取りあえず、ぶっ倒れるまで更新しようと思ってますので、よろしくお願いします。
「うーん……」
お昼休み。もみじ、あさひ、みよ、なゆたんと、いつものメンバーで昼食を取っていた。オレはみはりお手製の弁当を食べながら、藤村くんの事で悩んでいた。
最近、藤村くんを意図的に避けてしまっている。理由は正直、漠然としているのだが、藤村くんがみはりを好きと知ってしまってから、どうしても藤村くんと今まで通りに会話できないでいた。
「どうしたのまひろちゃん?」
もみじが訪ねてくる。オレの様子を心配してくれているのだろう。優しい友人だが、今の悩みをもみじには言えない。
数日前に、もみじと藤村くんの会話を盗み聞きした。好奇心故の犯行と許して欲しいが、盗み聞きしてしまった事をもみじにはまだ言っていない。どうしても後ろめたい気持ちがあって言えない。
「いや、何でも……」
だからこう答えるしかない。ごめん、もみじ。心配してくれたのに。オレは心の中で謝罪する。
「もしかして、藤村くんの事?」
「なッ! ……ど、どうして」
もみじから藤村くんの名前が出てくるとは思わず、誤魔化す事もせずにリアクションしてしまった。どうしてもみじが藤村くんの事を……?
「今日も避けてたよね。どうして?」
「ど、どうしてと言われましても……」
畳み掛けてくるもみじ。どうしよう。何の言い訳も思いつかない。
たじろぐオレ。咄嗟にみよちゃんに視線を送ると、諦めた様に溜息を吐く。
「ごめんねもみじちゃん。実は―――」
もみじの隣に座るみよちゃんが、事の経緯を説明してくれる。どうしても気になって、もみじと藤村くんの会話を聞きに行ってしまった事を。
「―――成程。だから避けてたんだ」
「「申し訳ありません」」
二人揃って謝罪。もみじは別にと言った様子で笑っている。
「私は全然いいんだけど、藤村くんはちょっと気の毒かなぁ」
「……だよなぁ」
ごもっともだ。藤村くんからすれば、盗み聞きされた上に、何の理由があるのか分からないまま避けられているのだ。
「所で、どうして聞きに来たの?」
「それは……その……」
素朴な疑問と言った様子で聞いてくる。何とも説明しづらい質問をしてくる。
「その日、もみじが藤村くんの事チラチラ見てたから、もしかしたらって……」
「もしかしたら……?」
小首を傾げるもみじ。全然伝わっていないみたいだ。だからと言って人前で堂々と言うのも気が引ける。
「―――みよちゃん! 説明頼む!」
「もう、しょうがないなぁ。こしょこしょ―――」
隣のみよちゃんが、今度はもみじにだけ聞こえる様に耳元で囁く。最初は普通に聞いていたもみじだったが、次第に顔が赤くなる。
「―――ッ!! そ、そんな訳ないじゃん!」
興奮しながら叫ぶ。周りの視線が集まってしまう。何とかもみじを落ち着かせる。
「だ、だよな~」
「そうだよ! だって私は―――」
言いかけて、途中で黙り込む。
「私は?」
「……何でもない」
「?」
聞き返しても答えてくれない。何を言いかけたのだろうか。何故か隣に座っているみよちゃんは涎を垂らしているが……。
「とにかく! 藤村くんには謝らないとだよ」
「う、うん」
最初の議題に戻ってくる。藤村くんは何も悪い事はしていない。なのに一方的に無視してしまった。謝罪は当然……なのだが。
「ただ、どうしても腑に落ちないと言うか、納得できないと言うか」
そもそも、どうして藤村くんはみはりが好きなんだ? 本当に好きなのか? 好きなのだとしたら、いつ、何処で好きになったんだ?
以前、スーパーで会った時が初対面だった筈だ。あの時か? それともオレが知らない所で会ってるのか? そういえば、もみじと藤村くんの話を聞いた日の午前中、突然藤村くんがみはりの事を聞いてきたな。あれは好きになったから少しで情報が欲しくて聞いてきたのか?
藤村くんがみはりを好きなのか疑わしい。でも本人の証言もある。うーん……。
「まひろちゃん、お姉さん好きだもんね」
「そーそーって、違う!!」
成程と言った様子のもみじ。それだと、オレが藤村くんにみはりが取られるから嫉妬してるみたいな解釈になってるだろ!?
「わたしは心配なだけ! 決して束縛みたいなのは無いから!」
「分かった分かった」
あやす様な態度のもみじ。絶対分かってないと思うが、この様子では言い訳をしても無駄そうだ。
「でも、確かに心配だよね」
「みよちゃん……」
涎を拭いて正気に戻ったみよちゃん。良かった。またオレの様子を察して助け舟を―――。
「だって、まひろちゃんのお姉さんには、もみじちゃんのお姉さんが居るんだから!」
「……みよちゃん?」
「二人の間に挟まる様な事があったら、私……!」
炎が見えそうな程の熱気が伝わってくる。どうやらまだ正気ではなかった様だ。
「……謝らないと、だよなぁ」
結局はそれに帰着する。どんなに言い訳しても、理不尽に無視していた事に変わりはない。
「なんだーまひろん。悪い事したのか?」
今まで弁当を貪り食っていたあさひが、話に入ってくる。
「まぁ、そんな所かな」
「だったら素直に謝らないとだぞ。あさひも偶ににーちゃんに怒られるけど、謝ったら許してくれるぞ」
「―――そうだよな。わたし、謝るよ」
あさひの言う通りだ。悪い事をしたら謝る。当たり前だ。当たり前の事が出来なくなっていたオレは、そんな事も忘れていたのだろうか。大人として反省しなくては。
「偉いぞまひろん。撫でてやろう」
「ありがとう。あさひ」
「―――ッ!! 私も撫でれるもん!」
「えぇ? あ、ありがとう、もみじ?」
よく分からないが、二人でオレの頭を撫でる構図になっている。まるでペットでも撫でるかの如く。
「ハァ、ハァ、も、もう無理……!」
「大丈夫です? みよ」
机に突っ伏して荒い息を吐くみよちゃんを、なゆたんが介抱していた。
放課後が訪れる。生徒が次々と教室を出ていくが、藤村くんはまだ後ろの席に座っている。チャンスは今しか無い。
「あ、あのさ藤村くん」
「何?」
振り向いて話しかける。謝るだけなのに凄い緊張する。声もちょっと上ずってしまった。
「ちょっと、話があるんだけど、いいかなぁ?」
今まではぐらかしたり無視したり、しまいには逃げたりしていたクセに、話があるから聞いてほしいなんて虫のいい話だ。もしかしたら断られるかも知れない。
緊張しながら返答を待っていると、思いがけない一言が返ってくる。
「ちょうど良かった。俺も緒山に話があるんだ」
「え? ……そうなの?」
一瞬驚いたが、それはそうだ。何回も話しかけてきているんだから、オレに話があるに決まっている。それを聞かない様にしていたのはオレだ。
「―――ここじゃ何だし、学校でないか?」
「……うん」
教室の出入り口を親指で差している。確かにまだ生徒が残っている教室で謝罪というのも場違いな気がする。オレは促されるままに藤村くんの後を付いていく。
教室を出て廊下を歩いていると、後ろから数人の生徒が付いてくるのが分かった。振り返ると、勿論もみじ達だった。見守ってくれるらしいが、少し恥ずかしい。
「ここまで来れば大丈夫か」
校舎を出て数分歩き、学校からそれなりに距離が離れた場所に来る。周りに人は居ない。隠れているもみじ達を除けば。
藤村くんと正面から向き合う。早く謝りたい所だが、まずは藤村くんの用件を聞くことにする。
「緒山」
「はい!」
藤村くんの声に思わず肩がビクリと震える。背筋が伸び、冷や汗を掻いてきた。何だ? もしかしてキレられるのか。流石に怒っているかも知れない。
怯えながら続く言葉を待っていると、またも意外な言葉が飛び出す。
「ごめん!」
「……はい?」
思わずと言った声が出てしまう。頭を下げて謝罪する藤村くん。
「最近、俺の事避けてるみたいだからさ。もしかしたら、お姉さんの話で怒ってるんじゃないかって」
「え?」
もしかして最初から気付いていたのか? オレがみはりの件で気まずくて避けていたのを。でも、オレ達が盗み聞きしていたのは知らないはず。どうして……。
「知ってたの?」
「……何となく。推測だけど」
まさかオレの態度から推理したのだろうか。それならとんだ名探偵ぶりだ。いや、察しがいいのか? どっちにしろ当たっている。
「悪気は無かったんだ。ただ、言うのが恥ずかしくて……」
頬を掻きながら照れている。それはそうだ。自分が好きな人の妹に『お姉さんが好きです』なんて言えないよな。そもそも言う必要もないんだし、藤村くんからすれば、どうしてオレが無視しているのか分からないよな。申し訳ないけど、オレも分からなくなってきた。
藤村くんは、自分には何の非もないのに謝罪している。それに比べてオレはどうだ? 訳の分からない理由で拒絶して、納得いかないと駄々をこねている。本来なら大人であるオレが妥協しなくてはならないはずだ。目の前の中学生の方がオレよりよっぽど大人だった。
「これ、お詫びの印って訳じゃいけど」
そう言いながら、カバンから何か取り出す。受け取ったそれを見てみる。
「クッキー?」
透明なビニールに入ったクッキーだ。リボンで包装もされている。もしかして、わざわざこの為に買ってきたのだろうか。
「作ったんだ」
「え? 藤村くんが?」
「おう」
マジか。手にあるクッキーは普通に美味しそうで、既製品だと思った。まさか手作りなんて。
「……貰ってくれるか?」
「え? そ、それは、有り難く……」
「ありがとう」
「―――ッ!!」
嬉しそうな笑顔。その笑みに、少しドキッとしてしまう。……イカン! 色んな意味でダメだ! 男として、人間として。
「わ、わたしの方こそごめんなさい! 避けちゃったりして……。わたしも悪気は無かったんだよ。だから―――」
本当に悪気は無かった。ただ、どうして良いか分からなかった。
妹が好きな人に初めて会った。勿論、ライクじゃなくてラブの話だ。今までありそうで無かった。だから兄として、どう接すればいいか分からなかったのだ。
「こんな気持ち、初めてだったからよく分かんなくて……」
「同じだな。俺達」
「え?」
「どっちも悪気なんかない。なのにお互いを理解出来なくてギクシャクする。難しいよな。人間関係ってさ」
たははと笑う藤村くん。その言葉は、自宅警備員だったオレにはとても胸に響いた。
「―――だね。わたしもそう思うよ」
今も昔も、勘違いしてばかりだ。でも、それを乗り越えてこそ、友情は芽生えるのかも知れない。そう思えるくらいには、オレも成長したと思う。
だから、これはオレの成長の一つと言う事で―――。
「改めてよろしくな。緒山」
「まひろでいいよ。―――わたしはあきなって呼ぶから」
差し出された手を握る。女の身体になってから、男に少し抵抗があった。でも、何故か分からないが、あきなとは初めて話した時から打ち解けられた。まるで同い年の友達と会話する様な感覚だった。今も自然と握手を交わしている。
「―――そうだ。後、これも」
そう言うと、カバンから再びクッキーを取り出し、渡してくる。
「またクッキー?」
「それはお姉さんに渡してくれ」
「お姉ちゃんに?」
「いっぱい作ったから、食べてもらいたくて」
「―――」
「まひろ?」
「―――ッ!! だぁ、もう! 一回だけだぞ!」
オレは受け取ったクッキーをあきなの胸元に押し付ける。
「な、なんだよ!?」
「こういうのは自分で渡せ!」
「それは最もだけど、渡す機会が無いし……」
「今日、お姉ちゃん家にいるから、今から家に来い!」
今日だけ特別に協力してやる。改めて友達になった好だ。今日だけは恋のキューピッドになってやる!
「……は?」
状況が理解できていない様子のあきな。そんなとぼけた声を出したって、強制連行してやるからな!
「ただいま~」
あきなを連れて無事帰宅。玄関にはオレともみじ、後何故か合流していたかえでちゃんと、連行したあきなの四人。みよちゃんとあさひとなゆたんは、オレ達の仲直りを見届けて別れた。
最初は困惑している様子のあきなだったが、かえでちゃんに捕まれると、借りてきた猫の様に大人しくなった。オレも初対面の時にかえでちゃんに捕まったっけ。
かえでちゃん達を玄関に待機させ、まずはオレとあきながリビングへ向かう。リビングに入ると、ソファーに腰掛け雑誌を読んでいるみはりがいた。
「おかえり~、お兄……あれ?」
言いかけてみはりが気付く。オレ一人じゃない事に。かなり危険だったが、寸前で止まってくれて助かった。
「……ほら」
「え? あぁ」
オレの後ろに位置するあきなの背中を押す。無理やり前に立たせみはりと対面させる。
「藤村君? どうしたの?」
小首を傾げるみはり。あきなもあきなで、オレを見て何かを訴えている。
「……まさか! お、まひろちゃんとお付き合いを!?」
「ちゃうわい!!」
ズッコケそうになる。どうしてそうなる!?
「まひろちゃんが男の人を家に連れてくるなんて……てっきり交際しているからだと」
「確かに初めてだけど!」
言われてみれば、男の子を家に招いたのは初めてだ。まだ男の身体だった頃にはあったけど、何年も前の話だし、女の子の身体になってからでは変な誤解を生んでも可笑しくはない。
「ははは、流石にないかぁ。残念」
「何が残念なんだ……」
みはりが何を期待しているのか知らないが、オレが彼氏を作るなんてあり得ないだろ。常識的に考えて。
「あきながみはりに渡したい物があるんだって。今日のわたしは付き添い」
「私に?」
あきなに視線を向けるみはり。場は用意してやった。後はあきな本人の自由だ。
「頑張れよ」
「?」
耳元でそう言い残し、リビングを出る。ドアは気付かれないくらいに薄っすらと開けておく。
リビングを出ると、かえでちゃんがグッと親指を立てていた。
「ナイス。まひろちゃん」
「そういえば、どうしてかえでちゃんがここに?」
しれっと付いてきたが、よく考えれば、どうしてあの場にかえでちゃんが居たのか謎だ。
「後で事情は話すから。今はこっちに集中だよ」
そう言うと、薄っすらと開いたドアに近付き、中の様子を確認する。もみじも後からドアの前に。勿論、オレも見る。
先に断っておくが、これは覗きじゃない。兄として、妹の相手に相応しいかチェックするだけだからな!
耳を澄ますと、リビングの声が聞こえてくる。その話し声に耳を傾ける。
「あの、お姉さん。クッキー作ったんですけど、受け取って貰えますか?」
「え? わ、私に!?」
「妹さんに渡す為に作ったんですけど、沢山作ったので、もし良かったらお姉さんにも」
「―――あぁ、成程。ついでにか。ちょっとビックリしちゃったよ」
「ついでなんかじゃ無いですよ。これは僕の気持ちです」
「え?」
「―――上手く言えないんですけど、感謝の気持ちというか。―――渡せなかったお返しだと思って、受け取ってください!」
「何のお返し? ……わ、わかった。ありがとう」
聞こえてくるのは、初々しい男女の気恥ずかしい会話。
「きゃあ! 藤村君、真っ直ぐだねぇ!」
「……ちょっと、格好いいかも」
穂月シスターズが静かに興奮している。確か『僕の気持ち』と素直に伝えているのは凄いと思った。あきなって、結構はっきりと物を言うよな。変に誤魔化さないのは、同い年の中学生らしからぬ、大人びた態度だ。時折あきなからはそういう発言を聞く。
「くそ……ッ! みはりを誑かしおって……!」
自分で促したのだが、いざ目の前で繰り広げられると、何とも言えない感情が湧いてくる。娘に変な虫が付いた父親の気分だ。
出来れば早く終わってほしいと願っていると、以外にもその瞬間は直ぐに訪れた。
「受け取ってくれてありがとうございます。僕はこれで失礼します」
そう言い残し、ドアに向かって歩いてくる。想定よりも早い幕引きに、慌ててドアの前から離れる。
(まずい! 盗み聞きしてたのがバレる!)
短いスパンで二度もあきなの会話を盗み聞きしたのは、もはや人としてどうなのだろうか。今回もどうしても気になったのだが、流石に罪悪感が大きくなってきた。
慌てて逃げようとしているオレ。しかし、かえでちゃんは逆に自分からドアを開けてリビングに入っていく。
「ちょっと待ったぁー!」
「かえで!? 居たの!?」
突然のかえでちゃんの乱入に驚くみはり。あきなも素早い動きでかえでちゃんから距離を取っていた。
かえでちゃんに次いで、小さく手を振るもみじと、気まずい気分のオレもリビングに恐る恐る入る。
「もみじちゃんも?」
「……お邪魔してます」
ぺこりと頭を下げる。何故かオレも倣って頭を下げる。もみじとは違い、オレは謝罪している気分だった。
「何で直ぐに入ってこないの?」
「まぁまぁ、細かい事は気にしない」
ひらひらと手を振って誤魔化すかえでちゃん。オレ達も苦笑いで対応する。
「それより提案なんだけど、今日、みんなで一緒に夕飯食べない?」
「ははは……え?」
人差し指を立てながら可愛らしく意見するかえでちゃん。突然の案にオレは脳の処理が追い付かない。
「私ともみじとみはりとまひろちゃん。勿論、藤村君もね?」
「……え?」
油断なく構えていたあきなも、自分の名前を出されて呆気に取られている。
「……そんな、悪いですよ」
無表情のまま口だけが動いている。まるでロボットの様だ。流石のあきなも動揺しているのだろうか。これは、オレが助け舟を出すしかない。
「そ、そうだよかえでちゃん! いきなりはほら、あきなの都合もあるだろうし」
「……まひろちゃんはどっちの味方なの?」
オレにだけ聞こえる声で訪ねてくる。確かに今日だけはキューピッドを演じてもいいとは思ったが、これ以上はオレの心の安寧が……ッ!
「いや、分かるんだけど、うーん……」
「私はいいよ。みんなで食べた方が楽しいし」
悩むオレを見て何かを察したみはりが、かえでちゃんの意見に同意する。みはりを見ると、何故かニヤニヤしていた。
「そうだよ! 楽しいよ」
今まで戦力外だと思われていたもみじも、かえでちゃんに賛同する。クソッ! もみじはそっち側だったか!
「藤村君はどうかなぁ?」
改めてかえでちゃんの問われるあきな。あきなは少し考える素振りを見せた後、諦めた様子で答える。
「―――皆さんがいいなら、お言葉に甘えて」
「決まり! じゃあ買い出し行かないとね」
「そうね。人数分の材料無いかも」
あきなの同意で話が進んで行く。こうなっては仕方がない。行く末を見守るしかない。
「買い物行こうよみはり。藤村君も一緒にね」
「僕もですか?」
「大荷物になるかもだし、男手は欲しいでしょ? 頼りにしているぞ」
「そうね。頼めるかなぁ? 藤村君」
「―――分かりました。お付き合いします」
あっという間に買い出しメンバーが選出される。これは、オレも付いていくしかない。
「じゃあ、早速出発だ。二人はお留守番してて大丈夫だよ」
「本当に? 私も手伝うよ? お姉ちゃん」
「大丈夫。上手くやるから」
「……不安しかない」
色んな意味で。
「じゃあ、行ってくるね~」
そう言い残し、三人は家を出ていく。こっそり後を付けようかと思ったが、もみじに止めらてしまう。
「ここはお姉ちゃんに任せよう。きっと上手く仲を取り持ってくれるよ」
「それが一番心配なんだけどなぁ」
次回は後編の様な何かになります。ちょっと人間関係がややこしくなってきたので、近い内に何かしらの形で現状をまとめた文章を書こうと思いますので、どうか飽きずに見守っていてください。