転生したが世代が違った...   作:大徳寺 一

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遅くなって本当に申し訳ない


21話 インターン

 

 資格を取って数週間、エンデヴァー事務所でインターンをすることになった。

 

 「今日からお世話になります。士傑高校ヒーロー科二年の毒島操助です」

 「よく来てくれた毒島くん。来て早々悪いがコスチュームに着替えてくれ」

 「はい!」

 

 返事をするとサイドキックの一人が案内してくれる。更衣室に向かいながら少し話をする。

 

 「いやー驚いたよ!エンデヴァーがスカウトするなんて!」

 「そんなに珍しいことなんですか?」

 「基本的にスカウトはしないからね。ていうか君が初めてじゃないかな?」

 

 確かにスカウトなんかしなくてもNo2ヒーローなのだから人材が集まって当然だ。それなら、なんで俺はスカウトされたんだろうか?何か特別な理由でもあるんだろうか?そんな事を考えているうちに更衣室に着いてしまった。

 

 「じゃあ、着替え終わったら教えてね!」

 「分かりました」

 

 まぁ、考えても仕方がない。せっかくNo2ヒーローの下でインターンが出来たんだ。今は自分のスキルアップの事だけを考えよう。

 

▽▽▽

 

 コスチュームに着替えるとトレーニングルームに案内される。そこにはエンデヴァーとサイドキック達が待っていた。

 

 「活動を始める前に今抱えている課題、できるようになりたいことを教えてくれ」

 「はい!自分はもっと個性のコントロールを上手くなりたいです」

 「君は毒を操る個性だったな。どうコントロールしたい?」

 「新技が関係しているんですけど、実際にやってみていいですか?」

 「ああ、見せてくれ」

 

 エンデヴァーに了承されると、俺は個性を発動させ手から毒で紐を作り出す。それは触手のようにうねり、太さは場所によって細かったり太かったりしている。技自体は合宿の時に思いついたのだが、間に合わず試験では使わなかった。

 

 「ヴィランを捕縛するのに練習しているんですが、如何せんコントロールが難しくて動きながらだと崩れてしまうんです」

 「なるほど」

 

 この技は維持が難しい。仮免試験での鎧などは形が定まっているから出して終わりだが、これは液体と個体の中間をずっと維持しているようなものなので気を抜くと崩れてしまう。

  

 「なら、無意識にその技を出来る様にするんだ。動きながらは後回しで良い」

 「分かりました」

 「よし、パトロールに向かうぞ」

 「はい!」

 

▽▽▽

 

 そしてパトロールが始まったが追いかけるので精一杯だ。No2は伊達じゃない。

 

 「疲れたなら少し休憩を挟むか?」

 「大丈夫です。全然ですよ」

 「そうか、見ていたが技を出す前に一瞬固まっている。瞬時に出せる様に溜めておくといい」

 「了解です」

 

 エンデヴァーにアドバイスを貰うと耳につけた通信機が鳴る。鳴ったと同時に俺達は飛び出す。

 

 『当て逃げ事件発生!犯人は西側へ逃走中!』

 

 事件は当て逃げのようで通信機の報告をもとに犯人を追いかけていく。犯人を見つけると個性で捕縛しようとするがコントロールがブレてしまい避けらてしまう。

 

 「そんな攻撃当たら、うわ!?」

 

 だが犯人が俺に気を取られている隙にエンデヴァーが捕らえる。

 

 「すいません。失敗しました」

 「気にするな。さっき指摘したところは出来ている。次はコントロールを出来る様にするんだ」

 「はい!」

 

 元気よく返事をするが、毒島はマスクの下で顔をしかめていた。エンデヴァーは自分を囮にする立ち回りをしていた事に気付いたからだ。良く言えば“失敗しても良いように立ち回った”と言えるが、彼はこう受け取った。

 

 “失敗するだろうから、それを前提で立ち回った”

 

 自分はまだ信用されていないと言う事実に普通の人なら無力感を感じるだろう。だが、彼は違った。むしろ闘争心を湧かせていた。“エンデヴァーより速く捕まえて、俺を認めさせてやる!”と決意を固めパトロールに戻る。

 その後もエンデヴァーより早くヴィランを捕まえようとするが、あと一歩届かない。掴めそうなところで引き離される。毒島はNo2ヒーローの実力をひしひしと感じていた。

 

 「今日はここまでだ」

 「了解です。エンデヴァーさんは?」

 「パトロールしてから戻る。先に休んでいるといい」

 

 そう言い残すとエンデヴァーはパトロールに向かった。今日あれだけ動いて疲れが全然見えない。別にすぐ追いつこうとは思わないが、このインターン中でエンデヴァーより先にヴィラン退治をしてみせる!

 

▽▽▽

 

 事務所内にある宿泊施設に戻り、今日の事をノートにまとめようと机に腰掛ける。するとスマホから通知音が鳴った。それはメッセージアプリの通知で『インターン初日どうやった?』と豊満から送られていた。とりあえず『大変だった』と送るとすぐに既読が付き返事が返ってくる。

 

 『お疲れさん!エンデヴァー厳しそうやもんな』

 『でも教え方は上手だし参考になる』

 『まぁ操助はエンデヴァーと似たとこあるからな』

 『そうか?』

 

 俺とエンデヴァーに共通点なんかあるか?そんな事はないと思うんだが。

 

 『仕事人って感じするやん』

 『確かにエンデヴァーさんはそんな感じだな』

 『あとドSそうやし』

 『おい』

 

 なんて失礼な奴なんだ。事務所にいるから報告してやろうか。

 

 『冗談やって!』

 『危なかったな。エンデヴァーに報告するところだったぞ』

 『セーフ!!』

 

 その後にタコがセーフのポーズをとるスタンプが送られてきた。相変わらず、おちゃらけてると言うか何と言うか、まぁ豊満のこういう所に助かってる部分はあるけどな。言ったら弄ってくるだろうから絶対に言わないけど...

 

 『元気そうで良かったわ!インターン頑張りや!』

 『ありがと』

 

 そうしてアプリを閉じる。時間を確認すると8時になっていた。起床時間は6時だから、1時...いや2時まではいけるかな。そう思うとノートを開く。エンデヴァーを超えるのに時間を無題にできない。削れるところは削っていこう。エンデヴァーを超える為に最適解を見つけ出す。見てろよエンデヴァー!俺は囮役で来たんじゃない!。

 

▽▽▽

 

 朝6時、起床時間。各サイドキック達が準備を整えて次々と部屋から出て来る。しっかりと疲れを取った者や睡眠不足で欠伸をする者と様々だ。これがエンデヴァー事務所のいつもの日常だ。だが、一人の男がそれをぶち壊す。そう、毒島だ。

 ドタドタと音がしたと思ったら扉が勢い良く開かれる。その光景に全サイドキックが思わず釘付けになる。欠伸をしていたサイドキックもすっかり目が覚め、毒島に声を掛ける。

 

 「ぶ、毒島くん大丈夫?...」

 「はい!大丈夫です!」

 「そう?具合が悪かったら言ってね」

 「はい!!!」

 「なんかテンション高くない!?」

 

 あれやこれやと試行錯誤した結果、いつの間にか6時になっていた。つまり、この毒島操助と言う男、インターン初日で徹夜しやがったのである。それ故のテンションの高さ、買ってもらった玩具で早く遊びたがる子供の様に、毒島は培った物を試したくて仕方がなかった。

 

 「朝食を取ったら、トレーニングルームで準備運動してパトロールですよね!」

 「うん、そうだよ。それと軽くミーティングするよ」

 「分かりました!今日もよろしくお願いします!」

 「うん、よろしく」

 

 そうして毒島は歩き去っていく。その場にいたサイドキック達は彼の勢いの凄さに立ち尽くしてしまった。

 

 「若い子って凄いね」

 「いや、あれは毒島くんがアレなだけだと思います」

 

▽▽▽

 

 朝食もミーティングも終わり、エンデヴァーと共にパトロールに向かう。

 

 「今日も同じ様に無意識に出来る様にするんだ」

 「...了解です」

 「ん?どうかしt『事件発生!ひったくり犯がA地点を逃走中!』」

 

 エンデヴァーが話し出す前に通信機から音が鳴った。事件が発生したようだ。エンデヴァーは話すのを止めて現場に向かう。毒島も後を追う様に飛び出していった。

 

 (何か言いたげだったが...このヴィランを捕まえたら聞いてみ...ん?)

 

 ヴィランを追いかけてる途中であることに気付く。毒島の姿が見当たらなかったのだ。

 

 (何処へ行った!?まぁいい!まずは目の前のヴィランを!)

 

 エンデヴァーがヴィランを捕まえようとすると、路地から無数の触手が飛び出してヴィランを捕縛した。その光景を見て少し驚いた。その驚きは触手に対してではなく、触手を出した男に対しての驚きだった。

 

 「エンデヴァーさん勝手に行動してしまってすいません」

 

 路地から出てきたのは毒島だった。色んな驚きが頭の中を駆け回るが、目が行ったのは彼が出てきた路地であった。

 

 (あの路地は通報を聞いた場所からの最短ルート...まさか!一日でこの街の地図を覚えたのか!それにあの個性の精度!昨日と比べ物にならない!一日でここまで化けるとは!)

 

 毒島の成長速度に驚き固まってしまったエンデヴァーを横目に毒島は話し出す。

 

 「エンデヴァーさん、俺はまだ仮免取っただけのペーペーです。でも学生気分でここに来た訳ではありません。俺はヒーローになるためにここに来ました」

 

 エンデヴァーは、その言葉にハッとさせられる。それと同時に自分の行為を恥じた。自分の都合のために彼をインターンに誘った。その罪悪感で彼に優しく接していたが、それはプロを目指す彼に対して失礼な行動だった。そう反省していると彼は一言こう言った。

 

 「だから、舐めないでくださいね」

 

 ガスマスクで表情は見えないはずなのにニヤリと不敵な笑みを浮かべたように感じた。エンデヴァーは少しだけ黙り口を開く。

 

 「分かった。これからは君を一人のサイドキックとして見よう。"ギフト"」

 「はい!よろしくお願いします!」

 




改めて遅れて申し訳ありません
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