というわけで禁断の二度撃ち、本日二話目です!
「ふぅ……先生、お怪我はありませんか?」
「うん、私は大丈夫だよ。ありがとねヒナタ」
ヒナタと協力して襲って来たアリウス生を撃退した後、なんとか一息つく。
「先生、今の人たちはもしかして……」
「……どうやら、アリウスがこのタイミングで仕掛けて来たみたいだね。おそらく、さっきの爆発もアリウスの仕込みだろうね」
「……」
「やっぱり、複雑?」
ヒナタを見ると、何とも言えない表情をしていた。
「……そうですね。《シスターフッド》……いえ、トリニティそのものがと言った方がいいかもしれませんね」
そうしているうちに半壊した部屋にハスミとツルギが入ってきた。
「―――先生っ!ご無事ですか!?」
「私は大丈夫。ヒナタが守ってくれたからね。二人は無事だった?」
二人もミサイルの爆発から意識を取り戻した後、アリウスに襲撃され蹴散らしながら私の所に急いできたらしい。
「ええ、彼女の協力あってのことですが」
続いて入ってきたのは《ゲヘナ学園》の風紀委員長・空崎ヒナ。
「先生、無事?よかった……」
そう安心したように息を吐く。たしかヒナはアコと来てたと思うけど、気絶してるんだろうなー。
「ひとまず一旦ここから出ようか―――」
そう言って部屋の外に足を向けた時だった。何も無い空間から、急に人が出て来たかと思うと、こちらに銃を向けて撃ってきた。
「―――ッ!?」
「まずいッ―――先生ッ!?」
こちら目掛けて放たれた銃弾は、私に届くことは無かった。
「ッ先生……大丈夫、ですか……」
ツルギが私の前に出て、全ての銃弾をその身で受けたからだ。
「ツルギ!私は大丈夫、ありがとう助かったよ」
「キ、キヒ……い、いえ……」
「私がこのままここにいると足手纏いだね……どうにかここを突破できればいいんだけど」
させないと言わんばかりにガスマスクを着けた際どいシスター服の集団、《ユスティナ聖徒会》が集まってくる。
「……彼女達は一体。それに、あの服装……《シスターフッド》……?」
「あれは……まさか《ユスティナ聖徒会》?そんな、どうして彼女達が?」
「ユスティナ……?バカな、かの組織はもう無いはず……いえ、今は考えてる場合じゃありませんね」
「そうだね、じゃあ私が指揮するからみんなは……」
「……いや、ここは私が押し留める。先生はその間にここから逃げて欲しい」
そう言ってツルギは二挺のSGを構えて前に立つと、飛び掛かってきたユスティナをSGで撃ち落とす。が、コッキングの隙を突いてもう一人が陰から襲い掛かる。それをすんでの所で止めたのはハスミだった。構えたSRの銃口を下げると、ハスミは溜息をつく。
「はぁ……私とツルギで、でしょう?今更仲間外れは無しですよ、パートナーなんですから。第一あなたを一人にしたら、暴れるあなたを誰が制御するんですか」
「ふっ、そうだったな……」
「でしたら私も手伝わせてください!二人より三人の方がいいですよね!」
「ヒナタ……お気持ちは嬉しいですが、貴女は……」
「わかっています。けど、この場にサクラコ様やあの子がいたら、きっと迷わないと思うんです!」
「ハスミ……こういうタイプは止めても無駄だ……」
「そのようですね……。そういうわけですので先生」
「ここは我々にお任せを。護衛はゲヘナの風紀委員長ひとりがいれば十分でしょう」
そう言って各々は銃を構え、ユスティナと相対する。
「いや、でも……」
まただ。アビドスやパヴァーヌでもあったけど、原作と展開が僅かにズレるときがある。それは私がいるせいなのか、はたまた別の要因があるのかは分からない。恐ろしいのは、僅かなズレによって後々致命的なズレ、バタフライエフェクトが発生することだ。
「先生、生徒が心配なのは分かる。けど、今は……!」
傍にいたヒナにそう諭され、私は言葉を飲み込む。
「……分かった。三人とも、無理はしないようにね!」
どちらにせよ、私がこの場に留まれば生徒達は私を守るために本気で戦えない。となれば、私は原作から大きく乖離しないように祈るばかりだ。
私はヒナに先導してもらい、古聖堂から脱出するためにその足を動かした。
しかし、古聖堂を脱出したところでまたもやイベントだ。
「悪いが、逃がしはしないぞ」
錠前サオリをリーダーとしたアリウススクワッド。その長い黒髪と長いコートを風に靡かせながら、彼女はその手のARをこちらに向ける。
「アリウス……!」
「シャーレ、貴様にはここで消えてもらおう!」
ヒナがその手にあるMGのトリガーを押し込もうとした瞬間だった―――空からヘリが回転しながら墜ちて私達の間を横切ったのは。
「―――何ッ!?」
「……っ!」
「これは……!?」
そしてヘリが横切った数秒後に、その後を追うように
飛んできた彼女は、ヒールの付いた靴でブレーキを掛けながら地面を滑り、私達の間で止まる。
「ひ、ヒィッ……!?で、でたぁ!?」
原作通りなら、外で相当な数のユスティナとアリウスを相手にしていたはずだが、その体には一切の汚れも傷も見当たらなかった。
「光園ミサ……!」
苦々しくその名を呼ぶサオリ。名前を呼ばれたミサはその視線をサオリに向け呟いた。
「見つけたぞ、アリウススクワッドッ……!!」
あらん限りの覇気を叩きつけられたアリウススクワッド。サオリはその顔に焦りの表情を浮かべる。全身がビリビリと痺れる様な、そんな感覚に私も思わず生唾を飲み込む。
と、そのタイミングで一台の車が突っ込んできて、私の近くで停止した。
「先生っ!早くこちらに!」
車のドアを開けて声を掛けて来たのは、ゲヘナ学園の救急医学部に所属する氷室セナだった。私はヒナに目配せするとヒナは頷き、アリスクがミサに釘付けになってる隙を突いて、私とヒナは同時に動く。
「っ!?チィッ……!逃がすかっ!」
サオリがすぐさま反応し、こちらにARを向けて撃ってくる。ヒナは私を庇うように前に出るが、隙間を抜けて来たのか車のドアに手を掛けたところで、脇腹に衝撃と熱が広がる。思わず倒れそうになるが、私は歯を食いしばって車の中に転がり込む。私を乗せたことを確認したセナはヒナを見て、ヒナも頷きそのまま車を発進させる。
だが、私はそれどころじゃなく、ジワジワと広がる痛みに声にならない悲鳴を上げていた。
(ぐぁあああああッ!?マジで痛ぇええええッ!?うううううッ……!!こんなに痛いなんて聞いてないぞぉ……!!)
「先生、大丈夫ですか。……先生?」
あ、やば……。意識が……。あー原作通りにちゃんと起きられますように……。
そんなことを思いながら、私の意識は深い闇の底へ落ちていくのだった。
◇
「くっ、逃がしたか。まぁいいそれよりも……」
シャーレの先生を逃がしたことにサオリは舌打ちするも、すぐに意識を切り替え最も警戒すべき相手であるミサへ視線を戻すが、先程までそこに居たはずのミサがいない。
「……ッ!?一体どこに!」
慌てて周囲に目を走らせるも、居るのはゲヘナの風紀委員長の空崎ヒナだけ。
「―――リーダーッ!上ッ!!」
ミサキの声と同じタイミングでサオリの頭上に影が差す。サオリは遮二無二に体を動かしその場を飛び退る。数瞬のち、サオリの居た場所が爆発する。爆撃か?いや、ミサが飛び蹴りで地面を蹴り砕いたのだ。
ミサの起こした衝撃波に煽られ、サオリは地面を転がるもすぐに起き上がり、砕けたアスファルトや舞い上がる砂埃で見えぬミサを警戒して銃を構える。
ミサは舞う砂埃を銃の一振りで払うと、鋭い眼光をサオリに向け、また突っ込もうと足に力を込めた。
「ストップ。一人で暴れないで」
いざ、というところで近くに来たヒナに止められる。
「チッ、お前ゲヘナの」
ヒナの顔を見た途端に、ひどく顔を歪ませるミサ。
「風紀委員長の空崎ヒナ。直接顔を合わせるのは初めてね、光園ミサ」
「邪魔をするつもりか?」
「いいえ、ただ一人よりも二人のほうが負担も少ないでしょう?」
それは共闘の申し出だった。目的は異なるが、
「要らない、って言っても聞かないんだろ?……足は引っ張るなよ」
「そっちもね」
ミサも同じ結論に至ったのか、あっさりヒナとの共闘を受け入れる。並び立つ
「リーダー……!流石に一人ならまだしも、二人はまずいよ!」
「分かっているッ!くっ……撤退だッ!一度退く!!」
だが、簡単に逃がしてくれる二人ではなく、最初に突っ込んできたのはミサだった。
「逃がすかァッ!!」
弾丸のようなスピードで、真っ直ぐにサオリに狙いを定めて拳を振るうミサ。ミサの動き出しに反射的に体を動かしたことにより、ギリギリで回避できたサオリ。が、横合いから追いついたヒナがサオリに向けて機関銃を撃つ。合わせるようにミサもトリガーを押し込み、弾丸が放たれた。二挺の機関銃にクロスファイアされたサオリは回避できず吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ぐぅっ!?」
「リーダーッ!伏せてッ!」
ミサキの構えたロケットランチャーから放たれたロケット弾は、空中で子弾をバラ撒くとヒナの上に降り注ぐ。
「ヒヨリ!」
「え、えへへ……わ、悪いのはあなた達ですからね……」
間髪入れずにヒヨリのスナイパーライフルがミサの顔面を捉える。が、ミサは一瞬顔を仰け反らせただけで、ダメージが入ってるようには見えなかった。
「え、えぇ!?対物ライフルをそんな何事も無かったかのように!?」
「くっ……化け物……!」
だが、サオリがミサ達から離れる時間は稼げたようだ。しかし、サオリのダメージが大きい。すぐにでも休ませるために撤退するべきだが、この二人がそんな隙を容易に晒しはしないだろう。
「……大丈夫なの?」
「普通に痛いに決まってるだろ」
「そう云う意味では無いのだけど」
当の二人といえば、そんな会話をしていた。どこか余裕そうな、いや実際余裕があるのだろう。お互いへの配慮がある為に、まだ本気を出してないに過ぎず、遠慮が必要無いと分かれば本気でアリウススクワッドへ向かってくるだろう。
「そうなる前にどうにか……!」
ミサとヒナ、二人が構える。
(どちらから来る……)
睨み合って止まる事数秒。沈黙を破ったのは、ヒナの持つ携帯の着信音だった。ヒナは出るか一瞬迷いミサを見るが、ミサは目でさっさと出ろと促す。そうしてヒナは携帯を取り出すと耳に当てる。
「……私よ」
『―――!―――!!』
「……え?先生が?うそ……そんな……」
通話先で何か言われたのか。ヒナは携帯を持ったままその場に崩れ落ちる。
「おい、空崎ヒナ?」
それは明確な隙だった。さらに、突如として投げ込まれたスモークグレネードによって視界を塞がれてしまう。
「これは」
「あ!姫ちゃんです!」
「……(スッスッ)」
「うん、リーダー動けるよね」
「ああ、この隙に退くぞ」
煙幕に紛れ離れていくアリウススクワッド。
「まっ……っ、くそ……」
追おうと足を動かし掛けたものの、呆然自失しているヒナをそのままにしておけず、その場に留まる。
「おい!しっかりしろ空崎ヒナ!」
何度か肩を揺するが、ヒナから反応が返って来ず思わず舌打ちする。
(……確か、調印式の間はトリニティ自治区内にゲヘナが宿泊する施設があったはず。なら、その近くで作戦室を展開してるだろうから、そこまで届けてやるしかないか)
頭の中で、事前に決められていた調印式での段取りを思い出しながら、ヒナを担ぎ上げ飛び上がる。
「手間を掛けさせやがって……。とりあえず、近くに放ればあとは向こうが何とかするだろ」
この事態を解決するなら、アリウスを追うべきなのだが。流石のミサと言えど、ショックで放心してる相手を無視して行けるほど、ゲヘナに対して冷徹ではない。
(こいつの様子からして、さっきの電話はアイツが撃たれたか……。なら、原作通りに進んでるんだな。ということは、この後アリウススクワッドと白洲アズサが接触するはず……。割って入れたらいいけど、どこにいるか分からないんだよな)
やはり、追うべきだったか。と、若干後悔した。
(とりあえず、街の中で暴れてるユスティナとアリウスを片付けながら、古聖堂の近くを張っていようか)
アズサが原作通りに動けば、ユスティナが一時的に止まり、アリウススクワッドが再び古聖堂に現れる。その瞬間を、じっくり待つほか無いだろう。
ミサは自身がどう動くべきか、頭の中で指針を立て街中を駆けるのだった。
Q.アリスクが最強格二人から逃げるにはどうすればいいの?
A.デバフ付与しろ
ここまで一万二千文字、作中経過時間二時間くらいってマ?誰だよエデン3章三日説推してるの。こんなの三日も書いてたら発狂するぜ!他の作者さんがエデンで詰まる理由の大半がここにある気がするの。
ところで感想めっちゃ来てて草。君ら普段そんなに感想書かないじゃん!早く投稿させようと圧かけてきやがって、おう書いてやるよ!
あ、私事ですが今日は私の誕生日でした。生まれてきてくれてありがとう私!