【書籍化】TS剣闘士は異世界で何を見るか。   作:サイリウム(夕宙リウム)

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86:もう一度調べてみよう

 

 

「ん~、美味しいですねこれ! 体に活力が戻って来る感じ!」

 

「あー、それ楽しむのは良いけど話聞いてね?」

 

 

多分シジミ汁みたいなものなのだろう。私もアルもマリーナもそこまで必要じゃなかったから何口か味見するだけで終わったんだけど、色々吐いて体内に水分が不足していたテクラにとっては非常に効いたらしい。鍋にそのまま顔を突っ込みそうな勢いというか、もう突っ込んで飲んでいる。……ほんとにこの子次期聖女なのか? まぁあのお婆ちゃんのことを思えばあんまり変じゃないのかもだけど。

 

さて部屋に入ってからだが、既にいくつかのルーンを刻んでいる。

 

私たちの話が外に漏れないようにするのと、光源の足りない部屋に明かりを灯すもの。一応換気の為に追加で風のルーンも刻んではいるが、まぁこんなもんで大丈夫だろう。そもそもこの一等客室の壁厚めだし、外から聞かれることはおそらくない。

 

そんな盗聴の危険性は排除した。これから二人、いや正確に言うなればマリーナが一番気にしているだろう『神』の話をしなくてはならない。

 

 

「でも……、私より本職の話聞いた方が納得しやすいよね。テクラ?」

 

「説教ですか? 一応堅めなのと、緩めなのと。それとぶっちゃけたのがありますけどどれにしましょ?」

 

「最後の。」

 

「そっちですね。本当は聖職者向けというか、聖女様にお教えいただいたガチの奴なので一般どころか普通の聖職者にすら話してはいけないのでしょうが……。まぁ皆さん女神様のお声を聴いておりますし、そう問題にはならないでしょう。最悪私が首切られるだけですから。」

 

 

……それって駄目じゃないの?

 

 

「マジで駄目だったら今この場で私に天罰が落ちるので大丈夫です。というわけでマリーナさん? これまで聞き及んでいたであろう話と多少食い違うことがあるでしょうが、まずは気にせず聞いてくださいね?」

 

「は、はい……。」

 

 

スープのおかげで復活した血色の良い彼女がそう言う。まだ天罰が落ちてないあたり大丈夫なのだろうが、だったらもう少し優しい言い方してくれても……。あ、内容が内容だからヤバい話ってのは最初に伝えておいた方がいいのね。確かに。

 

 

(にしても、こんな感じで爆発しちゃうとはなぁ……。)

 

 

神のこともそうだが、無関係の人を傷付けてしまったのが余程堪えたのだろう。酷く意気消沈してしまったアルから何とか聞き出したのだが、どうやらマリーナは結構危ない状況まで行っていたようだ。

 

私からすると少し感覚が違うせいで解りにくいが、この世界の人にとって女神という存在は本当に大きなもの。実在が確認できて、一柱しかいない神。皆がそれを信仰していて、その恩恵を受けている。それに対して悪口を言っているのを神本人に聞かれて話しかけられたとなれば……、まぁヤバいことになるのは想像できなくもない。自分から人柱に成りに行こうとする視線は正直やめてほしいんだけどね?

 

とまぁそんなことを考えていれば色々ぶっちゃけたお話が終わったようだ。軽く聞き流していたが、私が聖女様とかから聞いたものと大体が同じだった。

 

 

「とまぁそんなわけで我らが神はかなり愉快な方です。私達聖職者は別ですが、一般の方が陰口をしようが御本人に聞かれようがお怒りになることはありません。『人は愚か、そこが可愛い。』っておっしゃったこともあるようですし、ね?」

 

「そ、そうだったの……。いえ、ですが。」

 

「女神様ご自身が気にしないと仰ったそうですし、本当に気にしなくていいのですよ? ホンキで不味かったら既にマリーナさんやアルさんに天罰が下っていたでしょうし、災いが起きていてもおかしくありません。それが無かったのですから、大丈夫です! 多分!」

 

 

ちょっとテクラ、最後。

 

 

「い、いや私も神の御声を聞いたのは2度だけですし、聖女様の様にその御心を理解できるほどの人間ではないので何とも……。ただ過去の記録から見て大丈夫だろうというのは、言えると思います。不甲斐ない答えで申し訳ありません、マリーナさん。」

 

「い、いいえ。わざわざありがとうございます。少しですが、落ち着くことが出来ました。」

 

「ん~、アレだったら本人にもう一度聞いてみる? 多分こっちから話しかけたら返事くれるよ?」

 

「「「やめてください」」」

 

 

あら全員に断られちゃった。

 

 

「ま! 何も起きてないのが大丈夫な印だし、気にせず旅を楽しむとしましょう? ほらせっかく船室に着いたわけだし、おやつまで貰っちゃった。これで軽ーくお茶でもしてお腹を満たしたら、みんなでお昼寝でもしましょ? ね、マリーナ。」

 

 

肉体的疲労はもちろんだけど、精神的なダメージにも睡眠って最適なのよね! さ! マリーナだけじゃなくアルも、テクラも一緒に今日ぐらいはゆっくりしましょ。目的地にたどり着くまでに一月かかるんだ、船の中でも鍛錬とか色々するつもりではあるけど、今日ぐらいゆーっくりしても罰は当たらないでしょう?

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

そんなことがあってから数日後。

 

ジナさんが持って来てくれた酔い止めを口にしながら、少し思案し船室でくつろぐ皆さんに話題を提供します。

 

 

「そういえばなのですが、皆さんもう『確認』は為されているのですか?」

 

「確認?」

 

「えぇ、才能の確認です。ほらマリーナさんはしてないですか、あの丸を見る奴。」

 

 

おそらく貴族である彼女は幼少期にしているであろう、才能の鑑定。

 

聖職者が修練を積むことで神からお許しいただける神聖魔法の一つであり、人々が自身に宿る才能やそれまでの努力を視覚的に確認することができるものになります。貴族の方は大体してらっしゃいますものですし、もしかするとジナさんもアルさんも既に経験済みかもしれませんが、何度やっても困るものではありません。

 

 

「あぁ、アレね? マリーナもやったことあるみたいだから……、みんなやってるみたいだよ?」

 

「ならこの機会にもう一度確認してみるのはいかがでしょう。ほら、修行に行くのでしょう? 今見ておいて、帰る時にもう一度見てみる。才能はそう短期で育つものではありませんが、目標や指標にはなるかと。」

 

 

煙草の代わりとしてジナさんから口に放り込まれた飴を舐めながら、そう提案いたします。……あ、美味しい。

 

私やジナさんのような大人にとって一月という時間は、そこまで長い時間ではありません。年を重ねるごとに時間の経過はゆっくりと早くなっていくもの。つまりまだ子供であるアルさんやマリーナさんからすれば、この船旅はかなり辛いものでしょう。

 

なにせ船の中は、閉じた空間です。この一月の間に幾つかの港に寄港して物資などを補給、その間に現地の観光など出来ますが、それも半日程度。ずっとこの船の中にいなければなりません。甲板の上で剣の鍛錬をしてみたり、船室で素振りをしてみたり、カードやボードゲームで遊んでみたり。そういった様子を何日か眺めていましたが、このような繰り返しは子供にとって辛いものに違いありません。

 

実際、ジナさんに言われアルさんが持って来たらしいテーブルゲームは粗方遊びつくしてしまいましたし、皆さん若干手持ち無沙汰な感じがしておりました。その暇を埋めるためのちょっとした話題提供です。

 

 

「いいの? アレなんか寄進とか必要じゃなかったっけ。」

 

「えぇ、確かに教会を通しての場合はそうですね。ですが今回は教会は関係ありませんし、私個人が皆様へのお礼とお詫びの一環。教義的にも問題ありませんので、お気になさらず。」

 

「「「お礼とお詫び?」」」

 

「……お、お酒とか煙草周りで。」

 

「「「あぁ……。」」」

 

 

途端に納得される皆さん。わ、悪いとは思っているんですよ? ただ止められないだけで……。

 

私としても、船の旅と言うのは生まれて初めてなので、全く勝手が解りません。なにせ聖女見習いになる前に行った巡礼や、なった後に行われた視察など。これまで遠方に向かって移動することはありましたが、基本徒歩がメインでしたから。

 

しかも今回は聖女様直々の命であり、聖女見習いになってから初めてかと思うほど久しぶりな個人での行動。つまり私を見張る人は誰もいないのです。そりゃまぁタガが外れるといいますか、ブレーキが外れるといいますか、楽しくなっちゃうと言いますか……。

 

 

「食堂で酔いつぶれてたの運んだりとか。」

 

「船室で煙草吸おうとしたのを急いで止めたりとか。」

 

「酔って暑くなったのか衆目の前で脱ごうとしたりとか。」

 

「ほ、ほんとすいません……。え、私脱ぎかけたんですか!?」

 

 

そんな言葉を交わしながら、鑑定前のちょっとした準備を進めていきます。

 

神に対して今回確認した方々の才能に関する情報を露見しないよう努めることを誓い、祈りを捧げます。ちょっと本性を知ってしまった女神ではあるのですが、それごときで信仰を失うような者は聖職者を続けてはいません。それに、一番欲しい時にお言葉を聞かせてくださったのも神。その恩を果たし切るまでは、私はこのお役目を全うし続けるでしょう。

 

……若干聖女ユア様が『私みたいに神にハンマー叩き落せるぐらいになるのよ~』みたいな目線で見て来たといいますか、夢枕に出てきて要求してきたような気がしますが、とりあえず幻聴か幻覚、もしくは悪い夢と言うことにしておきます。普通に恐れ多くて考えることすらできません。

 

 

「テクラ、一応防諜関係のルーン刻んで置いたよ。」

 

「ありがとうございます。では……、誰から行きましょうか。」

 

 

ちゃん付けではなく、名前呼びしてくださるようになったジナさんに礼を言いながら、アルさんとマリーナさんへ視線を向けます。一瞬互いを見合うお二人でしたが、どうやら内々の取り決めがあったようで、幾つか視線を交わした後にマリーナさんが一歩前に。彼女からその才を見させて頂くことになりました。

 

 

「では、私からお願いしますわ。」

 

「えぇ、もちろん。」

 

 

ジナさんにメモ帳を手渡し、差し出してくれたマリーナさんの右手を握ります。

 

自身の身体に宿る魔力を起点にし、神の起こす御業を想起。そこから『鑑定』の奇跡を現実へと引きずり落していきます。本来は聖句を唱えることで神にお伺いを立てる必要があるのですが、どうやら既にこちらをご覧になっていたようで、私が口を開く前に『手続き』が終了し、彼女の手の甲から大きな円が浮かび上がり、宙へと広がっていきます。

 

同年代と比べれば、格段に大きなもの。ほんの少しだけ漏れてしまった驚きの声を隠すように、マリーナさんへとそれを読み上げます。

 

 

「『魔法』『礼法』『剣術』『統治』……、大きく識別できるのはこちらになりますね。」

 

「ふ、増えてますわね。」

 

「えぇ、おめでとうございます。ちなみに詳細ですが、魔法、特に風が大きく、次いで雷。こちらは才として生まれ持ったものになるでしょう。それ以外は努力によって積み上げられたものですね。」

 

「感謝を。……っし!」

 

 

小さく声を漏らしながら、手を握り締めるマリーナさん。

 

うんうん、良いですよね。人の才能は通常、目に見えるものではありません。そのためもし才能を持っていたとしても、不運が重なり結果が出ず、自身に才能はないと思い悩む方がいらっしゃいます。神も我々も才能など気にせずご自身の好きな道を突き進んで欲しいという気持ちではありますが、本来見えないものを見て参考にする方や、救われる方はいらっしゃるのです。

 

故にこう、努力が実った瞬間と言いますか、それを見ることのできるこの瞬間はとても嬉しいものがあります。マリーナさんの場合『魔法』以外の才を努力で見える大きさまで鍛え上げた方でしょうし、その喜びはひとしおでしょう。

 

それにしても……、良い顔をされています。本人は隠しているつもりの様ですが、口元が緩んでいますし、声も漏れちゃってます。おそらく後ろで円の大きさをメモしてくださっていたジナさんも、とても微笑ましいものを見る目をしていたでしょう。アルさんからはマリーナさんの顔は見えませんが、何が起きているのかは理解したようで少々意地悪そうな顔してますね。

 

……弄っちゃだめですよ?

 

 

「アル?」

 

「はーい師匠、わかってまーす! じゃぁテクラさん!」

 

「えぇ、次はアルさんを見ていきましょうね。」

 

 

おそらく私と同じ考えに至ったジナさんが注意し、マリーナさんと代わり前に出てくる彼女。その右手を差し出してもらい、先ほどと同様に才能の円を表示させていきます。

 

やはりまだ神が御覧になっているようで、聖句無しで起動できてしまいます。……もしかして女神様、ずっと私達のこと見てらっしゃるんでしょうか? その御心はありがたいのですが世界にはまだまだ多く救いを求める方がいらっしゃります。可能でしたらそちらの方に目を向けて頂きたいとは思うのですが……。やはり人の身には理解できぬ深いお考えがあるのでしょう。ただ感謝を胸に、聖職者としての務めを果たしていきます。

 

 

「『眼力』『魔法』『剣術』……、ですね。魔法は火と水、どちらも同じ程度の大きさで元々あった才能を伸ばした跡が見えます。剣術も鍛錬した跡が見えますので、とても素晴らしいかと。」

 

「あー、やっぱりそうですか。」

 

「うん? 前レトゥス司教に見せてもらった時より大きくなってるじゃない。」

 

 

少し残念そうな顔をしながらも、納得の声を出すアルさん。それに疑問を呈するジナさんでしたが、どうやらマリーナさんと比べると一つ才能の数が少ないことに悔しさを感じていらっしゃるようですね。ただ納得したということは、これ今表示された才以外を伸ばすことはしていなかった、という感じでしょうか?

 

 

「まぁ、はい。師匠の元で剣とか魔法の練習はしてましたけど、それ以外は特に何かしていたわけでもなかったので……。でも師匠のいう通り、大きくなってます。やっぱりこう、ちゃんと見れるのは嬉しいですね。」

 

 

少し恥ずかしがりながら、頬をかくアルさん。

 

まぁ才能というものが可視化されたことで要らぬ諍いが起きることは多々あります。その数や大きさを競ったりして、という感じですね。ですがどれだけ才能を神から頂いたとしても、使わなければ意味がありません。大きさや数で競うのではなく、どう付き合い活かしていくか。それを念頭に考えてくださいね。

 

 

「はい!」

 

「えぇ、もちろんですわ。……なんだかすごく聖職者の方って感じですね。」

 

「確かに!」

 

「……い、一応聖女見習いなんですよ? さ、さて! 次はジナさんの番です。」

 

「え、私?」

 

 

少し遠慮されていましたが、折角の機会ですからということで、先ほどまで彼女が持っていたメモ帳をアルさんとマリーナさんに手渡し、自身の前に座らせ右手を握ります。

 

するともうこちらで魔力を込めずとも、起動される『奇跡』。なんかもう神が【承認するの面倒になったからこっちで起動する】されたかのように、彼女の右の手の甲から円が空へと浮かび上がって行きます。やはりとても神からの視線を御受けになっている方の様で、驚きと尊敬の念を抱きますが……。彼女は私がそれを表に出すことを好まないでしょう。

 

そも最初から私が神の奇跡をお借りして鑑定を行っていますよ、という顔で読み上げていきます。

 

 

「大きい順に『加速』『剣術』『演技』『体術』『魔法』『偶像』『丈夫』……ですね。他にも見えますが、大きくはこの7つになっています。かなり多いですね。それでその詳細なのですが……。え、ちょ。ちょっと待ってください? この『魔法』。なんか全属性に適性が出てるように見えるんですが!?」

 

「「え」」

 

「あー。やっぱりかぁ。」

 

 

や、やっぱりって何ですか!?

 

全属性とかもう神話レベルなのですが!? というかなんで納得されてるんです!?

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

「いやまぁ、神案件としか言いようがない奴というか……。というかやっぱそういう感じだったんだねぇ。」

 

「やっぱって何ですやっぱって!」

 

 

昔個々人に必ず存在する属性ごとの得意不得意が自身にはないなーって思い、最悪面倒ごとに繋がると判断。今日この日まで教会での『才能の鑑定』を受けずに来たけれど……、やっぱヤバかったんだねぇ。うんうん。本気でヤバいことは解ったからさ、胸倉掴んで振り回すの止めてくれない?

 

し、振動がちょっとキツイ!

 

 

「……そういえばマリーナ、テクラさんって師匠のこういうの初めてでしたっけ。」

 

「初めてでしょうね。正直もう『ジナ様』って括りで見るようになってから、何が起きても心穏やかですわ。」

 

 

そ、そこの二人ー? 師匠がピンチなんだからちょっとぐらい助けてくれても……。あ、自分で出来るだろうから勝手にしろ? いやまぁそうなんですけども。

 

私の魔法の才能は、元々欠片も存在しなかった。昔アルと一緒にレトゥス司教に見てもらった際、全く才能がなくて酷く消沈したのは覚えている。実際その時は魔法を諦めて剣一本で生き抜くしかないなぁとは思ってたんだけど、死んで神に会ったときね? 転生時に受け取るはずだった特典とかいう感じで、魔法の才能を貰ったのだ。奴隷解放後からルーンを使い始めたのも、コレのおかげだよね。

 

でもこれってあんま言って良いのか解んなくてさ……。使ってるうちに本来あるはずらしい属性の偏りがないどころかなんか全部のルーン同じレベルで使えるなって気が付いてからもう黙ることにしてたのよ。

 

これ話しちゃったら必然的に私の過去とか転生周りとか、一回死んでることとかを話す必要性が出てくるしさぁ。あの場にいたアルも実際私が死んでたなんて知らないことだし、正直伝えたくないことだから……。うん、全部神様のせいにしよ! というわけで頼んだ! 今度教会に菓子作ってもっていくから許してね♡

 

 

「い、いや。元々魔法なんて使えなかったんだけどね? あの女神にちょっと貰ったというか、なんというか……。詳しいことは本人? 本神に聞いてもらえる?」

 

「き、き、聞けるわけないでしょう!? 人と神ですよ!?」

 

【なんか持ってたら面白いかなぁ、って思ってあげたの。いいでしょ!(今度はパフェ食べたい!)】

 

「あぁぁああああ!?!? 直接脳にッ! 御声がッ!?」

 

 

アルやマリーナのことも考え、直接私とテクラの頭に語り掛けてくれたのだろう。頭いっぱいに広がるあの女神の声が聞こえてくる。おそらく私だけ二重音声だろうが……、とにかくパフェね。忘れないようにメモしておこう。あと何故かイメージとしてまだ頭に聖女お婆ちゃんのモーニングスターが突き刺さっているかのような映像が流れたが……、多分突っ込んだら敗けなので無視することにする。

 

と、というかテクラちゃん!? 私いつまで振り回されればいいの!? もう止めて良いよね! 止めるよ!?

 

 

「よ、っと! どうどうテクラ。落ち着こう、ね? 気持ちは解るけどあの神様のことだから、ね?」

 

「い、いやほんとになんでジナさんが聖女受けてくれないんですか! それもう加護以外の何物でもないですよ!? わ、私お受けするって言っちゃいましたけど、もう後悔しかないです……!!!」

 

「ご、ごめんって……。」

 

 

ちらっとアルとマリーナの方を見るが、明らかにこちらの話を聞いているのにも関わらず、酷く達観した顔で我ら関せずのポーズをとっていらっしゃる。何度も言うけど、私ってちゃんと人だからね!? お願いだから『師匠』っていう新生物のくくりで見るの止めてね? ね?

 

というかテクラいつまでふしゅーふしゅー言ってるのさ! ほ、ほら。煙草……、は駄目だここ船内だし。ほら私が作った飴玉あるから。それもう一度あげるから。落ち着こうね? ほらあーん。うんうん。美味しい……、あ、かみ砕かれたッ!?

 

と、とにかく私が悪かったし謝るからもっかい胸倉掴んで振り回そうとするの止めて―!

 

 

 

 

 

 





〇女神

あ、そう言えば魔法あげる時に属性の設定とかしてなかったから、全部全開になってるや。……まぁ今から変えるのも面倒だし、そもそもジナちゃんの魔力少な目だから変なことにはならないでしょ。というわけで全属性定額クーポン上手く使ってね~。

あとパフェだけど、バナナチョコパフェが食べたい。え、この時代の地中海世界にバナナとかカカオが存在するわけないだろ? んじゃちょっと現地住民に帝国に届けさせるよう神託送っとくからよろしくー!





現在発売中でございます! どうかよろしくお願い致します!
https://www.kadokawa.co.jp/product/322501000520/

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