ぼっちちゃんに仲の良いクラスメートを生やす そんな話 作:もっちーやん
ひとりさんとの朝の挨拶を終えると担任の先生が朝のHRを初める。プリントの配布や今後の学校行事の予定などが行われた。そしてある一言が僕の中にあるトラウマを呼び覚ました。
「昨日近くで交通事故があった為皆さんも交通事故等に気をつけてください。」
交通事故…
雨の日…
あの日に…
頭が割れるように痛い。視界が歪む…胸が苦しい…思考が出来ないほど真っ白に染まる。今までも交通事故という単語に反応することがあってもここまでなることは中学一年以来なることはなかった。
そっかぁ…今日雨だもんな。ほんと雨は嫌いだ…
僕はこの後の授業も集中出来ず、教科書とノートを机に出しても手を動かす気にもなれずただただ外を眺めると、あの日の出来事が鮮明に蘇る。雨が降っていた日ばぁばが事故にあったと聞かされ病院についた時にはもう遅かった。僕が見たのはもう動くことも話すこともないばぁばの形をした人の死体。
まだ生きているようにさえ僕は感じていたが現実はそう上手くいかないものだ。警察の人だったかばぁばの働いていた職場の人だったかもう覚えていないがスマートフォンを渡されたばぁばの近くに落ちていたものだと。
そうだ、ばぁばが事故にあったのは僕のせいだ。
僕がスマートフォンを欲しいと嘘をついた、友達を作るために欲しいと。別に友達が欲しいと思っていなかった。
ただばぁばを安心させたかった。いつも1人でいる僕をいつも心配していた。
だから安心させたかった。
”僕には友達がいるよ︎︎ ︎︎ ︎︎”と
いやこんなのはただの言い訳だ。自分が楽になりたいから自分のせいで死んでしまったと思いたくないから
そうだ僕のせいだ…
「(そうだお前のせいだ)」頭の中に声が響く
僕のせいで…
「(お前が殺した)」僕の声で響く
「…やし」
僕のせいで…
「(お前が産まれたせいだ)」
僕の!
「(小林蒼人お前の!)」
「小林!」
「ッ!はいなんですか。」
突然の呼びかけによって僕の思考は止まる。黒板に視線を向ける。
「小林この問題解けるか?」「あっ えっと…分かりません。」
「ん。分かった…って、顔色悪いぞ。体調でも優れないのか?」
「いえ。大丈夫です。」「そうか。ではこの問題解ける人」
あぁやってしまった。今日は本当にだめな日だ、何をしても何を考えても良くない方向へ思考が切り替わってしまう。
きっと今のままではひとりさんにも迷惑をかけてしまう。
今日は誰とも話さない方がお互いの為である。
そう思い僕は今日は誰とも関わらないようにしようそう思っていた。
午前の授業が終わり昼休みになった。
食欲はないため適当に昼休みを過ごそうと机を立とうとした時隣から声が聞こえる。
「あっあの!お昼ご飯…一緒に食べましょう!蒼…人くん!」
────────────────────
蒼人くんの様子がおかしい。朝挨拶した時は何もなかったのにHRが終わった時からなにか様子が違っていた。いつもなら一生懸命ノートを取っているのに今日は違う。外をずっと見ていて黒板すら見ていない。
(もしかして私知らないうちに蒼人くんを怒らせちゃった!?
朝の挨拶は「もう友達ではないけどクラスメイトだから一応挨拶した」ってこと!?)
どどっどうしよう。
もし友達やめるとか今言われたら私の精神が崩壊してしまう!!
でっでも蒼人くんがそんなこと言うとは思えない。
だって私にタオルを貸してくれたし…
それにたった一週間されど一週間。
仲良くしてくれたし私の事を見てくれる人が居たんだって思えたし。学校行くの嫌だったけど蒼人くんと話してる時間はそんなに嫌いじゃないし何か困っているなら力になれないかな?
なんて考えていると蒼人くんが先生に指される。いつもならすぐに答えをって蒼人くん先生に指されてるのに気づいてない様子だった。何より顔色がすごく悪い血の気が無いように真っ青になってしまっている。本人は先生に大丈夫って言っているけど私にはそう見えなかった。
そう思っているのは私だけじゃなくクラスの皆もそう感じているようだった。休み時間になると
「今日の小林くんなんか変じゃない?」「顔色悪いけど大丈夫なんか?」
とちらほら声が聞こえる。いつもなら休み時間になると話しかけてくれるのに今日はただ黙って外を見ているだけ。
もしかしたら私が怒らせちゃったかもしれない。だからお話をしないといけないと思っても凄く怖い。いつも受け身でダメな私。私から動いても相手に迷惑をかけてしまうかもしれない。もしかしたら話しかけて欲しくないかもしれない。
と考えていると考えているとお昼休みがやってくる。蒼人くんとお昼は一緒に食べないからどこで食べてるとかは知らない。だから今動かないと話しかけるタイミングを失ってしまう。
人に話しかけるのは怖いし足も震えるけどこのまま動かないで友達である彼との関係を無くしたくないから
(動け動け!後藤ひとり!!)
「あっあの!お昼ご飯…一緒に食べましょう!蒼…人くん!」
私は意を決して話しける。
「あーえっと今日はごめんなさい。ちょっとあれなので」
断られた だよね。蒼人くんの顔をちらっと見ると顔色が悪くいつも無表情で不思議な雰囲気があるのに今日はアンニュイな感じでそれでいて泣きそうな目をしていた。
私は気づいたら蒼人くんの腕を掴んで「行きます。」と一言だけ告げいつもご飯を食べている机や椅子が置かれている謎スペースに駆けていくのだった。
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ひとりさんに「お昼を一緒にどう」と誘われたが僕は断った。それもそうだ 今日の僕は駄目な僕だ。普段も協調性やコミュニケーションが出来ない駄目な僕ではあるが今日は尚更酷い。
しかしひとりさんは僕の顔を見るやいなや腕を掴んできてそのまま引っ張られ何処かに連れていかれる。
一瞬見えたひとりさんの目は何かを決心したよな目だった。あの目には見覚えがある 僕がどうしようもなかったあの日に僕に生きる理由をくれたお姉さんと同じ目をしていた。
連れてこられたのは机や椅子が置かれている所謂デットスペースである。
「あのひとりさん。此処に連れてきて何か用でもありました。」
「えっ…あっはい。あの…その…えっと蒼人くんごめんなさい!」
「え?なんでひとりさんが謝るんですか?」
「あの無理矢理連れてきてしまったのと今日の蒼人くんなんか様子がおかしかったので私が怒らせちゃったのかと…」
「ッ!」
驚きのあまり声が出なかった。ひとりさんは何も悪くないのにまるで自分が何かしてしまったのかもしれないという理由で僕に謝っている。
ひとりさんが優しい人だと僕が勝手に理解しきれていると思い上がっていた。
(ひとりさんが悪い訳じゃないのに…悪いのは僕だから)
「ひとりさん。今日の僕の様子がおかしく見えたことにひとりさんは関係ないよ、本当大丈夫だから。」
大丈夫だ。これは僕の問題だから。僕が悪いから駄目だから他人に迷惑をかけてしまう。
「そうですか。でっでもなにかありました?そっその私じゃ頼りないかもしれないですけど相談くらいなら乗れます。」
優しいなぁ。ひとりさんは基本的に1人でいるけど本質的に他人に寄り添うことが出来る子なんだろう。たった1週間の仲なのにここまで親身に僕のことを心配してくれる。今日は話さないようにって考えていたけどこんなに優しい人は僕には勿体ない。
ならやる事は1つだろう 僕とは関わらない方がいい。
きっと僕は最初から間違っていた。人と関わろうとした幸せになろうと、最後の高校生活を楽しもうとした。僕と関わるといずれ僕の過去に触れる機会がある。
忘れていた。
ひとりさんと話すのが居心地が良くて彼女の優しさに甘えていた。中学の時仲良かったと思い込んでいた彼に自分の過去を話したら翌日から白い目で見られ、陰口を叩かれ僕から離れていったのを。
きっと優しい彼女でも僕の過去を知ったら離れていくに決まっている。でも変に遠ざけようとしてひとりさんになにか悪い噂が立つのは防ぎたい。なら僕から拒絶すれば少なくともひとりさんに悪い噂が流れることは無いだろう。
過去の経験から僕の方から口汚く拒絶すれば噂に尾びれがついて僕が悪者として流れひとりさんはその被害者となるだろう。陰口や悪口など聞き飽きている。だから!
「ひっ…ひとりさん。ぼ…僕ともう関わらないでください。」
声が震える。今まで誰かに拒絶されることがあっても自分からすることなんてないから…
「僕はっ…ひとりさんと1週間過ごしましたけど、たっ楽しくなかったです。ひとりさんあまり勉強が得意ではありませんし、偶に自分の世界に入りこんで人の話聞きませんし、コミュニケーションが下手くそで…」
泣きそうだ。楽しくないなんて思ったことすらない。ひとりさんはいつもノートをしっかり取っていて要領が悪いだけ、ひとりさんは青春に対しての憧れが人一倍強いからつい考え込んでしまうだけ、会話も相手を傷つけないように、変に思われないように慎重に言葉を選んでいるから…
「…それに僕とひとりさんは他人なので、僕とは他人だからもう関わらないください。」
目頭が熱くなっているのを感じる
「嘘…ですよね?」
「本当に僕はひとりさんを」「ならなんで泣いているんですか」
涙が頬を伝っている。
「その…いきなり関わるなって言われてもどうすればいいか分かりません。私友達いたことないですし蒼人くんの言う通り馬鹿ですし…」
「でも泣いているとっ友達を放っておけるほど馬鹿じゃありません!」
「なにかあるんですよね…もしかしたら私なんかに話したくない事かもしれないけど…」
「でも僕の問題ですから…」
「それに私馬鹿かもしれないけど…なにかあったら力になれます…」
「だから何があったか話してください!」「ッ…」
そう言ってひとりさんは僕の手を掴む。ひとりさんの指は皮が厚くなっていてギターをずっと弾いてきたものだと如実に語っている。その手は僕に生きる理由をくれたお姉さんの指にそっくりだった。本当に話していいのだろうか、僕の過去を僕の気持ちを
「幻滅しないですが、嘘とは言え僕はひとりさんに対して…」
「しません。だって私達友達ですもんね…へへっ」
”友達”
僕達は友達だから、話してみてもいいのかもしれない。話した結果この関係が無くなってしまってもきっとそれも青春って呼べるのかもしれない。でももし望んでいいのなら
「ひとりさん放課後空いていますか?ひとりさんに話したいことがあります。」
ひとりさんと本当の意味で友達になりたい。上辺だけの関係じゃない、僕の憧れて焦がれていた関係に…
もう頭は痛くない。涙も乾いた。声ももう聞こえない。
ひとりさんと目が合うとひとりさんは明るい笑顔で
「はい!」
と一言返した。
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