懐かしき日々へ(デルフィニア戦記・暁の天使たち他)   作:shellfish

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第八十七話:戦乱惨歌

 目前で展開されている戦局は、エストリア軍にとって、不本意極まりないものであった。

 共和宇宙軍を除けば、宇宙最強と言っても過言ではないエストリア軍が、小国であるヴェロニカ軍にここまで苦しめられるなど誰が想像しただろうか。

 司令官であるフォルクマールは、内心の苛立ちをおくびにも出さず、スクリーンに映し出される麾下艦隊の苦戦を凝視していた。

 

「宇宙嵐に奇襲、そして造反。我が軍には疫病神でも取り憑いているのでしょうか」

 

 フォルクマールの副官であるイレックスは、口一杯の苦虫をまとめて噛み潰したような渋面でそう言った。

 しかし、尊敬する上官は、心楽しげに呟いた。

 

「なかなか楽しませてくれる。こうでなくてはいかんな」

 

 フォルクマールが、自軍の苦戦の映し出されたスクリーンを睨み付けながら、野性的な笑みを浮かべていた。

 既に老齢に差し掛かったとは思えない、獰猛な笑みだ。

 イレックスは、急に室温が下降したような気がして、ぶるりと体を震わせた。

 

「全軍に通達せよ。感応頭脳の対アレンジ警戒度を最大値に設定。予備感応頭脳を起動し不定時にチャンネルを切り替えろ。そして通信回線は最小限の使用に止めるように、とな」

「了解しました」

 

 副官として過不足のない仕事をした後で、イレックスは尋ねた。

 

「閣下、先ほど起きた最前線の裏切り、いえ、混乱は、敵軍のアレンジ行為が原因だとお考えなのですか?」

 

 フォルクマールは鼻を一つ鳴らした。

 

「それ以外に何が考えられるか。考えてもみろ。母国を裏切り奴らに荷担して、一体何の得があるというのだ。金か?名誉か?それとも、この作戦の真の目的に気が付き、恐怖に耐えきれず発狂したか?例えその一つ二つが真実だったとしても、あれほど整然と、傷付いた艦ばかりが旗を翻すものかよ」

「しかし、ヴェロニカ軍風情がアレンジ攻撃とは……」

 

 イレックスが釈然としないのは当然であった。

 言うまでもなく、エストリア軍は共和宇宙全体の技術水準からして、最新鋭の艦隊を備えている。当然、各艦に搭載された感応頭脳も、艦制御能力や判断力、そして対アレンジ性能の全てにおいて他国の追随を許さないほど高性能なものだ。

 宇宙船が人の手だけで操るものでなくなって以来、感応頭脳を乗っ取り己の意のままにしようとする海賊等の勢力と、それを防ごうとする開発者達のイタチごっこが途切れたことはない。その点、軍は両陣営の最先端の技術を保有していると言っていい。

 つまり、アレンジ技術に関して言うならば、攻撃についても防御についても、エストリア軍を脅かす存在などあるはずがないのだ。稀に、特異な才能をもったアレンジャーが犯罪組織と手を結び、治安維持の大きな障害となる事例も報告されているが、それはあくまで個人的才能の範囲であり、軍事技術として確立出来るようなものではない。

 もしもそのようなアレンジャーがヴェロニカ軍に協力したとしても、防御能力の高い軍用頭脳を、複数同時にアレンジなど出来よう筈がない。

 では、先ほど発生した、大規模な混乱を、どう説明するのか。

 ヴェロニカ軍が、エストリアの技術を超越した新しいアレンジを編み出したのか。それとも、突出したアレンジャーを大挙して養成し、一気にアレンジ攻撃を仕掛けたか。

 どちらにせよ現実的な話ではない。

 

「知っているかイレックス少佐。少し前の話になるが、惑星クレイドの周辺宙域で、感応頭脳に原因不明の呼称が頻発するという怪異が多発したらしい」

「はい、その話を知らない船乗りはいないと思います。無論、私も含めて」

「では、怪異の原因が、クレイドの宗主国であるマースが開発した、感応頭脳誘導装置の暴走であるという話は?」

「マースが……!?」

 

 咄嗟に言葉を紡げなかったイレックスが、驚愕を顔に貼り付けて上官を見たが、いつも不敵なフォルクマールの顔に、嘘や冗談を口にしている気配はなかった。

 

「真実は闇の中だ。既に怪異は存在しない。もしも事実だったとしても、マースの国際的な地位がほとんど変動していない以上、全ては秘密裏に処理されたのだろう。しかし、実験的にとはいえマースがそのような兵器の開発に成功していたとすれば、ヴェロニカがそれを手に入れていたとしても不思議はない。そうは思わないか?」

「し、しかしヴェロニカは我がエストリアの友好国です。まさか、マースからそのような……」

「忘れっぽいな少佐。我々はその友好国を今から滅ぼそうとしているのだ。ならば、相手が一足先にその逆を考えていたとして、どのような不思議がある?」

 

 フォルクマールの低い笑い声は、むしろ自虐的な暗さがあった。

 イレックスは、もはや何を口にすることも出来なかった。

 

「とにかく、奇襲とアレンジ攻撃。さて、他にどのような引き出しを用意しているのやら。今のところはしてやられているが、小手先の技ではここらが限界だろう。そろそろ種切れか、それともまだ何かを用意しているのか。気にくわない任務が面白くなってきたのだ。奴らには礼を言わねばならんのかも知れんな」

 

 歴戦の提督の低い呟きを聞いたのは、青ざめた副官だけであった。

 

 

 ケリーにとって、エストリア軍が共食いする有様は、何か、特別な感情を引き起こすものではなかった。例え、味方同士で殺し合うことがどれほどの悲劇を生むのだとしても。その悲劇を引き起こしたのが自分だったとしても。

 戦争だから仕方ない、というのではない。

 ただ、彼らに正義が無いのと同様に、自分にも正義が無いことを知っていただけだ。

 正しいから戦うのではなく、敵が悪だから戦うのでもない。己が信じるもののために戦うだけだ。それが例え、万人の非難を被る信念であったとしても。

 

『上手く、いっているみたいね』

 

 ダイアナが、青ざめた表情でそう言った。彼女の耳には、エストリア軍同士で交わされる通信の、阿鼻叫喚に満ちた有様の一部始終が届いている。

 どうして。裏切り。制裁。反撃。

 殺してやる。止めてくれ。信じていたのに。

 それは、地獄に属する言葉の羅列であった。

 

「ああ、お前のおかげだ、ダイアン。助かった」

『御礼は結構よ。これで、あの事件であなたとジャスミンを焼き殺しかけた借りは返したわ』

 

 『あの事件』とは、クレイド星系を航行する船舶に原因不明の不調が頻発したことに端を発する、不可思議な事件のことである。

 その過程で、ケリーとジャスミンは、『歌』に操られたダイアナの手で殺されかけた。それも、《パラス・アテナ》ごと太陽に突っ込むという、間抜け極まりない死に方で。

 事件そのものは、ルウの力を借りたケリーとジャスミン、そして正気に戻ったダイアナの手で無事解決され、ケリー達は今も生きている。それに、ケリー達はダイアナに対して何を含む訳でもない。

 しかし、彼らのパートナーを自負するダイアナにとって、これは拭い難い汚点であった。

 借りを返し終えたと言ったダイアナは、疲れた表情で、重々しく息を吐いた。

 

『これで最後。本当に最後。もう、二度とこんな真似は御免よ、例えあなたのお願いでも』

「ああ、分かってる。もう、お前にこんな真似は、頼まない」

 

 ダイアナの声は力無い。それは、ある種の生き物が、己を守るために精製する体内毒によって中毒を起こし、悶え苦しむ様子に似ていた。

 ケリーは知っていた。この作戦──ダイアナの『歌』によりエストリア軍に同士討ちを強いる──が、ダイアナにどれだけの負担を強いるものなのかを。それは、心身の両面において。

 ダイアナの『あの事件』において、マースが秘密裏に作成した新型駆逐艦の『歌』により外部操作を受け、あやうく乗務員共々太陽の一部と成り果てるところであった。また、常の彼女からは考えられない痴態を、よりにもよって最も信頼するケリーに晒すことにもなった。

 恥辱である。二度と繰り返してなるものかと、固く決意をしている。

 だからこそ、例の『歌』の解析を、ダイアナは最優先で行った。ケリー達にそれを自己申告したのは、艦に命を預けてくれる乗務員への、最低限の礼儀だと彼女が判断したからだ。

 そしてそれは完了した。もう、ダイアナは『歌』には惑わされない。それどころか、不完全ながら『歌』を操ることも出来る。

 だが、『あの事件』においてダイアナが聴いた歌は、新型駆逐艦の発信した『歌』だけではない。もう一つの『歌』があった。

 そちらの解析を試みたのは、ルウという存在を恐れ、己が操られることを恐れたからではない。もっと単純に、ダイアナという高い知性が持つ抗い難い知的好奇心によるものだ。解析をして何をしようという意図など最初から存在しない。

 こちらの解析は完了していない。どうして、声帯による空気の振動現象が、機械である自分にあれほど深刻な影響を与えるのか、どれほどシミュレートしてみても納得のいく解が得られないのだ。

 それでも、例えば原始人が、摩擦熱や酸化現象などという言葉を知ることなく火を起こし炎を使いこなしたように、原理原則を無視したところで、ルウの『歌』の表層のみをダイアナは使用することが出来る。単純な話だ。彼女はそれを録音していたのだから。

 解析の完了したサイレンの『歌』と、解析不可能なルウの『歌』。その二つを、ダイアナは巧みに融合し、この宙域に発信したのだ。

 そしてエストリア軍の感応頭脳は操られ、敵と味方を誤認させられたのである。

 

『これほど上手くいくとは思わなかった。本当、サイレンの歌声も天使さんの歌声も、現在の科学水準からは計り知れないほど危険なものだわ……』

 

 自分のことを棚に上げて、ダイアナは呟いた。

 軍用感応頭脳の、対外部操作抵抗力は、通常の感応頭脳とは比較にならないほど堅固であるが、突然の奇襲を受け被弾し、外殻の補修にその機能を裂いている状態ならば、あるいは外部操作は可能かも知れない。それは、ダイアナのシミュレートでも十分に有効であるという結論が得られた。

 実践した結果が、目の前の惨劇だ。

 惨劇は、しかし、ヴェロニカ軍にとっての無二の勝機であった。戦力的に劣勢のヴェロニカ軍は、エストリア軍の大混乱につけ込み、初撃の傷を強引に広げ出血を拡大させている。敵と味方から砲撃を受け、狼狽するエストリア軍は、為す術無く砲火の前に倒れていく。

 現在の戦況は、驚くべきことに、ヴェロニカ軍が優勢なのだ。少なくとも今のところは。

 

『でも、どうやらもうこの手は通用しないみたいよ。敵さん、対アレンジ用の防御を完了してるわ。予想よりも動きが早い』

「それならそれで、風向きは悪くないさ。通信回線を絞ればその分連携が難しくなる。感応頭脳の防御力を高めれば、その分処理速度は落ちる。どちらにしても、俺達にとっては有り難い話だ」

 

 それらの不利を加味しても、未だ敵の有利は動かない。先頭部隊の混乱も、早くも収まりつつある。練度の低い軍隊ならばそのまま潰走に繋がってもおかしくない程の痛打を受けて、着々と戦線を整えつつあるのだ。

 加えて、ケリー達にとってもこの作戦の代償は大きかった。

 《パラス・アテナ》の画面に映ったダイアナの姿が、僅かにその輪郭を乱しながら、重たい溜息を吐き出した。

 

『ケリー、最初に言ったけど、この『歌』はわたし自身をも蝕む。わたしはしばらく休ませてもらうわ、悪いけど……』

「ああ、分かってる。これからは、俺達の仕事だ」

 

 サイレンの『歌』はともかく、ルウの『歌』は、その持ち主をも深く深く汚染するのだ。いくら解析の可能であった上澄み液部分とはいえ、借り主であるダイアナがそれを用いれば、どれほどの影響があるか、想像すら出来ないものだった。

 それでも、ヴェロニカ軍にこの戦いを勝たせるために、マルゴ達を生き残らせるために、『歌』は必要不可欠な『兵器』であった。

 ケリーはダイアナに、『歌』を乞うた。

 ダイアナは、二つ返事で了承した。

 二人の間には、それだけだった。

 

『わたしの、かなりの部分が機能不全に陥っているわ……。しばらく、自己修復に専念するから……。起きたらスクラップになってたとかは、勘弁してちょうだいね……』

 

 そう言って、ダイアナは、最低限の航行能力のみを残して機能を凍結させた。人で言うならば、深い眠りについたようなものだ。

 ケリーは、確と頷いた。

 

「当たり前だ、ダイアン。お前にここまでしてもらって、負けてられるか」

 

 ケリーが、《パラス・アテナ》の操縦桿を握りしめた。

 

「行くぞ、準備はいいな、女王」

 

 スクリーンに、ヘルメットを被ったジャスミンの、不敵な表情が映し出される。

 

『ああ、いつでも大丈夫だ。あまりに遅すぎて、もしかしたらわたしのことなど忘れられてしまったのかと思ったぞ』

「きっつい冗談だぜ。あんたのことなんて、忘れようったって忘れられるわけねぇじゃねぇかよ」

『それはそうだ。なんたって、わたしはお前の妻だからな』

 

 二人の会話に、溜息が混じる。

 

『ちょっとお二人さん。お熱いのは結構だけど、時と場合と状況を弁えてくださるかしら?』

 

 まだ年幼いその声は、少女のものだ。

 今、リーフィーシードラゴンに似た《パラス・アテナ》の優美な体の内で、爪牙を研いでいるのは深紅の戦闘機だけではない。

 数十機にも及ぶ漆黒の巨兵と、そのパイロット達が、今や遅しと戦場に放たれる瞬間を待ち侘びているのだ。

 

「急かすなよマルゴ。これからが俺達の戦いだ。お前らにも、存分に働いてもらうからな」

『望むところよ。ヴェロニカ特殊軍の戦いぶり、とくとその目に刻みつけておいてね』

 

 

 エストリア軍の混乱を追い風に攻勢を続けたヴェロニカ軍だったが、地力に勝るエストリア軍の高い機動力と防御力に跳ね返され、次第に戦線は膠着し始めた。

 

「ふむ、中々楽には戦わせてくれんもんだな」

 

 旗艦《クノルフ》の司令官席に深く身を沈めたヴォダルスが呟いた。

 しかし、彼我の戦力を比較すれば、いくら有利な戦場の選定に成功したとはいえ、このように互角の戦況に持ち込めたこと自体、奇跡の賜と呼ぶ他ない。

 

「この戦いが終われば、彼らには如何なる手段をもってしても報いねばなるまい。勲章や栄誉程度では、彼らのほうから三行半を喰らうのだろうが……」

「閣下。そのような杞憂は、全ての難題を切り抜けてからお考え下さい。今、あなたの考えるべきことは、他に山ほど待ち受けているのですから」

「なに、ただの現実逃避よ。年寄りの柔弱をいじめると、人でなしと非難されるぞ参謀長」

 

 冗談めかしたヴォダルスの言葉は、しかしエクベルトの鉄面皮に傷一つつけることは叶わなかった。

 上官のジョークを丁重に無視したかたちのエクベルトは、冷静な口調で戦況を分析した。

 

「我が軍は奇襲に成功し、それなりの戦果を上げたものの、致命傷には至っておりません。敵は僅かに後退しつつも陣形を再編しつつあり、この後の反撃の準備を整えているものと思われます」

「ふむ、参謀長が敵の司令官であればどのように我が軍を叩くかね?」

 

 エクベルトは軽く咳をして、

 

「敵は我が軍に比して、その数においても装備においても遙かに凌駕しています。それでも苦戦を強いられているのは、奇襲や奇策に翻弄された以上に、この狭隘な戦場が我らに味方しているからです。ならば、多少の犠牲を払っても我が軍の陣を突破し、より広い宙域に戦場を求めるでしょう」

「ならば我が軍は如何する?」

 

 エクベルトの、軍人とは思えないほど細長い指が、淀みなくコンソールを操作し、スクリーンに映し出された敵と味方のモデルを動かしていく。

 砂時計の中央のように括れた宙域に押し込められていたエストリア軍が、陣を紡錘陣に編成し、猛烈な勢いで中央突破を計る。

 

「これに対する我が軍は、現在の縦深陣を維持したまま敵を深くまで誘い込み、半包囲の態勢で集中攻撃を仕掛ける」

 

 柔軟な網のようにエストリア軍の突進を受け止めたヴェロニカ軍のモデルが、一斉砲火によって敵の陣形を打ち崩していく。徹底的なまでの火線の集中に、さしものエストリア軍もその数を減らしていく。

 ヴォダルスはその様子を見て、シニカルに笑った。

 

「なるほど、成功すれば我が軍の勝利は揺るぐまいよ。戦術教本に載ったお手本のような戦術だが、それ故に敵にも見破られる」

 

 エクベルトの眉がぴくりと跳ねた。

 

「では、閣下には他の戦術が?」

「いや、残念ながら参謀長と同じ戦術しか思い浮かばん。少なくとも、この戦場で、これ以上効果的な戦法はないだろう。だからこそ気に喰わんのさ」

「つまり、悪い予感がすると?」

「まぁそのようなところだ。戦場は常に司令官の頭の中と同じ具合には動いてくれんもんだからなぁ」

 

 行儀悪く頬杖をついたヴォダルスを、エクベルトはちらりと見て、

 

「どうやら我が軍には勝利の女神がついているらしい。ならば、その御威光を最後まで信じてみましょう」

 

 ヴォダルスは一瞬驚きエクベルトを見上げ、それから固いものを飲み込んだような難しい顔でスクリーンに視線を戻した。

 その先は、先ほどエクベルトが想定したように、エストリア軍が紡錘陣を編成し猛烈な勢いでこちらに突進してくる光景が映し出されていた。

 戦術そのものは予想と同じだが、速度が予想を遙かに超えている。

 

「中央を後退させつつ敵中央部に砲撃せよ!袋叩きにしてやれ!」

 

 司令官の檄が飛び、ヴェロニカ軍は指令通りに巧みな戦いぶりを示したが、エストリア軍が中央に並べた重装甲戦艦の突進を止めるのは至難の業であった。ヴェロニカ軍の集中砲火を浴びその船体を傷だらけにしながら、しかしその速度は少しも減じない。

 まるで、体中を剣で串刺しにされながら、それでも闘牛士を追い散らす猛牛のような突進であった。

 だが、ヴェロニカ軍も負けてはいない。ここが勝負とばかりに敵先頭に火線を集中させる。激烈なエネルギーの矛先は、堅固な重装甲戦艦の艦列に突き刺さり、少なからぬ数の艦艇を宇宙の花火へと変じさせた。

 それでもエストリア軍は、まるで恐怖を忘れたかのように、後退しつつあるヴェロニカ軍中央部に向けて突撃し、ついには食らいつくことに成功した。

 彼我の艦艇が入り交じり、敵のすぐ後ろに味方がいるような状況で、主砲を撃ちまくるわけにはいかない。陣形など組める筈もない。

 戦況は、戦術の立ち入る余地のない混戦へと変貌した。

 

「これが狙いか!」

 

 ヴォダルスは鋭い舌打ちを漏らした。

 数と質の両面に勝るエストリア軍である。多少の戦術的不利など、力尽くでひっくり返すだけの地力の差があるのだ。小難しい戦術を組み立てる必要などなく、また、そのようなことをすれば、かえって敵の造り上げた陥穽に嵌ることになる。

 極論、一隻が命がけで敵の一隻を葬ることさえ出来るならば、兵数的に考えてエストリア軍の勝利は動かない。単純な引き算の問題である。加えて、一対一の戦いではヴェロニカ軍の艦艇に、エストリア軍を倒すだけの力はない。

 戦局は、刻一刻とエストリア軍へと有利に傾いていく。先ほどまでの優勢はどこへやら、ヴェロニカ軍は次々と繰り出されるエストリア軍の猛攻を防ぐのに精一杯という有様となってしまった。

 そしてエストリア軍は、一度握った優位を手放さないよう、攻撃の手を緩めようとしない。重装甲戦艦の後からやってきた宇宙空母が、次々と搭載戦闘機を吐き出していく。

 ヴェロニカ軍の宇宙空母も、負けじと戦闘機を発進させる。

 戦局は、長距離砲撃戦から近距離格闘戦へとその様相を変じさせ始めた。

 この局面でも、ヴェロニカ軍の劣勢は明らかであった。戦闘機同士の格闘戦となれば、戦闘機の性能そのものよりも、パイロット個々人の技量が勝敗の鍵を握るのだが、普段から大国間の戦争を想定して厳しい訓練を積み、宇宙海賊との実戦により経験を磨き上げたエストリア軍パイロットと、辺境のぬるま湯に慣れきってしまったヴェロニカ軍パイロットの間には、技量の面でも覚悟の面でも大きな隔たりがあるのだ。

 数そのものでは拮抗していても、次第にヴェロニカ軍の戦闘機は押され始めた。目まぐるしいドッグファイトは長くは続かず、次々と後背に食いつかれ、追い回され始めたのである。

 

「奴らは、狼の毛皮を被った仔犬の群れだ!慌てず騒がず、一匹ずつ宇宙の藻屑に変えてやれ!なに、いつもの訓練に比べればピクニックのようなものだ!」

 

 エストリア宇宙軍第十三艦隊第一飛行隊、通称『マッドドッグス』部隊、隊長のマルガリオ中尉が豪快に言い放つと、通信機からは、軽やかな笑い声と了解の返答が聞こえてきた。

 

『それにしても、仔犬とは酷いですね隊長。せめて羊くらいにしてあげないと、奴らも浮かばれませんよ』

「馬鹿を言うな。羊は、追い詰められれば反撃もする。そのための角も蹄も備えている。しかし牙も生え揃わず目も開かない仔犬に出来るのは、母犬の庇護を求めて鳴き声を上げ続けることだけだ。連中はまさにそれよ。見ろ、逃げ惑う連中の無様なこと!これでは『バニーラビッツ』との戦闘を想定して厳しい訓練に耐え続けた我が身が哀れだわ!」

 

 通信機の向こう側の隊員達は、苦笑混じりに首肯した。マルガリオの口の悪いことはエストリア軍空戦隊の中でも飛び切りだったが、それと同時に戦闘機の操縦技術でも群を抜いていたのだ。一対一の戦いならば、共和宇宙軍最強との呼び声高い『バニーラビッツ』の精鋭にも引けを取らないと噂されている。

 今も軽口を叩きながら、ヴェロニカ軍戦闘機の一機を宇宙の火花に変えたところだった。敵が緊急脱出装置を起動させる暇もない早業であった。

 

「つまらん。これでは狩りと言うよりも雑草の刈り取りだ。もう少し歯ごたえのある敵はいないのか」

 

 舌なめずりする狂犬の有様で戦場を見回したマルガリオは、スクリーンに、戦場には似つかわしくないほど優美な形状をした、5万トン級の宇宙船を発見した。

 ある種の熱帯魚にも似た形状のその船は、戦場から逃げ出すでも降伏信号を発するでもなく、恐るべき速度でこちらへ向かってくる。

 マルガリオの神経が急激に昂ぶった。あれは、敵だ。ならば、俺の獲物だ。

 

「マッドドッグス隊、俺に続け!ようやく羊を見つけたぞ!それも、飛びっきりに上等なやつだ!」

 

 それは歓喜の吠え声であった。

 隊長の戦意は瞬時に隊員達に感染した。闘犬の群れと化した第一飛行隊は、整然たるフォーメーションで、獲物と見定めた機体へと殺到する。

 その、血走った様子に恐れをなしたのか、正体不明の機体は急速に針路を曲げ、同時に、艦載機を発進させた。

 その瞬間、マッドドッグス隊の全員が目を疑った。

 艦載機の発進自体は特別な事ではない。5万トン級の艦が、敏捷性と運動性の塊である戦闘機部隊と正面から戦うなど、人が雀蜂の群と戦うことに等しいからだ。艦載機を積んでいるならば、これを使って迎撃するのはむしろ当然である。

 だが、あの正体不明の機体が発進させたのは、艦載機は艦載機であっても、戦闘機ではなかった。いや、戦闘機もいるにはいる。しかしそれは、見るからに鈍重そうな、深紅色の巨大な機体一機のみであり、あとは戦闘機ですらない、機甲兵の群れだったのだ。

 

「おい、誰か説明しろ!あれは新手のジョークか!?それとも奴らは、まさか機甲兵で俺達と戦うっていうのか!?」

 

 マルガリオの、笑いを噛み殺した声が、マッドドッグス隊の通信を満たした。そしてそれは、隊員達の総意でもあった。

 彼等が笑うのも無理はない。そもそも機甲兵とは、地上戦の、しかも都市戦を中心とした限られたケースか、それとも宇宙戦における工作活動などで本領を発揮するのだ。

 宇宙で活動できる以上、戦闘に参加出来ないわけではないが、それは本来の用途とはかけ離れた運用法であることに違いはない。

 少なくとも、高出力のエンジンと艦載砲を備えた戦闘機とは勝負になるはずがないのである。自殺行為と称しても間違いではない。

 では、何故機甲兵などを出撃させたのか。

 どうせ、血気に逸った馬鹿な艦長が自分は一端の戦士だと勘違いして突撃、しかし敵機の姿を見て急に恐くなって、艦載の機甲兵にそこらの兵士を強制的に詰め込んで放り出し逃げるための時間稼ぎをさせようというところだろう、と、マルガリオは予測した。

 そうすると、今度は、敵と認めたはずの敵艦の醜態に対し、中世騎士的な怒りが沸き上がってきた。期待の後の落胆はマルガリオの怒りを強烈に刺激したのだ。

 この俺の前でこれほどの無様を晒すとは、死をもって報いるしかない。

 

「皆殺しだ!一機も逃がすな!特に、あの艦は必ず仕留めろ!」

 

 リーダー犬の唸り声に背中を叩かれた闘犬達は、一目散に敵へと躍りかかった。憐れな機甲兵、鈍重な紅い機体、そして正体不明の艦艇は、一噛みで喉笛を切り裂かれるはずだった。少なくとも、マルガリオを含めた隊員の全員がそう確信していた。

 マルガリオは、一直線に正体不明の艦艇を目指したが、その直線上に、深紅色の戦闘機が割り込んできた。生意気にも、自分と一騎打ちを演じようというらしい。

 

「身の程知らずめ!その増上慢、万死に値するぞ!」

 

 マルガリオの愛機のエンジンが唸りを上げる。慣性相殺を無視したような速度で機体を急加速させる。

 少しは楽しませてくれよ。闘犬達の長がそう願って牙を剥いた刹那、信じがたいことが起きた。深紅色の機体が急旋回をしたと思った次の瞬間、マルガリオは獲物の姿をロストしていたのだ。

 新兵時代を含めて、そのような経験を一度だってしたことがないマルガリオである。そも、計器やレーダーを振り切って、あの紅い機体はどこへ消えたのか。一瞬、宇宙空間だけが映し出されたスクリーンを呆然と眺めてしまったが、嫌な予感を覚え、機体がバラバラになりかねない程の急制動を行った。

 脳震盪を起こしたかのようにぶれる視界、そして攪拌機にかけられたように踊る内蔵が、急激な吐き気を催させる。それでも、マルガリオは見た。自分が通過するべき場所を、白色の閃光が走り抜ける様を。

 全身を、興奮ではない、初めての感覚が走り抜ける。冷たく、鋭く、重たい感覚。何だ、この感情は、この感覚は……。

 それが恐怖であることに、マルガリオは最後まで気が付かなかった。無論、彼は人間である。今まで、恐怖を一度も覚えない人生を送ってきた筈がない。

 だが、戦闘機の操縦席に座ったマルガリオにとって、恐怖とは完全に不要な感情であった。何故ならば、彼は絶対的な強者であり、比肩する者のないエースパイロットだったからだ。彼は、常に恐怖を与える側であり、与えられたことなど一度もない。彼は、自分が天性の戦闘機乗りであるのだと確信していた。

 だからこそ、その感情が、その感覚が、恐怖と呼ばれるものだと気が付かなかったのだ。

 マルガリオが賢明であったならば、その感情に逆らわなかっただろう。野生動物ならばその感覚に従って逃げ出しただろう。だが、彼はそのどちらも選ばなかった。薄ら寒いその感覚を、灼熱した羞恥と怒気が塗りつぶしていく。

 虚仮にされて黙っていられるか。マルガリオは目の前を通り過ぎた紅い機体の背後に食らいついた。正面からの一対一ならば、俺が負けるはずがない。照準に敵影を合わせ、亜光速ミサイルの発射スイッチを押そうとしたその時、紅い機体は、またしても常識外れの急旋回を行った。どう考えても搭乗者の自殺行為としか思えないその動きは、同時にマルガリオの視界から、そして搭乗機のレーダーの索敵範囲から、紅い機体の姿を消し去った。

 

「糞、どこに消えた!?」

 

 怒りと屈辱で、沸き上がるある種の感情を押し殺し、マルガリオは戦場を見回した。

 そして、信じられない光景を目にした。

 そこにあったのは、まるで狐に追われる野兎のように、追い回され、噛み殺されていく、エストリア宇宙軍第十三艦隊第一飛行隊の姿であった。

 追い回しているのは、件の正体不明の5万トン級から出撃した機甲兵である。漆黒に塗装され、宇宙空間に溶け込むようなその機影が、マッドドッグスの精鋭達の機体を見事なコンビネーションで追い込み、絡め取り、そして一撃で沈めていく。

 機動性、攻撃力、俊敏性、全てにおいて、既存の機甲兵という兵器のカテゴリに収まるものではない。その兵器が、第一飛行隊の最後の生き残りを、悠々とした様子で仕留めた。

 

「俺は、悪い夢でも見ているのか……?」

 

 呆然と呟いたマルガリオだったが、彼が自失から回復することがなかったのは、幸福だったのかそれとも不幸だったのか。

 部下の最期を看取りしばし我を忘れたマルガリオ、そこに生じた一瞬の隙を見逃さなかった紅い機体が、索敵範囲外から20センチ砲による狙撃を行い、その操縦席を一撃で射貫いたのだ。

 マルガリオは痛みを感じる間もなくあの世へと旅立ち、その体と思考は原子単位まで分解され、宇宙空間に飛散した。彼だけではない。彼が母艦としていた宇宙空母《シテュルメル》も、僅か数分後、同じく深紅の機体の手により宇宙の藻屑と成り果てた。

 

 

「はて、おかしいな。初撃を躱された。少し腕が鈍ったか?」

 

 深紅の機体──《クインビー》の搭乗者であるジャスミンの呟きであった。

 この呟きを聞けば、果たして憐れな犠牲者は、憤ったか呆れたか、それとも我が身の愚かさを嘆いたか。

 何せ、彼女は一人で共和宇宙連邦第十一軍五一七飛行中隊、通称『バニーラビッツ』の精鋭10機を同時に相手取り、難無く撃破したのだ。しかも、乗り慣れない旧型の機体で。

 今の彼女は、愛機である《クインビー》を万全の状態で駆っている。しかも、実戦と訓練では操縦のギアも直感のチャンネルも、全てが段違いだ。あらゆる意味で常識の枠からはみ出たモンスターである。たった一機で彼女を相手取るなど、自殺行為以外の何物でもない。

 そんなジャスミンが、小首を傾げて機体の計器類をチェックしていると、通信機から声が聞こえた。

 

『そっちは終わった?思ったより苦戦してたみたいじゃない』

 

 戦地には不似合いの、年若い少女の声だった。

 普段であれば違和感を覚えるはずの声だったが、ジャスミンには聞き覚えがある。

 

「苦戦などしていない。そういうそっちはどうなんだ、マルゴ?」

『片付けたわ。一機残らず、一人残さず』

 

 気が付けば、数十機の黒い機甲兵が《クインビー》の背後に付き従っていた。

 機甲兵の名は、TYPHON零型試作機。

 超々小型化に成功したクーアシステムの搭載されたジェネレーター。搭乗者の神経組織と機体を直接繋ぐ新しい操縦システム。20センチ砲なみの威力を備えた荷電粒子ライフルと、同程度の砲撃に耐えうるだけの新素材装甲。それらの最新鋭の武装を備えながら、しかしサイズは既存の大型機甲兵とほぼ同じという反則仕様だ。

 宇宙戦を念頭においた機甲兵という全く新しい兵器の概念は、その力量を存分に発揮したらしい。

 加えて、それを操るのは、かつてのケリーと銃口を並べた子供達のクローンなのだ。自分達も、何度となく苦しめられている。彼らの兵士としての力量を、もはやジャスミンは一握りも疑っていない。

 

『女王、そっちはもう綺麗さっぱりみたいだな』

 

 次に、《パラス・アテナ》の優美な機体が姿を現した。どう見ても戦場には不釣り合いの機体であるが、その戦闘能力は折り紙付きである。例えダイアナの補助がなかったとしても、操縦するのはあの海賊王なのだから。

 

「こちらはまぁまぁさ。そういうお前は、仕事の一つもしてきたんだろうな」

『ああ。ウェルナー級一隻、ギルフォード級を一隻、片付けてきた。長距離砲撃戦の最中に突っ込むのはいくら何でも自殺行為だがよ、こういう格闘戦ならやりやすくて助かるぜ』

 

 ウェルナー級もギルフォード級も、単純なサイズでいえば《パラス・アテナ》よりも遙かに格上の大型戦艦である。それを、こうもあっさりと『片付ける』あたり、ケリーの技倆は単なる船乗りの枠に収まるものではない。

 そんなことは十分以上に弁えていたジャスミンであるが、戦闘機を一機しか撃墜していないのがほんの少し業腹であり、溜息を吐き出してから呟いた。

 

「まったく、お前と《パラス・アテナ》は反則だな」

『あんたと《クインビー》がそれを言うのかい?』

『……別にもう文句を言うつもりはないんだけど、クーア隊長、さっさとわたし達を収容するための手筈を整えていただけるかしら?次の戦場まで移動するのに、流石にTYPHON零型に搭乗したままというのは遠慮したいんですが……』

 

 ふと見れば、所在なく整列した黒い機甲兵が、如何にも手持ちぶさたな様子で宙を泳いでいた。

 何とも不満そうなその巨体が、まるで子供達そのもののように見えて、ジャスミンは苦笑を誘われた。

 

「だ、そうだ海賊。格納庫のハッチを開けてくれ。誘導波は……いらないだろう、この子達ならば」

『あいよ、じゃあ次の戦場まで一休みしておいてくんな』

 

 《パラス・アテナ》の開け放たれた格納庫に、次々とTYPHON零型が吸い込まれていく。最後にマルゴの搭乗した機体が格納されたのを見て、ジャスミンが《クインビー》を発信させようとしたとき、通信が入った。

 相手は、どうやら先ほど、ジャスミン達の手で壊滅させられた部隊に追い回されていた、ヴェロニカ軍の戦闘機部隊の人間らしい。

 通信回線を繋ぐと、ジャスミンが口を開く前に、あちらから興奮した声で呼びかけがあった。

 

『あんたら、何者だ!?ヴェロニカ軍にあんた達のような機体は存在しないはずだ!……いや、そんなことはどうでもいい。……ありがとう、あんたらのおかげで命拾いしたよ』

「礼などいらない。わたしは、わたしに課せられた任務をこなしただけだ。貴様にも、貴様に課せられた任務があるだろう。拾った命ならば、その命で為すべきことを為せ」

『あ、ああ、分かった。あんたの動き、遠巻きに見せて貰ったが、今でも自分の目が信じられないくらいだ。まるで魔術師みたいだった……』

「よく言われる。紅の魔術師。わたしの異名だったんだ、それは」

 

 照れの一つもなくジャスミンは言った。

 戦場においては、自分を実像よりも大きく見せる必要がある。それは、敵に対しても、味方に対しても、そして自分自身に対しても。そうでなくては──正気を捨てなくては、戦うことも生き残ることも出来ないのだから。

 

「わたしは、いくつも奇跡を起こしてきた。この戦いも、その一つに過ぎない。だから、わたし達は勝つぞ。敵がエストリア軍だからといって恐れる必要など、何一つないのだ」

 

 そう言ってジャスミンは通信を切り、慣れ親しんだ《パラス・アテナ》の格納庫へと愛機を滑り込ませた。

 少し、休む必要がある。これから戦いはまだまだ続くのだ。係留索で《パラス・アテナ》を固定した後で、ジャスミンは一つ息を吐き、目を閉じ、小さな声で呟いた。

 

「頼んだぞ、リィ、ルウ、シェラ……。君達が急いでくれないと、エストリアの連中の屍山血河が出来上がってしまう。それは、少しばかり気の毒だからな……」

 

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