先輩はおしまい!   作:朋也

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 五月一発目の投稿です。最近、サイト内でおにまいの小説が増えて嬉しい限りです。描くのも好きですが、読むのも好きなので。

 四月は読んで頂いている方々のおかけで走り続ける事が出来ました。このペースを保ちながら、五月も走りたいと思います!







まひろと初デート?

 授業と授業の合間の休憩時間。オレとあきなはゲームトークに花を咲かせていた。

 

「パズルゲームは得意じゃないなー。昔流行ってたから流れでやってたけど、全然上達しなかったよ」

 

「分かる~。音ゲーとか好きだけど、なかなか上手くならないよな~」

 

 ゲームあるあるで盛り上がる。あきなのゲームに対するスタンスは、オレにかなり近い。

 

「下手の横好きってやつで、格ゲーとかもヒット確認出来なくて難しかったし、シューティングも中々避けられなくてさー」

 

「そうなんだよ~! 結局RPGとかハマるんだよなぁ~」

 

 ……まぁ、オレの場合は家に籠ってたから一人で出来るゲームにハマるんだけどな。

 

「最近、ゲーム買ってないなぁ」

 

「おいおい。ゲーマーとしての名が泣くぞ」

 

 悲しそうに溜息を吐くあきな。オレも昔ほど流行を追っている訳でないが、たまにみはりから小遣いを貰ってゲームを買っている。

 

「オススメとかある?」

 

「いっぱいあるぞ! 今度持ってくるよ」

 

「それもいいけど、久しぶりに買いたいなぁ。―――なぁ、明日ゲーム買うのに付き合ってくれないか? オススメとかあったら教えて欲しいな」

 

「任せとけ! 選りすぐりを選んでやる!」

 

 サンキューとお礼を言われる。こっちこそ、人に自分が好きなゲームを紹介できる機会なんて中々ない。

 

 次の授業開始のチャイムが鳴る。まだまだ話足りないが、仕方なく前を向き直る。

 どのゲームを薦めるか、選別しておかなきゃな。オレはウキウキ気分でノートに思いついたゲームの名称を書き綴っていく。

 明日は休日。あきなとゲームを買いに行く約束が出来た。早くオレのオススメを紹介したい。

 

 楽しみだなぁ。

 

 

 

 

 

「―――てな訳で、明日はあきなとゲーム買いに行くからお小遣いちょ~だい、おね~ちゃん」

 

「それはいいんだけど……」

 

 最大限のぶりっ子でみはりにおねだりする。みはりは夕飯のカレーを口に運びながら、

 

「それって、あきな君とデートするって事?」

 

「………………え?」

 

 その一言に思考が停止する。……え? デートって……。

 

「……んなぁ!? ち、違うぞ! デートじゃない!」

 

「客観的に見れば買い物デートだよ?」

 

 淡々とカレーを食べるみはり。悔しいが全く反論できない。

 

「ぐぬぬ……ッ! 否定できない……ッ!!」

 

「おめかしして行かなきゃね~」

 

「別にデートじゃないからな!!」

 

「はいはい」

 

「適当に流すなッ!! その顔止めろ!!」

 

 ニマニマとしているみはり。完全に揶揄われている。

 

「クソ……。絶対デートじゃないんだからな……」

 

「楽しんでくるんだよ~」

 

「だから違うってのに! そもそも、あきなには―――」

 

 言いかけて咄嗟に口を塞ぐ。みはりが小首を傾げている。

 

「あきな君がどうしたの?」

 

「―――いや、何でもない」

 

 思わず言ってしまう所だった。あきなには思い人が居るのだ。しかもオレの目の前に。

 

(危うく本人不在でバラす所だった。流石に最低だよな、それは……)

 

 あきなはみはりが好きなんだ。盗み聞きで悪いが、本人が言っているのを聞いているし、間違いない。

 つまり、明日の買い物はデートではない。好きな人が居るのに他の女とデートなんてしないだろう。しかも好きな人の親族であるオレと。

 あきなもデートとは思っていないはず。だからこれは友人同士が休みに遊ぶだけだ。他意はない。

 

「……」

 

 オレもみはりに習ってカレーを食べる。でも、一度意識してしまうと中々脳裏から離れない。デートという単語が頭の中をグルグルする。

 

 女の子の身体になって初の、異性とのデート……いや、違う! デートじゃない! でも、傍から見れば紛れもないデートで……違う違う!!

 思考を誤魔化す様にカレーを貪り食う。その様子をみはりが優しい顔で見ている。

 

 結局その日の夜は、翌日の事で頭がいっぱいだった。まるで本当に初デートに緊張している女の子みたいで恥ずかしかった。

 

 

 

 

 

 当日。集合時間から三時間早く起こされたオレは、みはりにされるがままになっていた。

 

「―――よし! 可愛い! これならあきな君も喜んでくれるよ」

 

「別に喜ばせんでいい!」

 

 鏡の前に立たされる。我ながら気合の入った服装だ。確かにデートでこの女の子が来たらテンション上がるかも……。

 

「自惚れも甚だしい! しっかりしろ、オレ!?」

 

 頭をポカポカと叩く。オレの奇行を微笑みながら見ているみはりが余計に腹立たしい。

 

「さ、お兄ちゃん。出掛ける準備しましょう」

 

「まだ早いって!?」

 

「女の子の支度は服装だけじゃないんだよ?」

 

 そう言いながら無理矢理洗面所に連れていかれる。まさか、化粧までさせようってのか!?

 

「それは流石に中学生男子には刺激が強いって!」

 

「大丈夫。あきな君は大人だから」

 

 

 

 

 

「じゃあ、行こうか」

 

 目の前に差し出される手。これは所謂『手繋ぎデート』ってやつか?

 

 集合時間十分前に目的地に着くと、既にあきなが待っていた。髪は整髪料でセットされていて、服装かなりオシャレで大人びた印象を受ける。普段学校の制服しか見ていないギャップで、必要以上に緊張する。

 元々顔がいいあきなだが、いつもより三割増しで格好良く見える。イケメンに苛立ちを覚える反面、得体の知れない高揚感が湧き上がってくる。

 

「……その手は握らないぞ」

 

 差し出された手を叩く。オレの精一杯の抵抗に、あきなは揶揄う様に笑う。

 

 マズイ。本当にデートみたいじゃないか。それに何だ、この名状し難い感情は? 少しだけ覚えがある。

 それは、みはりのお使いに言った時、初めてもみじに会って一緒に買い物をした時。もみじの格好から、男の子だと勘違いしていてもみじに頼もしさを感じていた時の感覚……。

 

「ち……違うーッ!!」

 

 頭をポカポカ叩く。朝から何度も叩いているが、もしかしてこれが原因で脳がバグったか?

 これはデートなんかじゃない。あくまで友人とゲームを買いに行くだけだ。決して他意はないんだ。だからこの得体の知れない感情も勘違いだ。……まぁ、確かにあきなは小癪にもイケメンだし、オシャレしてますます格好よさに磨きが掛かっているから女の子が見たらときめいてしまうのは分からんでもない……。

 

「―――ッ!! デートじゃない!! デートじゃないぞッ!!」

 

「お、おう!? どうした? そんなに否定して」

 

 びくりと肩を震わせるあきな。こういうのは最初にはっきりさせておいた方がいい。でないと、オレだけ気にしているみたいで恥ずかしいじゃないか!

 

「無駄話してないで早くゲーム買いに行くぞ!」

 

 ずかずかと前を歩く。置いていかれたあきなが慌てて追いかけてくる。

 

「待てって。分かったから。もう揶揄ったりしないって」

 

「全く、冗談じゃ済まないんだぞ?」

 

 オレの自己統一性的に。

 

「―――まぁ、確かに。冗談じゃないよな。ほんと」

 

 

 

 

 

「……多過ぎだろ」

 

 家電量販店のゲームコーナーを訪れて小一時間。売り場を散策しながらオレセレクションのオススメゲームをプレゼンしまくった結果、総数は十を超えた。

 

「どれもこれも名作なんだ」

 

 甲乙つけがたい作品の数々。結局選びきれず全部紹介したら、中学生の財政状況では買いきれない量になってしまった。

 

「そうだな……取りあえず気になったのを一つ買ってみるか」

 

「どれにする? これか? それともこっち?」

 

「何で全部持って来てんだよ。どさくさに紛れてお菓子買って貰おうとする小学生か。元の場所に返してきなさい」

 

 万が一全部買うと言った時の為に、買い物カゴに一式持って来ておいた努力も空しく、元の場所に戻せと命令を受ける。

 オレがしょぼんとしながらゲームを戻している間に、あきなは二作品程ゲームを購入していた。

 

「結局二本買うのか?」

 

「あぁ、もう夏休みに入るだろ? 夏季中の暇つぶしにな」

 

 会計を済ませて店を出る。もうすぐ七月も後半。照り付ける日差しはもう夏真っ盛りといった所だ。

 

「付き合ってくれたサンキュな」

 

「別にいいって。これくらいいつでも付き合うぞ」

 

「最初は嫌がってたみたいだけど?」

 

 その言葉にドキリとする。別に嫌がってた訳じゃないんだが……。

 

「ち、違うぞ!? 嫌だったんじゃなくて……その……」

 

「悪い悪い。謝るよ。また『付き合って』くれよ」

 

「……お前、性格悪いな」

 

 悪戯っぽい笑みを浮かべるあきな。全く……もう付き合わんからな!

 

「―――謝るついでに、何かお礼をさせてくれないか?」

 

「お礼?」

 

 小首を傾げる。あきなは親指を目的地らしき場所の方向に差す。

 

「ゲーセン、行かね? 俺、結構UFOキャッチャー得意だぜ?」

 

「……まぁ、みはりからお小遣い貰ってるし」

 

 財布中にはみはりからの軍資金がある。ゲームを買うには少ないと抗議したが、まさかこの展開を予想していたのか?

 

「昔は一人で行ってたんだどさ。誰かと行くのも楽しいんだよ」

 

「……それは、そうだな」

 

 オレも昔、一人で行っていた。ゲームは一人でも出来るしそれなりに楽しかったが、少し寂しさを感じていた。この身体になってから皆でゲームをする楽しさを、誰かとゲームをする楽しさを教わったオレには、あきなの言葉はよく理解できる。

 

「―――久しぶりに悪くないかも」

 

「そう来なくちゃ!」

 

 次の目的地は決まった。オレ達はゲームセンターに向かって歩き出す。まぁ、ゲームを買って即解散も寂しいし、あきなに付き合ってやるのも悪くないだろう。……決して他意はないぞ!

 

 二人で並んで歩く。道中でゲーセンでの思い出を語り合っていた。その時のオレは自分でも気づかない内に気分が盛り上がっていた。これが、思い出話にテンションが上がったのか。あきなとの弾んだ会話に気分を良くしていたのかは判断できなかった。









 もしかしたら短いと感じた方が居るかも知れません。一応、五月の目標として五千
字以内に収めようと思っております。そのくらいの方が読みやすいのではと思った次第です。

 正直どっちが良いんですかね? 不慣れなもので判断しかねるのですが、暫くは簡潔にまとめて行きたいと思います。寧ろ、短い方が書くの難しかったりします……。

 五月も頑張っていきますので、よろしくお願いします!
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