ブルアカにTS転生してメス堕ちする話   作:アウロラの魔王

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《ティーパーティー》編開幕…!

感想いつもありがとうございます!

エデン条約編前日譚である《ティーパーティー》編を数話挟み、いよいよエデン条約編突入となります!原作突入まで長かったなぁ…。

彼シャツハナコは200連目で出たので凸るためにハナコ交換しました。他のフェス限は、ミカの時に全部出してたから他に引くもの無いし、今回限定出ないしね。…ところで水着ミカはまだ?


《ティーパーティー》編
ティーパーティーの話


 

「ぶー、高校生になってちょっとはしゃいだだけなのに、あんなにするなんてひどいよ!ユイノもそう思わない!?」

 

「いやいや、別にひどくないよ。ユイノちゃんもそう思うよね?」

 

「あはは、ノーコメントで。昨夜は《勉強部屋》でお楽しみだったみたいですね」

 

 入学式から一夜明けた次の日。結局、《勉強部屋》で一晩過ごしたオレ達は、謝罪行脚の為に《正義実現委員会》の校舎まで足を運んでいた。

 

「ベ、別にお楽しみだったわけじゃ!?」

 

 あれは火照った体を鎮めるための儀式みたいなものだから!

 

「ってあれ!?なんでユイノが《勉強部屋》の事を知って!?」

 

「ユイノちゃんに限らず、歴代のトリニティ上層部のトップ陣はみんな知ってるよ」

 

「嘘っ!?」

 

「しかも、《勉強部屋》の映像の閲覧権限もあるから、今までのミサちゃんのえっちな姿みんなに見られてたかもね☆」

 

 じゃ、じゃあ《勉強部屋》で私がミカとやったあんなこともこんなことも!?

 

「あ、あばばばばばばばっ!?」

 

 脳が理解を拒み、私は白目を剥きながら椅子ごと後ろに倒れた。

 

「ミサちゃーん、大丈夫ー?」

 

「うぶぶぶぶ」

 

「ダメそうですね」

 

 うぅ、毎日を精一杯生きてるだけなのに、なんで私がこんな目に~っ!

 

 

 

「さて、ミサさんの意識がこちらに戻ってきたことですし、本題に入りましょうか」

 

「うぐぐぐぐぐっ」

 

「ほら、ミサちゃん抑えて抑えて」

 

 なんで、ユイノは人の情事を覗き見ておいてそんなに冷静なの!

 

「昨日の件ですが、こちらとしては問題の早期解決に繋がったので謝罪の必要はありません。むしろ、こちらが感謝したいくらいです。被害も最小限に抑えられていますし、《正義実現委員会》からミサさんに対して何かしらの罰は要求しない。というのが公式声明になります」

 

「そうなんだ、いつも迷惑かけてごめんねユイノちゃん」

 

「元々は我々が対処しなければならない件ですからね。むしろ、責められるべきは私達の方でしょう。それに、ミサさんのいつもの人助けですからね」

 

「……別に助けようと思って助けたわけじゃないけどね。眺めてたら、絡まれただけで」

 

「ミサちゃん、そうやってすぐ捻くれた事言うのダメって言ったよね?」

 

「うぅぅ~っ!」

 

 額に青筋を浮かべたミカに、ほっぺを限界まで引き伸ばされる。

 

「えっと、それじゃあウチからはこんなものですかね。お二人はこの後《救護騎士団》に?」

 

「うん、そうするつもり」

 

「なら、あまり引き留めては悪いですね」

 

「あんまり、ゆっくりお話できなくてごめんね?」

 

 オレはミカに伸ばされたほっぺを擦りながらユイノに謝る。

 

「いえいえ、そうだ!この前良い紅茶の茶葉が手に入ったので、今度一緒に飲みましょう」

 

「ホント?わかった!じゃあ、時間がある時にまた連絡ちょうだい!」

 

 ユイノとお茶する約束をして、オレとミカは委員会を後にした。

 

 

 

 あの後、騎士団も訪ねたが特にお咎め無しだった。それどころか、久しぶりの救護だったから気合が入ったと、感謝されてしまった。

 

「いやー、みんな良い人で良かったねー」

 

「う、うん」

 

「どうしたの?」

 

「その……優しくされるの、やっぱり慣れないなって思って」

 

 今までは、目の仇にされたり、邪魔に思われたりすることの方が多かったし。そう思っていると、後ろからミカにぎゅっと抱き締められる。

 

「大丈夫だよ。これからそういうこと増えるから、ゆっくり慣れて行こうね」

 

「……うん」

 

 ミカの腕に触れて、ミカの温もりを堪能していたら、後ろから急に声を掛けられる。

 

「ミカ様……」

 

「……なに?」

 

 そのままの体勢で、ミカは振り返ることなくいつもより低い声で返事をする。

 

「そ、その……《ティーパーティー》の件で……」

 

「またその話?昨日断ったよね。私はパテルのリーダーに、首長になるつもりは無いよ」

 

 ―――え?

 

「私みたいな利己的で自己中な女を頭に据えるよりも、もっと優秀な子を探したら?」

 

「で、ですが!その、ミカ様の家がなんて言うか……」

 

「家の事を持ち出しても無駄だよ。今の私には無関係なんだから。分かったらさ、邪魔だからさっさと消えて」

 

「っ……し、失礼します……」

 

 オレの方からは姿は見えなかったが、足音が遠ざかっていくのは分かった。

 

「……え、えっと」

 

「あはは、ごめんねミサちゃん。変な所見せちゃったね」

 

「それはいいんだけど……パテルの首長って」

 

 ミカってずっとオレと一緒に居たから、《ティーパーティー》の仕事とか全然してないはずだよね。それなのに、どうして首長候補に?もしかして、歴史の修正力みたいなものでもあるのだろうか。それに、ミカの家か……。長く一緒に居るのに、ミカの事、聞いたこと無かったな。

 

「あーうん、そこ気になっちゃうよね。まぁ、ちょっとした手違いというか、私に次のパテルのリーダーになってくれって頼んでくるんだよ。いい迷惑だよね」

 

「手違い?でも、さっきミカの家がどうのって」

 

「う、うーん、ミサちゃんの好奇心を刺激しちゃったかー。でも、そっちは何も関係ないからね。まぁ、ちょくちょくちょっかい掛けられてるけど、気にしなくていいから」

 

 余程触れられて欲しくないのか、ミカは強引に話を終わらせてきた。

 

「……わかった」

 

 ミカが《ティーパーティー》に入らないなら、オレの目的は意図せずして達成できたのか?《ティーパーティー》の首長にならなければ、ミカは事件を起こさず、魔女にもならない。……うん、きっとその方がいい。

 

 その後、オレ達は教室に戻り、普段通りに授業を受け、何事も無く一日を終えた。

 

 

 

 一週間経ったある日、ミカがまた用事でどこかに行ったので、暇を潰す為に図書館に来ていた。というのも、一度トリニティの歴史を学び直したいと思ったからだ。特に、エデン条約に関わるアリウスについて。

 

 ミカが《ティーパーティー》に入らないなら必要無いかもしれないが、だからと言って今出来る事をしない理由にはならないからな。

 

「とは思ったものの、大まかには載っていても、詳しいことまでは書いてないよなぁ」

 

 流石に一般開放レベルだと、ゲヘナでも知れるようなことしか書いていない。トリニティが昔、各学校に分かれて争っていた事、それらを終わらせる為に三つの学校の代表が集まり友好を結んだこと、それに反対したアリウスが迫害に遭い追われた事。この辺は、ゲームでも聞いた気がする情報だな。できれば、もっと突っ込んだ情報が欲しいんだけど……。

 

 ……あれ?そういえば、アリウスが学校連合に追われた時、支援したところがあったんじゃなかったっけ?……思い出せ、切っ掛けがあれば記憶の糸が繋がるはずだ。

 

「……!そうだ、《ユスティナ聖徒会》」

 

 ……待てよ?アリウス迫害したのもユスティナじゃなかったか?いや、それ以前にこの歴史書……。オレはもう一度本のページをめくり、歴史を遡ったが本にはどこにも《ユスティナ聖徒会》に関する記述が無かった。他の本にも目を通したが、ユスティナに関する記述だけ抜けている。

 

「これは……」

 

 確か、《シスターフッド》の前身が《ユスティナ聖徒会》だったはず。ということは、《シスターフッド》の手によって隠蔽されたと考えるべきか?……そういえば、《シスターフッド》が怪しすぎて良く噛み付いてたのが……あれ、ミネだったか?アイツ、割と重要な立ち位置だったのか。

 

 よ、よしよし。ちょっとずつだけど、思い出せてきた気がする。なんかすごい穴だらけだけど!

 

 あれから時間を掛けて探し回ったが、ユスティナに関する記述は《シスターフッド》の前身である、という情報以外見当たらなかった。

 

「はぁ……他の情報は集まったけど、肝心のユスティナに関することだけ全くと言っていいほど情報が無い」

 

 となれば、後は《シスターフッド》に突撃して情報を聞き出すしかないのだが、流石にそれは最終手段にしたい。前に暴れた前科のある身としては、これ以上悪印象を持たせるようなことはしたくない。とはいえ、これ以上は八方塞がり。どうしたもんかな。

 

 それともう一つ、ミカがアリウスへの行き方を知った経緯はなんだったんだろう。確か、トリニティでも居場所が分からない所へ逃げ込んで、普通の方法で行き来出来ないみたいな話だったはず。そちらも探っておくべきか……。

 

「すみません、本借りたいんですけど」

 

「あぁ、はい……ってミサさん!?」

 

「あれ、ウイ珍しいな」

 

「へぁぁっ、ど、どうしてここに……」

 

「いや、それはこちらのセリフ。ウイこそ、いつもは図書館の奥に籠もってるじゃん」

 

「そ、それは、今日は私しかいないから、受付をやらされてるんですよ……」

 

 古関ウイ。同級生で図書委員をやってる。昔から図書館にサボりに来た時、たまに顔を合わせてた仲だ。お互い、本を読みに来てたので会話らしい会話は殆どしたこと無いが。

 

「こ、こちらの本の貸し出しでいいんですか?」

 

「うん、お願い」

 

「で、ではこちらの貸し出し記録に入力お願いします……期限は一週間なので、そ、それまでに返却してください」

 

 ウイに差し出された端末に、情報を入力する。昔からやっていたので、慣れたものだ。……最近、身近な人がゲームのキャラだって思い出したせいか、ウイもそうなんじゃないかって思ってしまうな。……流石に失礼過ぎるな、これ以上はやめておこう。

 

「……また、珍しい本借りますね。アリウス分派についてですか」

 

 受付の上に置かれた本を見て、ウイは感心するような呆れるような声を出す。

 

「ちょっと改めて調べたくなってさ。でも、流石に一般蔵書だと授業で習った以上の事は詳しく載ってないなって思って。せめて《ユスティナ聖徒会》のこととか知れたらよかったんだけど」

 

「どうしてそこで《ユスティナ聖徒会》が出るんですか?」

 

「え、あー」

 

 そういえば、表向きは関係無いんだよな。なんて言えばいいんだ……。

 

「まぁ、なんにせよ《シスターフッド》の前身である《ユスティナ聖徒会》を調べるのは難しいと思いますよ」

 

「……秘密主義、か。情報が封鎖されてるのも、大聖堂側の仕業か?」

 

「……そういうわけですから、あまり表立って嗅ぎ回るのは、おすすめしませんよ。ユスティナは秘密に近づく者を拷問に掛けたと言いますから、《シスターフッド》にも警戒しておくべきでしょう」

 

「……今日は妙に饒舌だけど、心配してくれてるの?」

 

「へぁっ!?そ、そんなわけないでしょう!よ、用が済んだなら早く出て行ってください!」

 

 そう言うや否や、図書館から追い出されてしまった。

 

「……まぁ、借りるものは借りれたからいっか」

 

 

 

「ユイノーいるー?」

 

 図書館を後にしたオレは、《正義実現委員会》の校舎を訪ねていた。最早、勝手知ったると言わんばかりに奥まで行き、ユイノの執務室の扉を開ける。

 

「あ、お待ちしてましたよミサさん!」

 

 そこにはメイド姿のユイノが居た。

 

「すいません間違えました」

 

 そっと扉を閉じる。

 

「……さて、ユイノはどこかな」

 

 閉じた扉の奥から、ダダダッと走る音の後扉が勢いよく開かれた。

 

「いや、待ってください!なんで見なかったことにして行こうとしてるんですか!」

 

「だって、なんか怖かったし……」

 

「怖い!?そこはかわいいでしょう!」

 

 友人が急にメイド姿で出迎えたら怖いだろうが。

 

「まぁいいです。お茶の準備は出来てるので、入って座ってください」

 

 そう言って部屋の中に戻るユイノに付いてく。いや、お前は着替えないのかよ。ユイノが紅茶を淹れてテーブルの上に置く。

 

「すんすん、あっ甘い香りがする」

 

「そうでしょう、クッキーもあるのでどうぞ」

 

「いただきます」

 

 紅茶を口に含むと、柑橘系の爽やかな香りがスッと喉を通った。確かにさっき甘い香りがしたと思ったけど、これは……。舌で、何度か転がすとその正体に行きつく。

 

「……もしかして、フレーバーティー?」

 

「いい舌してますねぇ。フレーバーティーはお嫌いですか?」

 

「嫌いじゃないよ。でも、珍しいからちょっと驚いた」

 

 というのも、フレーバーティー自体お店で置いてることが少ない。加えて、美味しいフレーバーティーとなると更に数が少なくなる。

 

 フレーバーティーというのは、ベースとなる茶葉に様々な香りを付けたお茶の事だ。単独で付けたり、複数の香りを付けて楽しむことが出来る。口で言うのは簡単だが、これが結構難しく、組み合わせ方によっては酷い味のものが出来上がる。特に、人に振舞う場合は注意が必要だ。フレーバーティーで一番有名なものと言えば、アールグレイが挙げられるだろう。

 

「フルーツ系のフレーバーだと思うけど、香りは二つあったね。甘い香りのものと柑橘系の香りと」

 

「はは、当たりです。さくらんぼと甘夏ですね。良い茶葉が手に入ったので、作ってみたんですけど、どうですか?」

 

「へぇ、自作なんだ。すごくおいしいよ!」

 

 クッキーの甘さが控えめだから、フレーバーティーの香りの良さをより引き立てている。

 

「そこまで喜んで貰えるとは、作った甲斐があるというものです。……ところで、この格好の方はどうですか?」

 

「え?」

 

 そう言ってユイノは、メイド服のスカートを摘まみながらくるくると回る。

 

「うーん、コスプレ感が強い、気品と優雅さが足りない、なんというかメイドという職業をバカにしてる感じがする。趣味で着る分には、とやかく言わないけどウチのメイドに欲しいとは思わないかな」

 

「あ、あれぇ!?いきなり評価が辛口に!?しかも、結構ボロクソ!」

 

 うぅ、と泣き真似をしながら崩れ落ちるユイノを尻目に、お茶を楽しむオレ。今度、ミカに同じものを振舞ってみようかな。ベースの茶葉が何かも、大体の見当が付くし。

 

「それだけ言うってことは、ミサさんの家のメイドはそれほどレベルが高いんですね」

 

 ある程度すると、立ち直ったユイノにそんなことを言われた。

 

「……あれ?私、そんな風に言ったっけ?」

 

「言いましたよ?」

 

「何か無意識に口走っちゃったのかな、よく覚えてないや」

 

「何ですか、それ。ホラーじゃないですか。……もしかして、実家との折り合いが悪いとか?」

 

「う、うーん……」

 

 そもそも、実家があるのかどうか不明なんだけど。あれだけ目立つ事してても何もしてこないって事は、存在しないかとっくに勘当されてるかだよね……。まぁ、今の私にはミカがいるからどうでもいいけど。

 

「委員長、失礼しま―――ってまたなんて格好してるんですか……」

 

「あれ?ハスミじゃん」

 

「あ、あはは、思ってたより帰ってくるの早かったですね?」

 

 ドアがノックされ、ハスミが部屋に入ってきた。手に何かの書類を持っている所を察するに、事件の報告か何かだろうか?そして、ユイノは妙に焦ってるけど、まさかサボりじゃないよな?

 

「ミサさん、こんにちは。今日は委員長とお茶されてたんですね」

 

「うん、良いお茶があるからって。ハスミは報告か何か?私が居てマズいなら、席を外すけど?」

 

 ハスミとツルギって《正義実現委員会》だし、同級生だからエデン条約編で関わってくる可能性あるんだよね……。うーん、でもまだ上手く思い出せないな……。委員会の役割的にミカと対峙するのかな?だったら、オレは委員会に銃を向けなきゃいけない可能性があるのか。……いや、あくまで可能性だし、ミカを魔女にさせなければそんなことにはならないよね。

 

「いえ、大丈夫です。それより、ユイノ委員長。今の時間は書類仕事をされていると、副委員長から伺ったのですが……?」

 

「え、えーと、な、なんででしょうね?」

 

 いや、挙動不審過ぎるでしょ。

 

「しかも、そんな恰好をして他の者に示しが付かないと、また副委員長に怒られますよ!」

 

 これは……。雲行きが怪しくなってきたと思ったオレは、紅茶を飲み干すと荷物を持って立ち上がる。

 

「あ、あれ?ミサさん?」

 

「あー、これからお仕事みたいだし、オレは邪魔にならない内に帰るね?」

 

「い、いやいや!待ってください!お願いします!もう少しだけ、あと少しでいいので居てください!」

 

 どういうわけか、オレの足にしがみついてまで必死にオレを引き留めようとしてくる。ユイノの奴、何か企んでるな?良いお茶を出したのも、メイド服なんて着て気を引こうとしたのも、その為か。

 

「何を企んでるか知らないけど、お仕事なら今日はお断り」

 

「そ、そんな!?」

 

「そんなって言うってことはさ、オレに何か仕事押し付ける気だったんだね?」

 

「あ、しまっ」

 

 慌てて口を押さえるが、もう聞いた後だから今更遅い。オレは、スマホを取り出してモモトークを起動すると、ある人に連絡する。

 

「次のテストの対策立てと夕飯の買い物があるから、もう帰るよ」

 

「お、お願いします!そこをなんとか!この(書類)仕事の山を一人で片付けるなんて、無理です!」

 

「それなら大丈夫。副委員長さんが今すぐこっちに来て監督してくれるってさ!」

 

「―――へ?」

 

 その瞬間、バァンッ!と扉が勢いよく開かれる。

 

「―――ユイノォッ!また委員会と関係ない人に迷惑掛けてるってぇッ!?」

 

「ひぃっ!?ふ、副委員長!?み、ミサさんたすけ」

 

「あはは!嫌☆」

 

「み、ミサさぁ~~~ん!!」

 

 ユイノの断末魔を聞きながら、オレはハスミと執務室から退室する。お茶は美味しかったが、それはそれ、これはこれだ。書類仕事はたまに手伝ってあげてるが、自分でやらないと身に付かないからな。

 

「……自業自得ですね」

 

「ハスミは何か話があって来たんじゃなかったのか?」

 

「いえ、私は委員長に書類を届けに来ただけですから」

 

「なるほど」

 

「では、ツルギを待たせてるので私はこれで」

 

「うん、またね」

 

 手を振ってハスミと別れ、校舎を出るとすっかり日が傾いていた。

 

「今からでも、スーパーのタイムセールに間に合いそうかな」

 

 別にお金に困ってるわけではないが、やっぱりセールとか特売品の文字には弱い。身に染みついた癖ってこわいな~と思いながら、学園の外に向かって歩いてると、後ろから声を掛けられた。

 

「―――あの、先日ミカ様とおられた光園ミサさん、ですよね?」

 

「……そうだけど?」

 

 振り返ると、金髪の女の子が立って居た。姿に見覚えは無かったが、その声には聞き覚えがあった。

 

「前にミカにパテル分派の次期首長になってって、お願いしに来た子?」

 

「はい、先日は急な訪問で自己紹介も出来ず申し訳ありません。私、ミカ様の従者を務めさせて頂いております、ソニアと申します」

 

 そう言い、スカートを摘まみながら優雅に一礼してきた。その自然な所作で、良い所のお嬢様なのはオレでも分かった。

 

「ミカの従者、ね。それで?私に何の用?」

 

「実は、貴女にお願いがあって来たんです」

 

「……私の方からミカに首長になるようにお願いして、って話ならお断り」

 

「え!?な、どうしてそれを……」

 

「バカか?話の前後を考えれば、それしか思いつかないでしょ」

 

「で、では引き受けてくださるのですね!」

 

「なんでそうなるの。お断り、って言ったでしょ」

 

 というかなんで私に言いに来たんだか、"将を射んとすれば、まず馬を射よ"ってことなのかね。まぁ、多分私が言ったらミカは何かしらの条件を付けて、首を縦に振るかもしれないけど。

 

「ど、どうしてですか!?ミカ様が首長になれば貴女だって得しかないでしょう!」

 

「損得の話じゃないから。どんな理由があろうとも、最後に決めるのはミカ自身でしょ。私達が口を挟んでいい話じゃない」

 

 ミカは私が『《ティーパーティー》の首長にならないで』と言えば、それを優先してくれるだろう。未来、エデン条約編の事を考えれば、ここでミカを引き留めるべきだ。でも、私はそうしない。ミカ自身の未来に関わることだから、ミカが自分で決めて欲しい。私はその決定を尊重する。

 

 その結果、首長の話を蹴るなら普通に暮らすだけだし、首長になるなら事件を防ぐために全力で立ち回るだけだ。

 

「……ミカ様は、貴女に出会って変わられました。沢山の人に囲まれて笑っていたあの方が消えてしまった……奪われた。貴女の所為でっ!」

 

 ソニアは叫びながら、デザートイーグルを抜き放つとオレに照準を合わせる。

 

「……」

 

「貴女が居なければ、ミカ様は今頃もっと沢山の人に慕われていたはずだったのに!!」

 

 その言葉にオレは目を伏せた。確かに、オレが居なかったらミカはもっと明るい学園生活を送れたのは間違いない。そんなの、オレだって理解してる。だから、ミカの前から何度も消えようとした。でも、アイツの隣が暖かくて、離れたくなかった。

 

「ミカ様に首長になるよう説得してください!そして、その後はミカ様の前から消えてください!これは脅しじゃありませんよ!?」

 

「脅しじゃないなら、撃てばいいだろ」

 

「……ッ!」

 

 オレの言葉が引き金になったのか、彼女の構えたデザートイーグルが火を噴いた。彼女の撃った弾丸は、寸分の狂いなくオレの頭に直撃した。そして、二度、三度続け、弾倉が空になるまで彼女は引き金を引き続けた。

 

「はぁ……はぁ……う、うそ……」

 

 弾を撃ち切り、肩で息してるソニアを無表情で見つめながら溜息を吐く。

 

「……気は済んだか?」

 

「そんな……無傷だなんて……」

 

 無傷でも、銃弾が当たったら痛いものは痛い。

 

「さっきのお願いだけどな、どっちも断る。ミカがどんな選択をしたとしても、オレはミカを支える。ミカの傍から離れたりしない」

 

 それはそれとして、ミカとのえっちで主導権を握る方法は無いだろうか。どうにか、ミカより上に立って、ミカにぎゃふんと言わせたい。

 

「う、うぅ……」

 

 ソニアが地面にへたり込むのを見ると、オレは買い物に行くために背を向けて歩き出す。後ろからはすすり泣く声が聞こえたが、聞かなかったことにして学園を出た。

 

「……今からだとタイムセール、間に合わないだろうなぁ」

 

 全く、泣きたいのはこっちだ。腹を空かせたミカが暴れたらどうしてくれる。

 

「……女体盛りとかしたら、許してくれるかな……」

 

 なんだか、いつも通りオレがミカに襲われるビジョンしか見えないな。

 

「はぁ……エデン条約編の事と言い、考えることが多くて頭が痛くなってくる」

 

 でも、どうにかすると決めたのは自分だから、頑張らないとな。とりあえず、入学式にミカから自立する方法は失敗したし、次はどうするかな。

 

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりー、遅かったねミサちゃん」

 

 何とかあの後タイムセールに間に合い、今日の夕飯の材料を確保できた。

 

「うん、ユイノのとこでお茶した帰りにさ、ソニアとかいう奴に絡まれてさ」

 

「……え?あの子が?何かされなかった?」

 

「デザートイーグルでバカスカ撃たれたよ」

 

「え!?だ、大丈夫!?ケガは無い!?」

 

 ソファに座っていたミカは、慌てて立ち上がるとオレの体に傷が残っていないか調べ始める。

 

「ちょ、そんな体触らなくても調べられるでしょ!?」

 

「うーだってー」

 

「それにケガは無いよ。私、こう見えて結構頑丈なのミカも知ってるでしょ?」

 

「傷は無くても、頑丈でも、痛いものは痛いでしょ!……よかった、ケガが無くて」

 

 そう言って、ミカはオレの体をぎゅっと抱き締める。抱き締め返そうか、手を彷徨わせているとミカがぽつりと言葉を零す。

 

「……ごめんね、私のとこの関係者がミサちゃんに酷い事しちゃって」

 

「気にしてないよ」

 

「何か、その子に言われたりしなかった?」

 

「言われたけど、断った」

 

 私は、ミカの背中に手を回して抱き締め返すとそう言った。

 

「あのソニアって子、ミカの従者なんだってね」

 

「う、うん、聞いたんだ……その、私の家の事は」

 

「聞いてないよ。ミカが話したがってないのに、無理矢理他の人から聞いたりしないよ。ミカが自分から話してくれるまで待つよ」

 

「そうなんだ、ごめんね」

 

「《ティーパーティー》の件も、待つよ。ミカがどんな選択をしても、私は受け入れるから。だから、沢山悩んでミカの答えを出して」

 

「ミサちゃん……うぅ、ありがとう……」

 

 ミカは泣きそうな顔で強く私を抱き締めるので、私はよしよしと頭を撫でミカを慰める。

 

「……ミサちゃん、ご飯作る前に一発……」

 

 大人しく撫でられてると思えば、とんでもないことを言いだした。

 

「それは駄目。というかミカ一発で終わらないでしょ」

 

「だよね……」

 

 ミカ、最近性欲が行動に反映されすぎでは?確かに、前みたいに毎日やらなくなったけど、ミカみたいに性欲が強いとやっぱり辛いのだろうか。

 

「じゃあ、ミサちゃんの頭吸ってちょっと落ち着くね」

 

「恥ずかしいし、変態っぽいからやめて!?」

 

 しかし、私の静止も空しく、ミカは私の頭に顔を埋めて深呼吸始めた。ダメだ、一旦ガス抜きしてあげないと、どんどんエスカレートしそうだ。し、仕方ないご飯とお風呂を済ませたら抜いてあげるか……。

 

「……ねぇ、ミサちゃん」

 

「な、なに?」

 

「ミサちゃんはこれから何があっても、力を誇示したり、見せびらかすような事は絶対にしないで。力で、全てを支配、解決できるだなんて思い上がり、絶対にしないで」

 

「……ミカ?」

 

「お願い」

 

「う、うん、わかった」

 

 ミカの鬼気迫るお願いに、私は何度も頷く。そういえば、昔からミカは力が強いのにそれを周りに隠してるんだよね。……もしかして、ミカの家と何か関係があるのかな。

 

「よっし!じゃあ、ご飯にしよっか!ってまだ作って無かったね。仕方ないなー今日は私も手伝ってあげるからね!」

 

「うん……じゃあ、とりあえず買ってきたもの冷蔵庫に仕舞ってくれる?」

 

「おっけー!任せて!」

 

 ……ダメだな。ミカが話してくれるまで待つって決めたのに、つい探るような考えを。オレは頭を振って切り替えると、荷物を置いてミカを追ってキッチンに向かおうとする。すると、荷物から今日借りたばかりの、アリウス分派について書かれた本が零れ落ちる。

 

 あぁそうだ、ミカがどんな選択をしたとしても、魔女になんて絶対させない。例え―――この身を全て犠牲にしても、絶対に……!

 

 

 




光園ミサ
マグナムで撃たれても痛いで済む系女子。自身の痴態が、学園トップに出回ってることをついに知ってしまった。ウイとは初等部の頃からの顔見知り。だが、まともに会話したのは片手で数えるほどしかない。ミカから離れられないので、ミカをぎゃふんと言わせる方向にシフトした。なお、一度も成功しない。ミサの頑丈さは、昔サユリにヘイローを壊されかけた際、回復の過程で身長を犠牲に頑丈になった説が、あったりなかったり。

聖園ミカ
昔捨てたものが、今になって干渉してきて困ってる。ミサをこれ以上曇らせられないから、もう一人の主人公ともいえるミカを曇らせようとしてみた。が、この二人一緒に居ると互いにバフを掛け合うので、崩せないのである…!しかも、ミサに引っ張られて原作より友人多そう。どうすんのエデン条約…。

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