先輩はおしまい!   作:朋也

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 今日も今日とて元気に休日出勤です。労働って最高! 流した汗は素晴らしい!

 ……死にます。はい。







あきなと誤飲

「―――いてッ!」

 

 ベッドから落ちる。どうやら夢を見ていた様だ。夢の記憶は直ぐに霧散して、思い出すことは出来ない。

 思い出すことは出来ない……が、何だか都合が良い夢を見ていた気がする。

 

 例えば、夏休みに入りこれから夏真っ盛りというタイミングで部屋のエアコンが壊れ、毎日灼熱地獄を味わっている俺。そんな中、同級生の子が家に泊めてくれると言ってくれて、業者が修理に来るまでの一週間、宿泊させてくれるという。正に夢の様な展開。

 夢。そう夢だ。そんな都合が良い展開なんて夢に違いない。もう一度寝れば夢の続きが見られるだろうか。

 

 床から起き上がってベッドを見やる。フカフカそうなそのベッドに寝転がって二度寝を敢行しようとするが、そこで違和感に気が付く。

 記憶にある自室のベッドと寝心地が違う。俺の部屋にあるベッドは家具屋で安売りしていたベッドに別売りの低反発マットレス(これも安売り)を敷いた、絶妙に硬い消しゴムの様な使用。それに比べてこのベッドは、明らかに触り心地も押し込んだ時の弾力性も、消しゴムベッドとは比べものにならない程上質な物だ。

 

 俺の部屋のベッドではない。それだけでも明らかなのだが、他にもここが俺の部屋ではないと雄弁に語っている箇所がある。

 

 熱くない。摂氏三十度を超える俺の部屋は、エアコンが故障した事で地獄が具現化している訳だが、この部屋には冷気を感じる。これは少し前までエアコンの風が部屋を冷やしていた証拠だ。

 枕元を見ると、エアコンのリモコンが置いてある。覚えはないが、寝ている時に暑くなって操作したのだろう。俺はそのリモコンを手に取り、エアコンに向けてスイッチを押す。すると、ピッという音を立ててリモコンからの操作を受けたエアコンが冷気を吐き出し始める。

 

 涼しい風を浴びながら、寝起きの頭で最大限脳を回転させる。そして、これが夢でも幻でもなく、現実の答えなのだと思い知らされる。

 

 昨日から俺は緒山宅に泊まっている。この部屋は海外にいる緒山姉妹の両親の部屋で、宿泊者である俺に貸し出されている。それが紛れもない事実。

 本当に夢みたいな話だ。こんな快適な部屋で一週間も過ごさせて貰って、宿泊費もいらないし、三食飯付きなんて。

 

 カーテンを開けると、朝日が差し込んでくる。ベランダに続く窓を開け、夏特有の熱気を全身に浴びる。昨日まで鬱陶しいと思っていた暑さも、エアコンで冷えた今の身体には心地いい。

 

「……夏だなぁ」

 

 日差しに目を細める。久しぶりに清々しい朝だ。古びたアパートの窓からは見えない住宅地の景色が、新鮮で心が躍る。

 

 ―――今日も暑くなりそうだ。

 

 

 

 

 

 部屋を出て慣れない階段を降りる。一回に降りると、リビングでコーヒーを飲むみはりちゃんがいた。

 

「あ、おはようございます。あきな君」

 

「おはよう。みはりちゃん」

 

 向かいの椅子に座ると、みはりちゃんが立ち上がって台所へ。どうやらコーヒーを入れてくれているみたいだ。

 

「どうぞ」

 

「ありがとう」

 

「ミルク要ります?」

 

「このままでいいよ」

 

 ブラックを飲む。朝からコーヒーを飲めるとは、なんと優雅な一時なのだろうか。大学生活が始まる時にコーヒーメーカーを買うか買わないかで一週間悩んだ挙句に断念したのを後悔し始めている。

 

「……はぁ、幸せ」

 

「美味しいですか?」

 

「世界で一番」

 

「大袈裟ですよ」

 

 たははと笑うみはりちゃん。コーヒーを飲み終わると、再びみはりちゃんが立ち上がって台所へ。

 

「朝食作りますね」

 

「手伝うよ」

 

「大丈夫です。お客さんなんだから座っててください」

 

 エプロンを装着して料理をし始める。ソワソワしながら待っていると、トーストに目玉焼き、サラダの朝食がテーブルに並ぶ。

 なんて立派な朝食だろうか。普段ならヨーグルト一個とか、何なら食べない日まである。それがどうだ。目の前の美味しそうな品々の数々。感動で涙が出てきた。

 

「頂きます……!」

 

 しっかりと手を合わせる。あぁ、何と美味しいのだろうか。人が作ってくれる料理というのはこんなにも美味しくて心温まる物なのか。

 

「……どうして泣いてるんですか?」

 

「人の心に触れたせいかな」

 

 泣きながら食べる俺を不思議そうに見ているみはりちゃん。実に珍妙な光景だっただろうが、気にしている余裕は俺には無かった。

 

「ごちそうさまでした」

 

 ものの数分で食べ終わる。本当なら噛み締めて食べたかったのだが、せく気持ちを抑えきれなかった。

 

「お粗末様でした」

 

「食器洗うよ」

 

「いいですよ。お客さんなんですから」

 

「いや! 流石にこれだけは……!」

 

 半ば強引にキッチンを占領し、食べ終わった後の食器を洗う。みはりちゃんの気遣いは有り難いのだが、流石に与えられているばかりでは落ち着かない。

 

 食器を洗い終わり、手持ち無沙汰になる。俺はソファーに座ってテレビを見ているみはりちゃんに仕事がないか聞いてみる。

 

「何かする事はないか? 掃除とか洗濯とか……」

 

「そんな、大丈夫ですよ。あきな君は何もしなくても」

 

「そういう訳には……」

 

 みはりちゃん的には俺は『お客様』扱いらしいが、俺からすれば居候に近い。タダ飯を食っている居候なぞ、どの面下げて居れようか。

 

「頼む! 何か手伝わせてくれ!」

 

「うーん……じゃあ、これから掃除するので手伝って貰えますか?」

 

「ッ! おう! 雑巾がけでも草むしりでも何でもするぜ!」

 

「草むしりは掃除かなぁ?」

 

 腕まくりをしてやる気をアピール。俺の勢いに若干引き気味のみはりちゃんだが、仕事が貰える喜びが抑えきれない。

 

 そんなこんなで、午前中は緒山宅の掃除を手伝う。リビングの掃除機掛けから風呂場のカビキラーまで、あらゆる汚れを撲滅する勢いの俺に、みはりちゃんは終始引き気味だった。

 

 

 

 

 

 もう直ぐお昼だ。お昼ご飯は俺が作ろうと考えていると、ふとある事を思い出す。

 

「そう言えばまひろは?」

 

「……まだ寝てます」

 

 姿を見ないと思っていたら、まだお眠だったか。

 

「まぁ、休みは遅ようでも仕方ないか。夏休みだしそういう日があっても」

 

「おに……まひろちゃんはいつも遅ようですけどね」

 

 呆れた様に肩を落とすみはりちゃん。普段から昼まで起きてこないとは……年齢にしてはダラけた生活リズムだ。

 

「若い頃から遅く起きる生活習慣が身に付くと、大人になってから改善するのは大変なんだけどなぁ」

 

 実体験である。一時期は昼夜逆転の生活をしていたせいで、規則正しいリズムに戻すのは苦労した。

 

「―――先人からの忠告、痛み入ります」

 

「? みはりちゃんもそっちの口?」

 

 胸に手を当てて苦しそうにしている。あかりなら生活リズムがぐちゃぐちゃなのは容易に想像が付くが、みはりちゃんにも心当たりがあるのだろうか。

 

「まひろちゃんに良く言って聞かせます」

 

「それがいいと思うけど……」

 

 そう言いながら階段を登っていくみはりちゃん。暫くすると、腕を引っ張られながらまひろが連行されてきた。

 

「ふぁん……。眠い……」

 

 目を擦り、欠伸をしている。髪はボサボサで服も着崩れている。

 

「ほら! シャキっとして。もうお昼だよ」

 

「んあぁ……」

 

 がっと肩に手を置かれるが、フラフラとした様子のまひろ。そのまま洗面所に連れていかれる。

 数分後、戻ってきたまひろ。椅子に座った彼女の前にコーヒーを置く。

 

「ミルクは要るか?」

 

「うん。たっぷり」

 

「ほいほい」

 

 適量を投入し、自分でも調整できるようにテーブルに置く。両手で持ったカップで甘いコーヒーを飲むまひろは、一息ついてから俺の顔を見て一言。

 

「あれ? 何であきなが居るの?」

 

「まだ寝ぼけてるのか……」

 

 昼食の準備をする為に台所へ向かう。みはりちゃんから許可を貰ったので、昼飯は今日から一週間は俺が作る。

 

「みはりさんに聞いてくれ。俺がどうしてここにいるのか」

 

「……?」

 

 可愛らしく小首を傾げるまひろを無視して、調理を開始する。作っている最中に、リビングから「あー」とか「おー」とか聞こえてきたので、多分思い出したのだろう。

 

 姉妹の楽し気なやり取りを台所からチラチラと見ながら昼食を作る。何でもない事のはずなのに、俺の心は幸福感で満たされていた。それが、目の前の光景から来る物なのか、仕事を全う出来ている充実感から来る物なのかは分からなかった。

 

 

 

 

 

 昼飯を食べ終わり、緒山家で初めての午後の時間。掃除も終わったし何かする事はあるか?

 

「午後から何するかな……」

 

「ゲームしようぜ!」

 

 午後の予定を考えていたら、食後のアイスを食べていたまひろが遊びに誘ってくる。

 

「……勉強するかぁ」

 

「はぁ~!? マジかお前。せっかくの夏休みに勉強とか。優等生か!」

 

「まひろちゃんは宿題終わってるの?」

 

「……まだです」

 

 みはりちゃんに窘められているまひろ。まぁ、俺は宿題は終わってるし、中学生が休みに部屋で籠って勉強というのは違う気がする。

 

「やっぱりゲームするかぁ。せっかくの休みだもんな」

 

「お、そう来なくちゃ!」

 

 乗り気な俺にテンションを上げるまひろ。いそいそとテレビゲームを準備し始める。

 

「みはりさんもやりますか?」

 

「そうね……。折角だし一緒にやろうかな」

 

「おうおう。久しぶりにみはりも参戦かぁ。まとめて掛かってこい!」

 

 そう言いながら起動したゲームは、皆で出来る有名レースゲーム。俺も好きなシリーズで、それなりにプレイしてきた経験がある。

 

「なーに、軽く揉んでやるかぁ」

 

 腕を鳴らしているまひろ。相当自信がある様だ。ゲーセンに行った時も一緒にゲームをしたが、対戦というより二人で楽しくをモットーにしていたので、改めて真剣に覇を競うのは初めてだ。

 

「お手柔らかに」

 

 にこやかに返事をすると、鼻を鳴らすまひろ。どうやら自分の方が上手いと確信している様だ。確かに同年代の中のではゲームをやり込んでいる方なのかもしれない。同年代なら、な……。

 

(まひろには悪いが、お前と俺とじゃゲームをやってきた『時間』が違う。年季の入った俺が負ける要素はないな……)

 

 見た目は中学生でも、中身は二十歳まで生きている大学生なのだ。一時期は朝から晩までゲームをしていた身の上。ゲーマー中学生如きに後れを取る事は有り得ない。

 

 ゲームが始まる。自信満々のまひろと普段通りのみはりちゃん。そして玄人の俺。勝敗は見えているな。少し手加減して、それなりの結果で終わらせてやろう。中学生相手に本気になるのは大人げないからな。

 

 

 

 

 

「おいまひろ! そこで赤甲羅はズルだろ! 運だけだ!」

 

「あきなだってさっきスターばっかり引いてただろうが! お互い様だぁ!」

 

「あれは打開ステージだったから、九位割りしてただけで運じゃねーから! 戦略だから!」

 

「二人共、大人げないなぁ」

 

 白熱したレース対決は結局、潰し合う俺達を尻目にみはりちゃんが一位をかっさらい優勝した。敗北した俺達は罰として夕飯を作る事になったが、俺がほぼ一人で作り、まひろは最後の皿洗いをしただけに終わった。

 

 ていうか、みはりちゃんゲームうま。

 

 

 

 

 

 夜中に目が覚める。どうにも興奮して眠れない。ベッドに潜りながらもぞもぞと身体を動かしていた。

 決してやらしい理由ではなく、今日一日の出来事が俺を興奮状態にしていた。

 朝から朝食が出て来たり、午後から皆でゲームしたり、夕飯を複数人で囲んだり。普段の生活からは考えられない様な経験を一日で過ごした。

 

 正直、楽しかった。誰かとご飯を食べたり、向かい合ってゲームをしたり。そんなありふれている日常に、少し憧れていたのだ。誰かと一緒に過ごす時間を、俺は求めていた。

 一人暮らしも楽で好きなのだが、こういうのも悪くない。恥ずかしながらそう感じてしまう程に、今日一日は充実していたのだ。

 

「……だあぁッ! 恥ずい恥ずいっ!!」

 

 勢い良く起き上がり、頭を掻きむしる。そんな事を考えてしまう自分に喝を入れるべく、何度も頬を叩く。ジーンと痛みが広がってきた所で、布団から出て部屋を出る。

 階段を降りてリビングに向かうと、夜中だと言うのに電気が付いていた。中に入ると、みはりちゃんが台所で栄養ドリンクらしき飲物を飲んでいた。

 

「徹夜か?」

 

「そんな所です。大学のレポートやってて。あきな君は?」

 

「目が冴えちゃってさ。眠れないんだよな―――」

 

 そのまま眠れない理由を口にしようとしてハッとする。今日が楽しくて眠れないなんて、恥ずかしすぎて話せない。

 

「……?」

 

 俺の不自然な様子に小首を傾げるみはりちゃん。掘り下げられると面倒だ。何か話題を変えないと。

 

「そ、それって栄養ドリンクか何かか? 何だか見覚えがあるんだけど!」

 

「あぁ、これですか? あかりから貰った栄養ドリンクです。あの子がよく飲んでる物らしいですよ」

 

「あかり印かぁ……」

 

 それを聞いて途端に胡散臭く感じる。あかりから提供される飲物にいい思い出がない。

 

「俺も貰おうかと思ったけど……」

 

「あきな君も飲みますか? 冷蔵庫にまだありますよ」

 

 言われて冷蔵庫を開けると、何本か同じような瓶が入っている。もう怪しい実験物にしか見えなくなった。

 一本手に取る。あの時も怪しいと思いつつ、流石に何も仕込まれてないだろうと思って飲んだ結果が今の俺な訳だ。

 

「まぁ、みはりちゃんに変な物飲ませないだろうし、そういう面では安全か……」

 

 さしものあかりも、みはりちゃんに劇物を飲ませたりしないだろう。

 少し抵抗感があるものの、あかりを信頼して一本飲む。何とも言えない味だが、本当に大丈夫なのだろうか。

 

「―――俺も、ちょっと勉強するかぁ」

 

「明日は二人揃って寝坊ですね。何なら私のレポート手伝ってくれます?」

 

「勘弁してくれ……」

 

 完全にあの時の流れをトレースする展開に、思わず頭を抱えてしまう。そうやって誘いに乗り朝までコースだと思っていたのに、気が付いたら爆睡していた挙句に身体も縮んでいた。本当に踏んだり蹴ったりだ。

 

 みはりちゃんと一緒に二階に上がる。部屋の前で「お休み」と言って別れるが、お互いにまだ眠る気はない。

 俺用に用意してもらった机にテキストを広げて、深夜の一人勉強会がスタートする。長く起きているつもりはないが、ドリンク一本分はやるつもりだ。

 

「どのみち、今は眠れんしなぁ」

 

 問題を解きながら、先程までの恥ずかしい思考が蘇り、無駄に興奮してくる。勿論いやらしい意味ではなく。

 

 無駄に悶々としながら勉強をする。そのせいかちっとも集中できず、直ぐに記憶が飛んでいた。ドリンクの効果も確認出来ぬままに。

 

 

 

 

 

 朝。薄っすらと目を開くと、カーテンの隙間から差し込む日差しが眩しい。

 

 身体が痛い。どうやら勉強していてそのまま机に突っ伏して寝ていたらしい。上半身を起こすと、いつもより肩が重たく感じる。

 軽く背伸びをして、机に置いてあるスマホを確認。時刻は十二時。寝坊だ。完全に。

 夜更かしして勉強していたのだ。栄養ドリンクまで飲んで起きていたのだから、寝過ごすのも仕方ない……。

 溜息を吐いてスマホの画面を消すと、暗い画面に薄っすらと顔が映る。角度的に自身の顔だが、何だから様子がおかしい。

 

「……?」

 

 何だ。今、俺じゃない別の顔が映らなかったか? 気のせいか? 寝ぼけているだけか?

 

 目を擦って寝起きのぼやけた視界をクリアにする。そして、改めてスマホの画面を見る。

 

 

 

 そこには、知らない少女の顔が映り込んでいた。

 

 

 

 一瞬理解出来ずに放心状態になり、何となく動かした手に何かが絡まる。

 

 

 

 掌を見るとそこには、女性の黒髪が絡みついていた。

 

 

 

「……うわぁあああ!?!?」

 

 慌ててスマホを放り投げ、後退りする。すると、何故か履いていたスエットのズボンが脱げる。

 

「何だ!? 何がどうなって……ッ!!」

 

 脱げたズボンを見ると、必然的に自身の足にも目が行く。そこには、細くてか弱そうな足があった。

 

「え? 足が……え? 何で? え?」

 

 訳が分からず混乱する俺だったが、ここに来て色々な違和感がある事に気が付く。

 

 細い足に、見てみると自分の物とは思えない細くて小さな手。目線も低くて声もおかしい。聞き慣れないソプラノの音が喉から出ている。

 視線を下すと、先程手に絡まっていた髪が服に垂れている。恐る恐る触って辿っていくと、髪は自分の頭皮に付いている事が発覚する。

 覚束ない足で立ち上がる。普段より明らかに低くなった目線と長い髪。そして感じる事の無かった肩へのちょっとした重量感。

 

 呆然と立ち尽くしていると部屋のドアが開き、まひろが入ってくる。

 

「叫び声が聞こえたけど大丈夫……か」

 

 入った来たまひろと目が合うと、言葉を失った様子で俺を見つめている。後から入ってきたみはりちゃんも、俺を見て手を口に当てて驚いている様子だ。

 

「あきな……君?」

 

 疑問形のみはりちゃん。その問いかけに即答できなかったのは、俺の現状を頭で理解していたからなのだろうか。流石にそれは適応力高すぎると、自分で自分を疑うレベルだ。

 

 いや、正直疑っている。俺は本当に俺なのか。俺が俺と定義づける要素は何だ? 記憶か? 見た目か? 後者だとしたら、もう俺は俺じゃない。まぁ、それなら中学生の身体になった時から俺じゃなかった気がするんだけど。

 そんな益体のない事を考えて何とか心を落ち着かせてみるが、ちっとも効果がない。それくらい、俺は現実に起こっている現象を受け止めきれていなかった。

 

 鏡があったら、見たいような見たくない様な。もし見てしまったら、観測してしまったら。確定した事実になって受け入れざるを得なくなってしまう。それが良い事か悪い事かは別として。人間には、どうしても受け入れられない事実というものが存在する。

 

 例えばそうだな。朝起きたら、自分の身体が変化して『女の子』になってたとかかなぁ。

 

 あぁ、これは夢か。そんな展開、在り得ないだろ。三食飯付きの宿泊を一週間タダで出来るくらいに……。









 あきなちゃんの見た目設定は近日公開予定です。少し悩んでいるので。

 後、何段階変身を残しているのでしょうか? 今は第三形態と言った所でしょうか。
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