オリキャラ増えます。
とある行動力のある馬鹿のせいで生徒会長を目指す事になった。なので俺は放課後に刃渡とビラ配りをしていた。
「毒島操助に清き一票をお願いします!」
「お願いしまーす!」
ビラ配りは順調でもう少しでなくなりそうだ。にしても良くできたビラだ。本職の人が作ったと思わせるような完成度だ。
「これお前が作ったのか?」
「そうだけど、なんか変な所あったか?」
「いや、外注でもしたのかと思って」
「学校のイベントで、そこまでしねーよ」
刃渡は笑いながらそう返す。こいつトラブル起こす割にはスペック高いんだよな。中間テストもクラスで4位だったし、不幸体質さえなければなぁ...
「はぁ~」
「そのため息は何だね?毒島くん?」
「別に何とも」
「噓つけ!失礼な事考えてただろ!」
そう言って掴みかかってくるがひらりと躱す。俺を捕まえるなど百年早いわ。
「余裕そうっスね。毒島先輩」
呼ばれた方を向けば、狼の様な耳と尻尾が生えたケモ耳少女が仁王立ちしていた。
「貴様は!」
「初対面の人に貴様とか言うな」
「昔は敬語だったからセーフ」
「現代はアウトなんだよ」
刃渡を窘めつつ彼女の方を見る。『先輩』と呼んでいたので恐らく一年生だろう。だが、こんな子知らないし何の用だろう?
「えっと...ヒーロー科二年の毒島操助です。失礼だけどお名前聞いてもいいかな?」
「自分はヒーロー科1年の
大神?聞いたことがあるような気がする。何で知ったんだっけ?
「大神ちゃんは同じ生徒会立候補者だよ。今朝、新聞見せただろ?」
「ああ、そうだった!」
完全に思い出した。俺の次に支持率が高かった子だ。確か支持率は32%だったはずだ。
「他の立候補者は眼中にないってことっスか」
「いやいや、自分の事で手一杯なだけさ」
「そんなに忙しいなら降りればいいんじゃないっスか」
「手厳しいな」
めっちゃ対抗意識あるなこの子。そんなに俺の事が嫌いなのか?そんな事を考えていると、こちらに向かって走ってくる女子生徒の姿が見える。
「ウルルちゃん!急に走ってどうしたの?...毒島先輩!?」
「こんにちは毒島です」
「えっと!初めまして!一年経営科の金森です!」
堂々としている大神さんとは対照的におどおどしている金森さん。さっきの発言から察するに大神さんの友人なのだろう。大神さん程、俺を嫌っている様子はない。
「ウルルちゃん!?先輩達に失礼な事してない!?」
「し、してないよ」
「ちゃんと目を見て話して!」
「ご、ごめんって」
金森さんに詰め寄られてタジタジになる大神さん。別に気にしてないんだけどなぁ。すると金森さんは深々と頭を下げる。
「本当に失礼な事をしてしまって申し訳ありません!」
「いやいや気にしないでいいよ」
「ほら!ウルルちゃんも謝って!」
「す、すみません」
大神さんは耳をぺたりと倒して謝る。猫派だが不覚にも可愛いと思ってしまった。
「気にしないでいいよ。お互いライバルみたいな感じだしね」
「俺は激おこだぞ!落とし前つけてもらおうか!」
「後輩いじめんな」
刃渡が変な事を口走るので肘で小突くがゴンっと鈍い音が鳴る。こいつめ、小突く瞬間に硬化しやがった。そう思い刃渡を見ればニヤニヤしながら俺を見てくる。小突くって分かっててやったな。
「大丈夫?毒島くん?どこか痛い?」
「何でもないよ刃渡くん。次の戦闘訓練が楽しみだ」
「おー怖い怖い」
可愛くないやつだ。次の訓練は容赦なくやらせてもらおう。そんな風にじゃれてると大神さんが口を開く。
「改めて失礼な事言ってすみませんっス」
「気にしてないから大丈夫だよ」
「自分は毒島先輩の事、誤解してたみたいっス」
「誤解?」
「自分は刃渡先輩が一人で選挙活動してたのを見てたっス」
「えっ///大神ちゃん俺の事を///」
「いえ!そういう感情は全くないっス!」
「そんなに強く否定せんでも...」
秒で振られてしょんぼりする刃渡。そんな事は気にせずに大神さんは話し続ける。
「それで他の人に任せっきりの酷い人だと思ってたっス」
「ああ、そうなんだ」
「気になって先輩の事を調べたっス。生徒や先生の手伝いをしていたり、No.2の元でインターンをしていたりヒーローの資質はある。でもファンクラブなんか作ったりして、選挙活動を任せっきりで裏がある人なのかもと思ったっス」
後半は周りの人が勝手にやっただけなんだよなぁ。ファンクラブなんか今日知ったし。
「なので!直接会って確かめようと思ったっス!」
「なるほどね」
「見た感じ、刃渡先輩に無理矢理やらせてる訳じゃなさそうっスし」
「おうよ!俺が進んでやってるだけだぜ!」
「進み過ぎだけどな」
こいつは『報連相』という言葉を調べた方がいいと思う。
「でも疑問があるっス」
「疑問?」
「先輩と話してみて、自分でファンクラブを作るようなナルシスト野郎だと思えなかったっス。なんでファンクラブなんか作ったっスか?」
「いや~勝手に作られたんだよね」
「「そうなんっスか!?」ですか!?」
大神さんと金森さんが驚きながら詰め寄ってくる。大神さんはともかく金森さんがこんなに反応を示すなんて驚きだ。何か理由でもあるのだろうか。
「実は存在自体は今日知ったんだよね」
「認知してなかったんっスか!?」
「認知されたくないファンが多いみたいでね。俺的には直接言っても全然いいんだけど」
「本当ですか!!!」
「う、うん、やっぱり言ってもらえるとモチベーション上がるしね...」
やっぱりファンクラブの話をしてから金森さんの様子がおかしい。まるで何かに興奮している様な感じだ。この前に刃渡が推しキャラを語っていた時に似てる...ん?まさか!
そう思ったのも束の間、金森さんはカバンから雑誌とサインペンを取り出して俺に差し出す。
「毒島先輩!前から先輩のファンでした!サインください!」
「「ええ!?」」
金森さんの発言に、刃渡と大神さんが口を大きく開け驚いている。もちろん俺も驚いている。こういう事を面と向かって言われた事がないので新鮮な気持ちだ。そして俺は差し出された物を手に取る。
「随分と懐かしい物を持ってるね」
「なんで色紙じゃなくて雑誌?」
その疑問の答え合わせの為にページをめくる。そこには俺が女性と手をつないでデートしている姿が載っていた。
「え?週刊誌?」
「ファッション誌だよ」
一年の職場体験でマーキュリーさんの所でせっかくだからと一緒に撮影した物だ。
「なんで言ってくれないの!」
「言ったら、お前らいじるだろ」
「...いじんないよ」
「今の間は何だ」
いじる気満々じゃねえか。しかし、こんな物を持ってるなんて中々の古参ファンだな。
「このページにサインすれば良いのかな?」
「は、はい!」
俺は彼女に確認するとサインを書く。サインと言っても筆記体で『gift』と書いただけなのだが。
「これでいいかな?」
「ありがとうございます!」
「まさか、ファンだったとは驚いたよ」
「め、迷惑ですか?」
「いやいや嬉しいよ。応援ありがとうね」
「君たち仲良く話してるところ悪いけど、その子どうにかして」
刃渡が指差す方には、大神さんが大きな口を開けて固まっていた。
「唐突なNTRで脳が破壊された様だな」
「寝取ってないが?」
「ウルルちゃん!?大丈夫!?」
金森さんが激しく揺さぶって正気に戻る。すると大神さんはギロリとこちらを睨み付け走り去っていく。
「クッソおおおお!覚えてろッスうううう!!」
「あっ!ウルルちゃん待って!毒島先輩!ファンであることは変わりませんが選挙では別ですので!」
「うん、お互い頑張ろうね」
「はい!失礼します!」
そう言うと彼女は大神さんを追いかけていった。なんか凄い子たちだったなぁ。
「あんなテンプレ捨て台詞言う人いるんだな」
「くだらない事、考えてないで続けんぞ」
選挙は明後日。当選出来るといいが...
▽▽▽
選挙当日、及び選挙結果...
学校の掲示板前にでかでかと俺の名が載っていた。それを見つめていると刃渡が肩を組んでくる。
「やったな毒島!」
「ああ、皆のお陰だ。ただ...」
「ただ?」
「お前含めクラスの皆が笑うのを我慢してたのはムカついた」
「めっちゃ猫被ってたじゃんお前」
解せぬ。そんな事を考えていると、「毒島先輩」と後ろから声を掛けられる。振り向くと大神さんと金森さんが立っていた。
「毒島先輩、当選おめでとうございます」
「ありがとう大神さん」
「今回は自分の完全敗北ッス」
完全敗北と言っているが、大神さんは俺に次いでの投票数だった。刃渡が俺を推薦していなければ、彼女が生徒会長だっただろう。
「次の生徒会選挙では負けないっス!」
「俺ら三年になるから無理だぞ」
「確かにっス!?」
刃渡の言う通り、生徒会の任期は1年間なので卒業してしまう三年生には出来ないのだ。それに気付き大神さんは「うぬぬ」と唸る。俺に勝ち逃げされるのが余程嫌なようだ。
「そんなに勝負したいなら、暇な時なら付き合うよ」
「本当っスか!」
「その代わりに条件がある」
「条件っスか?」
「生徒会書記になってくれない?」
士傑の生徒会は、生徒会長以外の役職は生徒会長による指名制なのだ。大神さんが生徒会に入りたいならと思い誘ってみたのだが...
「そんな事で良ければ!よろしくお願いします!」
「うん、よろしく。良かったら金森さんも会計やってくれないかな?」
「いいんですか!?」
「もちろん、金森さんが良かったらだけど...」
「ぜ、是非!やらせてください!」
書記と会計は決まった。後は副会長だけだ。まぁもう決めているんだけどな。
「じゃあ刃渡、副会長よろしくな」
「ゑ?」
「俺インターンあるし、いないことが多いだろうけど頑張ろうな」
「お前...まさか...こんなに頑張ってたのって...」
「
「イヤ...ナンデモナイデス...ガンバリマス...」
いや~承諾してもらって良かった良かった。テスト終わったら、インターンあるし、燈矢くんの特訓にも付き合わなきゃいけないし頑張らないとな。
後日、燈矢くんが瀬古杜岳に来ることはなかった...