懐かしき日々へ(デルフィニア戦記・暁の天使たち他)   作:shellfish

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第五十七話:戦闘開始

 息も絶え絶えな様子で扉を開けた少年が見たのは、舞台の上で絡み合う二人分の肉体だった。

 大きなものが一つと、小さなものが一つ。

 大きなものが右で、小さなものが左。二つの肉体が、立ったまま、絡み合っている。

 大きなものが男で、小さなものは、本当に小さな、少女だった。自分の見たことのある、自分の愛する、少女だった。

 自分の見たことのある、自分の愛する少女が、純白のウエディングドレスを身に纏い、舞台の上で、見世物になっていた。

 きらきらと、ウエディングドレスにまぶされた金粉と、少女の汗が、スポットライトを跳ね返しながら煌めいている。

 幻想的な程に美しい舞台の上で、少女はおぞましい見世物になりながら、恍惚の表情を浮かべていた。

 少女の腕は、天井から伸びた鎖に吊らされている。ちょうど、屠殺され皮を剥がれた家畜が冷凍庫でそうされるように、少女は宙づりになっていた。

 少女の足は、男の腰に回されている。少しでも彼を己の深くに迎え入れるために、精一杯の情熱を込めて男の腰に絡みつく、少女の白い生足。

 男の腕は、華奢な少女の腰を、しっかりと抱え込み。額にじっとりと浮かんだ汗、張り付いた赤毛、苦痛に耐えるように、快楽に翻弄されるように、顰められた眉、ぽっかりと開け放たれた口。吐息に白さと官能が入り交じり、溶鉱炉のように、激しく吐き出されていた。

 放精するシャケみたいに、びくりびくりと痙攣する、歓喜に震えた男の背中。忘我の呻き声。

 二人を祝し、こだまする囃し声。拍手、拍手、拍手。

 少年の意識が、憤怒の色で真っ赤に染まった。

 

 

 敬礼をしながら不動の姿勢を崩さない兵士の横を、悠然とした車体が通り過ぎ、石畳とタイヤが擦れて、土埃が舞った。

 城門の前に、続々と、車が到着した。

 常ならば考えられないことだった。

 山間深くにある、隠れ城である。周囲を濃密な森林と崖に囲まれ、道は悪路しかない。普段ならば、一月も訪れる人間がいなくて当然の場所なのだ。

 だが、警備する兵士達は、奇異を覚えなかった。この国の大統領が代替わりし、この山城を自身の居宅として用い始めて以来、このようなことは何度かあった。どうやら、大統領の一人息子であり、青年実業家として名を知られるルパート・レイノルズが主催するパーティだか研究会だかに招かれて、多くの著名人がこの城を訪れるようになったのだ。

 今日も、おそらくはその集まりなのだろう。それが証拠に、駐車場に並んでいるのは、いずれもが共和宇宙全体でも名の知れた、超の付く高級車ばかりだ。売れば、一台で土地付きの家が買えて、なおお釣りがくるに違いない代物である。到底、安月給の一般庶民に手が届くようなものではない。

 その中の一台の、ぴかぴかに磨かれたドアが開くと、中から、素晴らしい仕立てのタキシードを纏った、恰幅の良い紳士が降りてきた。きっちりと櫛の入ったロマンスグレーの頭部と、整えられた口ひげ。さながら歴史上の偉人が肖像画から抜け出してきたような威厳と迫力がある。

 その厳めしい表情が僅かに和らいだのは、城門へと足を進める人間の中に、年来の友人の顔を見つけたからだ。

 

「そこを行かれるのはレニエ卿ではありませんか」

 

 その声に、シルクハットをかぶり特徴的なモノクルを付けた学者風の男が振り返った。

 

「おお、誰かと思えばジョラス卿!近頃は何の音沙汰もなかったので、心配していたところです。便りの一つも頂けないとは、無情にもほどがあるのでは?」

 

 レニエ卿と呼ばれた小柄な男は殊更悠然とした足取りで歩み寄り、ジョラスの手を熱心に握った。

 ジョラスは、頭一つ分も低い位置にあるレニエの非難の視線に対して、口ひげを歪めながらの苦笑いで応えた。

 

「音沙汰がなかったと仰るが、前に我らが顔を合わせてから、一月と時間は経っておりませんぞ。特別な慶弔もなし、便りを送る方が心配をおかけしようというもの。どうかご容赦下さいませんか?」

「そういえばそうでしたかな?いや、あなたと過ごす時間が充実している分、それ以外の時間があまりにも冗長に感じられましてな。どうかお許し頂きたい」

 

 レニエは、大して悪いと思うでもなく、快活に笑った。小柄な体格とひょうきんな性格が相まって、どうにも憎みきれない男であった。

 二人は、人の流れに沿って歩き始めた。城の構造上、車で立ち入れるのは城門のすぐ内までで、あとは自分の足で歩かなければならない。建物部分の入り口まで結構な距離になるが、歴史を刻まれた石畳とよく磨かれた革靴の奏でるこつこつという音が奇妙に楽しく、また、中庭の見事な造形が目に鮮やかなため、歩くのはさして苦ではないことを二人は知っていた。

 

「しかし今日はめでたい!見て下さいこの宇宙を映すほどに澄んだ青空!まるで若い二人の行く先を祝福しているようではありませんか!」

 

 レニエの芝居がかった言葉に、ジョラスはやはり苦笑を浮かべながら、

 

「全くもって。しかし、些か急なきらいは否めません。招待状が届いてから式までにもう少しの時間があれば、もっと人も集まったでしょうに。ルパート君ほどの青年のめでたき日に、祝う人数がこれだけでは少々寂しさを覚えますな」

 

 辺りを見回せば、二人と同じく正装に身を包んで城に向かう紳士淑女が、精々数十人。これでは、出席者の数は百人をどれほど超えるかといったところだろう。既に名声を得ている青年実業家であり、大統領の実子でもあるルパート・レイノルズの結婚式としては、あまりに控えめすぎる人数である。

 ジョラスの懸念も尤もなものではあったのだが、レニエは手にしたステッキをくるりと一つ回してから、大仰に鼻で笑った。

 

「これは、英明で知られるジョラス卿とも思えぬお言葉。よいですかな、まず、こういうものは思い立ったが吉日。身を焦がし溢れ出る情熱は、押しとどめようとするものではなく身を任せるべきもの。まして、ルパート君ほどの若者が、世間的な常識に身を縛られて吉日を遅らせた時こそ、私は失望を禁じ得なかったでしょう」

「ふむ、言われてみれば、それもそうかも知れません」

「加えて言えば、出席者の数など正しく取るに足らぬこと。真実の美と愛を理解せぬ俗物がどれほど集まり二人の門出を祝したところで、雀の群れが田畑で蚯蚓と突っつきながら囀る声と何が違いましょう。真にめでたい今日だからこそ、我らのように選ばれた人間のみで式を祝するべきなのです。違いますか?」

「さすがはレニエ卿。仰ること、一々ごもっとも。確かに、私が不明だったようです。なるほど、これは最高の式典になりそうですな」

 

 レニエは、さも当然というふうに胸を反らしたが、頬が笑み崩れている。自分の意見を認めてもらったのが嬉しいらしい。

 そして、大きく腕を広げて周囲を見回し、大きな声で言った。

 

「見れば、我らの同士のほとんどは幸いにも参加しているようでありませんか。式の知らせが届いたのは昨日の夜のこと。であれば、仕事も学会も、全てをキャンセルしてこの良き日に駆けつけたのでしょう。素晴らしい、素晴らしい友情と結束だとは思われませんか!」

 

 レニエの奇矯に慣れているジョラスは、別に驚いたりはしなかった。

 静かに頷き、

 

「これも彼の人徳と、真実の美と愛にかける情熱の深きが故でしょう。そして、我らは彼に対して無限の恩義がある。暗く埃臭い地下室で、一人怯えながら真実の探求をするしかなかった我らに、光当たる研究発表の場と、尊敬すべき輩を与えてくれたのは、偏に彼のおかげなのですから」

 

 レニエは深く、何度も頷いた。

 

「ならば、仕事や俗人との約束など秤に架ける価値もない。今日この日は、母親の葬儀に不義理をしても参加する価値がある」

「果たしてルパート君は、如何なる結婚式を執り行うつもりなのでしょうか。いや、年甲斐もなくわくわくしてしまいますな」

「まったくもって!」

 

 二人は道のど真ん中で高らかに笑った。

 しばらくの間、雑然とした世間話を交わしながら歩いたとき、思い出したようにレニエが口を開いた。

 

「そういえばジョラス卿。先日貴宅にお邪魔したとき、マギー号のお腹がずいぶん大きかったようですが、そろそろ臨月なのでは?」

 

 レニエの言葉に、ジョラスは相好を崩した。

 

「先日、無事に出産しました。元気な子犬が三匹も生まれましたよ」

「三匹もですか!それはおめでたい!確か、ムンドリ女史のマックス号の種でしたな。さぞ毛並みのよい犬に育つことでしょう。ちなみに、性別は?」

「雄が一匹、雌が二匹です」

「ほう、なんとも珍しい。なにか、薬を使われましたか?」

 

 ジョラスは頷いた。

 

「あれは中々子に恵まれませんで、すでにかなりの高齢になってしまいましたからな。少し無理をさせてでも、子を産ませてやるべきかと思いまして。無論、人の手を介した妊娠を、神が喜ばれないのは重々承知なのですが……」

 

 暗い表情を浮かべたジョラスに対して、レニエは大げさな声と動作で、

 

「何を仰るジョラス卿。マギー号は、確か、もう15才を越える老犬だったはず。ならばそれは仕方のないこと。むしろ、子を為さずに天へと召される悲しい命こそ、神は喜ばれますまい。マギー号自身、あなたに深く感謝をしているはずです」

「ええ、それは分かっているつもりなのですが……。ヴェロニカ教徒の悲しさですな、理性と感情の擦り合わせが中々上手くない」

 

 ジョラスは苦笑した。

 それを慰めるように、レニエが、殊更明るい調子を作りながら、

 

「しかし、それほど思い入れのある子犬ならば、全てご自身で育てられる?」

 

 ジョラスは残念そうに眉を顰め、太い首を横に振った。

 

「生憎、ケージがいっぱいなもので、成長した後のことを考えると中々。雄は、ムンドリ女史へのお礼にお送りしようかと思っているのですが、雌の方の少なくとも一匹は里親を捜さなければならないでしょうな」

「我々ブリーダーの、楽しさでもあり、つらさでもありますな。可愛い子犬に囲まれてずっと過ごせれば申し分ないのでしょうが、命に対して責任を持つ立場からすれば、どれほど後ろ髪引かれようとも彼らと別れなければならないこともある。お気持ち、十分にお察ししますぞ」

 

 悲しげにそう言ったレニエは、しかし嬉しそうな表情を浮かべて、

 

「そこで、ものは相談なのですが、その子犬の一匹を、私に譲っては頂けないでしょうか?」

「よろしいのですか?いや、しかし……」

 

 ジョラスは驚きながらレニエをまじまじと見た。

 

「確か卿のお宅には、既に十匹を越える犬がいたのではありませんか?無論、あなたのブリーダーとしての愛情と情熱を疑うわけではありませんが……」

 

 レニエは笑みを収めて、常の彼にはあり得ないほど真剣な表情を浮かべた。

 

「その点はご安心を。先日、私の愛する犬たちの一匹が、天に召されました。既に老衰甚だしく、日々衰え苦しみ続ける彼女が不憫でならず、この手で安楽死をさせた次第です……」

「それは……心痛さぞかしのことでしょう。心よりお悔やみ申し上げます」

 

 レニエはモノクルの嵌められた片目に色濃い悲しみを浮かべながら、

 

「お慰めの言葉、ありがとうございます。しかし、愛犬ソフィーも既に齢二十を超える老犬でありましたから、既に十分な一生を送ったものと思います。その上で高名なジョラス卿に弔いのお言葉まで賜れたならば、天の国で、本人もさぞ喜んでいることでしょう」

「いえ、彼女がそこまでの長命を授かれたのも、偏にレニエ卿の熱意と、日頃弛まぬ苦心と克己によるもの。同じく彼らに愛情を注ぐ立場の者として、感服します」

 

 ジョラスの口ひげが、沸き上がる感動に、細やかな震えを起こしていた。

 

「であればレニエ卿、先ほどのお言葉に否やはありません。我が愛犬の授かった新しい命を、どうか大切に育てていただきたい」

「おお、まことですか、ジョラス卿!ありがたい、必ず立派な淑女に育て上げてみせましょう!」

 

 二人は、熱い握手を交わした。

 彼らの周囲には多くの人間がいたのだが、二人を微笑ましげに見遣ることがあっても嘲笑を浮かべるようなことはなかった。なぜなら、この場に集まった人間の全てが、二人と同じ種類の情熱を有する人間ばかりだったからだ。

 唯一奇異の視線で二人を見たのが、警備に当たっていた兵士達である。

 数多くの議員をヴェロニカ国議会に輩出した家系に生まれ、自身も上院議員として三期連続当選を果たしているジョラス卿。原始移民の正統な系譜であり、学者としての名声を有するレニエ卿。この二人が、どうして犬の話如きでこうも盛り上がっているのか。

 固い約束を交わした二人が、足取りも軽く眼前に聳え立つ巨大な城へと向けて歩いくのを見守り、しばらくして辺りに誰の姿も無くなったのを確認してから、年若い兵士が呆れたように口を開いた。

 

「人嫌いで有名なジョラス卿も、変人で有名なレニエ博士も、犬のこととなると目の色が変わるらしい。俺みたいな無学者にはよく分からんが、犬ってのはそんなにいいものなのかね」

 

 兵士の同僚が、大して面白そうでもなく口を開いた。

 

「うちにも一匹いるよ。がきんちょが拾ってきた野良だがね。ま、食えば糞を垂れるし、散歩に連れて行かなきゃ機嫌も悪くなるが、それほど悪いもんじゃない。もちろん、あれほど入れ込むことでもないがね」

 

 犬の話をしていたのは、ジョラスとレニエだけではない。兵士達の前を通り過ぎるほとんどの人間が、さも嬉しげに、自分の飼い犬の従順であること、可愛らしいことを誇らしげに語り、子犬が生まれた、可愛い犬を拾ってきた、躾が大変だ、それが一番の楽しみだと語っていたのだ。

 一体どういう集まりかは分からないが、全員が相当の犬好きであることは間違いないらしい。

 

「趣味に熱を上げちまうのは、身分の上下に関わらず、人の拭い難き業ってやつなのかねぇ」

「ま、人様に迷惑のかからない趣味なら、他人がどうこう口出す筋合いじゃねえやな」

 

 そう言って、兵士達は貴人の群れから視線を外した。

 だが、兵士の前を通り過ぎた貴人達、彼らの言う犬が、実は人間のこと──しかも年端もいかぬ少女のことだったとして、兵士達は果たして平静でいられたのだろうか。

 

「そういうこった。さ、無駄口もここまでだ。上官はともかく、あの小娘に見つかったら何て言われるか分かったもんじゃねえからな」

「ヴェロニカ特殊軍とか名乗っておままごとしてる、嬢ちゃん達かい?別にいいじゃねえか、可愛らしくてよ」

「馬鹿言うな。あれでも隊長は大尉さま、俺たちからすりゃ雲の上の人間なんだぜ。こないだなんて酷ぇ目に遭ったんだ」

 

 兵士の一人が、強面で渋面を作りながら、

 

「昨日の夜半にちっと煙草を吹かしてたら、なってないだの弛んでるだの、小一時間も説教をくらっちまった。ったく、大統領の変な趣味がなけりゃ、あんな小娘の口は拳骨一つで黙らせてやれるのによ」

「煙草を吹かしてたらって、任務中だろう?そりゃあお前が悪いぜ。だいたい時期が悪い。何せ、件のテロリストが犯行声明を出したのが昨日の今日じゃないか。そんな時期に弛んだ様子で警備してるのを上に見つかったら、そりゃあ雷の一つも落ちるってもんだ」

「ったく、迷惑千万な話だ。連中も、せせっこましく憂国ヴェロニカ聖騎士団の支部でも潰して回ってりゃいいのに、どうしていきなり大統領暗殺なんかを宣い始めたかね」

「立て続けの成功に気を良くして、自分を一端の革命家だと勘違いし始めたのさ。血の気の多さだけは一人前の素人連中には良くあることだ。気をつけろよ、こういう連中が一番たちが悪い。下手すりゃ素手で革命が起こせると勘違いしかねない」

「なら、蜂の巣の死体がこの城の前に転がるだけだ。森の獣のおやつ代わりにちょうどいいだろうぜ」

 

 違いないと言って、兵士達は笑った。

 とにかく、いい天気だった。空は一点の曇りもない青空で、じっと見上げていれば吸い込まれそうなほどだ。大地に目を映せば、森の碧さはどこまでも深く、みっちりとした生命の気配を醸し出している。

 年若い兵士は、大きく伸びをした。これくらいなら見咎められることもあるまい。

 強く目を瞑り、全身の筋肉に真新しい血液が送り込まれる快美感に酔いしれ、そして薄く涙の浮いた瞼を持ち上げる。

 

「……ん?」

 

 微かにぼやけた視界、その奥に、何かが映り込んだ。

 どこまでも青く、遠い空の中に、小さな小さな黒い染みが。

 少しずつ、少しずつ、大きくなり、そして、どこからか聞こえる騒々しい音。

 

「……なんだ、あれは……?」

 

 訝しげな声。

 咄嗟に双眼鏡を覗き込むと、映し出されたのは、蒼天を背景に迫り来る、見紛う事なき戦闘ヘリの一団の、勇ましく猛々しい姿だった。

 

「……ちくしょう、素手どころじゃねぇ!やっこさん、とんでもないもんで来やがったぞ!」

 

 叫び声と、ロケット弾の着弾音が、ほとんど同時だった。

 戦闘の火ぶたが、切って落とされた。

 

 

『まず、貴様らに言っておこう。わたしは、貴様らが如き猥雑な卑劣漢どもと、せせこましく交渉する気もなければ譲歩する気など更々無い。これは一方的な通告であり、貴様らに異を唱える権利は無い。時間を引き延ばすのも無駄な努力だと知れ』

 

 画面の向こうから、冷ややかと呼ぶにはぴりりと痺れすぎる声が響いた。

 

『30分だ。30分の猶予をくれてやる。それをたったの一秒でも過ぎれば、全てのヘリのロケットタンクを空っぽにするための号令を、わたしは下すだろう。その時に、この石造りの城が元のかたちを保っているか、そして貴様らの飼い主がこの世に生きていられるか、よく考えるんだな』

 

 ざらざらと線の走った画面に映り込んでいるのは、パイロット用のヘルメットを被った、勇ましい女性だった。ヘルメットに収まりきらなかった豊かな赤毛が、炎の滝のようになって女の頬と首元を飾り付けている。金色に輝く瞳が、無機質な敵意に爛々としている。

 女である。声も、柔らかな顎のラインも、全てが女であることを告げている。

 しかし、この映像を見て心安らぐ者、胸を撫で下ろす者は一人としていなかった。それほどに、この女が百戦錬磨の闘士であることは一目瞭然だったのだ。

 つい今し方コントロールルームに到着したバスク大佐は、大型犬の吠え声にも似た唸り声を上げながら、司令官席にどかりと座った。

 

「卑劣なテロリストの首魁如きが、何を偉そうな!しかも、神聖なる男の戦場に、女の分際で立ち入りよってからに!作り涙の一つでも浮かべれば手心を加えてもらえると勘違いをしたか!愚かしい!身の程を弁えろというのだ!」

 

 長年の現場経験と弛まぬ訓練によって獲得した豊かな声量を存分に発揮して、バスクは盛大な罵声を飛ばした。

 苛立ちに任せて、机の上に足を載せた。軍用ブーツの硬い踵が思い切りに振り下ろされ、コーヒーカップが控えめなステップを踏むはめになった。

 普通ならば、司令官たるもの内心を部下に悟らせないため、能面のように表情を変えず沈着冷静を装わねばならないものだ。しかしこの司令官は、いつだって内心のあるがままを──しかも特別強気な部分のみを表していたから、今更部下達は驚いたり動揺したりすることはなかった。

 

「で、テロリストどもの要求は!?」

 

 熱々のコーヒーを一気に煽りながら、怒声と変わらぬ声でバスクが言った。

 通信兵の一人が、大佐の方に顔だけを向けて、

 

「この城に監禁されている、三人の同士の即時無条件の身柄解放。この要求が呑めないならば、大統領の居宅が、その主人と共にこの地上から姿を消すことになると言っています」

「洒落臭いわ!」

 

 空のコーヒーカップを思い切り机に叩き付けた。白い陶器はその瞬間に道具としての使命を終え、無数の破片となって宙を舞った。

 

「テロリストどもの戦力は!?恐れ多くもヴェロニカ共和国の大統領の居宅を標的にしたのだ、戦闘ヘリの一機や二機ならば許さんぞ!」

「これをご覧下さい、大佐殿」

 

 オペレーターが危機を操作すると、壁一面を埋め尽くす大型スクリーンが、女の顔から無機質な地図へと切り替わった。

 バスクには、あまりにも見慣れた地図だ。目を瞑っても正確に描くことができるだろう。この山城を中心とした、精密な地形図である。

 だが、常ならば等高線と地形線だけで構成されるはずの地図の上に、無数の赤い点が浮かんでいる。山城を中心として赤い点が群がる様子は、砂糖菓子の上で狂喜する黒蟻のようだった。

 無論、今、城を包囲しているのは黒蟻ほど可愛げのあるものではない。赤い点の一つ一つが、高度な戦闘力を備えた戦闘ヘリなのだ。

 剛胆なバスクも、流石に息を飲んだ。

 

「百……?それではきかんか。いったい、どうすればこれほどの戦力をたかがテロリスト如きが用意出来るのだ?いや、そもそもどうやって誰にも悟られずにこの場所に集結させた?」

 

 これほどの戦力を一箇所に集中させようとしれば、当然目立つ。ヘリ本体だけでなく、その操縦士、動員する兵士、弾薬、燃料、その他いくらでも人目を引く要素はある。

 それを、警戒態勢にある軍の目をかいくぐり、魔法のようにこの場に集結させたのだ。常識で考えればありうべきことではない。

 しばし呆然としたバスクだったが、すぐに思考のチャンネルを切り替えた。今は真実を追究する場面ではない。目前に差し迫った火の粉を、どのように料理するかを考える時間である。

 

「救援要請は出したんだろうな!?」

 

 バスクは、剛胆ではあったが無謀ではなかった。

 この城には、通常のテロリスト程度であれば草を刈るように撃退できるだけの戦力が備えられているが、だからといってこれだけの物量を動員できる正体不明の敵と単体で戦うには、どうしても不安がある。

 この場合、友軍に助けを乞うのは恥ではない。寧ろ、自軍の戦力を過信し、独力での戦闘を継続すれば、例え勝利が我が物となったとしても非難を免れないだろう。

 上官の声に通信兵が無表情のまま頷き、

 

「総合指令本部及び周辺基地への敵襲連絡と救援要請は完了しております」

「救援はいつ来る!?」

「およそ30分ほどで」

「遅いわ!昼寝をした驢馬だって、もう少し機敏に動くだろう!」

 

 身の程を弁えないテロリストが大統領宅に対して不遜な企みをしていることは、既に周知されているはずだ。そして、襲撃の危険が差し迫っていることも。

 にもかかわらず、この初動体制の遅さは何事か。この城の防備を増強しただけでもう十分と決め込み、胡座を掻いて欠伸でもしていたというのか。

 バスクの顔は、赤みを通り越してどす黒く変色しかけていた。

 

「当方の被害状況と戦況を簡潔に説明しろ!」

「数発のロケット弾が撃ち込まれ、跳ね橋が落とされました。現在、大型車両の出入りは不可能な状況です」

「あちらから出入り口を塞いでくれたわけか。ふん、むしろ好都合だわ」

 

 これで、テロリストが城内に侵入するとしれば、その方法は極めて限られる。

 城壁をよじ登るか、それともヘリから降下するかだ。ヘリを着陸させるのは、平地の少なさから困難を極めるだろうし、その瞬間に集中砲火を浴びることを考えればあちらが余程の大馬鹿でない限り、選択肢としては選ばないだろう。

 

「それだけか!」

「城内及び外壁に数発の焼夷弾が打ち込まれ、現在延焼中です」

「焼夷弾だと!?奴ら、自分の仲間ごと我らを焼き殺すつもりか!」

「いえ、城本体に打ち込まれたわけではありません。兵士の見張り小屋や砲台など、外周に点在する施設が攻撃を受け、数名の怪我人が出ておりますが、城本体への延焼までは至っておりません」

「なるほど、その程度の分別はあるということか」

 

 バスクは少し考え込み、

 

「現在生きている監視カメラの全ての映像を映し出せ!」

 

 オペレーターは上官の指示に忠実に従った。

 大型画面がいくつにも分割され、その一つ一つに監視カメラの映像が映し出された。

 しかしそのほとんどが、墨を流し込んだように黒塗りの映像ばかりである。

 

「何だこれは!どうしてこれほどのカメラが破壊されているのだ!」

「大佐、これはカメラの故障ではなく、焼夷弾の黒煙によるものと思われます」

「ふん、なるほどな。やつら、こちらの目を奪うために焼夷弾をまき散らしたか」

 

 そして、こちらを恐慌状態にしておいて、交渉を有利に進めようという腹づもりか。

 それとも……。

 

「まさか、全てのカメラがやられたわけではあるまい。生きているカメラの映像を拡大しろ」

 

 細分化された画面が、いくつかの大きな枠に組み直されて映し出された。

 そこには、濛々と立ちこめる黒煙が映し出されてはいたが、先ほどの映像のように真っ黒に塗りつぶされているわけではない。腹が立つほどに青い空と、そこを埋め尽くす戦闘ヘリの群れがはっきりと見て取れる。

 

「現在、テロリストどもは何をしているか!?」

「身柄解放の期限を30分後に指定しておりますので、現在は小康状態を保っております」

「やつらの馬鹿げた交渉になど付き合う必要はない!どのみち、やつらがこの城を本気で破壊できるはずがないのだ!あれだけのヘリをかき集めたのも、ただの示威行為に過ぎん!弾幕を張れ!ヘリを、決して城の真上に近づけるな!降下作戦を許せば厄介だぞ!」

「遅くなりました、大佐」

 

 バスクの怒号と共に、緊迫した司令部には不似合いの高い声が聞こえた。

 バスクは大仰に振り返った。

 そこには、少女がいた。赤毛の、利発そうな顔立ちの少女だ。

 

「遅いぞ、マルゴ・レイノルズ大尉!いったいどこで昼寝をしていた!それとも、男の隣で朝寝を決め込んでいたか!」

「まことに申し訳ありません!」

 

 直立不動の体勢をとったマルゴであった。

 これは、叱咤を受けても文句の出来ない状況であった。この城の警備上の総責任者はバスク大佐であるが、実務上の指揮を司るのはマルゴだったからだ。

 バスクは盛大な鼻息を漏らしたが、そこまでで怒りの矛を収め、マルゴを蚊帳の外に置こうとはしなかった。今までの訓練やこれまでの戦績から、この少女が見た目通りの存在でないことを知っていたからだ。

 バスクは簡潔に状況を説明した。マルゴもそれを良く理解した。

 

「敵から送られてきた通信映像を再生できますか?」

 

 バスクが顎で合図を送り、オペレーターがそれに応えた。

 画面一杯に、赤毛の女性の顔が映し出される。

 

「どうだ、見覚えがあるか」

 

 マルゴは頷いた。

 

「間違いありません。現在この城の地下で身柄を拘束している人物の、配偶者です。まさか本当にあの男を奪い返しに来るとは……」

「愛する夫を救う女騎士気取りというわけか。全くもって気に食わん」

 

 バスクは唸り声を上げて、

 

「して、レイノルズ大尉。貴官はこの状況をどう考えるね」

「……これほどの戦力を集中させて、厳戒下にある大統領邸宅を狙う輩です。他の基地からの救援に対しても、何らかの対抗策を練っている可能性が非常に高いと思われます」

「同感だ。一応の保険として救援要請は出しておいたが、それを当てにしているわけではない。我らのみで、あの不逞の女を引っ捕らえるか撃ち殺すかして、旦那の前に引きずり出すべきだろうな」

「基本的に、時間は我らの味方であると考えるべきでしょう。しかし、追い詰められた敵が衝動的な行動を取る前に、速やかに制圧できるよう行動すべきです」

「なるほど貴官の言うとおりだ。しかし、その方法は?」

「敵に勝る圧倒的な戦力で叩きつぶす。ただそれだけです」

 

 その瞬間、轟音と強い振動が司令部に伝わった。

 頑丈な造りの司令室の天井から、ぱらぱらと土埃が降ってきた。

 

「大佐!全ての砲台がやられました!」

 

 バスクが怒りと屈辱に顔を青ざめて、マルゴの顔を覗き込んだ。

 幼子であれば視線を向けられただけで失神しかねないバスクの凶相を見ても、マルゴは針の先ほども表情を変えなかった。

 

「……あてがあるのだな」

「はい」

「ではやってみろ。失敗は許されんぞ。貴官の双肩に、大統領の安全とヴェロニカ共和国軍の誇りがのし掛かっていると思え!」

 

 マルゴは応えなかった。

 無言でコンソールに歩み寄り、回線を特殊軍用のチャンネルに合わせる。

 

「みんな、準備はできた?」

 

 少女の呼びかけに、

 

『おう、いつでもいけるぜ』

『こっちもよ』

『遅すぎて眠っちゃうところだったよ!』

 

 バスク大佐も含めて、コントロールルームに居合わせた全ての人間が言葉を失った。

 それほどに、スピーカーから聞こえた声は、あまりに無邪気で、あまりに幼すぎたのだ。

 呆然とする周囲、しかしマルゴは、

 

「目標は空に群がる雲霞の群れの全て。ただし、指揮官だけは生かして捕らえること。いいわね!」

『でも、指揮官機ってどれなのさ?それがわからないと、全滅させちゃうよ?』

「今からデータを送るわ。通信兵、さきほどの映像がどの機から送られてきたか、分かりますか?」

「あ、はい、逆探知には成功しています」

「なら、そのデータを彼らに送信してください」

 

 通信兵は、自分の娘と変わらない年頃の娘の指示に、忠実に従った。

 

「これで分かった?この機以外の全ては撃墜して構わないわ。簡単なことでしょう?」

『うん、すごく簡単だ!』

『こら、調子に乗っちゃだめよアデル。わたしとザックスの動きに合わせて、きちんと連携すること!分かった!?』

『分かってるって、心配性だなぁアネットは』

『そろそろ出撃していいか、マルゴ。これに繋がってると、あまり長い間じっとしているのが苦痛なんだが』

「分かりました。特殊軍機甲兵小隊、出撃を許可します」

 

 あくまで冷静さを保とうと努めたその声に、微かな感情の震えが籠もる。

 それは、圧倒的な力を思う存分に振るうことを許された、強者の快楽がもたらす興奮だった。

 次の瞬間、カメラのいくつかに、黒い巨人の影が映り込んだ。

 機甲兵。

 総重量10トンを越える、金属の騎士である。

 その逞しい勇姿に、司令部の幾人かが歓声を上げた。地上兵器対空中兵器という不利はあるが、今あの忌々しい戦闘ヘリの群れに対応できるのは、機甲兵を除いて他にないのだ。常日頃、特殊軍と呼ばれる少年少女に対して抱いていた蔑視の念などどこぞに放り出して、純粋にその存在を心強く思った。

 その視線の先で、驚くべき事が起きた。

 機甲兵が、飛んだのだ。

 跳ぶ、ではない。まさしく宙を舞い、空中で──戦闘ヘリの土俵の上で、戦闘を始めた。

 地上の遮蔽物に隠れながらの狙撃戦を予想していた兵士達から、非難の声が巻き起こった。

 

「馬鹿な!何を考えているんだ!」

「狙い撃ちにされるぞ!」

 

 然り、ヘリから無数のロケット弾が放たれる。一撃で頑丈な戦車をスクラップに変える代物だ。当然、いくら頑丈な機甲兵といえど、正面から喰らえば無事では済まない。

 これで万事休すかと思われたその時、またしても驚愕の叫びが司令部を席巻した。

 空中で、地上戦用の機甲兵がひらりと舞い、ロケット弾の群れをいとも容易く躱してみせたからである。それも、一度ではない。幾度も、波状的に襲い来るロケット弾の雨霰を、右へ左へ、上へ下へ、曲芸的とも思える三次元の動きで躱し続けている。

 まるで、黒い機甲兵の周りだけが重力遮断されたように、自由自在の動きだった。

 

「嘘だろう!?」

「何だ、今の動きは!重力下戦闘で機甲兵ができる動きじゃないぞ!」

 

 機甲兵は、戦車の破壊力と歩兵の機動力をコンセプトとして、市街戦を想定して開発された機動兵器である。無重力環境の局地戦に特化した機体もないではないが、基本は地上、それも遮蔽物の多い地形での運用を念頭に開発が為されていることに変わりはない。

 当然、高い機動性を持たせるために高出力のブースターを有してはいるものの、それはあくまで駆動の補助的な役割を持たせるためのものであり、空中戦を可能にさせるほどの出力も持続時間もないものである。

 では、今、目の前で展開されている、機甲兵の華麗な動きはどういうことだ。

 加えて言えば、その反応速度が尋常ではない。ヘリがロケットを発射した瞬間に、あの機体はその射線から身を躱している。まるで、操縦者という概念が存在しないかのようだ。あの機体そのものに命があり、機体そのものが思考しているのではないかというように、反応速度がずば抜けている。

 既存の機甲兵と同じ枠に含めるのがためらわれるほどの回避性能、機動性であった。

 

「マルゴ大尉!説明しろ、あの機甲兵は何だ!一見するとHYDRAシリーズの後継機のようだが、設計のコンセプトが全く異なる!第一、あんな機体は共和宇宙軍の最新鋭のカタログにだって乗ってやしないぞ!貴官は、あの機体をどこから手に入れた!?」

 

 佐官を拝命するまでは機甲兵乗りとして辺境海賊の制圧に従軍していたバスコは、声を限りに問い質した。

 

「わかりません」

「わかりませんだと!?自分の乗っている機体の型番も知らんなど、そんな馬鹿げたことがあるものか!」

「我々に支給された機体は、全てヴェロニカ共和国の国費で賄われているものです。当然、然るべきルートから入手したものと思われますが、私はその詳細までを知りません」

 

 バスコの質問に、マルゴは冷ややかに応じた。

 

「ただ、あの機体は、ヴェロニカ軍とクーアカンパニーの共同開発による試験機だという話は聞いております。無論、他言は無用に願いますが……」

「クーアカンパニーだと!?……なるほど、しかしどうしてそんな化け物が、こんな田舎に配備されてやがるんだ?」

「さぁ、そこまでは……。ただ、搭乗者の脊髄神経と機体の動きを直接同調させる操縦システムを採用していること。そして、超小型のクーアシステムを搭載し、理論的には無限のエネルギーを運用可能であること。この二点をもって、今まで実戦投入されてきた機甲兵とは全く別物の兵器であることは確かです」

「……まるで、出来の悪いSF小説の世界だ。しかも、そんな機体を操縦しているのが、貴官のように年端もない子供か……。世も末だな。それとも、俺のような人間が時代遅れの骨董品なだけか」

 

 バスクはもちろん、マルゴも知らされていないことであったが、クーアカンパニーの兵器開発部門とヴェロニカ共和国は、今を正しく蜜月の関係にあった。

 兵器の開発は、試行錯誤と実験、そして失敗の連続である。当然の如く大きな研究開発費が必要となる部門であるし、ある程度は会社もそれを含んだところで会社を運営しているものだ。

 しかし、成功するかどうかもわからない新技術の開発のために費やすことのできる予算は、当然のことながら限られてくる。それがトリジウムのような超の付く高額の原材料であった場合、おりる予算は限られたものにならざるを得ない。

 研究者は、日夜歯がみしていた。もっと大量の資源があり、もっと自由な研究が出来るならば、兵器の質は格段に向上するのに。

 そして、ヴェロニカ共和国には、無論表に出せないものではあったが、大量のトリジウムが埋蔵されている。しかし、そのトリジウムを効果的な兵器として運用するだけの技術力がない。

 二つの要望は、それを繋ぎ止める人間さえいるならば、容易く結びつくものだったのだ。

 そして、現在のヴェロニカ国の大統領には、極めて顔の広い有能な秘書官がいる。研究開発された機体を横流ししてもらうくらい、何ほどのことでもない。

 つまりは、そういうことだった。

 

「それにしても……見れば見るほど、馬鹿げた性能だ、あれは」

 

 スクリーンでは、虐殺と言い換えることも可能なほどに一方的な、戦闘が繰り広げられていた。

 黒い機甲兵の機体の各所に付けられた大型のスラスターからジェット噴射が起きる度に、10メートルを超えるはずのその機体が、まるで花びらか妖精のように、ひらりひらりと宙を舞う。戦闘ヘリの照準は、到底その動きについていけない。

 そして、ヘリの攻撃の合間合間に、黒い機甲兵の構えたライフルから荷電粒子砲の目も眩むような光線が放たれ、その光に貫かれた憐れな獲物が爆発を起こして墜落していく。

 全て、大量のトリジウムを惜しげもなく使用したことにより小型軽量化されたクーアシステムから供給される無限のエネルギーと、機体と操縦者の神経系が直接連動するように設計された運動性の為せる業であった。

 先ほどまで城に食らいつくピラニアの群れのようだったヘリ部隊は、もはや狼に食い荒らされる羊の群れと同義であった。たった三機の黒い機甲兵に追い散らされ、今やどうにかしてその牙から逃げるのに必死だ。

 

『こんなもんでいいんじゃないかな、マルゴ?』

 

 またしても無垢な声が通信機から聞こえた。

 この、まだ変声期に至らない幼声の持ち主が、何機もの戦闘ヘリをスクラップに変え、その搭乗員を地獄に追いやったのだ。

 司令室にいた兵士のほとんどが、薄ら寒い恐怖感を味わった。

 

「いいえ、まだよアデル。このくだらない戦闘の首謀者を捕まえるまで、あなたたちの任務は終わらないわ」

『えーっ、もう疲れちゃったのにな、僕。分かったよ、えっとどの機体だっけ?』

 

 画面に映し出された機体の一つが、頭部の前に手を庇のように構えて、ぐるりと周囲を見回した。まるきり、人捜しをする子供の仕草である。

 

『んー……と、あ、いたいた!』

 

 無邪気な声が、嬉しそうに響く。

 そして、アデルという名の少年の駆る黒い機甲兵は、最大限の出力で、今まさに戦場から離脱しようとしていた一機のヘリに迫った。

 

『待て待てー!逃げたりしたら駄目なんだぞ!敵前逃亡は死刑だー!』

 

 待てと言われて待つ馬鹿者はいない。ヘリは機体を前に傾けて、全速力で戦線を離脱していた。当然、追いすがる敵に向けて、ロケット弾と機関銃の洗礼を浴びせかけながらである。

 必死の思いで逃げるヘリが作った弾幕を、しかしいとも容易く、まるで雪合戦の雪玉を躱すようにして、黒い機体は進んでいく。その様子は、空中にある見えない足場の間を飛び跳ねているようですらあった。

 そして、黒い機体は、ヘリに近づき、あり得ないことにそのテール部分をむんずと掴んだのだ。

 ヘリは激しく浮沈し、何とかして拘束から逃れようとしたが、最新鋭の機甲兵とはエンジンの出力が二桁ほど異なる。どうしたって逃げられるものではない。反撃しようにも、この距離でロケット弾が爆発すれば、共倒れになってしまう。

 

『へへ、捕まえた!褒めてよマルゴ、僕が捕まえたんだよ!』

「よくやったわアデル。でも、最後まで油断しちゃ駄目よ」

『わかってるって。ええっと、こういう時は何て言うんだっけ。貴官は我々の捕虜となった、貴官には捕虜としての権利が……だったっけなぁ』

 

 ぶつぶつと言い募る操縦者の内心を反映して、黒い機体は顎に手を当てて考え込んでしまった。片手にヘリのテール部分を握りしめ、もう片方の手を顎に当てた機甲兵というのは中々シュールな眺めだったが、今のマルゴにそれを笑う余裕は流石に存在しない。

 

「アデル、いいからそのヘリを地上に引きずり下ろしなさい!ここで失敗したら、あとで大目玉だからね!」

『わ、分かってるよぅ、マルゴはいつだってうるさいんだからなぁ、もう』

 

 黒い機甲兵が、気を取り直したように両手でテール部分を握りしめ、スラスターの出力を調整することでゆっくりと降下し始めた。ヘリはなおも足掻くように上昇を試みていたが、自重に加えて10トンを越える重りをぶら下げたのでは到底飛行が継続できるはずがない。

 ヘリは、黒い機体に引きずり下ろされるようにして、徐々に高度を下げ始めた。

 周囲でも、戦闘は終結に向かいつつあった。

 残り二機の黒い機体が縦横無尽に飛び回り、その空域に存在していた戦闘ヘリのほとんどをスクラップに変えていた。地面は、ヘリの残骸とそこから昇る黒煙で埋め尽くされていた。

 

「これで一段落ついたか」

 

 バスクがほっと一息を吐き出した、その時。

 拘束され、あとは地上で息の根を立たれるのを待つばかりだったヘリから、何か小さな物が落下していく様子が、画面に映し出された。

 マルゴは、その優れた動体視力によって、その落下物の上端に、煌めくような赤毛が翻ったのを確認した。

 

「アデル、女が逃げたわ!」

『え、でも僕、ちゃんと捕まえてるよ?』

「ヘリが逃げたんじゃない!ヘリから、女が飛び降りたの!」

『あ、え、ほんと!?』

 

 わたわたと首を巡らせる機甲兵はユーモラスな有様だったが、今のマルゴにそんなものを楽しんでいる様子はない。

 高度が下がっているとはいえ、いまだ地上100メートルを超える場所にヘリはあったのだ。このまま女が地上と衝突すれば、どれほど頑丈な人間であっても墜落死は免れない。

 それは、マルゴとしても望むところではなかった。この女を生かして連れてくるように、親愛なる父親から頼まれていたのだから。

 息を飲むマルゴの眼前で、スクリーンに映し出された赤毛の女は、しかし自由落下に身を任せたりしなかった。背中に取り付けたバックパックからジェット噴射の炎が上がり、その姿勢を維持していた。どうやら自由落下を始める前に、ポータブルジェットを用意するくらいの分別はあったらしい。

 これで捕獲対象が真っ赤な地上絵に化ける可能性は無くなったわけだが、だからといって胸を撫で下ろしていられる状況ではない。今度は、別方向にありがたくない可能性が出てきたのだ。

 

「逃がしちゃ駄目よアデル!きちんと捕まえなさい!」

『う、あ、うん、もちろんさ!』

 

 黒い機体が、必死に逃げ惑う赤毛の女を追いかける。

 彼我の縮尺から言えば、掌ほどのサイズの人形を追いかけているような感覚だが、これが中々難しい。

 殺そうと思えば簡単だ。ライフルの銃口を向けて、引き金を引くだけである。多少照準からずれたとしても、荷電粒子ライフルの超高熱が対象を燃やし尽くすだろう。直撃すれば、痛いと思う暇すらなく蒸発して死ぬ。

 しかし、捕まえるとならば話は別だ。自由落下しているならともかく、ポータブルジェットの噴射で自由自在に動き回る人間を、怪我を負わせることなく捕まえるなど、通常の機甲兵であればまず不可能、常識外れの性能を誇る黒い機甲兵でも困難を極める。舞い遊ぶ蝶々を素手で捕まえるにも等しい難事だ。だいたい、機甲兵の設計コンセプトは生身の人間を無傷で捕まえるなどという事に重点を置いてはいないのだ。

 スクリーンに映し出された黒い機体は、まるで蚊を叩きつぶそうとしているかのような動作を何度も繰り返したが、当然対象を叩きつぶす訳にはいかないので、手を合わせるときに動作がゆっくりになる。

 その度に、ポータブルジェットを操る赤毛の女がするりと逃げて、機甲兵の巨大な掌は虚空を掴むのだ。

 

『あー、もう、いらいらするー!ねぇマルゴ、これ、叩きつぶしちゃ駄目かな!』

「馬鹿なこと言わないの!そんなことをしたら、向こう一年間おやつとお小遣い抜きよ!」

 

 まだまだ幼い少年にとって、それは死刑宣告にも等しい厳罰であった。

 

『でも、こんなの、絶対に無理だよ!マルゴだって捕まえられない、誰だって捕まえられないよ!それなのに怒られるなんて、絶対に理不尽だ!』

 

 声に、鼻が詰まったような響きが加わり始めた。自分の思うように進めることの出来ない作業と、遅々として改善しない状況に、幼い精神が苛立ち、爆発しかけているのだ。

 これ以上の作業をアデルに任せるのは、捕獲対象にとって極めて危険であると判断したマルゴは、慰めるような調子で通信機に語りかけた。

 

「……そうね、ごめんなさいアデル。少し言い過ぎたわ。あなたは良くやってる。もう、無理はしなくていいから」

『……捕まえられなくても、怒らない?』

 

 ぐすりと、鼻を啜る音が響いた。

 

「ええ、怒らないわ。あの女がヘリで逃げようとしたのを阻止したのは、アデルのお手柄だもの。どうせ、ポータブルジェットでは逃げるにしたって距離は知れている。もう、捕まえたも同然よ。きっとお父様も、よくやったって褒めて下さるに違いないわ」

『えへへ……。お父さん、お小遣い増やしてくれるかなぁ』

「こら、調子に乗らないの。後はわたし達に任せて、あなたは残敵の掃討に参加しなさい。ザックスとアネットに迷惑かけたら、後でひどいんだからね」

『うん、分かってるよ。あと10分で戻るから、冷えたコーラを用意しといてよね!』

「……ま、それくらいは認めましょう。その代わり頑張るのよ!」

 

 そう言って、マルゴは通信を切った。

 画面には、ポータブルジェット操った女性の姿が、森の中に消えていく様子が映し出されていた。

 一度森の中に逃げ込まれてしまうと、自然愛護思想の強いヴェロニカ教徒の悲しさか、機甲兵などを用いた探索が著しく困難になることをマルゴは知っていた。となれば必要になるのは人海戦術であり、自分達の役割はここで終わりである。

 マルゴは振り返り、唖然とした表情を浮かべた大人達に対して、

 

「……ヘリ部隊の残敵掃討は我らにお任せ下さい。ただ、森林部に逃げ込んだ敵首魁の捕獲については……」

 

 大人達の中で、流石に一番早く我に返ったバスクが、しっかりと頷いた。

 

「我らに任せて頂こう。貴官は、帰投した彼らを労うために、冷えたコーラの準備をされたい」

 

 マルゴがくすりと微笑んだ。

 

「承知しました、大佐殿」

 

 司令室を出て行こうとするマルゴの背に、威勢の良い大佐の声が響いてきた。

 

「おい、何を呆けて居るか貴様ら!子供があれだけの働きを見せてくれたのだ!大人である我々が、それに負けてどうするか!早急に追撃部隊を編成し、森に逃げ込んだ女を追え!あの辺りは焼夷弾とヘリの残骸の煙で視界が悪い!暗所戦闘用のヘルメットを忘れるな!そして、外壁部に敵が取りついていないか、入念に確認しろ!守備兵は最小限で構わん……」

 

 扉を閉めて、歩き始めた。

 これで、遠からずジャスミン・クーアという名の女は捕縛され、夫と共に虜囚となるだろう。どうしてお父様があの男と、そしてあの女性に拘るのかは知らないが、これで万事上手く行く。

 

 ──しかし……しかし、何か、おかしくないか。

 

 かつん、かつん、と、軍用ブーツが奏でる硬い足音を聞きながら、一人黙考する。

 ケリー・クーアと名乗るあの男を拘束したのが、一昨日の夜。ジャスミン・クーアがその奪還を企図したとしても、準備にかけられる時間は僅か二日弱である。それだけの時間で、あれだけの戦闘ヘリと、その操縦者を、どうして揃えることが出来るだろう。

 金銭的には、全く問題はない。何せ、あの女はかのクーア財閥の二代目なのだ。預金通帳を覗けば、この国を丸ごと買い取ることが出来るだけの数字が記載されていても何の不思議もないのだから。

 だが、どれだけの金を湯水のように使おうと、時間という壁は厳然として存在するのだし、それを無理矢理こじ開けようとすればどこかで無理が生じる。無理が生じれば、当然のことながら悪目立ちをしてしまう。その時、ヴェロニカ共和国の官憲が高く張ったアンテナに、一切引っかからないということがあり得るだろうか。

 しかし現実に、この城は無数の戦闘ヘリによって包囲され、悪くすれば陥落するところだったのだ。

 

「いったいどうやって……」

 

 マルゴは足を止め、しばらくの間考え込んだが、やがて気を取り直したように息を吐いた。

 とにかく、自分達は勝利したのだ。ジャスミン・クーアは這々の体で鼠のように森の中へ逃げ込んだが、後は狩人に追い立てられる獲物でしかない。時を待たず網にかかり、泥にまみれた憐れな姿を自分達の前に晒すことになるだろう。

 どれほど優れた戦士であっても、独力で、機能的に編成された戦闘部隊に立ち向かうのは不可能である。昨日の夜、廃倉庫で見たあの少女くらいの戦闘能力があるならば別かも知れないが……。

 

「そういえば、あの化け物のような少女は、どこに行ったのだろう……」

 

 先ほどの戦闘に、あの少女の姿は無かった。

 もしかしたら、スクラップと化した無数の戦闘ヘリのどれか一つを棺にして、すでに冷たくなっているのだろうか。それは十分にあり得べき可能性だ。もしそうならば、明らかな人員配置のミスである。あの少女は、もっと局地的な戦いでこそその戦闘能力を存分に発揮できるだろう。ヘリに乗せて降下させるつもりだったのかも知れないが、この城の防御能力を甘く見すぎだと言わざるを得ない。

 いくつもの疑問が浮かび、そのほとんどに対して納得のいく解は導き出せなかったが、それにしても勝利は勝利である。そして、勝者には勝者の責務があり、その責任者として為すべき事は山とあるのだ。

 だが、新しい疑問が浮かび上がる度にマルゴの足は止まり、中々動き出そうとしなかった。

 マルゴは、重たい溜息を吐き出した。

 気持ちの切り替えが必要だ。情けないが、このまま事後処理に当たっては、つまらないミスをしでかしてしまうかも知れない予感があった。そして、こういう予感というのは往々にして的中するものなのだ。

 マルゴは階段を昇り、城の上階のテラスへと向かった。そこは、いつも気持ちのいい風が吹き、見晴らしも申し分のない、彼女のお気に入りの場所だった。

 だが、今日に限って言えばそれは完全な期待はずれだった。風は確かに吹いていたが、それは重油と化学薬品に塗れた粘っこい風であり、到底快い感情を呼び起こすものではなかったのだ。

 テラスから身を乗り出しても、いつものように万里を見渡せるわけもない。外壁に命中していまだ燃えさかる焼夷弾が、もくもくと黒い煙を吐き続け、漆塗りの壁になって視界を遮ってしまっている。

 熱気も凄い。このまま一時間もここにいれば、人のかたちをした燻製になってしまうかも知れない。しかもその燻製は油臭くて、到底食べられたものではないだろう。

 マルゴは残念そうな表情のまま、踵を返して階段を下りようとした。

 その時である。

 風が吹いた。山間に似合いの、木を折り倒すような突風であった。

 

「きゃっ……」

 

 マルゴは咄嗟に伏せた。焼夷弾の作り出した熱風をまともに受ければ、全身に重度の火傷を負いかねないからだ。

 だが、幸いというべきか、風は熱風をマルゴに運ばなかった。その代わり、黒煙が一瞬だけ晴れ、眼下には風景画から切り取ったような絶景が広がっていた。

 言葉を忘れてその光景に見入ったマルゴだった。森はやはり青々と広がり、一片の曇りもない。草原の草花は風に遊ばれて波を作り、その動きを見れば風がどう吹いているかが見て取ることが出来た。空は青く、雲一つない大空がパノラマの大自然の上に鎮座している。日は傾きはじめ、光を構成する色素に、赤みが増し始めた。

 ああ、いつものヴェロニカの風景だ。

 マルゴは満足して、階段を下りようとした。

 そして次の瞬間、悪魔に心臓を鷲掴みにされたような悪寒を味わった。

 

 ──どうしてだ。どうして、いつもどおりの風景が広がっているのだ。

 

 つい今し方、あそこでは戦闘ヘリと最新鋭の機甲兵が死闘を繰り広げていたというのに。ならば、見渡す限りの大地には、黒煙を上げるヘリの残骸が転がっていないとおかしいのに。さっき、一瞬ではあるが確かに見た風景に、そんな無惨なものは含まれていなかった。

 それに、音がしない。まだ、アデル達とヘリ部隊との戦いは終わっていないはずである。なのに、どうしてヘリのローター音や、ロケット弾の爆発音が聞こえないのか。さっき、司令室にいるときはあれ程の爆音を響かせていたのに。

 マルゴは、咄嗟に通信装置のスイッチを入れた。

 

「アデル、アデル、聞こえる!?」

『どうしたの、マルゴ?何かあった?』

 

 聞こえるのは、無邪気な少年の声。

 そして、苛烈な戦場を表す、爆音とエンジン音。

 それが、通信機を付けた片耳からしか聞こえないのだ。

 

「今、そっちはどういう状況なの!?」

『うんとね、もう最初にいたヘリのほとんどは撃墜したんだけど、なんか応援部隊みたいなのが来たんだ。どれだけ数を揃えても無駄なのにね。こっちはいい迷惑だよ』

 

 応援部隊が現れた……?

 違う。この空の下のどこにも、ヘリの一機もいない。それどころか、敵兵の姿すらも。

 

「正規軍の警備兵は!?今、何をしている!?」

『え?ついさっき、パーソナルジェットを飛ばして森の中に入ってったよ?あの女の人を捕まえるんでしょ?』

「やられた……!いい、アデル!即刻帰投しなさい!アネットとザックスにも伝えて……!」

『うん、分かった。きちんと全部片づけてから帰るよ。だから、さっき言ったコーラ、ちゃんと用意していてよね!』

「違うわ、アデル!私、そんなことは一言も……!」

『じゃあね、マルゴ。約束を破ったらひどいんだから!ちゃんと冷やしたコーラだよ!覚えといてね!』

 

 ぶつりと通信が切られた。

 マルゴは、呆然と立ち尽くした。

 おかしい。何かが、決定的におかしい。自分は、何か、とんでもないペテンに担がれているのだ。

 マルゴは、もう一度視線を外へと向けた。だがそこには相変わらず濛々と立ちこめる黒煙があるだけで、その奥にある真実にはどうしても届かなかった。

 

「お父様……!」

 

 マルゴは、恐慌を起こしそうになる精神を叱咤して、駆けた。捕虜が逃げたから何だというのだ。一度奪い返されても、もう一度奪い返せばいいだけのこと。

 しかし、しかし、もしも最愛の父の身に何かがあれば……。

 あまりの恐怖に顔を蒼白にした少女に対して、距離と時間は残酷だった。彼女が愛する父親の姿は、どれほど目を凝らしても見えなかった。

 

 

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