったある日。ミカと登校していると、そんな声と共に、頭上に影が落ちる。すぐそこに盾が迫っているのが見えたオレは、咄嗟に足を振り上げて盾を弾いた。

 

「くっ、防がれましたか」

 

「こんな朝っぱらから、命を狙われる覚えは無いんだけど?」

 

 いつでも撃てるように、重機関銃の引き金に手を掛けながら襲撃者に問い掛ける。

 

「何をとぼけたことを、貴女が不良達を束ねクーデターを目論んでるのは、既に暴かれていますよ!」

 

「はぁ?」

 

 何言ってるんだこいつは。呆れた目で見ていると、オレの後ろからミカが出てくる。

 

「あれ?貴女、ミネちゃんだよね?何してるの?」

 

「知り合い?」

 

「同じクラスだよ……」

 

 オレがそんなの覚えてるわけないじゃん。でも、ブルーアーカイブにそんなキャラいたような気がする。原作の話もほとんど思い出せないし、なんか事件が起きたような気がするけど、なんだっけ。最初の頃にメモ取っておけばよかったな。まさか、こんなに記憶が摩耗して思い出せなくなるとは思わなかった。

 

「聖園ミカ、まさか貴女まで悪に堕ちてしまうとは!」

 

「そんなわけないでしょ」

 

 ミカも呆れた目でミネを見ている。

 

「大体、誰がそんなこと言ったの」

 

「ふっ、そんなこと貴女の部下の不良が言っていたからに決まっているでしょう!」

 

 ビシィッとオレに指を差しながら、ミネは自信満々にそう言った。

 

「えぇ……」

 

「ミネちゃん、普通に騙されてるよそれ」

 

 ミカがそう言うと、ミネはピタッと動きが止まる。

 

「わ、私を騙そうたってそうは」

 

「いや、もう騙されてるんだって。なんだったらミサちゃんの潔白を証明しようか?ナギちゃんに聞いてもいいし、《正義実現委員会》の知り合いに聞いてもいいよ」

 

「む、では連絡させて貰っても?」

 

「はい、どうぞ」

 

 そして、ミネは暫くスマホを耳に当て誰かと話す。何度か電話を掛け、終わると盾を地面に突き刺し。

 

「―――この度は、私の早とちりでご迷惑をお掛けして、申し訳ありませんでしたっ!!」

 

 と、勢いよく頭を下げて、謝罪された。

 

「まぁ、私もミカもケガ無かったしいいよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「ところで、ミネちゃんにそんなこと吹き込んだ不良はどうしたの?」

 

 ミカが嘘を吹き込んだ不良について聞くと、ミネは言い辛そうに口ごもる。

 

「それが……クーデターの事を聞いたときに動揺してしまい、隙を突かれて逃げられてしまいました……。要救護対象もいたので、追うことも出来ず。私の失態です、本当に申し訳ない事をしました」

 

「ふぅん?逃げられたんだ。まぁ、このことは騎士団に抗議しとくからね」

 

「ミカ、別にそこまでしなくても」

 

「ダメだよミサちゃん。こういうのはちゃんとしとかないと」

 

「……いいえ、ミカの言う通りですね。潔く、罰を受け入れましょう」

 

 それだけ言うと、ミネはトボトボと帰って行った。

 

「……ミカ、もしかしなくても怒ってる?」

 

「そりゃ、怒るに決まってるじゃん。むしろ、なんでミサちゃんが怒らないの」

 

「急に襲われるのも、名前を騙られるのも慣れてるから、かなぁ」

 

 というのも、オレの名前を使って悪さをする奴が出るのは、今回が初めてではない。名前が売れてしまった弊害ではあるが、幸いナギサや委員会がオレのアリバイを証明してくれるため、そこまで大事に考えてなかった。

 

「それは慣れたらダメだと思うよ……」

 

「はは、まぁでも今回はちょっと悪質だね。私の名前で悪い事するのはいたけど、クーデターは洒落にならないなぁ」

 

 こっちが大人しくしてると、どんどんエスカレートしていくな。そろそろ、自分で動いておかなきゃダメか?

 

「ミサちゃん、なにかいけない事考えてるでしょ?」

 

「え!?い、いやーそんなことは」

 

 ミカに睨まれながら、オレ達は学園に着いた。

 

 

 

「そういえば、思い出したんだけどミネちゃんって《ティーパーティー》の誘いを断って、《救護騎士団》に入ったんだよね」

 

「《救護騎士団》……昔、ケガしたときにお世話になったきりだなー」

 

 確か、救急隊員的な活動してる部活だったか。黒野サユリに負わされたケガの治療でお世話になったとき以来か。

 

「ただ、ミネちゃんってああいう性格だからよく問題になってて……」

 

「ふーん?なんかそこはかとなくシンパシーを感じる」

 

「感じないで。ただまぁ、救護に対する熱量はすごいらしくて、ミネちゃんに助けられたって人も多いみたい」

 

「へー」

 

 なんて話を授業中、BDを見ながら話していた。

 

「まぁ、その行き過ぎた救護が問題になってるんだけど」

 

「なにかあったの?」

 

「《救護騎士団》って、戦闘に介入して負傷してる人を救護するのが仕事なんだけど、ミネちゃんが救護中に戦闘に割り入って救護対象を増やしちゃうらしくて」

 

「……なるほど?」

 

 それってマッチポンプでは?まぁでも、騎士団って救護中に撃たれることもあるらしいから、自衛手段の一つではあるのか?

 

「そういう経緯もあって、ミネちゃん結構上からも睨まれてるらしいの」

 

「ますますシンパシーが……。でも、ミネって悪い奴じゃないと思うんだよね。そりゃ、行き過ぎたこともあるけど、それだけ救護に真剣ってことだろうし。間違ってれば、ちゃんとすぐに謝罪して貰えたしね?」

 

「ミサちゃん……」

 

「そういうわけだからさ、ミカ。放課後ちょっと手伝って欲しいんだけど……」

 

「……はぁ、ミサちゃんお人好しすぎるよ」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ」

 

 そして、オレとミカは放課後になって、街へ繰り出すことにした。

 

 

 

「どう、ミサちゃん?」

 

「うーん……たぶんここじゃないね」

 

 オレとミカは、まずはビル街にやってきた。というのも、この辺に不良がたむろってることが多いからだ。

 

「そういうの分かるんだ?」

 

「まぁ、昔不良狩りとかしてたしね。不良って割と活動範囲決まってるんだよ。だから、見覚え無いのいたらすぐ分かると思う」

 

 普段から街をうろうろしてたおかげだな。

 

「そういうわけだから……ねぇ、ちょっと聞きたいことあるんだけど、いい?」

 

「はぁ?なんでアタシらに……ってミミミミサさん!?」

 

 ビル陰で座り込んでる集団に話し掛けに行くと、すごい慌て出した。どうやら、オレの事を知ってる不良に当たったらしい。

 

「私のこと知ってるんだ。なら、話は早いね。最近、私の名前使って暴れてるのいるらしいじゃん?知ってることがあれば教えてくれない?」

 

「え、えーっと、そんなこと言われても……」

 

 不良達は互いに目配せしながら、困惑する。煮え切らない態度にしびれを切らしたオレは拳を構える。

 

「さっさと話さないと、こう!」

 

 ドゴッ!と壁にヒビが入る。

 

「だぞ♪」

 

「ひぃぃぃっ!?」

 

「し、知らない!ホントに知らないんですぅ!?」

 

「さ、最近この辺りに現れて荒らし回ってるから、アタシらも迷惑してるんです!」

 

「ふーん?ってことは、この辺りの不良じゃないんだ」

 

 不良達は何度も首を縦に振っていた。

 

「なるほど、ありがとね。良い情報だった」

 

 オレはお礼を言うと、その場を離れた。

 

「結局、この辺にはいないってこと?」

 

「まぁ、そうだね」

 

「じゃあ、無駄足だったの?」

 

「いや、この辺にはいないって言う有力な情報だよ」

 

「どういうこと?」

 

「ふふ、まぁそれはもう一つの方に行けば分かるよ」

 

 たぶん、もう一つの方にもいないなら……。オレはミカを促し、住宅街の方へと向かった。

 

 

 

「住宅街?この辺って不良少なそうだけど、ここでも情報収集?」

 

「まぁ、それもあるけど―――」

 

 住宅街に着いたオレ達は、ここに来た目的を話そうとした瞬間、大きな爆発音が辺りに響いた。

 

「ミサちゃん!」

 

「うん、当たりを引いたね」

 

 爆発は今いる所からそう遠くない所で起きたみたいで、大きな煙を吹いてるのが見えた。オレとミカは急いで現場に駆け付けると、爆発現場から慌てた様子で出て行く不良達がいたので、すかさず写真に収める。

 

「ミサちゃん、何してるの早く!」

 

「うん、分かってる」

 

 スマホを仕舞うと、ミカを追って爆発現場に入る。

 

「これは……」

 

 木造2階建てのアパートが、真ん中あたりから吹き飛んでいて、ガスか何かに引火したのか激しく燃えていた。

 

「ひどい……」

 

 近くに住民らしき人達が倒れていたので、近寄って脈拍を確認していく。

 

「ふぅ、どうやら生きてはいるみたいだ。でも煙を多く吸ったなら、早めに治療しないと危ないかもしれない」

 

「ミサちゃん!委員会と騎士団に連絡しておいたよ!」

 

「ナイスミカ」

 

「うぅ……!」

 

 すると、倒れていた一人が意識を取り戻す。

 

「だ、誰か……」

 

「大丈夫ですか?ここに水があるのでゆっくり飲んでください」

 

「うっ、俺っちはいい。それよりまだ中に人が……。盾を持ったねーちゃんが入って……うぅ!」

 

「盾を持ったねーちゃんってもしかして」

 

「―――ッ!ミカ!ここは任せる!」

 

「ミサちゃん!?」

 

 オレは、倒れている人の介抱をミカに任せ、未だ燃え盛るアパートに飛び込んだ。

 

 

 

「……ッ中は酷い有様だな」

 

 木造だからか、至る所に火が移って、中は文字通り火の海と化していた。

 

「……!……!?」

 

「っ!奥から声が」

 

 火を避けながら、急いで奥の部屋に向かうと、そこにはミネと女の子がいた。どうやら、女の子が家具に挟まれて動けないみたいだ。

 

「待っててください!すぐに救護します!」

 

 オレはそれを見てミネに声を掛けようとした時だった。ミネの頭上からバキバキと嫌な音が響く。

 

「おねーちゃん!上!」

 

「―――ハッ!?」

 

 次の瞬間、天井が崩れミネは咄嗟に女の子に覆い被さる。オレは跳躍し拳を振り上げた。

 

「オラァッ!!」

 

 崩れた天井から落ちて来たものをまとめて粉々に砕く。

 

「あ、貴女はミサ?」

 

「話は後だ!また崩れる前に助け出すぞ!」

 

「は、はい!」

 

 女の子がケガしないように、家具をどけた後ミネに女の子を預け部屋の外に出る。

 

「……道が」

 

 先程の天井崩落の時だろう。どうやら一緒に崩れてしまったらしい。火の手の周りも早くなり煙も多くなってきた。これ以上はオレとミネが大丈夫でも、女の子が持たないかもしれない。

 

「……下がってろ」

 

「何をするつもりですか」

 

「決まってるだろ。道が無いなら作るだけだッ!」

 

 

 

 ―――ドガァッ!!

 

「げほ、ミネ!早くしろ!」

 

「分かっています!」

 

 塞がった道を殴って吹き飛ばし、外へ出る。外にはミカ達が心配そうな顔で待っていた。

 

「ミサちゃん!」

 

「おまたせ」

 

 周りを見ると、委員会と騎士団が到着していて対応に当たっていた。

 

「ミネ、また独断専行して……あとで話は聞かせて貰うからな。でも、よくやった」

 

「先輩……はい」

 

 ミネは保護した女の子を、騎士団に預けていた。

 

「おねーちゃんたち、たすけてくれてありがとう!」

 

「ああ、どういたしまして」

 

「救護は私の仕事ですから」

 

 ミネは照れてるのか、そっぽを向きながらそう言った。

 

「もう、ミサちゃんまた危ない事をして……」

 

「ご、ごめんって」

 

 ぷりぷりと怒るミカをなんとか宥めていると、治療を受けていた住民がこちらに歩いてきた。

 

「あんた、ミサって光園ミサか?」

 

「そうだけど……」

 

「やっぱり!あんたがアイツらの親玉なんだな!?あんたのせいでこっちは散々だ!どうしてくれるんだ!」

 

「ちょ、ストップストップ!落ち着いてください。まだそうと決まったわけじゃ」

 

 騒ぎを聞いて、委員会で来ていたのかユイノが慌てて仲裁に入る。

 

「これが落ち着いていられるか!あの不良共が言ったんだ!『光園ミサに命令された』ってな!」

 

「それは、最近彼女の名前を騙って活動してる不良がいるみたいで」

 

「ふん!こいつの名前を騙るほどなんだから、こいつも余程の悪党なんだろ!さっさとこいつを捕まえろ!」

 

「なっ!あんたにミサちゃんの何が」

 

 怒って住民に掴みかかろうとしたミカを、手で制して止めて前に出て頭を下げる。

 

「ミサちゃん……?」

 

「私のせいでこのようなことになってしまい、申し訳ありませんでした」

 

「ミサちゃん……」

 

「ミサさん……」

 

「う……そ……わ、分かればいいんだ。分かれば」

 

「もういいですか?貴方はまだ治療中なので戻ってください」

 

 騎士団の人が、住民の人を連れて行き治療に戻らせる。

 

「……どうして?ミサちゃんは何も悪くないのに……」

 

「いや、私が悪いよ。私がもっと早くに動いていれば、あの人たちはこうならずに済んだかもしれないんだから。ここまでするとは思わなかった、なんてただの言い訳でしかない」

 

「ミサ、そのことで私からも話したいことがあります」

 

「ミネ……」

 

 ミネがオレに近づくと頭を下げた。

 

「まずは先程、助けて頂きありがとうございます」

 

「いやいいよ、オ……私も間に合って良かった。そういえば、ミネは一人でここに来て何を?」

 

「……実は、朝の事でミサに申し訳なく思い、汚名を雪ぐため一人であの不良達を探していたのです。幸い、見つけることが出来たのですが、爆弾を仕掛けられこの様です……朝に彼女達を救護できていればこのような事には、申し訳ありません」

 

「……ミネの言う不良って、こいつらで間違いない?」

 

 そう言ってオレは、スマホでさっき撮った写真を見せる。

 

「は、はい。間違いありません」

 

「ミサちゃん、こいつらって現場から慌てて逃げてた」

 

「うん、掴んだね」

 

「ミサちゃん、どうするの?」

 

「私の名前を使って、ここまでの事をされて黙ってるわけには行かない。―――潰す」

 

 オレが怒りを露わにすると、誰かがゴクリと生唾を飲み込んだ。

 

「なら、その話私も噛ませて貰いますね」

 

 そう言いだしたのはユイノだった。

 

「いいの?」

 

「はい、委員長にはもう許可を貰っています。下手人を見つけた時、委員会との連絡役が居た方が便利でしょう?」

 

「……自分の売り込み方が上手いな」

 

「誉め言葉として受け取っておきますね」

 

 ユイノはそう言って笑っていた。こういうとき、ユイノが居てくれるのはありがたいな。

 

「あの、私も同行してもいいでしょうか」

 

 ミネは、遠慮がちに口を開いて言う。

 

「……ねぇ、ミネはどうして救護騎士団に入ったの?」

 

「え?それは……『救護が必要な場に救護を』、その騎士団のモットーに共感し、私もそうありたいと思ったからです」

 

「そう……私達はこれから、今回の犯人達をとっちめに行くけど、それって救護とは正反対の事だと思うんだけど」

 

「……いえ、私にとって『救護』とは傷付いたものだけではありません。道を外し誤った者を正すことも、私の『救護』です!なので、私も連れて行ってください!」

 

 その言葉からは、ミネの覚悟が伝わってきた。彼女なら大丈夫だろう。

 

「うん、分かった。いいよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「……救護って何なんでしょうね」

 

「うーん、なんだろうね」

 

 話はまとまり、オレ達は早速犯人探しに出ることにする。

 

「でも、どうやって探すの?また情報収集?」

 

 ミカは当然の疑問を口にする。

 

「そうだね、多分だけどあの不良達はこの辺りの不良じゃないと思う。だから、この辺りの不良から話を聞くのと、もう一つ」

 

「もう一つ?」

 

「うん、そっちはもうちょっと時間掛かるから、先に不良に当たろうか」

 

 そう言って、オレ達は移動を開始する。委員会の生徒と騎士団の生徒を連れ歩いてるからか、注目度が半端ない。

 

「すごい見られてますね」

 

「まぁ、現場で一緒になることはあっても、こうして一緒に歩くことはありませんからね」

 

「目立ってるけど大丈夫かな、ミサちゃん」

 

「うーん、ギリギリ?」

 

 そんな話をしていると、ようやく不良を見つけた。が、こちらを見ると驚いて逃げようとする。オレは、一瞬だけ神秘の力を使い、音を超えると不良の目の前に移動し足を突き出す。

 

「ひっ!?うわぁぁぁ!?」

 

「ミサちゃん!ステイ!」

 

「逃げないように止めただけだから……」

 

 オレは驚いて腰を抜かす不良にスマホの写真を見せる。

 

「こいつらについて、知ってることがあったら全部吐け」

 

「ひぃぃぃっ!?……ってこいつら自然公園の」

 

「知ってるのか?」

 

「え、ああ。こいつら最近あそこでたむろってる連中だよ。そのくせ、こっちまできて荒らしてるもんだから、リーダーともどうするか話してたんだ」

 

「……なるほどな。なら、帰ってリーダーに伝えておいてくれ、こいつら最近オレの名前を使って悪さしてるからオレが直接ぶっ潰すから邪魔すんな、ってな」

 

「わ、わかった……ん?名前?ももももしかして、アンタ光園ミサぁ!?」

 

 不良はオレの名前を言って急に怯え始めた。

 

「そうだけど、あれ?オレを見て逃げようとしたんじゃないのか?」

 

「たぶん、委員会と騎士団見て逃げようとしたんじゃないかな、ミサちゃん?」

 

 ミカがオレの肩に手を置くと、ミシリと軋んだ音と痛みが伝わってくる。

 

「あ」

 

「どうしたの、ミ・サ・ちゃ・ん?」

 

「い、いえ……」

 

 肩がミシミシと音を立てているのを聞きながら、うっかり男口調で話していたので、ミカからの圧がすごい。

 

「ミサさん、大丈夫ですか?汗がすごいようですが」

 

「ハッ!ミサ、もしかして救護が必要なのですか!?」

 

「ああ!うん!大丈夫!」

 

「でも、自然公園広いけど、どうやって見つけるの?」

 

「ああ、それは―――」

 

 ちょうどいいタイミングで、スマホの通知が鳴る。

 

「きたきた♪」

 

「スマホ?」

 

「ああ、さっきSNSに写真上げといたんだよ。情報くれって」

 

『写真の者、自然公園近辺の情報求む』

 

 お、リプ沢山付いてる付いてる。

 

「……あれ?自然公園の話を聞いたのさっきですよね?どうして、自然公園の情報を?」

 

「ビル街で不良の情報を聞いたときに、もしかしたらと思ってさ」

 

 この辺りで動いてる不良なら、大体がビル街か住宅街か自然公園のどこかになる。しかし、ビル街で聞いたのは、ビル街で見たことない連中が暴れてるっていう話だった。何気に縄張り意識が高い連中なので、余程のことが無い限りよその縄張りを荒らしたりはしない。そんなことをすれば、不良グループ同士で戦争になるからだ。……初等部の頃は、その辺を知らず良く巻き込まれていたなぁ。

 

 まぁ、そんな訳だから、住宅街であの不良達が暴れてるなら、あの不良達は自分の所の拠点から離れて活動するタイプだろう、というのがオレの推測だった。その場合、間違いなく拠点は自然公園になる。だから、オレは写真を撮った時に先んじてネットで情報を集めていた。という説明を長々とミカ達に披露したオレ。

 

「なるほど、不良の生態に詳しいミサさんならではですね」

 

「人を生き物係みたいに言うな」

 

「それだったら、最初から自然公園の方行っても良かったんじゃない?」

 

「それだと、情報無しで自然公園を歩き回らないといけなかったし、爆発でケガした人たちも助けられなかったでしょ」

 

「助けられておいてお礼も言わずあんな態度する人なんて、最初から助けなくてよかったよ」

 

「そう言うなってアレは私にも遠からず原因はあるんだから」

 

「あはは、まぁまぁ落ち着いて」

 

「つまり、自然公園に救護するべき人が居るのですね」

 

「そういうこと。ちょっと待って、コメント確認するから」

 

 オレはスマホをスクロールしながら、コメントを流し読みしていく。

 

『私の天使に喧嘩を売ったと聞いて』

 

『こいつらって、自然公園に居る奴らだよな。あの銅像の立ってる所』

 

『こいつら光園ミサの名前出して暴れてるってマ?』

 

『なんて命知らずな……』

 

『あの動画見てないんですかね』

 

『例の動画で、ファンが減るどころか増えてるのマジで草』

 

 こいつら、人のリプ欄で好き勝手言ってるな。まぁいいけど。

 

「自然公園の銅像の所だな。そこであいつらの目撃情報があった」

 

「流石はミサさんですね」

 

「ミサちゃんのSNS趣味がまさかここまで役に立つとは」

 

「早速、自然公園に行きましょう!」

 

 ミネの言葉に、オレ達は頷き自然公園に向かった。

 

 

 

「すっかり、日が落ちてしまいましたね」

 

「ああ、視界が悪いから奇襲にだけは気を付けて」

 

 自然公園に着いたオレ達は中を進んで行く。と、入ってすぐにも関わらず上から不良達が奇襲を仕掛けてくる。

 

「ヒャッハー!ぐへぇ!?」

 

 空中にいて良い的だったので、普通に撃ち落とす。オレが撃ち漏らした分を、ミカとミネが殴って仕留める。

 

「ミサさんが居るのに、普通に襲ってきましたね」

 

「この公園は入れ替わりが昔から激しくてな。だから、私を知らん連中がちょくちょく入り込むんだ」

 

「なるほど、それでミサさんの名前を使うなんて凶行に走ったんですね」

 

 オレの名前を使うだけで凶行扱いになるのか……。

 

 その後も襲ってくる不良を蹴散らしながら、奥へ進むと銅像が見えてきた。オレは、三人にアイコンタクトを送ると、三人は頷いて返してくれた。そして、ミカとユイノはすぐさま行動に移し、回り込むように移動する。残ったオレとミネはそのまま正面から銅像の元へ向かった。

 

 銅像の近くには十数人の不良がたむろしていた。オレとミネは互いに頷き、不良に向かって飛び掛かる。ミネは盾を、オレは拳を叩きつけた。

 

「な、なんだぁ!?」

 

「何してくれてんだテメー!」

 

「あ‶あ‶?何してくれてんだはオレのセリフだろうが、テメェらよくも人の名前で暴れてくれたな」

 

「ひっ!?」

 

 思いっきり睨み付けると、不良達は竦み上がり怯えていた。

 

「よくも私を騙してくれましたね」

 

「あ!テメェは!?はん、騙される方が悪いんだろ!」

 

 オレはバカな事を抜かしているアホの目の前の地面を砕く。

 

「―――騙す方が悪いに決まってるだろうがッ」

 

「ひ、ひぃいいいッ!?」

 

 不良は腰が抜けたのか座り込んで、高速で後ずさる。

 

「おい!お前らさっさとこいつらをやるぞ!」

 

「ミネ、行けるか」

 

「ええ、信念と誇りの為に。救護させて頂きます!」

 

 オレは、放たれる銃弾の雨を紙一重で回避しながら、接近し不良を殴り倒す。暗いおかげか狙いが甘くて助かるな。ミネも盾で殴ったり、素手で殴って不良を倒していた。

 

 オレとミネの暴れっぷりに恐れたのか、リーダー格っぽい不良は部下を見捨てて逃げようとする。

 

「おっと、こちらは通行止めですよ」

 

「うわぁ!?」

 

「あはは☆こっちも通れないよ」

 

「ひぃ!?」

 

 しかし、さっき別れたミカとユイノが道を塞いでいた。オレが二人に頼んだのは、これだ。不利を悟ると逃げようとするだろうから、退路を塞いでもらって正解だったな。あっちは二人に頼むか。さっさと残りの連中を。

 

「くそ!これでも喰らえ!」

 

「―――ミサちゃん!」

 

 ミカの声に振り返ると、不良は懐から拳大の爆弾を取り出すと、それをオレに向けて投げつけていた。あれは、もしかして住宅街で使った……?だとすると、かなり高火力な爆弾だろう。

 

 ミカは撃ち落とそうと、銃を構えているがミカの射撃精度じゃ当たらないだろう。一瞬、回避が頭をよぎったが、後ろにはオレとミネが倒した不良が転がってるのを思い出し、シールドで受けることにした。オレの視界が爆炎に包まれる。

 

「ミサちゃん!?」

 

「ミカさん!今近づいたら危ないですよ!」

 

「よしっ、よし!あの破壊天使をアタシが倒した!―――へ?」

 

 オレは未だ晴れない煙の中から腕を伸ばし、不良の胸倉を掴み地面に引き倒す。

 

「な、な……!無傷……!?」

 

「オレを倒したいなら、大型ミサイルでも持ってくるんだな。……さて」

 

「ひ、ひぃ!?許して!あの爆弾がこんなに威力が出ると思わなかったんだ!あれを売ったやつもそんなこと一言も言わなかったし!」

 

「遺言はそれだけか?あとは地獄の閻魔にでも語るんだな」

 

「あ……ぁ……」

 

 オレが拳を振り上げると、後ろからミカが羽交い絞めにしてきた。

 

「ミサちゃん!ステイ!もう十分でしょ」

 

「チッ、命拾いしたな」

 

 まぁ、最初から殴る気はなかったけど。不良から手を離すと、不良は泡を吹いて気絶していた。あとは、檻の中で反省してもらうか。

 

「委員会と騎士団がもうすぐこちらに到着するそうです。しかし、よく無事でしたね」

 

「ああ、それなんだけど……ミネ、さっきは助かったありがとう」

 

 煙が晴れると中から膝を突いてるミネが出てきた。

 

「いえ、救護が必要だと思ったから体が動いたまでです」

 

 あの時、ミネがオレと爆弾の間に入って防いだおかげで、オレは無傷で済んだ。

 

「ミネが居なかったら、多少焦げてたかもしれないからな」

 

「それでも、焦げるだけで済むんですね……」

 

 オレはチラッと泡を吹いて倒れてる不良を見る。

 

「ユイノ、アイツの使ってた爆弾。市販品じゃないよな」

 

「……おそらく、違法改造品でしょう。最近、トリニティに出回ってると聞きましたが、こんな所に手掛かりがあるとは」

 

「ふーん……」

 

 きっと、尋問はキツイものになるだろうな。

 

「ところで、ミカそろそろ離れてくれない?」

 

「ダメだよ、ミサちゃんすぐ危ない事するんだもん。さっきだって避ければ良かったのに、ホントにお人好しなんだから」

 

「いや、動き辛いんだって」

 

「……ミサちゃん、最近また昔みたいになってるよ。そんなに女の子になるの嫌なの?私のこと、嫌い……?」

 

 オレは慌ててミカの方に向く。

 

「そんなことないっ!ミカは大事な友達だもん!だからさ、今日遊べなかった分また買い物とか行こうよ」

 

 オレだって、出来る事なら争うのは避けたいし、平和に暮らしたいが、いつもなし崩しに巻き込まれるからな。

 

「……うん、そうだね」

 

 それでも、ミカの表情は晴れないままだった。

 

「ミカ……?」

 

 その理由が気になって聞こうとしたものの、そのタイミングで委員会と騎士団が突入してきて、事後処理が始まり、聞くタイミングを逸してしまった。ミカ、なんであんな顔を……?

 

 

 

「今回の件、私自身色々と見つめ直させてもらいました。それも、朝に貴女を襲ったおかげですね、ミサ」

 

「言い方がアレだが、まぁミネが良かったならいいや。いや、襲われたオレは良くないな」

 

「はい、あの時は改めて申し訳ありませんでした」

 

「いや、冗談だから。真に受けんな。……騎士団の仕事も頑張れよ」

 

「ええ、ミサも救護が必要な時は遠慮なく言ってください」

 

「オレじゃなくて、オレと戦ったやつが必要になりそうだけどな」

 

「構いません、私は《救護騎士団》ですから『救護が必要な場に救護を』、私は私の救護を貫き通すだけです。では、また会いましょう」

 

「おう、またな」

 

 そう言って、オレとミネは別れた。その後、騎士団で簡単な治療を受けた後、ミカと一緒に帰っているのだが。

 

「……ミカさん、腕が千切れそうなんですけど」

 

「ぶー」

 

「今度は、怒ってらっしゃる」

 

「ミサちゃん、今日途中からずっと男口調でしゃべってたよね」

 

「え、えーミサちゃん分かんない☆―――いだだだだだだッ!ごめんなさい!」

 

「ダメ、許さない。―――今夜は寝れると思わないでね」

 

「ひぅ」

 

 その晩、ミカにたっぷりお仕置きされたのは言うまでもない。

 

 次の日、教室で顔を合わせたオレとミネは、昨日かっこよく別れた反動もあってか、互いにぎこちなく挨拶を交わすことになったという。

 

「同じクラスだって、言ったのに」

 

 

 




光園ミサ
学習しない女。それどころか、わざとミカを怒らせてお仕置きを激しくさせているフシが。今回の件は、巻き込まれないようにギリギリまで関わらなかったのを、流石に後悔した。戦闘に介入しようとするたびに、ミカとの約束で葛藤している。しかし、着々と各所に信頼を積み上げているのは、人たらしの才能がある。

聖園ミカ
ミサの監視も兼ねて付いてきたが、思った以上にミサがはっちゃけるのでミサストッパーとして大活躍。元気になったのは嬉しいけど、元気になり過ぎてる。


ミネが終わったので、次はツルギ回。次にわっぴー!と見せかけて、ミカとお買い物デートして、中学生編終了です。だって、シスターフッドとミサの話が思いつかないんだもん。

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