懐かしき日々へ(デルフィニア戦記・暁の天使たち他)   作:shellfish

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第百七話:体験入部

『嫌だぞ!俺は絶対にテレビなんかでねぇからな!』

「ヴォルフどの、お気持ちは重々分かるのだが……」

『だいたい、あれは怪我は自分持ちっていう約束の喧嘩だろう?今更、腕を折られたから相手が悪いなんて言い出したら、恰好悪くて仕方ねぇじゃねぇかよ。俺、全世界に自分が恥知らずだなんて言いたかねぇよ』

「ヴォルフどのの仰ることは一々ごもっともだ。しかし、あの小僧はおれに喧嘩を売ってくれた。ならば、持ちうる最大火力で奴を迎え撃ってやりたい。そのための助力をいただきたいのだ」

『……ウォルの言いたいことは分かるけどよう……』

「それに、何もあることないこと言ってもらう必要はない。ただ、事実を語ってもらうだけでいい。あの日、ノープス中央体育館であの小僧と喧嘩したこと、そして腕を折られたこと。その二点で充分だ。例えば、あの小僧が悪いとか、そういうことを言ってもらう必要は全くないのだ」

『でもよう、喧嘩で腕を折られましたって大声で言うっていうことは、つまりあの男が悪者ですって言いたいんだって普通の人は思うぜ?』

「無論、それは試合中の事故ということで構わない。そう仰っていただいて結構だ。ヴォルフどのは、ヴォルフどのが思うとおりのことを述べていただければいい。ただ、おれとしては、ヴォルフどののように第三者が、あの日、あの小僧と戦った、その事実だけが欲しいのだ」

『……でもなぁ……』

「それに、おれの見立てでは、これはチャンスだ。おれの夢を叶えるための、第一歩になりうるほどのな」

『……』

「頼む、このとおりだ」

『……このとおりって言われても、電話じゃわかんねえよ。……わかったよ。じゃあ、お前さんの腹ん中に発信機仕込んだ件と帳消し。それでいいか?』

「恩に着る、ヴォルフどの!」

 

 

「やあ、クレイグ。久しぶりだね」

「ノーマン、ついに君もMMAの面白さに目覚めてくれたのかい?我がセム大学MMA部を取材してくれるなんて嬉しい話じゃないか」

 

 ノーマンは、クレイグと呼んだ青年と握手を交わした。

 場所は、セム大学の第二体育館の一角、リングやサンドバッグなどが設置された、かなり広いスペースである。

 幾人もの学生が、トレーニングウェアに身を包み、思い思いの練習をこなしている。組を作ってミット打ちをする者、一人でシャドウボクシングに励む者、リングの上でスパーリングをする選手もいる。

 統一性はないが、しかし全員が真剣な表情で練習に取り組んでいることは明らかだ。

 そんな中、ウォルとノーマンは、闖入者のように好奇の視線を浴びながら、クレイグと話を続ける。

 

「クレイグ、すまないが今回は、直接君たちを取材させてもらう訳じゃないんだよ」

「冗談だよ、知ってるさ。要は、僕たちを出汁にした企画を放映したいということだろう?いいとも、あのオリベイラの鼻っ柱を叩き折れるなら、なんだって協力させてもらうとも」

 

 ノーマンは深々と頭を下げた。

 

「重ねてすまない」

 

 クレイグは、苦み走った笑みを浮かべて首を横に振った。

 

「ノーマン、頭を上げてくれ。君はあまり知らなかったのだろうけど、あの男の傍若無人ぶりはこの界隈では有名でね。僕の友人にも、あの男と対戦して不必要な怪我を負わされた選手が何人もいる。MMAなど喧嘩みたいなものだ、だから怪我など付き物だ、なんて訳知り顔で言う連中もいるが、だからこそルールを守り対戦相手をリスペクトすることが必須の競技なんだ。あの男は、完全にそこをはき違えている」

 

 ノーマンは、真剣な表情で頷いた。

 

「今思えば、あの男の取材を企画していた自分が恥ずかしいよ。TBO金メダリストという肩書きとあの男の人気に、完全に目が眩んでいたと言わざるをえない。正しく汗顔の至りだ。もっと周囲の評判を調べるべきだった」

 

 クレイグも頷き、

 

「それに、オリベイラは普段の素行にも大きな問題があると言われている。あくまで噂話だが、この星の裏を牛耳るギャング組織と繋がりがあるとも囁かれているんだ」

「それは僕も調べてみた。違法薬物の売買や、人身売買なんかを生業にしてるっていう、かなりあくどい組織だろう?」

「嘘か真か、ギャング組織の一斉摘発のためにオリベイラが泳がされているとか、そんな話も聞く。それくらい、あの男が、仮にも連邦大学の学生の身分でいられることを、みんな不思議がっていたし、苦々しく思ってもいた。そんな輩に鉄槌を下せるなら、どんな汚れ仕事だって喜んで引き受けさせてもらうよ」

 

 ノーマンは苦笑し、傍らに立った少女に手を向けた。

 

「彼女が、今回の企画のメインを務めるフィナくんだ」

 

 フィナ・ヴァレンタイン――ウォルは、行儀よくお辞儀をし、しかし真剣な調子で自己紹介をした。

 

「フィナ・ヴァレンタインです。この度はご無理を申し上げました」

「セム大学MMA部の部長のディル・クレイグだ。例の動画は見させてもらった。いや、君の飛び膝蹴りは素晴らしかった。あれがデモンストレーションだって?笑わせるね。見る人間が見れば、一目瞭然だ。あれは、正真正銘、正当な試合の中で放たれた最高の一撃だった。素晴らしかったよ」

「ありがとうございます」

「正直に言うとね、あの映像を見て、僕は喝采を叫んでしまった。正しく胸の梳く思いだった。腹の底からスカッとした。悪には必ず裁きが下るのだと思ったよ。本来は僕たち総合格闘技選手が、公開の試合で、もっと早くしなければいけなかったことだ。それが、あんな男をここまでのさばらせてしまったのは、完全に僕たちが不甲斐ないが故だ。君の手を煩わせてしまったことに、心から恥じ入る思いだ」

 

 ウォルは頷き、

 

「このままでは、またしてもあの悪戯坊主を増長させてしまうかも知れません。これは私の経験知ですが、ああいう手合いの相手をするときは、徹底的にやるべきです。完膚無きまでに叩き潰すべきです。もう二度と、我々に刃向かう気力か起きないほどに、無慈悲な刃を振り下ろすべきです」

 

 些か少女らしからぬ直截的な表現に、クレイグは軽く目を剥いたが、しかしその意見には賛成した。

 

「君の言うとおりだ、フィナくん。では、その無慈悲な刃を振り下ろために、我々にどんな協力が出来る?僕たちに出来ることならなんだって協力させてもらう」

「特別なことをしていただく必要はないのです。ただ、私がこの部に体験入部することを許可頂きたい」

 

 ノーマンが、ウォルの言葉を引き継いで、更に続ける。

 

「そして、その映像を放送させて欲しいんだ。ひょっとしたら、二、三、コメントなんかももらえると嬉しい」

 

 クレイグは頷き、

 

「なんだ、そんなことか。他の部員を映させると色々話がややこしい。もしよければ、僕とのマンツーマンの体験レッスンという体裁でもいいかな?それなら、今すぐに始めてもオーケーだよ」

「ありがとう、恩に着るよ、クレイグ。そしてフィナくん、そういうことらしいけど、どうする?」

 

 ウォルは嬉しそうに微笑み、言った。

 

「ありがたい。それでは、本当に今すぐ始めさせてもらうとしよう」

 

 

 クレイグの見た所、フィナ・ヴァレンタインは普通の少女だった。

 動きやすいスポーツウエアを着た身体はすんなりとしていて、特別鍛え込まれたふうではないし、何か、スポーツに打ち込んだ人間特有の身体的特徴があるわけでもない。

 顔立ちは整っていて、きっと同年代の少年達には憧れの的に違いない。もしも、本格的に格闘技という世界にチャレンジすれば、美少女ファイターとして話題になるのは疑いないだろう。

 しかし、目立つのはそれくらいだ。

 普通の中等部生。普通の少女。それ以外には、どうしても見えない。

 だからこそクレイグは不思議だった。映像の中で、フィナ・ヴァレンタインと名乗ったこの少女は、あのレオン・オリベイラを一撃でノックダウンさせている。それがデモンストレーションだなどというオリベイラの言い分は頭から信じていないが、しかしどうしてこんな可憐な少女にあんな芸当が可能だったのか、興味が尽きない。

 今回の自分の役回りが、いわば刺身の妻であり、この少女の引き立て役でしかないことは重々承知している。しかし、オリベイラと同じ競技の競技者として、むくむくとした好奇心が湧き上がるのを堪えきれない。クレイグは、獰猛な笑みを浮かべた。

 

「さて、フィナくん。まずはミット打ちをして身体を暖めてもらおうと思うんだが、いいかな?」

 

 ちょうどストレッチの終わったウォルは、笑みを浮かべながら頷いた。

 

「お任せする」

 

 ウォルの短い言葉に、クレイグも頷き、両手にパンチングミットを装着した。

 その頃になると、他の部員もトレーニングを中断し、クレイグ部長と見慣れない美少女との組み合わせを、面白そうな視線で遠巻きに眺めている。

 かなりの人間の視線が集まる中、クレイグはウォルに問いかける。

 

「一応聞くけど、ミット打ちの経験は?」

「前に一度だけ」

「なるほど、まだほとんど経験は無いということだね。ならこちらがある程度指示を出すから、その通りにミットを叩いてくれればいい」

「承知した」

「時間は3分だ。思い切り来てくれ」

 

 ウォルは既にグローブを身につけ、先日ヴォルフから教えてもらったとおり、オーソドックスのアップライトスタイルに構えている。

 しっかりと板に付いたウォルの構えを確認したクレイグが、バシンとミットを打ち合わせ、ウォルの身長に合わせて、膝を曲げ、やや前のめりの姿勢を作る。

 そして右手を顔の横に構え、ミットをウォルの方に向けて、

 

「さぁ行こう!まずはジャブ!」

 

 鋭く指示を出す。

 ウォルの小さな身体が滑るように前に出て、クレイグの構えるミットに向けて、素晴らしいスピードで左ジャブを繰り出す。

 そして次の瞬間、二つの大きな音が体育館に響いた。

 一つは、ウォルの拳がミットを叩いた音。

 もう一つは、ウォルの鋭い打撃でクレイグの手からパンチングミットが吹き飛び、10メートルも後ろの壁に凄い勢いで衝突した音である。

 

「……えっ?」

 

 呟きは誰の声だったか。

 あまりに想像を絶する光景に、その場にいた、ウォル以外の全ての人間が声を失った。

 ミット打ちの際にパンチングミットが外れるくらいは珍しい事ではない。しかしそのミットが文字通りすっ飛んで、壁まで一直線に吹き飛ばされるなど、あり得る話ではない。

 いったいどんな威力の打撃ならそんな芸当が出来るのか、想像すらできない。

 唖然とした一同の視線の中で、ウォルが申し訳なさそうに首を竦め、

 

「すまん、何か不味かったか?」

 

 ウォルの声に我に返ったクレイグが、

 

「……いや、きみは悪くない。僕が、きちんとミットを着けていなかった……んだと思う」

 

 狐に摘ままれたような表情のクレイグは、壁まで歩いていきミットを拾った。

 これは果たして現実かと思う。しかし、右手に残された重たい痺れが、これは現実のことであり、ウォルの打撃が想像を絶するものであったことを物語る。

そ してクレイグは、今度はミットのリストラップを痛いくらいにしっかりと手首に巻き、マジックテープを圧着させた。これなら、力づくで引き抜こうとしても引き抜けないはずである。

 気を取り直すように、クレイグは再度ミットを叩き合わせ、バシンと大きな音を鳴らした。

 

「さぁ、再開だ。もう一度ジャブ!」

「しぃっ!」

 

 ウォルの短い呼気が響き、先ほどと勝るとも劣らない一撃がミットに叩き込まれる。

 普通ならば打撃を受け止め、適度な力で押し返すはずのミットは、ハンマーを叩きつけたような重い音とともに、持ち主であるクレイグの右腕ごと後ろに弾け飛んだ。

 

ーー冗談だろう!?

 

 クレイグは、右手を貫く痛みに顔をしかめながら、内心で驚嘆していた。

 これが、見た目なよやかなこの少女の打撃か!?

 クレイグは今まで数え切れない競技者のパンチをミットで、そして自身の身体で受けてきた。その中には到底自分では敵わないようなパワーの持ち主もいたし、本当に人間か疑わしいような怪力の選手もいた。

 しかし、この少女に比べれば、それらの印象が水平線の遥か彼方に消え去ってしまう。

 はっきりと分かる。この少女は、ものが違う。身体を構成する細胞の悉くが、自分のような凡人とは造りが違うのだと。

 

「次、ワンツー!」

 

 今度は吹き飛ばされまいと、かなり前傾重心になったクレイグが指示を出すと、過たずウォルは構えられたミットにパンチを叩き込む。

 左手と右手、両方のミットを、ほぼ同時のタイミングで鋭く重たい衝撃が貫く。

 それは、巨大なハンマーで叩かれたというより、鋭い槍に貫かれたようなイメージをクレイグに与えた。

おそらく、この少女の拳は恐ろしく硬い。そして、少女ならではの小さな拳。それらがあいまって、叩きつける衝撃よりも貫くようなインパクトを与えるのだろう。

 これは、きっと人を殺せる拳だ。それとも、人を殺したことのある拳。クレイグは確信した。

 

「ワンツー、ボディ!」

 

 ワンツーパンチの後のボディは、下半身で作ったエネルギーを、腰の捻転、肩の捻転を通じて拳に伝える、お手本のようなボディブローだった。

 ウォルの拳は、重ねて構えたミットを貫き、クレイグの腹部に悶絶寸前の衝撃を叩き込んだ。クレイグが倒れなかったのは、自分が男であり、年上のファイターであるという自負心によるものだ。

 もしもウォルが格上のファイターだったなら、自分は遠慮なく倒れ伏し、たかがミット打ちでマットを舐めていたのだろうか。不吉な想像にクレイグは片頬を歪めた。

 気を取り直したクレイグは、しかし、次々とウォルに指示を出し、ウォルはその指示通りにミットを打った。

 コンビネーションは4発から5発、間に牽制の反撃も入るというふうに、どんどん複雑なものになっていったが、ウォルの攻撃はプロボクサーもかくやという見事な動きで的確にミットを捉えていく。そして、それらの攻撃の全てが、クレイグに重たいダメージとして蓄積していく。

 結果、3分経過のブザーが鳴ったとき、ようやく薄い汗を掻き始めたウォルの前には、全身汗みずく、疲労困憊で立つのもやっとといった様子のクレイグがいるという有り様であった。

 

「だ、大丈夫か、クレイグ殿?」

 

 ウォルが心配そうに駆け寄ったが、両手を膝につき肩で息をしていたクレイグが、片手を上げてそれを制した。

 

「はぁ、はぁ……大丈夫……とはお世辞にも言えないけどね、この程度で参るような柔な鍛え方はしていないつもりだ。心配ご無用だとも」

 

 ようやく息が整ってきたクレイグが、呆れたように微笑みながら言った。

 

「全く、本当に君は驚くべきお嬢さんだ。パワーとスピードもそうだが、テクニックもずば抜けている。これが人生でたった二回目のミット打ちだというのだから、僕のような凡人は、もう笑うしかないよ」

「お褒め頂き光栄だ。きっと一回目の先生の指導が素晴らしかったのだろう」

「なら、是非ともその素晴らしい先生に、僕もご指導頂きたいものだ。心の底からそう思う」

 

 ウォルは頷いた。あの時、素手の格闘技に慣れないウォルを指導してくれたのは、ルウ、メイフゥ、そしてヴォルフであった。

 彼らのパワーやテクニックに比べれば自分などまだひよっこも同然と思っていたウォルだから、こうも誉められると些か居心地が悪い思いすらしてしまうのだ。

 ウォルは気を取り直して、

 

「ではクレイグ殿、もう少しお付き合いいただけるか?」

 

 クレイグは、力無く微笑みながら首を横に振った。

 

「申し訳ないがフィナくん、これ以上、君を相手にミットを持ったら、僕の身体が壊れてしまいかねない。悪いが僕からギブアップだ」

 

 この言葉には、セム大学MMA部の部員から驚嘆の叫びが沸き起こった。

 当たり前のことだが、ミット打ちはミットを叩く人間のトレーニングであって、先に根を上げるとすれば、ミットを叩く人間のはずだ。少なくとも、ミットを持つ人間が、疲労や痛みを理由に練習を中断するなど聞いたことがない。

 まして、ミットを持っていたのは、部長のクレイグである。彼が、過日のTBOで、惜しくもメダルは逃したが、ライトヘビー級のベスト8に堂々の入賞を果たしたのを、当然のことながら部員は全員承知している。

 そのクレイグが、見た目は普通の女の子でしかないウォルに、ただのミット打ちでここまで追い詰められるなど、ありうべき話ではない。

 オリベイラの投稿した動画のことを知っている幾人かの部員は、やはりこの少女が、正面からオリベイラを叩きのめしたのだと確信をあらたにした。

 

「ではどうするかな。これで体験入部はおしまいか?」

「いや、僕は少し準備をしてくるから、もしよければサンドバッグでトレーニングをしていてくれるかな?おい、みんな、フィナくんを案内してやってくれ」

 

 クレイグの指示に従って、何人かの部員がウォルをサンドバッグの前まで案内する。

 ウォルは、こないだのトレーニングのときはサンドバッグを使わなかったので、使い方が分からない。

 

「これはどうしたらいいのだ?」

 

 そう問われた部員こそ、むしろ困惑した様子で、

 

「どうって……思い切り殴ったり、蹴ったりすればいいんだよ。コンビネーションの練習をしてもいい。自由にすればいいさ」

「なるほど、思い切りやっていいのか」

 

 ウォルは楽し気に笑いながら、サンドバッグの前に立った。

 そして構えを作り、真剣な表情でサンドバッグを睨む。

 

「シュッ!」

 

 鋭い呼気がウォルの口から放たれ、そして満身の力を込めた右ストレートをサンドバッグに叩きこんだ。

 どごん、と大砲の弾が着弾したような、凄まじい音が響く。

 そして、重量にして100キロを軽く超えるであろう巨大なサンドバッグは、横に振れるのではなく、くの字に折れ曲がったまま縦に跳ね上がり、天井に衝突した。

 部員は、呆けたような顔でその不可思議な現象を眺めていた。

 強く鋭く正確なパンチを受けたサンドバッグは、横に揺れるのではなく縦に跳ねる。それ自体は珍しい現象ではないのだが、しかし跳ね上がるにしても限度というものがある。

 一体どんな力がサンドバッグに加えられたのか。考えるのも恐ろしい話だ。

 一方、先程のミット打ちでは全力を出し切れなかったウォルは楽しそうな表情だ。

 

「よし、次は思い切り蹴ってもいいかな?」

 

 うきうきとした調子で、茫然とした部員に問いかける。

 

「あ、どうぞご自由に……」

 

 部員としては、何か不穏な空気を感じはしたが、駄目だともいえず、しかし積極的に勧めては一体何が起こるのか空恐ろしく、そういうふうに返すしかなかったのだろう。そして口調が敬語になっている。

 ようやく揺れが収まりかけたサンドバッグに再度対峙したウォルは、今度は右足を少し引き、そして呼吸を整えて、

 

「しゃっ!」

 

 気合一閃、ウォルの右足が宙を走り、サンドバッグの側面にぶち当たった。

 ミドルキック、もしくは回し蹴りという技である。

 今度も、やはり交通事故が目の前で起きた様な、凄まじい衝突音が体育館に響き渡った。

 またサンドバッグが跳ね上がるだろう、そう予想していた部員の眼前で、今度は更に信じがたい現象が起きた。

 ウォルの怪力に耐えきれなくなったのは、サンドバッグと天井を繋いでいた鎖であった。頑丈な金属製のそれが、バギンと硬質な音を立てて砕け、そしてサンドバッグは真横に吹き飛び、そして地面を擦って横倒しになってしまったのだ。

 

「ああ、すまん、壊してしまった!」

 

 ウォルは慌てて横倒しになったサンドバッグに駆け寄るが、もちろん何ができるわけでもない。

 部員たちに向けて振り返ったウォルの顔は、悲し気で、心底申し訳なさそうだった。

 

「……少し調子に乗りすぎた。弁償はさせてもらうから、どうかご容赦いただきたい」

 

 しゅんとしてしまったウォルに、

 

「……いや、サンドバッグの鎖が千切れるのはよくあることだから……」

 

 声を擦れさせながら、部員が呟く。

 確かに、重たいサンドバッグを支え、パンチやキックの衝撃を受け止める鎖部分は、いわば消耗品である。衝撃を受けるたびに鎖と鎖が擦れ、削れられて少しずつ細くなり、やがては千切れてしまう。それ自体はよくあることだ。

 しかし、先程ウォルの蹴りで千切れ飛んだ鎖は、まだまだ新品同然に太く、少しも削れた様子はない。ただ、巨人が力任せに引きちぎったように、鎖の接合部分が大きくねじくれてこじ開けられているのだ。

 どう考えて、先程の蹴りの一撃が原因だとしか思えない。

 もう、部員たちは声を出すこともできなかった。ただ静かに、しょげた様子の少女を眺めることしかできなかった。

 

「やっぱりね。こんなことになるだろうとは思ってた」

 

 くすくすという笑い声は、クレイグのものだった。

 リングの上に立ったクレイグが、試合用のトランクス、そしてヘッドギアとグローブを身に着け、ロープにもたれかかるような姿勢でウォルを見下ろしていた。

 

「クレイグどの」

「フィナくん、せっかくの体験入部だ。どうだい、最後に僕とスパーリングしていかないかい?」

 

 クレイグの提案に、ウォルは笑顔で頷きかけたが、

 

「部長!止めてください!」

「正気ですか!?」

「絶対に怪我します!下手すりゃ死にますよ!?」

 

 男女を問わず、部員のほぼ全員が、血相を変えてクレイグを止めにかかった。

 普通、男子大学生でしかもライトヘビーという重たい階級のクレイグが、中等部生にしか見えないウォルと本気でスパーリングをすると言えば、ウォルを守るという意味でクレイグを止めるだろう。

 しかし、今の部員が慌ててクレイグを制止するのは、誰が見ても真逆の意味である。少女の形をしたモンスターとの無謀なスパーリングに挑もうとしている部長の身の安全のために、このスパーリングを止めようとしているのだ。

 そんな部員達をにこやかに眺め、しかしクレイグは首を横に振った。

 

「みんなの言いたいことは分かる。僕も、この子に勝てるなんて正直考えていないさ。でも、強い人間がいるなら、例え勝てなくても戦いたくなるのが僕たちみたいなファイターの性だ。大丈夫、別に死ぬわけじゃない……と思うけど……大丈夫だよね?」

 

 冗談に、本気を一匙混ぜたような調子で、クレイグはウォルに話を向ける。

 ウォルは、中途半端な笑みを浮かべ、

 

「クレイグどのは冗談が上手い。おれのような素人が、あなたのような玄人に勝てるはずがないではないか」

「フィナくん、きみのような聡明な女の子にしては冗談が下手だ。過ぎた謙遜は、相手の自尊心を傷つけるよ。覚えておくといい」

 

 くすくすと微笑ったクレイグが、部員に指示をして、ウォルにヘッドギアを着けさせる。グローブは元から着けているから、これで準備は整ったことになる。

 ウォルは、リングに上がった。

 

「時間は3分1ラウンドだ。それ以上は、こちらがもちそうにない」

「相分かった」

「ルールは、細かいことは無視しよう。きみは、基本的に何をしても構わない。ぼくは、一般的なMMAのルールで戦わせてもらう。無論、これはスパーリングだからね、極力相手に怪我はさせないのが大原則だ。それでいいかい?」

「承知した」

「よし、じゃあ始めよう。ブザーを鳴らしてくれ」

 

 クレイグの合図とともに試合開始のブザーが鳴り響く。

 そして、リングの中央で、ウォルとクレイグは相対した。

 クレイグは、きっちりとガードを持ち上げ、一部の隙もない様子だ。

 クレイグの身長は、190センチ、体重は90キロほどもある。目方でいえば、ウォルの倍に等しい。だが、ウォルはあのオリベイラを一撃で仕留めているのだし、先程までの練習でその結果が決して幸運の女神が微笑んだ結果でないことを、クレイグは重々承知している。

 一方、ウォルも、ヴォルフ達に教えてもらったとおり構えている。両手のガードは高く、しかしタックルを警戒して、持ち上げすぎない。

 スパーリングは静かに始まった。クレイグがじりじりと足を使い、ウォルの周囲を回るように間合いを詰めていく。その間も、頭を揺らし、牽制のジャブを放ち、ウォルの奇襲を警戒した様子だ。

 それに対してウォルは、クレイグの動きに合わせて身体の向きを変えるだけで、ほとんど足を動かしていない。

 クレイグは無言で頷いた。格上のファイターの動きとして、ウォルのそれは正しい。逆に、もしも自分が普通の中等部女子生徒とスパーリングをしたなら、ウォルのような動きをするだろう。相手には自由に攻撃をさせ、その全てを受けきるのだ。自分から動き、相手に攻撃しようとは思わない。

 つまり、自分は胸を借りる立場なのだ。下手に遠慮すれば、それは怯懦の誹りを免れ得まい。

 クレイグは鋭くステップインし、ウォルを自身の射程圏内に置いた。そこは、クレイグのリーチなら攻撃が可能であり、逆にウォルのリーチなら攻撃が届かない、絶妙の間合いであった。

 

「シィッ!」

 

 短い呼気とともに、鋭いジャブをウォルの顔面に向けて放つ。予備動作がほとんどない、しかし下半身のタメと肩のねじりによって十分体重が乗った、お手本のようなジャブだ。

 これでウォルを倒せるなんて思ってはいない。しかし、確実にガードに当たり、相手の動きを止めるだろう、そういう攻撃だった。

 だが、クレイグの見込みは外れた。ジャブは、想定された被弾位置に拳が到達しても、何に触れることもできなかった。

 クレイグは一瞬、何が起きたのか分からなかった。絶対に当たるはずの攻撃が、すかを喰らったのだ。

 理由はすぐにわかった。ウォルが、クレイグの踏み込みと同じだけ後ろに下がり、さらに上体を後傾させ、のけぞるような体勢でクレイグのジャブを躱していた。

 普通、一流のファイターの放つジャブの速度は人間の反射神経を超える。見えたとしても、それに反応して躱すのはほとんど不可能だ。

 つまり、この少女は、攻撃だけではなく、防御についても常人の域を超えているということか。クレイグは認識を更新させた。

 ならばとばかりに、クレイグは矢継ぎ早にジャブを繰り出す。一発を躱されても、次の攻撃が突き刺さる、そういう連打だ。そして、先程のジャブに比べれば威力で劣るものの、速さは上回っている。

 しかしウォルはそれらの攻撃を全て躱してしまった。首を振り、身をかがめ、或いはバックステップで、拳が身体に触れるのを許さない。

 そして、少女は微笑んでいた。ヘッドギアの下の瞳が、口元が、蜜を含んだようにほころんでいる。

 クレイグは寧ろ楽しくなってきた。これだけ自分の攻撃が躱されたのは、初めてのことだ。きっと目の前の少女は、少女であって少女ではない。無論、化け物とかでもない。もっと、強く、偉大で、綺麗な存在だ。自分の全力を容易く受け止めてくれる存在だ。

 遠慮など不要だった。全力でいかなければ失礼でしかない。

 

 ――これならどうだ!?

 

 クレイグは放ったジャブをウォルの顔の前で止め、拳をそのまま目隠しとする。そして半歩ステップインし、今度はローキックでウォルの足を狙った。それも、体重を乗せた重たいローキックではない。つま先を走らせる、スピード重視の、当てるためのローキックだ。

 絶対に当たる、その確信を持って放った攻撃は、しかしというべきか、やはりというべきか、ウォルには届かなかった。ウォルは巧みに立ち位置を入れ替え、ローキックの射程外に身体を逃がしていた。

 まだ一撃も当てていないのに息を乱し始めたクレイグは、なるほど、やはりまだまだ認識が甘かったのだと悟った。受け止めてくれるなどとんでもない。受け止めさせることすらが困難事なのだ。

 もう、クレイグは手段を選ぶつもりはなかった。

 立ち技では勝ち目がない。そもそも、華麗に勝ちを決められる相手ではない。

 ならば方法は一つだけだ。どれほどみっともなくとも、泥臭くとも、勝ちに行く。

 戦法は決めた。被弾を覚悟で前に出て、腕をフック気味に振り回す。その流れで組みつき、強引に押し倒して寝技に持ちこむ。それしか勝機はない。

 そのつもりでクレイグが前に出ようとした瞬間、ウォルはクレイグの意図を読んでいたかのように自分から間合いを潰し、今度はウォルの攻撃が届く間合いに飛び込んだ。

 

 ――不味い!

 

 クレイグが、反射的に顔面をガードする。あの膂力でノーガードの顔を殴られれば、冗談抜きで生死に関わる。

 だが、ウォルはクレイグの顔面は狙わなかった。その代わりに、ほぼ棒立ちになっていたクレイグの足を目掛けて、鋭いローキックを放った。

 速い。音が遅れて聞こえるような、凄まじいスピードのローキックだ。

 当然のごとく、クリーンヒットした。バシンと肉を叩く嫌な音が響く。

 そして、これは蹴られたクレイグ当人にしか分からないが、驚くほどに重たいキックだった。

 普通なら、ローキックは一撃で仕留められる攻撃ではない。何発も同じ場所に当てて、ようやく効かせることが出来る技だ。

 だがウォルの放ったローキックは、たったの一発で、鍛え上げられた分厚い太腿の筋肉を貫き、骨を痺れさせる威力があった。

 じわじわとした痛みが背筋を這い登り、脳髄に到達し、そして爆発する。

 

「くわぁっ!」

 

 クレイグの口から悲鳴に近い叫びが漏れだす。蹴られた足が、がくりと膝から崩れ落ちる。顔面をガードしていた腕が、蹴られた箇所を庇うように下げられる。それらは反射に近い反応で、人間ならば致し方ないものである。

 だが同時に、闘技者としては致命的なミスでもあった。つまり、顔面ががら空きになり、顔の位置が下がったということだ。その位置は、ちょうどウォルにとって一番殴りやすい場所だ。

 

 ――しまった!

 

 クレイグの背筋に、今度は冷たい戦慄が走り抜ける。自分が犯した過ちを内心で罵り、脳裏に走馬灯に近い映像が浮かび上がる。

 だが、そんなクレイグを嘲笑うかのように、無慈悲な拳は、予想された最悪の軌道とタイミングで、彼の顔面へ襲い来る。

 

 ――死んだか!?

 

 クレイグはそう思った。来るべき衝撃に、そして痛みに覚悟を決める。

 しかし、ウォルの拳はついにクレイグの顔を叩くことはなかった。風を纏うような速度で繰り出された右ストレートは、恐怖に硬直したクレイグの顔面の僅か数ミリ手前で停止していた。

 有り得ないことだが、クレイグは、自身の顔が、ウォルの拳が巻き起こした風圧で変形したように感じた。

 クレイグは、呼吸を止めてウォルの拳を見つめた。

 しばらく、ウォルとクレイグは微動だに動かなかった。もっとも、ウォルは動かなかったのであり、クレイグは動くことができなかったのだが。

 それでもクレイグは荒くついていた息をなんとか収め、最後に一度深呼吸してから、諦めたように微笑み、

 

「降参だ。ぼくの負けだよ」

 

 その言葉を聞いて、ようやくウォルは拳を下ろし、そして微笑んだ。

 

「良い勝負でした」

 

 ウォルは笑顔で右手を差し出し、クレイグはそれを握った。

 その瞬間、息を呑んで試合を見守っていた全ての部員が大きな歓声を上げ、特大の拍手でもって二人の健闘を祝した。

 クレイグは強い。この部では間違いなく一番だし、連邦大学全体でも、彼に勝てる人間がどれほどいるか。

 そして、この不思議な少女はもっと強いのだ。

 すごい試合だった。片時も目を離せなかった。部員達は、試合に酔っていた。

 そんな熱狂の中、片足を引き摺るようにしてウォルに歩み寄ったクレイグは、乾いた笑みを浮かべながら首を横に振り、

 

「MMA選手のぼくが、グラウンドに持ち込むことも出来ず、たったの二発の攻撃――しかも寸止めで勝負を決められてしまったんだ。完敗だ。言い訳も『もしも』もない、気持ちいいくらいの負けだった。本当に見事としか言いようがない」

 

 今度はウォルが首を横に振り、

 

「残念ながら、おれは組技や寝技にはとんと疎い。もしもそちらの勝負に持ち込まれれば、きっとあなたの勝ちだったはずだ」

「この場合、きみの言葉をどこまで信じていいかとても疑わしいんだが、慰めの台詞と受け取っておこうか」

 

 肩を竦めながらのクレイグの言葉に、ウォルは苦笑する。

 

「ところでクレイグどの、足は大事ないか?」

 

 クレイグは、先ほどウォルに蹴られた左太腿を見下ろす。そこは、まるで一試合フルラウンド、何度も何度も蹴られ続けたように、真っ赤に腫れ上がってはいたが、どうやら肉離れや骨折のように重傷というわけではなさそうだ。

 

「この程度なら日常茶飯事だ。心配ご無用だよ」

「それは良かった。この身体になってから、普通の人間を思い切り蹴飛ばしたのは初めてだったから、少し不安だったのだ」

 

 この身体になってからというウォルの台詞にクレイグは小首を傾げたが、深く詮索はしなかった。

 代わりに口調を変えて、

 

「なぁ、フィナくん。今日は体験入部というかたちだったわけだが、本当にセム大学MMA部に所属するつもりはないかい?きみは中等部生だと聞いているが、もしもMMAに興味を持ってくれるなら、中等部の部活動でこれだけ設備の整った環境はないはずだし、きみに見合う練習相手も見つからないだろう。ぼくたちは心の底からきみを歓迎させてもらう。悪い話じゃないと思うんだが……」

 

 リングの上で熱烈な勧誘を始めたクレイグに、リング下から試合を撮影していたノーマンが苦笑とともに声をかける。

 

「おいおいクレイグ、うちの期待の星を横取りするのは無しだぞ」

 

 大いに心外といった表情で、クレイグはノーマンに返す。

 

「課外活動の掛け持ちなんて別に珍しい話じゃないだろう?ノーマン、きみのほうこそ、こんな綺羅星みたいな才能の独り占めは慎むべきだ」

「フィナくんの将来の夢はアイドルなんだぞ?スポットライトの下で歌って踊るのがアイドルであって、スポットライトの下で殴り合うアイドルなんて聞いたことがない」

「いいじゃないか、歌って踊って闘えるアイドル!絶対に話題になるぞ!男の子ってやつは、綺麗で可愛いものが好きで、そして何より強いものが大好きなんだ!カブトムシやクワガタが嫌いな男の子なんていないだろう?だから、この子は本格的にMMAに世界に足を踏み出すべきなんだ!」

 

 どうにも大人気ない様子で、喧々囂々の議論が繰り広げられる。

 それに対して、自身をカブトムシやクワガタと同列にされてしまったウォルは、苦笑するしかないといった有り様である。

 気を取り直したウォルは、いまだ熱い調子でノーマンと言葉を交わすクレイグに話しかける。

 

「クレイグどの。あなたの正直な意見を聞きたいのだが、もしも今のおれがこういった形式の試合に出場したとして、どれくらいの成績を残せると思う?」

 

 ノーマンとの議論を打ち切ってウォルの方に向き直ったクレイグは、はっきりとした調子で言い切った。

 

「中等部生クラスなら、男女を問わず全宇宙できみが最強だ。明日にでもチャンピオントロフィーを抱え上げることが出来る」

「では、成人を含めるなら?」

「……同体重なら、男性を相手取ってもきみはチャンピオンになれると思う。女性相手なら、どれほど体重差があっても君が一番だ。ただ、男性の無差別級相手だとどうだろう。ぼくはまだ、その世界に立ち入っていない人間だからね、きみがどれほどの成績を残せるかは断言出来ない」

「では、もしもおれがこの世界で、男も含めて最強の人間になったら、おれはこの世界で有名になれるか?」

 

 クレイグは一瞬目を丸くし、その後で力強く断言した。

 

「中等部の女の子が、共和宇宙MMAリーグの無差別級チャンピオンベルトを巻いてみろ。例えきみが名前を隠したがっても、マスコミがそれを許すもんか。否が応でも、きみの名前は共和宇宙全体に知れ渡る。覚悟しておくといい。この宇宙できみの名前を知らない人間なんて、一人もいなくなるぞ」

「そうか、それは望むところだな」

 

 ウォルは、少女に似つかわしくない、太い笑みを浮かべた。

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