先輩はおしまい!   作:朋也

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 三日に一回の約束を守れないカスが参りました。己と、休日出勤を呪います。申し訳ありません…。反省しております。

 前回の後書きで解答編とかふかしたせいで、切りが良い場所が無くて本文が長くなってしまいました。最後までお付き合いして頂ければ幸いです。







あきなと既知への拒絶

 最近は調子がいい。というか、色々と上手く事が運んでいる。

 

「あきな君おはよ~」

 

「おはよ」

 

 教室に入ると、最初に挨拶してくれたのはクラスでも一番の快活ギャル、八坂まいだった。

 

「おはよ~」

 

「長瀬さんもおはよ」

 

 続いて手を振ってくるのは、いつも気怠げなギャル、長瀬みやこだ。

 いつも一緒に居る二人組で、クラス内でも一番派手な、正にスクールカーストの最上位と言った二人組だ。

 

「今日は早いねー」

 

「最近は寝つきが良いんだよ。ちょっと前までは寝坊しまくってたけど」

 

「私も朝弱いから、分かるし~」

 

 何気ない朝の会話を交わす。ここ最近は登校して二人と話すのが定番となっていた。

 

「……あれ、長瀬さん髪切った?」

 

「お、分かる~? ロングから変わってないし、気付かれないかなと思ってたんだけど」

 

「分かる分かる。前髪とか特に分かりやすいから、毛先が整ってる感じがしてさ」

 

「おうおう、よく見てるね!」

 

「観察力には自信があるもんで」

 

 人間観察はぼっちの基本だ。高校、大学ではよくやっていた。見た目から入るのはコミュニケーションの基本だからな。

 

「感想はどうよ?」

 

「いいじゃん。可愛いと思う」

 

「そう? 嬉しいし~」

 

 照れている長瀬。しっかりと正解の回答を踏めた様だ。……正直、大きな変化はしていないから可愛さは普段のままだと思ったが、こういう時は褒めるのが吉。

 

「私は私はぁ!」

 

「え? いつもと同じだよな?」

 

 まさか八坂も髪切ってるのか!? 全然気づかなかった。観察力が足りてない?

 

「いつもと同じで?」

 

「……可愛い、よ?」

 

「うんうん。ありがと!」

 

 はにかむ八坂。何だ? 試されたのか? 取りあえず好感触な反応なので良しとする。

 

 入学して間もない頃は、この二人と話す時は『演じて』いた。俺の女性恐怖症は相手の年齢が上がるのに比例して悪化する傾向があった。逆に、年齢が下がれば症状が緩和する。大学生の俺にとって、中学生の異性は恐怖症の対象がだったはずだった……のだが、自身の年齢が下がった事に比例して恐怖の対象年齢も下がり、中学生の異性相手にも若干の抵抗が出る様になっていた。俺の恐怖症は相手と自分の相対的な見た目で症状が変わるらしい。情けない話である。

 

 その対策として考案した、普段の自分ではないキャラを入れる事で女性恐怖症を自分の脳内から忘れさせ、円滑なコミュニケーションを図る『演じる』という技術。長年の女性恐怖症から生み出されたテクニックだ。それを駆使してクラスの女子と話をしていた訳だが、最近は誰とでも気兼ねなく話せる様になっていた。

 きっかけはまひろや周囲の友達との交友だ。まひろやもみじを筆頭に、室崎や桜花、天川達と話している内に自然と同級生の異性に抵抗が無くなっていた。今ではすっかり普段の自分で会話できるまでになっていた。

 

 それでも、人生で女の子の友達が居なかった俺は会話の返答の正解を探り探りで話している。演じるとは違うが、相手が喜ぶ返答を考察して返している。

 結局悩んでいる事に変わりはないが、皆と同じレベルの悩みまで昇格出来たのは、俺にとって大きな進歩だ。この調子で女性恐怖症の克服にもいい影響が出てくれればいいのだが……。

 

 ギャル二人との交友をしていると、朝のチャイムが鳴る。もうすぐホームルームが始まる。俺は少し浮かれ気分で席に着く。

 

 上手くいっている。順調だ。そんな考えが俺の頭を占めていた。

 中学校に通いながらの一人暮らしにも慣れた。最初は両立が大変で、寝坊したり洗濯を忘れたり、体調管理が疎かになって風邪を引いたりしていたが、ここ最近は大学に通っていた時くらいにはこなれてきた。

 最初は感じていた同級生の異性に対する抵抗感も無くなってきて、今では気軽に会話できるまでになった。

 

 この調子で女性恐怖症の完全克服。ひいては実験の終了まで至れれば万々歳だ。これは一年の刑期を待たずして出所もあるかも知れないな!

 

 ウキウキ気分でいると、前からプリントが運ばれてくる。まひろから受け取ったプリントを軽く眺めていると、一つの項目で視線が止まる。

 

「来週から体育でプールが始まります。各自、事前準備を忘れない様に~」

 

 先生からの注意喚起。しかし、俺の耳には一切入ってこない。目の前のプリントの内容に意識を囚われていた。

 

「プール……だとッ! てことは……水泳。……水着」

 

 ワナワナと震える。震えが止まらず腕を摩る。全身の毛が逆立っている感覚に襲われる。

 ……分かってはいた事だが、遂に訪れてしまった。考えてみれば想定できる事態だった筈だが、最近の浮かれ気分で完全に頭から飛んでいた。

 

 そっとプリントを机にしまい、俺は瞑想する。呼吸を整えて、冷静に事態の対処を考える。

 

 ホームルームが終わっても瞑想が続く。一時間目の授業が始まる寸前、まひろから肩を揺らされるまで瞑想は終わらなかった。

 

 

 

 

 

「あかり。折り入って頼みがあるんだ」

 

 夜。おんぼろアパートの一室にて。俺はあかりと正座で向かい合っていた。

 

「どうしたんですか? 改まって……」

 

 訝しむあかり。それもそうだろう。頼みごとの一つくらい電話で済む所を、わざわざ自室に呼び出して頼み込もうというのだから。

 

「大切な用件なんだ。とても大切な……」

 

「……まぁ、そうなんでしょうね。こんなに真剣な顔している先輩初めて見ました」

 

 俺の鬼気迫る表情に納得してくれるあかり。伝わっている様で有り難い。これなら話が早い。

 下手な芝居や小細工はいらない。要件を簡潔に、迅速に伝える事にする。

 

「あかり」

 

「はい」

 

「一生のお願いだ」

 

「我儘を言う小学生みたいな切り出しですね」

 

 ふふと笑うあかり。少しでも場の空気を和らげてくれているあかりの心遣いに感謝し、俺は本題に入る。

 

「―――来週からプールの授業が始まる。これを何とか欠席したい」

 

「………………………はい?」

 

「出来ればプールサイドでの見学もしたくない。何とか上手く理由をこじつけて、授業中は図書館とかで自習できる様にして―――」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!?」

 

 両手で俺を制すあかり。一旦話すのを止めると、あかりが片手で頭を抑える。

 

「……どういう事ですか? 授業の欠席? それが一生のお願いですか?」

 

「ああ」

 

「……え? 何で? 何か裏でもあるんですか? このやり取りに会話以上の意味合いが含まれているとか?」

 

「言葉通りの意味だ」

 

「……理解できないんですが」

 

 小首を傾げるあかり。あかりの反応は最もだ。いきなり授業を休みたいなんて言われても意味わかんないし、目的も不明瞭では理解できる訳もない。

 

「理由を聞いていいですか?」

 

「……それは」

 

 押し黙る。訝しむあかりに俺は俯きながら答える。

 

「……言えない」

 

「はぁ!?」

 

「理由は言えない。頼む! この通りだ!」

 

 頭を下げる。俺にはこれしかできない。

 

「―――授業を休ませること自体は可能です。でも、何の理由もなく休むのは釈然としませんね」

 

「……」

 

「理由を教えてくれたら協力します」

 

 俺の事情を聞き出そうとするあかり。当然か。何の意味があるか分からない仕事程やる気の出ないものはない。これはその類と一緒だ。

 あかりが説明を求めている。しかし、俺にはこれしかできない。

 

「―――お願いします」

 

 深々と頭を下げる。両手は地面に付き、正座の姿勢を崩さず行う誠意の証。

 

「ちょ、ちょっと!? 土下座なんて止めてくださいよ!」

 

 あかりが俺の身体を掴んで起き上がらせようとするが、上半身は断固として低姿勢を崩さない。

 

「お願いします! お願いします! お願いします!」

 

「どうしてそこまで……一体、プールの授業に何があるんですか?」

 

「……」

 

 再び押し黙る。あかりの疑問に俺は答える事が出来ない。的確な回答を用意できない。

 

「お願いします」

 

「……」

 

「お願いします」

 

「……はぁ。分かりましたよ」

 

 溜息を吐くあかり。どうやら折れてくれた様だ。

 

「ただし! 見学までです。プールサイドで見学してて下さい。妥協できるのはそこまでです」

 

「………………致し方なし」

 

「どんだけ葛藤してるんですか……」

 

 呆れて物も言えないみたいな態度のあかり。あかりからここまで譲歩を引き出せたのなら上出来か。

 

「―――頼んだ」

 

「はいはい、頼まれましたよ。よく分かりませんけど、先輩がそこまで言うなら従いましょう」

 

 そう言うと立ち上がり、部屋を出ていくあかり。帰り際に「理由は何でもいいんですね?」と念押しされたので、親指をぐっと立てる。

 

「……ふぅ、これで一安心だな」

 

 何とか上手くいった。これで最悪の事態は免れそうだ。プールサイドも十分危険だが、俺の意識次第でどうにでもなる。

 来週からのプールの授業はこれで何となる。最大の障害をクリアできた。これでまた平穏な日々が戻ってくる。

 

 安堵した俺は少し肩の力を抜き風呂に入る準備をし始める。

 

 

 

 

 

「……聞きはしませんけど、調べはしますよ。先輩」

 

 

 

 

 

 授業当日。俺はプールサイドで膝を抱えて座っていた。

 目の前では水着姿の男子生徒達が先生からプールに入る前の注意事項を聞かされている。そして、男子がいる反対側のプールサイドでは女子が座って注意事項を聞かされている。

 

「……」

 

 男子達を見ていると、何人か反対側の女子をチラチラ見ている。中学生の男子らしい、実に健全な行為だ。如何にも思春期という風景は微笑ましさすら感じる。

 ゆうたとみなとが目に入る。アイツらも女子を見ている。全くエロガキだ。気になるのは分かるが、自制心を持つべきだ。

 

「……」

 

 七月だというのにまだ寒い風が吹く。長袖を着てきて正解だった。プールサイドでじっとしているには肌寒い。こんな気候で水泳とは拷問ではないだろうか。

 

「……」

 

 あぁ、空が青くて綺麗だ。七月の澄み切った青空は、俺の心を写している様で清々しく美しい。

 

「―――藤村君。聞こえているかい?」

 

「―――へ?」

 

 思わず素っ頓狂な声が出る。声がした方を見上げると、体育の先生が俺を見下ろしていた。

 

「ビート版を運んできてくれないか?」

 

「……それ、体育委員の仕事では?」

 

「体育委員の子がお休みでねぇ。代わりにお願いしたんだ」

 

 申し訳なさそうに後頭部を掻く先生。ズル休みしている負い目もあるし、そういう事象なら致し方ない。

 先生に言われた通り、用具室に向かう。用具室はプールの出入り口の付近にあるので、必然的に対面に居る女子の方に歩くことになる。

 

「……」

 

「あ、おーい。藤村ー」

 

 女子の集団から声が聞こえる。手を振っているのは女子側の教員担当である南方りん先生。

 

「ついでに女子の分も持って来てくれないかー」

 

「……分かりましたー」

 

 手だけ振って一瞥する事もなく了承する。そっちは体育委員いるだろ! 人使い荒くないか?

 

 数枚のビート版を持って女子の方へ行く。何枚か置いて素早く立ち去ろうとする。

 

「ありがとう藤村」

 

「どうも」

 

「……まぁ、あれだ。授業が受けられないのは残念だろうが、空気感だけでも楽しんでくれ」

 

「……?」

 

 優しく微笑むりん先生。言い回しに少し違和感があるが、確かにプールの授業は学生時代では貴重ではあるで勿体ないともとれるか。

 

 一礼してから残りのビート版を持って立ち去る。自意識過剰でなければ数人の女子に見られていた気がした。

 

 

 

 

 

 授業を受けている男子をぼんやりと眺める。こうやって何もせずに座っていると、時間の流れを長く感じる。視界もやけにクリアになり、普段気付かない音にも耳が傾く。

 風が吹き抜ける音。小鳥のさえずり。弾ける水しぶき。男女のプール内での喧噪―――。

 

「おーい、あきな」

 

 呼ばれる声で我に返る。声が聞こえた方を見ると、プールサイドに上半身を乗せているゆうたが居た。

 

「どうした?」

 

「いや。なんかお前、遠い目してたからさ」

 

「……瞑想してたのさ」

 

「瞑想?」

 

 首を傾げるゆうた。理解できなかったのだろう。無理もない。俺も分からない。

 

「心配するな。大した事じゃない。いつもの事だ」

 

「いつもあんな死んだ魚みたいな目してんのか……?」

 

「……ふん。余計なお世話だ。さっさと戻れエロガキ」

 

 しっしと手で追いやると、ゆうたはエロガキというワードに反応する。

 

「エロガキってなんだよ?」

 

「さっき、女子見てただろ。見逃さないよ、そういうの」

 

「べ、別に見てねーしッ!」

 

「テンプレツンデレ台詞」

 

 顔を赤くするゆうた。反応まで微笑ましい。如何にも思春期と言った感じだ。

 

「うんうん。お前の気持ちは分かるぞ」

 

「別に見てねーって! ただ、ちょっと緒山が見てたから……その……」

 

「……まひろが?」

 

「―――ちょっと見ちまっただけだしッ!! それだけだからな!?」

 

 捨て台詞を残して勢いよく水の中に潜っていく。次に水から出てきた時は少し離れた場所で、そのまま男子の集団に合流していった。

 

「……」

 

 成程。あの時、女子の集団の中のまひろを見ていたのか。それで鼻の下を伸ばして―――。

 

「……」

 

 立ち上がり壁際まで移動。その後思い切り頭を壁にぶつける。二回、三回。一撃一撃で脳が揺れる。五回目で我に返り、何事も無かった様に元の場所に戻る。

 プールでじゃれ合う男子達を見やる。どうやら今は自由時間らしい。弾ける水しぶきが偶に身体に掛かる。その度に体操着が少し濡れるが、出来ればもっと盛大に水を掛けて欲しい。特に頭に。

 

 おでこがじんじんと痛む中、俺はぼんやりと男子達を眺めていた。

 

 

 

 

 

 プールの授業はそれから定期的にあった。それはそうだ。一回で終わるはずもない。一週間に二回ほど。それが一ヶ月近く続く。

 

 最初は頑張って見学していた。最大限に集中して、勉学と割り切って参加していたのだが、次第に限界を感じるようになり遂に今日、学校を休んだ。病気とか忌引ではない。完全なズル休みだ。

 朝起きた瞬間から、一切布団から出る気力が無かった。さながらニートのマインドだ。

 すぐさま枕元にあったスマホを手に取り、適当な理由を付けて学校を休むことにした。

 

「……寝よ」

 

 スマホを放り投げ、布団に潜り込む。今日だけは、中学生の身体である事に感謝したい。何となく罪悪感が薄れる気がする。

 二度寝の魔力に抗えず、すぐさま意識が落ちる。夢の中くらいは、俺に優しい世界でありますように……。

 

 

 

 

 

 起きたら昼過ぎだった。這いずる様にベッドから出て、適当に歯を磨き、適当に飯を食い、適当にゲームする。最高の時間だった。

 

 皆が働いている間に惰眠を貪り、ゲームに興じる。この背徳感がたまらない。ニート万歳! ニート万歳!

 

 そんな事を考えていたから悪かったのだろうか。最悪の事態は予期せぬタイミングでやってきた。

 

「……ん? 誰だ?」

 

 夕方。寝っ転がってゲームしていたら玄関のチャイムが鳴る。何だろう。新聞の勧誘か? 大家さんとか?

 今日一日で退化した脳では一切結論を見出せず、取りあえず玄関に向かう。

 

「はーい、どちら様ですか……何だ、あかりじゃないか―――」

 

「ただいまー! お姉ちゃんが帰ってきたぞ!」

 

 ガチャリと玄関のドアを開けると、目の前に居たのは見知ったボサボサヘアーで小柄な女の子。藤村あかりだった。

 

「……は?」

 

 大学の後輩である所の少女は、意味の分からない事を満面の笑みで言っている。

 

「お姉ちゃんだよ? ―――さぁさぁ、退いた退いた。お客さんが居るんだから」

 

 俺を押しのけて室内に侵入する。勝手知ったる風に靴を脱ぎ、ずかずかと入っていく。

 

「客って一体―――」

 

 何の説明もなく置き去りにされる。あかりに何事なのかと尋ねようとすると、玄関に新たな人影が現れる。

 

「お、お邪魔しまーす……」

 

 現れたのは、これも見慣れた少女。あかりと同じく小柄な体躯に、愛くるしい瞳を携えた女の子。緒山まひろだった。

 

「なッ!! 何でまひろがここに……!」

 

「私達もいるよ~」

 

 突然の登場に驚愕していると、更にドタドタと複数人が後から雪崩れ込んでくる。

 

(何だ!? どうしてまひろ達がここに? あかりが引き連れてきたのか……!?)

 

「早く入って~。汚い所だけどごめんね?」

 

「「「「お邪魔しま~す!」」」」

 

 状況が飲み込めない俺を置き去りにして、あかりの手招きに呼応する様にまひろ一行が部屋に入っていく。

 

 玄関には、呆然と立ち尽くす俺だけが残された。

 

 

 

 

 

 八畳ほどの部屋は一人暮らしをするには問題ないが、客人を六人も入れるには手狭過ぎる。現にテーブルをまひろ、もじみ、桜花、室崎、天川に占領され、残された俺とあかりは片方がベッドの上に座り、片方が適当な地べたに座る。当然の様にベッドに腰を下ろすあかりにカチンとくる。逆だろ逆。家主ぞ? 俺。

 

 取りあえずテーブル組にはお茶を出す。あかりが不満そうに睨んでいたが、ガン無視した。

 

「……で、何の用だ?」

 

 全員を見渡す。こんな大所帯で俺の家に赴いた理由は何だ?

 

「お見舞いだよ」

 

「お見舞い?」

 

「あきながお休みしたから、同級生の方々が心配してお見舞いに来てくれたんだよ」

 

 ヘラヘラと笑いながらあかりが答える。何だコイツ。急に俺の名前を……。

 

 ……いや、その事は今はどうでもいい。お見舞いって……まさか俺にか? どうして?

 ここで思い出す。俺は今日ズル休みする為に、電話口の担任の先生に『具合が悪い』と適当な理由を言った。多分だが、俺がホームルームで居なかった理由を『体調不良』とでも言ったのだろう。体調不良にも色々あるだろが、学校を欠席する程の症状なら風邪や発熱が真っ先に思いつく。

 俺には熱を出して倒れた前科があるし、それでお見舞いに来てくれたのかも知れない。

 

「……そうなのか?」

 

「まぁ……そんな所」

 

 まひろが照れくさそうに呟く。それからまひろが俺が考えた通りの過程を経て、お見舞いに来たと言う。

 

「それはその……ありがとう」

 

 今度は逆に俺が照れくさくなる。嬉しい気持ちもあるが、それ以上に気恥ずかしい。この気持ちは一体なんだろうか。

 

「前回来た時は空振りだったら、今回はってさ。あの時は私とまひろちゃんとなゆたちゃんだけだったけど」

 

「あさひも来たぞ!」

 

「私も少し心配だなって」

 

 それぞれの顔を見ると、ますます恥ずかしくなる。自分が今、どんな顔をしているか分からない。

 

「藤村君、照れてるのですか?」

 

「は!? べ、別に照れてねーし! 別に来なくても良かったし!」

 

「典型的なツンデレ反応」

 

 思わず定番の反応をしてしまう。案の定まひろから的確なツッコミが入る。これじゃ、ゆうたの事言ってられないな。

 顔を逸らして少しでも今の自分を見られない様にする。何とも可愛らしい抵抗だが、こういう時どんな表情をすればいいのか分からない。

 

 だって初めてなんだ。友達がお見舞いに来るなんてさぁ……。

 

「良かったな。あきな」

 

 俺の心情を知ってか知らずか、まひろが俺の肩にポンと手を置く。その悟りきった表情は無性に腹立たしかった。

 

「……何でまひろは他人事なんだ?」

 

 お前もお見舞い一味の仲間だろ。この感情はお前にも向けられてるって事を覚えて置けよ!

 

 意味の分からない宣言を心の中でする。流石に伝わる訳はないが、まひろを見る視線にふんだんに想いを込める。

 

「それにしても元気で良かったよ。どうして今日お休みしたの?」

 

 まひろに眼光を放っていると、不意のもみじの言葉に背筋が凍る。冷や汗が流れ出し、口が空気を求めてパクパクと開閉する。

 

「……それは」

 

 ここで適当な理由を並べ立てる事は可能だ。俺は嘘を吐くのが下手なので、バレる危険は大いにあるがリスクを取っても潜り抜けなければならない現状だ。

 でも、それでいいのか? 少しづつでも自分の中の偽りを無くしていくと誓ったばかりじゃないか。こんな所で下らない嘘を吐くのか? お見舞いにまで来てくれた友達に?

 

「……」

 

 葛藤により押し黙る俺。正直に生きるのはいいのだが、別に全く嘘を吐かない人生という訳じゃない。人間、多少は嘘を吐く。これもその範囲だろ。でも、体調を心配してくれた子達に仮病を言うのは誠実な行いか? うーん……。

 

「?」

 

 小首を傾げているまひろ達。どうする? 何を言えばいい? 答えが見つからないまま思考は堂々巡りを繰り返す。

 そろそろ沈黙も限界だ。とにかく、仮病だった事を謝罪しよう。そして休んだ本当の理由をでっち上げて―――。

 

「元気だったんだから、それでいいよね! 私も心配だったんだ~」

 

 パンと手を叩いてあかりがそう言う。あかりの顔を見ると、視線だけをこちらに向けてウインクしてくる。

 あぁ、神様女神様あかり様。流石は天才少女だ。何を察してくれたのか分からないが、場をあかりに注視させつつ話題を自分に向けるその華麗さは、まさに天才の成せる技。惚れそうだぜ。

 

「お姉さんは理由知らないんですか? 一緒に暮らしてるんですよね?」

 

 室崎の疑問に、あかりは申し訳なさそうに答える。

 

「実はここ数日帰ってなくてね。ずっと研究室に籠っていたから、あきなの容態を把握していなくて」

 

 いやはやといった様子のあかり。そう言えばコイツ、自分の事お姉さんとか名乗ってたよな。今も俺の事名前で呼んでたし。もしかして、自分が俺のお姉さんと名乗っているのか? それならまひろ達を引き連れて訪問してきた事に説明がつく。例えば、たまたまアパート前であったまひろ達に『自分が姉だ』と偽って一緒に行動しているとか。

 

「研究室……?」

 

 まひろがそう呟くと、あかりは身の丈に合ってない白衣の袖をひらひらと揺らす。

 

「詳しくは言えないけど、この服装に準じた場所に居るの。最近忙しくて、まともに帰れてなかったのさ」

 

「研究者さん、とか?」

 

「まぁ、そんな所かな? 主に人体の研究をね」

 

 あかりの言葉にもみじと桜花と室崎の三人が「おー」とリアクションする。天川はうんうんと頷いている。そう言えば、この二人は面識があるのか? 授業参観の時にちとせ先生に確認したら無関係みたいに言っていたが……いや? 曖昧な回答だった様な……?

 

「……あかりさんって、何歳ですか?」

 

 唯一まひろだけが、あかりの言動を訝しんでいた。そうだ。あかりは年齢的には十六歳。見た目なんてそれ以下にしか見えない訳だ。そんな女の何処が俺の姉なのか。天才特有の話術にでも騙されているんじゃないか?

 

「―――女性に年齢を聞くのは失礼だぞ。まひろ君?」

 

 口元に指を添えてしーっとするあかり。普段からは想像もつかない言動に、背筋が寒くなる。

 

「……変なキャラ」

 

 ぼそりと無意識に呟いてしまう。その一言にあかりは敏感に反応する。

 

「あきな~。どうして休んだか言ってごら~ん?」

 

 にんまりとした笑顔で問い詰めてくる。ヤバい。地雷踏んだか?

 

「……実は朝、腹が痛くて―――」

 

 明後日の方を向きながら答える。流石にバレバレの嘘だが、あかりは少し考える素振りを見せる。もしかして、納得してくれたのだろうか。

 

 それもそうだ。さっきは俺の味方をしてくれたのだし、ここで真相を追及するのは行動に一貫性がない。一時の激情に任せて行動指針を変えるのはあかりらしく―――。

 

「ふーん……。じゃあ、当ててみようか。真相を」

 

「……は?」

 

 意味深に微笑むあかり。何を言っているんだ? 真相なんか―――。

 

「お前、何言って―――」

 

「お姉ちゃん、でしょ? 流石に怪しいと思って調べたんですよ。少し苦労はしましたけど、目途は立ちました」

 

 いつもの敬語に戻るあかり。それが、明確に八神あきなに向かって話しているという証拠だった。 

 

「……調べた?」

 

 その単語に、背筋に薄っすらと流れる汗。全身の毛穴から汗が噴き出す錯覚に襲われる。

 彼女の『調べた』は、常人の倫理観を逸脱した精度である事は良く知っている。

 

「―――収納の服を畳んで置いてある下に置かれた箱」

 

「……ッ!!」

 

 ―――それだけで俺は全てを理解してしまう。しかし、いつ、どうやって犯行を!?

 

「……まさかッ!!」

 

 気付いてしまう。いや、正確には忘れていた。この部屋から無くなった宝箱は、一体どうやって持ち出されたのかを。この部屋のセキュリティーは目の前の不敵な笑みを浮かべている女に掌握されている。

 

「この部屋の鍵は勿論持ってますよ。姉弟なんだから当然、ですよね?」

 

 口角が釣り上がるあかり。邪悪な笑みから逃れる様に立ち上がり、収納スペースに畳んで置いてある服の下。そこにある箱の中身をそっと覗き込む。

 

(……本当なのか!? 本気なのか!? あかり……ッ!!)

 

 あかりの顔を見ると、こちらを嘲笑う様に見ている。奥歯が欠ける程食いしばり、俺は元の位置に戻る。まともにあかりの顔が見れない。

 

「今度、一緒に買い物に行きませんか? 勿論、男の子ですからお姉ちゃんにプレゼント、ありますよね?」

 

 楽しそうに微笑むあかり。まさに悪魔の笑みだった。さっきまで女神だったはずの彼女は、すっかり堕天してしまった。 

 

「……」

 

 イエスとは言えない。この女、調子に乗り過ぎではないか? 脅しを超えて脅迫罪だろこんなのは。訴えてやんよ! 毎日俺からの告訴に震えて眠れよ。次に会うのは法廷で―――。

 

「どうしますぅ? 皆は学校帰りですよぉ? 勿論、持ってますよねぇ? 今ここで―――」

 

「分かった。行こう」

 

 早口で捲し立てる。―――ダメだ。これ以上刺激してはいけない。

 

「約束、ですよ? あきな」

 

「……お前」

 

「お姉ちゃん、ね?」

 

「………………はい」

 

 頷く俺。今あかりに盾突くとこは出来ない。首を垂れて従うしかない。

 

「お、おいあきな。どうした―――」

 

 小刻みに震えている俺に、まひろが心配そうに話しかけてくる瞬間、再びあかりがパンと手を叩く。

 

「いやー、弟が元気で良かったぁ。大事ないなら、もう帰ろうか! 皆、あきなの為に来てくれてありがとう。私が皆を送っていくよ」

 

「え? でも……」

 

「大丈夫。ほら、この通りあきなは元気だから!」

 

 そう言いながら背中をバシバシ叩いてくる。相変わらず壊れたテレビみたいに叩いてくる奴だな。

 

「そうだ。今度皆で何処か食べに行く? お姉さんが奢るぞ~!」

 

「おぉ! いいなぁ! それ!!」

 

「今日のお礼ね。お姉さんからの細やかな」

 

「いいんですか?」

 

「勿論」

 

 いいお姉さん風に親指を立てている。まさか、奢る金も俺から巻き上げようとはしないよなぁ?

 

「だから、今日は帰ろう。後日、改めてお礼させてね」

 

 そう言いながら俺を一瞥し、皆を連れながら部屋を出ていく。一種の優しさのつもりなのだろうか。いや、それはないか。アイツに人の心はない。悪魔だ。正真正銘の。

 

 夕陽が差し込む部屋に俺一人残される。皆が部屋を出ていく時、誰かが俺を見ていた気がするが流石に自意識過剰だろう。この時の俺の自意識は地の底を這いずり回っていた。

 

 

 

 

 

「あかり。話がある」

 

 夜。おんぼろアパートの一室にて。俺はあかりと正座で向かい合っていた。

 

「どうしたんですか? 改まって……」

 

「どうしたんですかじゃねーだろがッ!! 何ださっきのは!?」

 

 激昂する俺に、両手で耳を塞ぐあかり。

 

「お見舞いって言ったじゃないですかぁ?」

 

「それはまひろ達だろ! お前じゃない!」

 

「私もそうですよ。心配したんですからね?」

 

 本当ですよと言うあかり。もうこの女の事は一切信用できない。

 

「何でお前が今日休んだことを知っている!?」

 

「……それは秘密です。独自の情報網なので」

 

「それでよく俺に信じてもらえると思ったな」

 

 口笛を吹いて誤魔化すあかり。天川から聞いたのか? それともまだ見ぬスパイが紛れているのか? どちらにしろ俺のプライベートは筒抜けか。

 

「……本題に入る。お前、本当に『分かってる』のか?」

 

「その心は?」

 

「……俺から言わせるのか?」

 

 退屈そうに髪を弄るあかり。コイツ、何処まで本気なんだ? 出会ってから長い訳ではないが、未だにあかりの人間性を測りかねている。

 俺の知らないあかりが多い。それは漠然と分かっているのだが、一体何があかりの本性なのだろうか。

 

「……まぁ、言わないならいいよ。俺も別に無理に聞き出そうとは思わないし。お前がそれを墓まで持って行ってくれれば、俺は何も―――」

 

 

 

 

 

「先輩がスクール水着の女の子に性的興奮を覚える変態という事ですか?」

 

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

 

 

「先輩がスクール水着の女の子に性的興奮を覚えるへんた―――」

 

「うおぉおおおおおおおおおおおおいいいいいいいいいいいぃああああああああああああああああぁ!?!?!?!?!?!?」

 

 大絶叫が響き渡る。隣の壁からドンと壁パンが聞こえてくるが、構っている余裕ない。

 

「あ、ドンピシャですか?」

 

「おま……おま……あァ!?」

 

 嗚咽が混じりまともに話せない。もはやあかりの顔も見れない。

 

「まさか、最初に回収した以外にもエロ本を隠しているとは思いませんでしたよ。内容の危険度によって隠し場所を変えていた訳ですね。賢いやり方ですが、実家ならまだしも一人暮らしでする必要あるんですか?」

 

「……」

 

「あれ? 先輩? 死んじゃいましたか? しっかりて下さい。大した事じゃないですよ」

 

 ダンゴムシみたいに丸まって動かない俺をツンツンと突くあかり。後輩の女の子に性癖を知られた事の何処が大した事じゃないと言うのか。この世の終わりなんだが?

 

「コロシテ……コロシテ……」

 

「別にいいじゃないですか。まぁ、これなら理由を言えなかったのは納得ですし、正直気持ち悪いなって思いましたけど、それくらいじゃ先輩を嫌いにはなりませんから」

 

「キモチ……ワルイ……」

 

 当然の反応ではあるが、その正論が俺の心を突き刺して内側からバラバラニする。いつだって正論は人を不幸にする。正しさなんて悪だ。逆説的に、間違った性癖の方が善まである。

 

「……しょうがないだろ」

 

「え? 何ですか?」

 

「しょうがないだろ!? 好きなんだからさぁ!?」

 

 もう逆ギレするくらいしか俺にはできなかった。一体何に対して怒っているのだろうか。きっと、この世の理不尽に対してなのだろう。

 

「興奮するんだよ!! スクール水着に!! あの、シンプルなスタイルでどんな子にも平等なファッションにエロチシズムを感じるんですぅ!!」

 

「感想は聞いてませんけど……」

 

 ドン引きのあかりだが、俺の激情は止まらない。

 

「クソォ!! 分かってるよッ!! これが普通じゃないって事くらいさぁ!! でもしょうがないだろッ!! 好きなものに嘘は吐けないんだッ!!」

 

 四つん這いになり地面を殴る。次第に身体が丸まっていき、またダンゴムシとかす。

 

「……だって、しょうがないじゃん。しょうがないもん……」

 

「駄々っ子みたいな態度ですね。ホント」

 

 呆れた様に溜息を吐くあかり。もう何も言い返せない。今の俺は吐き捨てられてもおかしくないくらいに情けないだろう。

 

「全く、中学生の水着姿にスクール水着姿に興奮するなんて、恥を知ってください」

 

「……舐めるな。そんな訳ないだろ」

 

 顔だけぬっと突き出してあかりを睨む。

 

「え? そうじゃないんですか? だったら何故―――」

 

「何故プールの授業を欠席したがっていたか。何故ズル休みしたのか。そう聞きたいんだろ?」

 

「……はい」

 

「それはな……興奮する『様にならない』為なんだよ」

 

「……はぁ?」

 

 小首を傾げるあかり。どうやら理解できていない様だ。

 

「いいか。性癖ってのは鉄の板だと思え」

 

「鉄?」

 

「鉄じゃなくてもいい。例えばそうだな……このティッシュだ」

 

 そう言って、テーブルに置いてある箱ティッシュから一枚取り出す。

 

「このティッシュは今、まっさらな状態な訳だが、これを握りつぶしクシャクシャにする」

 

 握ったティッシュをテーブルに置き、あかりに差し出す。

 

「そのクシャクシャになったティッシュを、折り目のない元の状態に戻せるか?」

 

「無理です」

 

「性癖もそれと同じなんだ。一度ついた折り目が二度と無くならない様に。一度知ってしまった戻る事は無い。一度歪んだ性癖は決して元に戻る事は無い」

 

「何を言いだすかと思えば。大袈裟で―――」

 

 呆れた様に肩をすくめるあかりの肩を、俺はがっと掴む。

 

「キャ! な、何ですか突然!?」

 

「大袈裟でもないんでもない。真実なんだ。そして、これが最高に厄介な代物なんだ」

 

「……目が怖いです」

 

 目を逸らすあかりに、俺は更に顔を近づける。

 

「流石に俺もJCに興奮しない。でも、もし本物を見てしまったら……。その時俺が俺で居られる保証は何処にもない。さっきも言ったな? 一度歪んだ性癖は戻らない。万が一、JCのスク水姿に興奮する様になったら大変なんだ。この世界では、特殊な性癖を持てば持つ程生きづらい。当たり前だよなぁ?」

 

「……分かりました! 分かりましたから!!」

 

「特に対象年齢が下がるのは危険だなぁ。俺もそれは理解している。特に俺は女性恐怖症で年上の女性に抵抗がある。だから抵抗の少ない年下異性に性的な興奮を覚える危険は高いんだ。だから今まで気を付けて生きてきた訳なのに……ただでさえこの歳で中学校に通っているうえ、あまつさえプールの授業だとッ! 世界が俺を殺しにかかっている! プールの授業なんて受けて、性癖歪んだらどうすんだッ!! 誰が責任取ってくれるんだッ!! えぇッ!!!」

 

「しつこい!!」

 

 あかりのグーパンが顔面に直撃し我に返る。最近、自分を失ってばかりな気がする。

 

「はっ! 俺は、一体……?」

 

「取りつかれてましたよ。性の悪魔に」

 

 深呼吸し、暫く呼吸を整える。ようやく落ち着いてきた所で、俺は愕然とする。

 

「……はぁ、ま、そんな訳で、俺みたいな変態は生きにくいんだよ。人生が」

 

「先輩……」

 

 俯く俺の肩に、あかりがそっと手を置く。

 

「大丈夫ですよ先輩。私はどんな先輩でも嫌いになったりしません。人間の性に対する多様性は、生物随一ですから。その悩みは寧ろ、誇らしい事です」

 

「……何だろうな。全くフォローになってないのに、安心できるよ」

 

 お互いに微笑んで笑顔を交わす。この一瞬だけ、この部屋は優しさに包まれていた。

 

「―――所で、一つ聞きたい事があるんだけど」

 

「何ですか?」

 

「どうやって俺が見学できるようにしたんだ?」

 

 そう言えば、あかりがでっち上げたであろう見学の理由を聞いていなかった。

 

「あぁ、それはですね―――」

 

 

 

 

 

「男子の素肌を見ると興奮するから一緒に授業できないって言ったら何故か受理されました」

 

「うん、殺す」

 

 再び部屋中に怒号が響く。後日、大家さんに滅茶苦茶怒られた。何故か俺だけ。

 

 本当に理不尽ですね。この世界は。









 長々とすみません。どうしてもやりたかったのです。

 次回は息抜き出来る話がいいですね。まだ測りかねてるんで、どうなるか分かりませんけど……。

 あきな君には強く生きて欲しいですね。
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