一次試験開始前クラスメイト全員で作戦を立てていた。
「シンプルに漁夫の利でいいと思うんだよね」
「なんでや操助?俺らのクラスには真正面から戦っても強い個性はぎょうさんおるやんか」
「雄英がいなかったら俺もそうしたと思う。でもせっかく雄英っていう囮があるんだからそれを利用しない手はないと思う」
唯一、個性不明というアドバンテージを失っている雄英高校。それゆえに毎回雄英潰しが行われる。つまりは人が一番集まるということだ。俺の個性ならどれだけ人がいようとも完封できる。
「おそらく雄英は市街地エリアに集まると思う。セメントを操る個性の奴がいるからな。そこで俺が毒ガスばら撒いて倒れた奴らをみんなが取るって作戦だ」
「いい作戦だと思うけど、毒島くんに負担が大きすぎない?」
「俺もそう思うぜ!俺達だけ楽するのはどうかと思う」
「その言葉はありがたいけど難易度と重要性は分けて考えるべきだ」
ヒーローになったら様々な事件が起き、様々な選択を迫られるだろう。そんな時に大事なのは無傷で終わらせることだと思う。この作戦は確かに俺の負担がかかる。だが逆に言えば俺しか負担がかからないのだ。
「合宿のおかげであんまり疲れなくなったから安心してくれ。みんなは二次試験もあるし体力は温存するべきだ」
「毒島くんがそう言うなら仕方ないか。その作戦で行こう!」
クラスメイト達が納得してくれたようで安心する。
「なら俺は操助を守ったるわ。この作戦、操助がやられたらアウトやからな」
「ありがとう豊満。あと指原もいいか?遠距離攻撃が欲しい」
「了解!任せといて!」
自信満々に指原は応える。すると刃渡がソワソワしだす。少し気になったが話の続きをする。
「じゃあ毒ガスの中で行動できるようにガスマスク配るぞ」
「ちょっと待って!!俺は!?」
「何が?」
「お前の護衛だよ!なんで俺だけハブられてるの!?」
さっきからソワソワしていたのは護衛に誘われないかと気にしていたらしい。遠距離と近距離の二人がいるし十分だと思うんだが。
「お前、豊満と役割被ってるじゃん」
「いや俺は新技で機動力を得た!近距離戦だけじゃなくて情報伝達とかもできるぜ!」
「...分かったよ。護衛頼むわ」
「よっしゃ!」
刃渡はそう言って小さくガッツポーズをする。まぁ人か増えて損はないだろう。護衛が決まった所で話を戻し作戦を話す。
「話戻すんだけど行動する時は絶対に団体行動してくれ。あと委員長、問題が起きた時か全員通過したら報告してくれ」
「オッケー!すぐ連絡する!」
「じゃあ市街地エリアに着いたら作戦開始で」
「「「了解!!」」」
▽▽▽
そして現在に至り、毒ガスをばら撒いている。今のところ問題は特に起きていない。ブラックホールで吸い込まれるのも想定内だ。
「とりあえずは委員長達の報告まで待機だな」
「せやな!しっかしエグい作戦よな」
「な!ここで高笑い決めたら立派なヴィランだよ!...しとく?」
「バレるからやめろ」
刃渡は「冗談だよ」と言って監視を続ける。まぁヴィランっぽい作戦なのは重々承知している。だが、これが一番負担が少ない作戦なのだから仕方あるまい。するとトントンと屋上の扉がノックされる。そのまま扉が開かれ、そこには委員長の姿があった。
「お疲れ様。私含めてみんな通過したよ」
「了解。結構早かったね」
「毒島くんに負担が大きいからね。みんなで頑張ったんだよ」
それはありがたい。想定より多く余力を残せそうだ。さっさと終わってようとビルから降りようとしたその時、ビュンと風切り音を上げて何かが飛び上がった。飛び上がったそれを凝視してみると、それは人だった。何かを探すように周りを見渡しており、俺達に気付くとピタッと止まりこちらを見続けている。なるほど、探していたのは俺達か。
「指原、撃ち落とせ。銃声は気にしなくていい」
「了解!」
指原はニヤリと笑い個性を発動させ弾丸の雨をその人にくらわせようとする。だが突如として壁が現れ弾丸を防がれてしまった。おそらくこの壁はセメントスもとい石山くんの仕業だろう。悪いがそれの対処はもう考えてある。
「指原あれぐらいの壁なら壊せるよな?」
「うん連射力落ちるけどね」
「じゃあ壊してくれ。彼は触れてないとコンクリを操れない」
俺の言葉に応えるように個性で壁を壊していく。これで彼らは落ちてくる瓦礫に対処しなければならない。今のうちに逃げる事はできるだろうが念のためにダメ押ししとくか。
▽▽▽
「ごめん石山くん!ドジった!」
「気にしないで!俺が頼んだことだから!」
「でも発生源は分かったよ!ビルの屋上に守られてる士傑の人いた!多分その人!」
その瞬間、コンクリートの壁が壊れ瓦礫が降り注ぐ。それを見て黒瀬は瓦礫を吸い込もうとするが石山はあることに気付きそれを止める。
「待って下さい!瓦礫は俺が対処するから!目の前からくるガスを!」
「えっ!?」
言われた方を見ると毒々しい紫色のガスがこちらに迫ってくる。瓦礫を石山に任せ黒瀬はガスを個性で吸い込む。石山はコンクリートで屋根を作り降り注ぐ瓦礫を防いでいく。
「この攻撃、あからさまに亜南ちゃん意識してるよね」
「ええ、急に毒ガスに色を付けたのは煙幕もありますが目的としては黒瀬さんに個性を使わせることでしょう。この瓦礫攻撃との挟み撃ちも俺達を混乱させるためでしょうね」
「だとするともう逃げられちゃったよね」
そう言って彼女はため息をつきながらそう言った。石山も同じ様に逃げられたと思ったその時だった。
「あ、あれ?」
そう言うと彼女は急にふらつき倒れそうになる。急いで支えると独特な匂いが鼻につく。毒ガスのせいだと思い口を塞いで辺りを見渡す。すると辺り一帯にスモークグレネードのようなものが落ちており、そこからガスが出てきていた。
(瓦礫と一緒に落としたのか!?急いで対処しないと!)
これ以上ガスが出ないようにと個性を使ってそれをコンクリで埋めていく。埋め終わると個性を使いながら黒瀬がこちらに駆けてくる。
「大丈夫ですか!?」
「俺は何とか、でも天道さんが...一応意識はあるんですが...」
「ごめん...力入んないや...」
彼女は申し訳なさそうにそう言った。頑張って一人で立とうとするが手足が痺れてしまい立つことが出来ない。その姿を見て石山は申し訳なさそうに話を切り出す。
「逃げるための攻撃だと思って油断しました。本当にすいません」
「私もそうだと思っちゃったから、自業自得だよ...それより気を付けて、まだ近くにいるかも...」
「そうですね。気を付けないと」
彼女の言う通り、この隙を狙って襲ってくるかもしれない。これ以上は好きにさせるかと思い周囲を警戒するのだった。
ちょいとオリキャラ紹介
名前:天道 光 (てんどう ひかり)
個性:ソーラーパワー 太陽光を浴びることで身体能力が上がる。
いつも明るく元気な女の子。雄英ではクラスのムードメーカー的な立ち位置。
少女漫画が大好きで恋バナにうるさい。
最初名前付いてなかったんだけど付いてないと不便だなってなってネームドになった子。
多分仮免試験編終わったら出番なくなる。