先輩はおしまい!   作:朋也

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今年最後の投稿だと思います。

来年から本気出す(毎年言ってる)







あきなと年上の威厳

「みはりって、ちょっとしたアルコールで酔っちゃうんだよね」

「そうだったんですか……」

「甘酒でも酔うからね」

「マジか……」

 

 甘酒の度数って一パーセント以下じゃなかったっけ?とか、不確かな知識を思い出す。正確な知識ではないが、飲酒にならない扱いだから数値はそれに近いはず。

 

 ソファーで寝ているみはりちゃんは、俺とかえでさんでそこに運んだ。

 

「……なんて言い訳しよう」

 

 さっきの取っ組み合いのせいで、非常に気まずい空気が流れそう……。

 

「あ、それは大丈夫。みはり、酔ってる時の事覚えてないから」

「え?そうなんですか?」

 

 記憶飛ぶくらい酔ってるって事? 覚えてないのは都合がいいけど、それはそれで心配になる。

 

「不思議だよね~」

「不思議で済ませていいのか?」

 

 某研究室で、自分の体質を研究した方がいいんじゃないか?

 

 将来、絶対みはりちゃんを大学の飲み会に連れていかない、行かせない事を強く決意する。

 

「飲みサーとか絶対ヤバいだろ……」

「飲みサー?大学の話?」

「そ、そうっすね。こんなに酒弱いと大丈夫かなって」

「それは私も少し心配。みはり、大学の話あんまりしないから」

「……」

 

 かえでさんはみはりちゃんの同級生だと聞いた。小さい頃からの友達。最初はみはりちゃんもかえでさんと同じ高校に通っていたはずだ。

 その幼馴染みが一人だけ飛び級して居なくなった。かえでさんの心配も頷ける。みはりちゃんはしっかり者だけど、それが不安にならないという理由にはならない。

 

「……みはりさんの話、詳しく出来る知り合いが居るんですけど」

「え?」

「あかりって言うんですけど。前に買い物行ったときに居た奴です」

「あー、みはりの後輩ちゃんだっけ?」

「そうです。アイツならみはりさんの事詳しいんで、何か聞きたい事があればいつでも対応します」

 

 それはもう、オペレーターもかくやといったレベルで。

 

「それ、あきな君が勝手に言って大丈夫なの?」

「無論です。好きに使ってやってください」

「うーん、あの子とあきな君との関係が分からない……」

 

 何やら訝しんでいる様だが、俺とあかりの関係性については簡単に説明できるものではないので、何を聞かれても答えるつもりはない。ただ……。

 

「……まぁ、友達です」

「友達、かぁ。―――うん、そういう事なら安心かな。それなら遠慮せずに聞いちゃおうかな?みはりは自分からは話したがらないし」

「それがいいですよ」

 

 かえでさんにあかりの連絡先を勝手に教える。許可?そんなものいらない。ソースは俺。

 

「―――これでよし。これでいつでもみはりの話聞けちゃうぞ~」

 

 目を光られて、怪しい笑みを浮かべている。その様子に不穏な物を感じ取る。

 

「……お手柔らかに」

 

 苦笑いをしながら、心の中であかりに謝罪をする。もしかしたら、俺はとんでもないモンスターを生み出してしまったのかも知れない。

 

 

 

 

 

「みはり起きないな~」

 

 頬を摘んだりペシペシしたり、寝ているのをいいことにやりたい放題している。

 

「うぅ~」

「勉強教えてくれる約束はぁ~?」

「むにゃ……」

 

 今だに夢から目覚めないみはりちゃんの鼻を摘んで、苦しそうにすると鼻を解放するという悪戯を楽しんでいる。

 

「……」

 

 その様子を入れ直したコーヒーを飲みながら眺めている俺だが、正直、この状況を作りだした張本人として、責任を感じている。

 俺の持ってきたお菓子のせいで、みはりちゃんは眠り姫な訳だ。……あの様子だと、キス程度では起きないだろうし……。

 

「……かえでさん」

「ん?」

「勉強、俺が教えましょうか?」

「え? あきな君が? 高校の範囲だよ?」

「いいからいいから」

 

 大丈夫大丈夫と手でジェスチャーすると、半信半疑と言った様子ではあるが、机にテキストを広げる。

 

「う~ん」

 

 暫く眺めていたら、同じ問題を眺めながら唸っている。行き詰まっている様だ。

 

「そうですね。そこは―――」

 

 そこで俺の出番。解き方を教えると、目を見開いて驚き、

 

「えー!? どうして解けるの!?」

「……どやぁ」

 

 説明を放棄して取りあえず笑っとけの精神でにやけてみせる。

 大学に入る為に死ぬほど勉強して浪人までした俺にとって、高校範囲の勉強など造作もない。

 

「あきな君、中学生だよね?」

「知り合いに天才が居るんですよ」

「あぁ、みはりとあかりちゃん」

「たまに教えて貰ってるんですよ」

 

 厳密には違うが、あかりに勉強を教えてもらった事もあるのでセーフとする。

 

「みはりさんの代わりに俺が教えますよ」

「―――じゃあ、お願いしようかな」

 

 

 

 

 

暫くマンツーマンの指導でテキストを進めていく。

 

「ここは、こうで―――」

「ふむふむ」

 

 中々に優秀な生徒だ。俺が現役の時より遥かに賢い。

 

「う、う~ん……」

「お、やっと起きた」

 

 ソファーからムクリと起き上がるみはりちゃん。目を擦りながらこちらを見る。

 

「―――あれぇ? かえでもう来てる……? 今何時?」

「一時間くらい寝てましたね」

「そもそも、何で寝てるの? 私……」

 

 寝起きで頭を掻いているみはりちゃんは、状況が理解できていない様子だ。……本当に記憶無い系なんだな。

 

「都合良いな」

「でしょ?だから気にしなくていいよ」

「?」

 

 いつものお礼も兼ねて、俺がみはりちゃんに起き抜けのコーヒーを淹れる。勿論かえでさんのも忘れずに。

 

「ふぅ、飲んだら勉強教えるから」

「もう教えてもらってまーす」

「えぇ!?」

 

 机に広がっているテキストを見て驚く。みはりちゃんが俺の顔を見る。

 

「……どやぁ」

「何でドヤ顔?」

 

 取りあえず以下略。担当を取られたみはりちゃんが少し不満そうにしている。

 

「はいはい、拗ねないの」

「別に拗ねてないもん」

「もー、可愛いなぁ」

 

 後ろから抱きつきながら頭を撫でている。流石かえでさん。姉としての貫禄がある。

 

「―――じゃあ、今から二人で教えるよ。今日はみっちりと教えるから!」

「え? いや、そこまで徹底的じゃなくても……」

「いいよねぇ? あきなく~ん?」

「今日は徹夜ですね」

「泊りがけなの!?」

 

 慌てて逃げようとするかえでさんをみはりちゃんが捕らえ、両側から二人で講師を担当する。

 

 結局、まひろが帰ってくるまで勉強は続き、くたくたになったかえでさんがフラフラとした足取りで帰っていったのが印象的だった。

 




時間を生み出す方法、急募。
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