転生したが世代が違った...   作:大徳寺 一

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12話 強化合宿 前編

 

 春一番の風が吹き心地よい季節になった。本来だったら花見などのイベントを楽しむものだろう。だが俺達は違った。

 

 「ぎゃああああああ!!!」

 「あっ...」

 「し、死ぬ...」

 「いてぇええええええ!!!」

 

 春の麗らかな雰囲気に似つかわしくない叫び声。この阿鼻叫喚の原因は個性強化合宿によるものだ。雄英での合宿の知識はあったが想像以上にきつい。俺は朝からずっと毒ガスを出し続けているが、たまに意識が飛びそうになる。するとピィーーとホイッスルの音が鳴る。

 

 「はーい!三十分の休憩です!終わったらすぐ再開するように!」

 

 その言葉を受けるとほとんどの生徒は崩れるように倒れこむ。俺は倒れ込みそうになるのをグッと抑え水分補給のために水道へ向かう。するとそこには豊満と指原がいた。

 

 「二人ともお疲れ」

 「ああ、操助お疲れ」

 「お疲れ~」

 

 水を飲むを止め振り向いた豊満は朝と比べて凄く瘦せており合宿の辛さが読み取れる。指原も指先がボロボロで酷使していることが分かる。

 

 「操助も大変そうやな。顔やつれとるもん」

 「そうか?ずっと個性使ってたからな...そういえば二人はどんな訓練をしてたんだ?」

 

 ふと気になって聞いてみる。個性の都合上、誰も近づけないから一人で訓練をしていた。みんなが訓練をしているのを遠目に見ているだけだったので気になってしまった。

 

 「俺は文字通りサンドバックや。増強系の個性の奴等にずっと殴られてたんや」

 「僕はずっと撃ち続けるだけだよ。たまに豊満くんに的になってもらったけど」

 「二人とも大変だったんだな」

 

 俺がそう言うと豊満はいやいやと首を振る。もっと大変な人がいたようだった。

 

 「刃渡なんか高速回転するやすりに腕を突っ込んで強度を上げる特訓やで」

 「エグいな...刃渡じゃなかったら大変なことになってるな」

 

 普通の人がやったら両腕がズタボロになるだろう。想像するだけで恐ろしい。すると噂をすればなんとやら、刃渡も水分補給に来たのか両腕をだらんと下げてこちらに向かってくる。

 

 「刃渡、大丈夫か?」

 「なんとか...悪いんだけど蛇口捻ってくれ手に力が入らない」

 「重症やな...ほれ」

 

 そう言って蛇口を捻る豊満。刃渡は出てきた水をがぶ飲みする。その際も腕は垂れ下がったままで余程疲れているようだ。

 

 「はぁ...休憩終わったらまたあの地獄に戻るのかぁ...」

 「ほんまに地獄やわ。午後からの必殺技の特訓もキツいしなぁ...」

 

 項垂れる二人。豊満の言う通り、この合宿は個性強化だけでなく必殺技の特訓も併用だ。これも期限が早まったことで併用された。個性強化で六時間、必殺技で六時間といったスケジュールとなっており今日で三日目である。

 

 「でも必殺技の特訓はまだいいよ。ヒーローっぽいし色んなことができるし。でも強化訓練はただ使うだけだもん」

 「せやなぁ...しかも操助は一人でやっとるんやろ。精神的にもキツくないんか?」

 「俺は一人で黙々とやるのは結構好きだぞ」

 「ドМやん...」

 「Мじゃねぇよ」

 

 失礼な物言いについ反応してしまう。それに続いて「それは違う」と刃渡も反論する。

 

 「豊満、こいつМじゃなくてドSだぜ」

 「Sでもねぇよ。なんだその謎フォローは」

 「確かに毒島くんは人の嫌なことを進んでやるよね~」

 「指原、それはいい意味で言ってるんだよな?」

 「もちろん」

 

 ニヤニヤとしながら答える指原。これ絶対に悪い意味で言ってるわ。

 

 「確かに操助は人の嫌なとこ突いてくるからなぁ」

 「味方の時は心強いんだけどね~」

 「せやな!すまんな操助!お前はドSや!」

 「お前ら元気そうだし、訓練もっと厳しくしてもいいって言ってくるわ」

 「「「待て!待て!待て!」」」

 

 その後、先生がゴールの追いかけっこが始まった。他のクラスメイトからは呆れられたり、引かれたりしたが休憩時間ギリギリでなんとか逃げ切れた。その後、俺達四人の訓練が厳しくなったのは言うまでもあるまい。

 

▽▽▽

 

 午前の訓練が終わり昼食の時間になった。各自、席に着いてカレーを頬張っていた。

 

 「いや~操助のせいで大変やったわ」

 「俺も被害者みたいなもんだろ」

 「連帯責任ってやつだね~」

 

 喋りながらいつものグループでカレーを食べるが、刃渡だけカレーと見つめ合っていた。

 

 「どうしたん?そない見つめて」

 「すまん、腕が上がらねぇから食べさせてくんね」

 

 どうやら先程と同様、疲れて腕が上がらないらしい。仕方がないので俺が食べさせようとした。そうすると刃渡は「サンキュー」と言って口を開く。開いた口にスプーンを入れようとしたら急に口を閉じた。

 

 「どうした?」

 「いや、初めてのあ~んが男かって思って」

 「クッソどうでもいいな。黙って食え」

 「何言ってんだ!俺のあ~ん掛かってrむぐ!?」

 

 隙をついて口にカレーをねじ込む。刃渡はしっかりと咀嚼してカレーを飲み込む。

 

 「危ねぇだろ!歯に当たったどうすんだ!」

 「お前の個性なら大丈夫だろ」

 「そういう問題じゃねぇよ!ううう...俺の初めてが...」

 

 そう言いながら顔を両手で覆う。腕が上がるようになったみたいでよかった。

 

 「てか、あ~んなんて親がやってただろ」

 「親からはノーカンだろ」

 「じゃあこれもノーカンでいいだろ」

 「ん?それもそうだな」

 (((単純だなぁ...)))

 

 ここまで単純だと詐欺に合いそうで不安になる。大金を使うってなったら絶対に相談させよう。

 

 「腕が上がるようになったなら自分で食ってくれ」

 「ん?本当だ!お前、俺のためにわざとあ~んしたのか!」

 「え?あーうん、じゃあそういう事でいいよ」

 

 考えるのを止め適当に返答する。午後からも訓練なのだ。ここで体力を使うわけにはいかない。休憩できる時に休憩しなくては。

 

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