転生したが世代が違った...   作:大徳寺 一

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今回も遅くて申し訳ない。
最低でも月に一つは投稿しようと思いますのでよろしくお願いします。


22話 地獄の轟家

 

 あれから一週間ほど時間が立ち、エンデヴァーに少しではあるが追いつけてきた。

 

 「ギフト!!」

 「はい!!」

 

 エンデヴァーが俺の名を叫ぶと同時にヴィランを捕縛する。新技も自由自在に操れるようになってきた。だが、追いつけてきたとは言え、まだエンデヴァーさんに合わせてもらっている所がある。もっと精進しないといけない。そう考えているとサイドキックの一人が話しかけてきた。

 

 「凄いよ!ギフトくん!一週間でこれだけ付いていけるなんて!」

 「まだまだです。エンデヴァーさんに合わせてもらっている所だらけですので」

 「それでも凄いよ。先輩として立場ないなぁ」

 「そんなことないです。俺よりエンデヴァーさんの動きに合わせられますし、個性の使い方も器用で勉強になります。それに昨日のあn「ストップ!ストップ!そんな真正面から言われると恥ずかしいよ!」すいません」

 

 先輩は恥ずかしそうに手を振って俺の言葉を遮っているとエンデヴァーが話しかけてくる。

 

 「毒島くん、少しいいか」

 「大丈夫ですけど」

 

 エンデヴァーさんはパトロール中は基本的にヒーロー名で俺を呼ぶ。本名で呼ぶ時はだいたいプライベートの事だ。何の用だと窺っていると意外な言葉が出てきた。

 

 「良かったら今日うちで晩ご飯を食べないか」

 「...はい?」

 

 突然の誘いに困惑する俺、隣で聞いていた先輩も同じように固まっている。数秒の沈黙、それを先に破ったのはエンデヴァーだった。

 

 「嫌なら、断ってくれて構わない」

 「嫌ではないんですけど、逆に良いんですか?」

 「ああ、気にしなくていい。息子が君に興味を持っていてな」

 

 エンデヴァーさんはそう言ったが俺は何か隠していると感じた。何を隠しているか気になったが別に聞く必要はないと判断してお誘いの返事を答える。

 

 「なら、お言葉に甘えてご馳走になります」

 「分かった。今日の活動が終わったらエントランスで待っていてくれ」

 「了解です」

 「よし、パトロールに戻るぞ」

 

 そう言ってエンデヴァーさんは歩き出す。俺と先輩も一緒に歩き出すが、先輩はさっきの事にすごく驚いた様で落ち着きがない。俺も想像もしていない事だったからとても驚いたが自分以上に驚いている人を見て逆に冷静だ。

 

 「そんなに珍しいことなんですか?」

 「珍しいも何も初めてだよ!どんな手を使ったの毒島くん!」

 

 そんな事言われても困る。ていうか俺が聞きたい。何故こんなにもエンデヴァーさんからの好感度が高いのか?むしろ、仮免試験で顔面を殴ろうとしたし生意気な小僧と思われても仕方がないのだが...

 

 「毒島くんにあって俺達サイドキックに無い物...ハッ!!顔の良さ!!!」

 

 何言ってんだこの人。

 

 「エンデヴァーさんはいつも淡々と仕事をこなしてきた。同じ事を繰り返す日々、エンデヴァーさんは何のために生きているか分からなくなっていった...その時!公安委員会から仮免試験の仕事がやってくる!受ける気はなかったが、何か刺激になるかもしれないと思い参加を決意した。そこで運命の出会いを果たす。そう!毒島操助である!エンデヴァーさんは忘れていた恋心を取り戻した!だが、自分には妻子がいる...この恋は叶うことはない...でも、諦めきれなかった。そこでエンデヴァーさんは彼をインターン生として迎えることに決めたのだった...」

 「怪文書やめてください」

 「でも、これしか考えられない...恋は盲目と言うし...」

 

 そう言って先輩はブツブツと一人の世界に入っていった。まぁ、エンデヴァーさんがそんな理由でさそうわけがない...ないよな?

 

▽▽▽

 

そんなこと考えているうちにパトロールも終わりエントランスでエンデヴァーさんを待っていた。結局、理由は分からず先輩の説が頭の中に残っていた。

 

 

 「いや...ないだろ...」

 「何がだ?」

 「うおっ!?エンデヴァーさん!?」

 

 考え事をしていてエンデヴァーさんに気付かなかった。急いでさっきの事をごまかす。

 

 「いや、こっちの話なのでお気になさらず」

 「そうか?では行こうか」

 「はい」

 

 そうして俺は車でエンデヴァーさんの家へ向かう。移動中に世間話をしたが先輩の話が頭に過って、どうしても頭に入ってこなかった。正直、あの説はありえないとは思っている。だが、それ以外の理由が思いつかない。何故、俺を指名したのか最初は気にも留めなかったが今になって俺を苦しめることになろうとは思わなかった。

 

 「着いたぞ」

 「はっ、はい!」

 

 バッと顔を上げると窓の向こうには立派な日本家屋があった。原作で住んでいたのは知っていたが実際に見ると迫力が違う。俺は車から降りエンデヴァーさんに付いて行くように屋敷の中へ入っていった。

 

 「お帰りなさいませ、旦那様」

 「ああ、冷達は?」

 「部屋でお待ちしております」

 「分かった」

 

 そう言うとエンデヴァーさんは歩き出す。俺はお手伝いさんに会釈をして後を付いて行った。そこから部屋まで無言だった。何か重々しい雰囲気を感じ取って話す気になれなかったのだ。どうしたんだ?と思っているとエンデヴァーは立ち止まる。どうやら部屋に着いたようだ。襖を開けると5人の男女が座っており、そのうちの一人の女性が口を開く。

 

 「お帰りなさい。後ろの子が毒島くん?」

 「ああ、士傑高校から来た毒島くんだ」

 「ご紹介にあずかりました毒島操助です。お招きありがとうございます!」

 「そんな畏まらなくていいのよ。どうぞ座って」

 「はい!失礼します」

 

 俺はそう言って座椅子に座る。すると隣に座る赤と白で髪色が分かれている5歳位の男の子がジッと見てくる。そう轟焦凍くんである。まだ顔に火傷の跡はないのであの事件が起こる前だということが分かる。

 

 「こんばんは。お名前は?」

 「...しょーと」

 

 焦凍くんはぼそりと言うとお母さんの方によってギュッと服の裾を掴む。かわいい。

 

 「もう、ごめんなさいね。この子人見知りで」

 「気にしないでください。俺が一方的にみんなと仲良くなりたいだけなので」

 「そういえば紹介がまだだったわね。エンデヴァーの妻の轟冷です。みんな自己紹介して」

 

 その言葉を受けて反対側に座る子達が自己紹介を始める。

 

 「...燈矢」

 「轟冬美です!」

 「轟夏雄です!」

 

 燈矢くん以外、元気に紹介してくれた。燈矢くんも人見知りなのかな?そう考えていると冷さんが燈矢くんを窘める。

 

 「燈矢、失礼でしょう。ちゃんと挨拶しなさい」

 「気にしてないんで大丈夫ですよ」

 

 冷さんが「ごめんなさいね」と申し訳なさそうに頭を下げる。俺は手を振って気にしていないことをアピールすると同時に燈矢くんをチラリと見る。彼は不機嫌そうな顔をしていて人見知りというより反抗期なのかもしれない。

 

 「話も良いが料理が冷めてしまう。そろそろ頂こう」

 「そうね、いただきましょう」

 

 こうして始まった食事会。会話をしたり、料理に舌鼓を打ったり、何かある訳でもなく普通の食事会だ。まぁ、エンデヴァーさんが俺の話するたびに、燈矢くんが不機嫌そうな顔していたのは気になったが、それ以外は特にないので拍子抜けだ。せっかく来たのだから焦凍くんと交流を深めよう。

 

 「焦凍くんは好きなヒーローいる?」

 「えっ!えっと...」

 

 戸惑いながらエンデヴァーさんの方をチラチラ見ている。確かにプロヒーロー、ましてや親となれば言いにくいのもなおさらだ。であれば俺は耳を焦凍くんに近づける。

 

 「皆に聞かれるの恥ずかしいなら、俺だけに教えて」

 

 焦凍くんはこくりと頷き、耳を手で覆って小さな声で話し出す。

 

 「...オ、オールマイト」

 「おっ!いいね!俺も好きだよ!」

 「ほっ、ほんと!?」

 「ああ、かっこいいもんな」

 「うん!」

 

 焦凍くんが、はしゃいでいる様子を見ていると原作知識も相まって凄く守りたくなる。遊び盛りの年だというのに兄弟とも遊べずに訓練ばかり...なんか、エンデヴァーさんぶん殴りたくなってきたな。こんなにも可愛い焦凍くんになんてことするんだと思い、エンデヴァーさんを見ると焦凍くんの方を見ていた。おそらく、焦凍くんが何を言ったのか気になるのであろう。少し意地悪してやろう。

 

 「エンデヴァーさん」

 「む、なんだ?」

 

 「残念!!!」

 

 「何がだ!?」

 

 驚くエンデヴァーさんを横目に俺は淡々と話す。

 

 「いえ、特に他意はありません」

 「他意しかないだろう!?」

 「たまに叫びたくなる時ありません?それです」

 

 テスト中や図書館、静かにしないといけない場所にいると何故か叫びたくなる時がある。この現象は何なんだろうか。気付かずうちにストレスでも溜まってるのかもしれない。

 埒が明かないと思ったのか、エンデヴァーさんは焦凍くんの方を向く。

 

 「焦凍、誰が好きなんだ」

 「えっ、えっと...その」

 「エンデヴァーさん、大人げないですよ」

 「どの口が言う!!」

 

 仕方がない、少しキレかかっているエンデヴァーさんのために教えてあげるか。

 

 「分かりました。教えてあげますよ」

 「上から目線なのが気になるが、さっさと答えろ」

 

 焦凍くんが不安そうに俺を見てくる。安心してくれ焦凍くん、秘密はちゃんと守る。

 

 「...ポイズンヒーローギフトって言ってました」

 「噓つけ!!初対面だろう!!」

 

 ドンとに手を叩き、前のめりになるエンデヴァーさん。そんなことは気にせずにエンデヴァーさんいじりをやめない。

 

 「戦っている姿に一目惚れしたらしいです」

 「だから!初対面だろう!貴様!」

 「落ち着いてください。お義父さん」

 「誰がお義父さんだ!」

 「パパの方が良かったですか?」

 「そういう意味ではない!!!」

 

 

 「ぷっ...」

 

 

 

 「「ん?」」

 

 ふと誰かが漏らした声、聞こえた方を向くと冬美ちゃんが口を塞ぎプルプルと震えていた。

 

 「ご、ごめんなさい、ふふっ、ぷっ」

 「ぷっ、ねーちゃん笑いすぎ」

 「ふふっ、だって~」

 

 姉につられて夏雄くんも笑いだす。二人ともさっきまで緊張しているようだったから、肩の力が抜けて良かった。でも、流石に怒ったよなエンデヴァーさん...恐る恐る顔色を窺うと意外と怒っていなかった。その逆で悲しいような寂しいようなそんな顔をしていた。

 

 「まぁいい、これ以上は食事が不味くなる」

 「すみません。おふざけが過ぎました」

 「気にするな」

 

 

 

 

 

 

 「...パパ」

 「「ぶっっ!!!」」

 「おい」

 

 てへっ☆

 

▽▽▽

 

 食事会も終わり、今は子供たちとおしゃべりしている。燈矢くんとも仲良くなりたかったが食べ終わるとそそくさと何処かに行ってしまった。無理強いは良くないからな仕方がない。

 

 「冬美ちゃんは先生になりたいんだ」

 「うん!」

 「いい夢だね。夏雄くんは?」

 「ん~俺は...特にないです」

 「じゃあ、可能性の塊だね」

 

 話題は将来の夢。前世では夏雄くんみたい感じで将来の夢なんか考えなかったな。いや、夢はあるにはあった。幼稚園のころは戦隊ヒーローに憧れ、友達とごっこ遊びをしたものだ。そう考えると夢が現実になりつつあるのだろうか。

 

 「焦凍くんは将来の夢ある?」

 「うん、ヒーローになりたい」

 「俺とお揃いだ」

 

 今まで兄弟や友人と遊ぶ機会がなかったのだろう。焦凍くんは初めて会った時と打って変わって心を開いて話してくれた。その後は学校では何が流行っているのか、好きな食べ物は何かなど色んな事を話した。一時間は経っただろうか、後ろから襖を開く音がした。振り返るとエンデヴァーさんが立っていた。

 

 「あれもう戻る時間ですか?」

 「それなんだが、急に雨が降ってきてな。今日は泊まるといい」

 

 そう言われて、窓を見ると豪雨と言っても過言ではない程に雨が降っており、夜にこの雨で帰るのは危険だろう。

 

 「全然、気づきませんでした。でも、いいんですか?」

 「構わん。客室を案内するから来てくれ」

 「分かりました。ちょっと行ってくるね」

 「うん」「いってらっしゃーい」

 

 三人に見送られ、エンデヴァーさんに付いて行く。

 

 「すまないな。子供たちの面倒を見てもらって」

 「気にしないでください。子供好きですから」

 「ああ」

 

 会話が終わり、ザーザーと雨の音だけ響く。気まずさを感じているとエンデヴァーさんが口を開く。

 

 「もう一つ謝りたいことがある」

 「もう一つ?」

 「君に隠し事をしていた。君をインターンに誘ったのは燈矢の為だ」

 「燈矢くんですか?」

 

 なんで彼の名が出てくるのか不思議に思った。インターンに誘って燈矢くんがどうなるんだ?

 

 「燈矢はヒーローを目指していた。俺と同じ炎の個性で火力だけなら俺を上回っていた。だが冷の体質を引き継いでしまった」

 「...自分の炎で火傷してしまうって事ですね」

 「そうだ。だが燈矢は諦めなかった。俺の目を盗んで訓練を続けている」

 「目的は分かりました。これ以上は燈矢くんが危険だからやめさせたいと」

 「ああ」

 「それで俺をインターンに誘った事とどう繋がるんですか?」

 

 目的は分かったが手段が分からない。俺を誘わなくても止める方法はいくらでもあるだろう。

 

 「自分より才能がある人間を見れば諦める、そう思ったんだ」

 「はい?」

 「歳が近く、才があり、努力をしている者の姿を見れば諦めると思った」

 

 お前が言うのかと思ったが、グッと堪える。

 

 「回りくどいですね。他にも方法はあるでしょうに」

 「そうだな。だが他の方法が分からなかった」

 「それに...いや、何でもありません」

 

 出てきた言葉を飲み込んだ。言っても仕方がないと思ったからだ。エンデヴァーさんが一番分かっている筈だ。こんな事じゃ止まらない、焚きつけるだけだという事を。

 

 「この部屋だ。好きに使っていい」

 「分かりました」

 「それと不純な動機で誘ってすまなかった」

 「いいですよ。それのおかげでトップヒーローの下でインターン出来てるんですから」

 「そう言ってくれると助かる。ゆっくり休んでくれ」

 

 そう言うとエンデヴァーさんは戻っていった。俺も三人の所に戻ろうとすると、後ろから「毒島くん」と名前を呼ばれた。振り向けば冷さんが立っていて不安そうな顔をしていた。

 

 「どうしたんですか」

 「ごめんなさい、燈矢を見なかったかしら?」

 「見てないですが」

 「そう...もしかして...」

 

 冷さんは考え込むように黙り込んだ。行き先に心当たりがあるのだろうか?

 

 「冷さん、良ければ自分が燈矢くん探してきましょうか?」

 「えっ!そんな事できないわ、毒島くんはお客様な訳だし」

 「気にしないでください。この雨だと燈矢くんが危険です。行き先に心当たりあるんですよね?」

 「...瀬古杜岳だと思うわ、あの子はいつもそこで特訓していたから」

 「分かりました。行って来ますね」

 「気を付けてね」

 

 冷さんに見送られ、俺は瀬古杜岳に向かった。

 

▽▽▽

 

 今日、お父さんの事務所のインターン生が家に来た。雄英と並ぶ士傑高校の生徒らしい。しかも首席合格で仮免試験も一位の成績だったそうだ。人柄も良く模範的なヒーローのような男だ。

 

 「クソっ!」

 

 悪態をつきながら的に炎を放つ。必死に藻掻くように限界まで火力をあげる。だが、腕に痛みを感じて個性を解除する。腕には軽傷ではあるが火傷の跡があった。

 

 「こんな体質じゃなきゃ...」

 

 彼の気持ちに同期する様にポツポツと雨が降る。雨は勢いを増していき、周りの音をかき消すほどの豪雨になった。そんな中、彼は魂が抜けたように立ち尽くす。自分は父に期待されていない。期待しているのは弟とあの男だけで、自分はモブにしか思われてないだろう。

 

 「死んだら、少しでも意識してくれるかな...」

 

 ボソリと呟いたが、返ってくるのは雨音のみ。もう楽になってしまおうと思った、その時だった。

 

 「燈矢くん!」

 

 名前を呼ばれた方を見ると、傘を差しながら走ってくる男がいた。目の前に来るやいなや、俺に傘を差出し「大丈夫?」と声をかけてくる。その瞬間、胸の奥底から黒い感情が溢れ出す。

 

 「お前さえいなければあああああ!!!」

 

 叫ぶと同時に青い炎(・・・)が放たれた。感情をぐちゃぐちゃにしながら気持ちと炎をぶつけ続ける。

 

 「お前さえ!お前さえ!いなきゃ!俺は!父さんに認められたんだ!」

 

 炎に蝕まれ火傷が酷くなる。痛みも酷かったが、それ以上にこの感情をどうしなければ頭がおかしくなりそうで仕方がなかった。

 

 「クソっ!お前も!焦凍も!死んじm」

 

 その言葉を遮られる様に燈矢は毒島に抱き着かれた。逃れようと藻搔くがビクともしない。

 

 「辛かったんだね」

 「お前に何が分かるんだよ!」

 「何も知らないけど、辛かったのは分かるよ」

 「辛くなんかない!おr「じゃあ、何で泣いてるんだ」...は?」

 

 そう言われ、頬に伝う涙に気付いた。気付いた途端に何故か力が入らなくなり、炎も弱まって行く。

 

 「父さんが言い出したんだ。オールマイトを超えられるって」

 

 「うん」

 

 「なのに、急に訓練してくれなくなって...」

 

 「うん」

 

 「俺はっ、認めっ、て、欲し...っい、だけなのに゛」

 

 「うん、辛かったね。ここには俺しかいないから、好きなだけ泣きな」

 

 「う゛...っ、うぅ...」 

 

▽▽▽

 

 燈矢くんは俺の胸の中で泣き続けていた。いや、エンデヴァーさん、クソすぎんか?仮免の時、終了のブザー無視して殴れば良かったわ。燈矢くんと焦凍くんのを合わせて二十発は殴りたい。

 

 「ごめんなさい...」

 「ん?何が?」

 「個性使った事...」

 「ああ!いいよ!気にしないで!」

 

 急に炎を放たれたのは驚いたが、元をたどればエンデヴァーさんのせいだしな。ていうか、あの青い炎何か既視感があるんだよなぁ...何だっけ?

 

 「でも...」

 「俺が気にしてないんだから良いんだよ。うじうじしてたらヒーローになれないぞ」

 「...無理だよ」

 「なんで?」

 

 聞くと燈矢くんは腕を見せてくる。そこには酷い火傷の痕があった。

 

 「個性使うとこうなるんだ。だから父さんに止められてた」

 「で?」

 「だから個性使うとこうなるんだって!」

 

 燈矢くんはこれでもかというほどに火傷を見せてくる。

 

 「火力を調節すれば、火傷しないんじゃないの?」

 「いや、そうかもしれないけど...火力の上げ方しか教えてもらえなかったし...」

 「じゃあ、調節は俺が教えるよ。土日は暇?」

 

 燈矢くんはポカンとした顔でこちらを見てくる。少しの沈黙の後、燈矢くんは口を開く。

 

 「暇だけど...本気なの?」

 「本気だよ。ヒーローになりたいだろ?」

 「...うん!俺、ヒーローになりたい!オールマイトも父さんも超えるヒーローに!」

 

 その言葉に燈矢くんは強く頷いた。そして、雨はいつの間にか止んでいた。

 

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