ぼっちちゃんに仲の良いクラスメートを生やす そんな話 作:もっちーやん
僕とひとりさんと友達になったのは入学式の日である。入学式自体は何事もなく進行し無事に終わったと言えるだろう。僕個人としては特待生であり、成績優秀者として代表のスピーチを行った為心臓がバクバクし吐きそうになったりしたが話し始めれば流れに任せればいいので案外何とかなった。
式が終わりクラス別に別れ先生から校則や学校の説明を受け早くも席替えが行われた。席替えは教室の左端で窓側で一番後ろの席になった。そして僕とひとりさんが友達になるきっかけになった自己紹介が始まった。
自己紹介は教室の左端から始まり「矢田です。中学は○○中です。趣味は…」などと席替えをした為あいうえお順では始まらなかったが小中でこのようなことはなかった為新鮮ではあった。そして僕の番になった。
「初めまして小林蒼人といいます。中学校は○○中です。趣味は強いてあげればアコギを少しだけ弾けます。特技は先程のスピーチで知ってた方が多いとは思いますが勉強です。これから一年間どうぞよろしくお願いします。」
「えぇー小林さんは入試ではトップの成績であり、県の学力テストでも上位の成績を収めています。皆さんも高校生になったからといって遊ぶなとは言いませんが節度をわきまえて遊び呆けて学業の方を疎かにしないようにしましょう。」
と担任の先生が付け足しクラスからぱちぱちとマダラな音ではあるが拍手が教室を包む。
(よし!自己紹介でこけなかった。高校では友達を作ってみたいから周りから白い目では見られてなかった。)
などと思っていると隣からぶつぶつと声が聞こえる。隣を見るとピンク色の長く綺麗な髪の彼女は真っ青な顔で何やら「何か面白い自己紹介。面白いことしなきゃ…」と小さな声で呟いていた。そして名前も知らない彼女の番になるや否や
「ぇっと…ごっごご後藤…ひとりです!あの…横浜から来てます。趣味はギターでバンド組みたいと思っています。あのあの〜~」
と一部声が小さく彼女の近くの席では無いと聞き取れない程の小さな声であり、そして「あの」と言い始めた辺りで彼女もとい後藤ひとりさんは溶けてしまい彼女の自己紹介は終わってしまった。
クラス全員の自己紹介が終わりお昼前にクラスの交流という理由のため学校が終わり早めの放課後となりクラス内で「おな中じゃん!」「連絡先交換しよ!」「クラスのロイン作りました!皆是非入ってねぇ〜」などと忙しく交流が始まりクラス内に雑音に染まっていった。
僕は一応スマートフォンを持ってはいるがあまり機械に詳しくなくロインの交換方法など知らないためいそいそと帰る支度を始めたがこの機会を逃せば友達が作れないのではないかと思い、友達を作る為にも行動しようと決心しクラスに残ることにした。
しかし結果として誰にも話かけることが出来ず話しかけられたが
「ごめんなさい。スマホ持ってません(嘘)。」
「テレビが家にはないので好きな芸能人さんとかは居ないですね、バンドもあまり詳しくないですね。すみません。」
「アコギですが皆さんにお聞かせ出来る程上手くないので…すみません。」
「休日はアルバイトをしてるためあまり遊びに行けませんね。平日もシフトがもう出来ていますのですみません。」
とコミュニケーション障害を発揮してしまい友達はおろかロインさえ交換出来ないでいた。
(やっぱり僕に友達を作るのは無理なんだな。せめて
と自己嫌悪に陥り気が付くとクラスが静かになりふと周りを見渡すとクラスの人達が一人残して居なくなっていた。残っていたのは隣の席である後藤ひとりさんである。彼女は溶けていたがいつの間にか元の人型に戻っていた。溶けている間は気を失っていたのかハッとなり周りを見渡すと頭を抱え
「やってしまった。絶ッッ対皆に引かれた。何やってんだ私バカ!アホ!自己紹介一つ出来ないなんて私はミジンコ以下だぁ…」
と唐突に自虐を始めてしまった。頭を抱えている姿と彼女の指を見て僕は
(後藤ひとりさんの指見ただけで分かる。すっごいギターを弾いてきた指だ。まるでお姉さんみたいな長い間触ってきた指だ。そしてこの人も友達欲しかったのだろう。バンド組みたいって言ってたし、それにこの人僕と同じで会話が苦手な人なんだな…)
と思い僕は意を決して彼女に話しかけた。
「えっと…後藤ひとりさん?で合ってますよね?僕の名前は小林蒼人と言います。」
「あっ…えっと…はい。後藤ひとりです。」
「もしスマートフォンを持っているのでしたらロイン?でしたっけ会話アプリの交換しませんか?」
と僕はスマートフォンの画面を後藤ひとりさんに見せる。すると彼女は
「あっはい…ろろろロイン!」
「はい。えっとこのアプリです。あっもしかしてスマートフォン持っていませんでしたか?そうでしたらすみません。無神経でした。」
と後藤ひとりさんに謝ると
「あっ…あの!スマホは持ってます。でっでも私なんかとロイン交換していいんですか?私みたいな自己紹介一つろくに出来ないミジンコ以下みたいのと」
と自虐の入った反応が返ってきてしまったが僕は
(やっぱり後藤ひとりさん僕と同じだ。会話が得意ではないところも全部自分のせいにしてしまう所も。僕はこの人と可能なら友達になりたい!)と彼女に既視感を感じそして
「はい!
「あっ…はい!私後藤ひとりと言います。あのっこれ私のロインです。ととっ友達になってくれるんですか。あっあの何で私のギター聞きたいって思ったんですか?」
「僕知り合いのお姉さんにバンドしてる人がいてお姉さんバンドをしてる時とても楽しそうでジャンルを問わず楽しそうに演奏している人の音が僕好きなので、だからギターが好きな後藤ひとりさんの音が聞きたくなって…」
後藤ひとりさんがいきなり下を向いてしまい反応が返って来ない。
(もしかしていきなり距離を縮めようとしすぎた?中学の時みたいに白い目で見られた?)
「すみません!いきなり変なこと口走ってしまい。僕あまり同級生と仲良くしたことがなくて口下手で会話も苦手で…」
「あっいや別に…大丈夫です。その私のギター聞きたいって言ってもらってそれに友達になりたいって言ってもらえたのが嬉しくてその…」
「私も友達になりたいです。実は友達作るのこれが初めてで」
「本当ですか!僕も実は友達作るの初めてで。あの名前の呼び方ですがひとりさんと呼んでもいいですか?僕渾名とか決めるの苦手なので…」
「(いきなり名前呼び!)あっはい。私も蒼人さんと名前で呼んでもいいですか。」
「大丈夫ですよ。ひとりさんが呼びやすい呼び方で。」
そうお互いに下手くそな会話をしながら僕は初めての友達が出来たのだった。
「あのロインの登録ってどうやるんですか?僕機械にすごく弱くて…」
「えっ…あっ、はい私がやります…」
ロインを交換した後スマートファンの使い方を一通りひとりさんに教えてもらいました。
最後までご覧いただきありがとうございます。
前回のお話で評価を下さったタマンさんありがとうございます。