先輩はおしまい!   作:朋也

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 GWだというのに休みがない社畜です。まひろ達とBBQに行く夢を見ながら毎日枕を濡らしています。

 流石に六連勤は応えますね。もう若くないのです……。







あきなと仕込みデート

 まひろと二人。ゲームセンターにやってきた。一昔前はデートの定番スポットの一つだったのだが、現代ではそうでもないのだろうか? ただでさえ現役中学生と五歳以上離れている上に、流行にも疎い俺には判断しかねる。

 勿論、友達と遊びに行くなら今でも現役だ。実際にゆうたやみなと達とたまに学校帰りに行ったりする。しかし、事デートに関してはどうか。

 今日の趣旨はまひろとゲームを買いに行く事だ。休日に友人とオススメのゲームを買いに行く。実に健全でありふれた友情模様だが、これはあくまで建前なのだ。俺にとっては。

 

 今日の本当の目的は、まひろとデートをして自分の気持ちを確かめることにある。最近、どうも俺はまひろに対して友情以外の感情を抱いているのではないか?という疑惑がある。私事であるはずなのだが、どうしてもこの気持ちが何なのか俺には測りかねている。

 だから、それをはっきりさせる為に今日のデートを仕込んだ訳だ。まひろは普通に休日に友達と遊んでいるだけだと思っている。俺が勝手にまひろとのデートだと仮定して動いているだけだ。現にデートを仄めかす発言をしても、全力で否定された。まひろにはデートという認識はない様だ……。

 ―――まひろには悪いが、今日で自分の気持ちをはっきりさせる。その為にももう少し付き合って貰うぞ。

 

「うわ~、やっぱりこの空気感いいな~」

 

 嬉しそうに顔を明るくするまひろ。前々から気になっていたのだが、まひろの趣向は中学生らしからぬ、少し古い気がする。話していると、二十歳の俺と同世代と勘違いしてしまう事があるくらいだ。

 多分、兄が居る影響なのだろう。それならお兄さんと俺はかなり話が合いそうだ。この身体でなければ会って話がしたい所だ。

 

 二人で店内を見回る。休日のゲームセンターは家族連れや男の群れが幾つか。後、カップル数名が入り乱れる、昔と変わらない姿がそこにあった。

 

「いつの時代も、ゲーセンは憩いの場所なんだぁ」

 

「今でも現役なのは、安心だよな~」

 

 頷き合う俺達。……だからまひろよ。お前は何歳なんだ?

 

 店内を見て回りながら、目についたゲームをプレイする。音ゲーだったり格ゲーだったり。二人で和気あいあいとゲームを楽しんだ。

 

「やっぱり誰かと来るゲーセンはいいな」

 

「だなー。今度もみじ達とも来ようかな」

 

 店内のベンチに座りながら、自販機で買ったアイスを食べる。正直、デートとか忘れて友達とのお出掛けをエンジョイしていた。

 ゲーム以外にも、まひろとは価値観が近い。妙に話が合うし、一緒に居て楽しい。まるで十年代の付き合いがある幼馴染みみたいだ。

 

「そろそろUFAキャッチャー行こ。得意なんだろ?」

 

「―――まぁ、任せておけよ」

 

 髪をかき上げて格好つける。ひゅーと煽るまひろを率いて、UFAキャッチャーのコーナーへ。

 数々のアミューズが点在するコーナーを品定めしながら歩く。すると、一つのプライズの前でまひろが足を止める。

 

「あ! ちびリオだぁ!」

 

 筐体の中に入っているぬいぐるみを見てまひろがはしゃぐ。見てみると、俺は首を傾げてしまう。

 

「頭から足生えてる……なんじゃこいつは」

 

「ちびリオだよ! リオってキャラが作ったゴーレムでさぁ―――」

 

 話を聞いて調べてみると、とあるアニメの漫画版のオリジナルキャラクターだった。登場するキャラクターの顔を模した形状から触手の様な足がにょきっと生えている。

 

「いいなぁ、欲しい……!」

 

 筐体に張り付くまひろ。どうやら、目標は決定した様だ。

 

「―――まぁ、任せておけよ」

 

 先程と同じく髪をかき上げる。またしてもまひろがひゅーと煽ってくる。

 輝きに満ちた瞳に見守られながら、いざ、百円を投入。

 

 さぁ、さっさと鎮めてやんよ!

 

 

 

 

 

「……」

 

 財布の中身を見る。小銭がない。既に二千円以上目の前の筐体に飲まれている。

 まひろを筐体の前に残して両替機へ。五千円を崩して再チャレンジ。

 

 百円。二百円。五百円。千円……。

 

「……」

 

 もう一度両替機に―――。

 

「ちょっと待て!」

 

 腕を掴まれる。まひろが微妙な顔をしてこちらを見ている。

 

「得意なんじゃ……?」

 

「……」

 

 返答できない。得意と豪語しておいてこのざまでは仕方がない。

 それもそのはず。俺はUFAキャッチャーが得意じゃない。普通も普通。可もなく不可もなくだ。

 

(まひろを自然にゲーセンに誘う為の嘘なんだよなぁ……)

 

 余りにも直ぐにバレる嘘だった訳だが、直ぐにバラして誤魔化す予定だったのに。まさかこんな事になるとは……。

 

「……今日はバイオリズムが合わないだけだ」

 

「バレバレの嘘言うな」

 

 適当に返答するが、半目のまひろに直ぐに看破される。

 

「―――こいつだけは絶対に取る!」

 

「そんなに意気込まんでも……」

 

 まひろの腕を振り払って、再び両替機へ。残りの千円も百円に両替していざ勝負!

 

「ぜってぇー取る!!」

 

「何がそこまで燃えさせるんだ!?」

 

 気合を入れてボタンを押す。しかし、幾ら気持ちが入っていてもアームの動きは無情にも思った通りにはならず、どんどんお金だけが消費されていく。

 今にして思えば、どうしてここまで必死になっていたのか分からない。途中で諦めても良かったはずなのだが、どうしても引けなかった。それが、まひろの前で格好つけたかったのか、嘘を吐いた事への罪悪感なのか。男としてのプライドなのか分からない。

 

 結局、五千円程飲まれた所で見かねた店員さんが景品をくれた。俺は全力で頭を下げ、下がった頭を無理矢理戻してゲームセンターを後にする。

 

 

 

 

 

 お昼も過ぎた午後の一時。ゲームセンターから脱出した俺達は、予定していたカフェのテラス席でくつろいでいた。

 デートプランを決める時に、かえでさんからオススメされた店だ。俺では選べないオシャレなカフェで、流石いいセンスをしている。

 

 そんなデートにピッタリな店で、俺は魂が抜けかけた身体を椅子に座らせていた。

 

「おーい、大丈夫か~?」

 

「……食費が」

 

 口から魂が逃げていく感覚に襲われる。可視化出来るならきっと、口から白くて小さい俺の魂が天に昇っていく様が見れただろう。

 俺の一ヶ月分の食費を掛けて手に入れたぬいぐるみは、まひろの両手に収まっている。

 

「本当に貰っていいのか?」

 

「その為に取ったんだから、いいんだよ」

 

 まぁ、俺が持っててもしょうがないし、部屋に置いてあったら八つ当たりで殴ったり蹴ったりしそうだ。

 

「それに、まひろの為に取ったんだから、受け取ってくれないと俺の努力が報われないだろ?」

 

「……それは、その……ありがとう」

 

 両手でぬいぐるみをぎゅっと抱く。ぬいぐるみの顔が抱きしめられて変形し、より一層不気味さを醸し出している。

 

「そいつの何処がいいんだ?」

 

「おい、この可愛さが分からないのか?」

 

 プンプンと怒っているまひろ。何となく言ったのだが、ここから小一時間ぬいぐるみの魅力を聞かされる羽目になった。

 

「―――そろそろ出るか」

 

 空になったカップを置き、時計を見る。もう二時を過ぎている。ここで解散でもいいのだが、もう少し様子を見たい。

 

「まひろ、まだ時間あるか?」

 

「あるけど……何処行くんだ?」

 

「夏服買いたくてさ。去年のはもう着れないし」

 

「一年で着れなくなる事あるか?」

 

 小首を傾げるまひろ。しかし、実際に着れないのだ。体型が不自然に縮んだことで服が大きくなってしまった。最近までその事を忘れていて、去年の服を着ようとしてクローゼットから出した所で判明した。

 

「……色々あってね。とにかく今年着る服がないんだよ。一緒に買いに行かないか?」

 

「それはいいだけど……わたしと一緒に行く意味あるのか?」

 

「外行の服も買うから、女の子の意見も聞きたい」

 

「……それは参考にならないかも知れんぞ」

 

 視線を逸らすまひろ。私服センスに自身がないのだろうか。それとも異性の服に頓着がないとかか? まぁ、どちらにしろ、女の子の貴重な意見には変わりないはずだ。

 

 余り乗り気でないまひろを引き連れて、ショッピングモールに向かう。カフェの会計は割り勘だった。まひろがどうしてもそうしたいと言うので仕方なく割ったが、正直有難かった。

 

 

 

 

 

「こんなんとかどうだ?」

 

「……うん。いんじゃない?」

 

「これとか?」

 

「……うん。いいと思うよ」

 

 ショッピングモールに併設された服屋に訪れた俺達。試着してはまひろに見せているが、どれも同じような反応ばかりだった。

 

「お前、適当に答えてないか?」

 

「そんな事……ないぞ?」

 

 顔を逸らして答えるまひろ。……やっぱり適当か。

 

「まぁ、仕方ない。俺が無理矢理連れてきた訳だし」

 

 試着もそこそこに終わらせ、最初から目を付けていた服を何点か購入する。

 

「―――さて、今度はまひろのターンだな」

 

「……え?」

 

 キョトンとするまひろ。俺はまひろの肩を掴んで店員の前まで連れていく。

 

「この子にオススメの服を何点か選んでください」

 

「かしこまりました~」

 

「ちょッ!? どういうつもりだ!?」

 

 全てを察したまひろが暴れ出すが、俺と店員はしっかりとまひろを掴んで離さない。

 

「まぁまぁ、まひろさんよ。俺達に任せて置けって。初めからある程度選んであるし、会計も俺持ちだから安心しろ」

 

「何も安心出来ないんですけど!?」

 

 抵抗するまひろを連れていく店員。軽くて振って待つ事数分。試着室から出てきたまひろは恥ずかしそうに俯いていた。

 

「……可愛いじゃん」

 

「う、うるさい!」

 

 頬を赤らめてそっぽを向く。この夏最新の白いワンピースは、髪の色と相まって良く似合っている。正に白金の美少女といった所か。

 

「それ、俺チョイスなんだよね」

 

「言わんでいい! まぁ、確かにわたしも好きな感じだけど……」

 

 試着室の鏡で改めて自分の姿を見ている。流石まひろは分かっている。この狙い過ぎなくらいあざといのがいいのだ。

 

「似合ってるよ」

 

「改めて言うな! もう!」

 

 恥ずかしそうに試着室に消えていく。その様子を微笑ましく見送って数分。今度は違い装いで出てくる。

 

「……ええやん」

 

「うぅ……どうしてこんな事に」

 

 次々と着せ替え人形にされるまひろを眺める。途中から店員の鼻息が荒くなっていて、予定より多く服を着せられていた。

 数十分後、げっそりとやつれたまひろと、想定より多い服の山を渡され会計させられた俺。値段に目が飛び出て、吐きそうになる。

 

 ……これは、来月は塩と水だけかな?









 デート回は次で終わりです。あきな君の決断や如何に……!

 関係なんですが、ちびリオ知ってる人居ますか? 居たら相当な分かり手とお見受けいたします。
 あの奇妙さはもしかしたらみはりちゃんの担当かも知れませんね。僕は大好きです!!
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