其れではどうぞ
朝のノイズの出現の方向を聞いた猫、青愛、響は教室に戻るが
響
「…未来?」
未来がいない。
猫と青愛よりも早く寮を出たはずの未来が、席にも、教室の何処にもいない。
それだけなら学校の外とか、他の教室とか、色々と考えられただろう。
だが、彼女は学校にまだ来ていないと言い切れたのは、彼女の鞄が机に無かったからだ。
いつも隣で授業を受ける未来の机には、未来の鞄が無い。
それはつまり、彼女がまだ登校していない事を意味していた。
戸惑う響達にいつも仲良くしている
詩織
「小日向さん、お休みなんですか?」
詩織が一番に口を開く
響
「えっと」
響は猫と青愛の方を向いて
猫
「私と青愛より早く出たはずなんだけど…」
青愛
「何でか来ていないんだよね」
以前の茶化しだって2人の間に何処か重い空気が漂っているから、それを何とかしたいという善意でやった事なのだ。
けれどそれが裏目に出て、未来が怒って行ってしまった事、それきり2人が碌に会話もしていない事を同じクラスの3人はよく分かっている。
だからその時、善意で茶化した張本人である創世は思わず響の手を握った。
創世
「あの時はごめん、茶化しちゃって。
悪気は無くて、2人が何か、喧嘩してるみたいだったから……。
これでも責任、感じてるんだ」
創世は響の目を見て精一杯謝った。
言葉だけの薄っぺらい謝罪ではなく、友人に対しての本気の謝罪。
自分が茶化してから2人が口も利かなくなってしまっていれば責任も感じるというもの。
時折何とも思わない人もいるが、創世も、他の2人もそんな無神経な人物ではなかった。
響
「うん、大丈夫だよ」
笑顔で答える響。
勿論、創世のせいだなんて全く思っていない。
許された事、それに昨日からずっと謝りたかった事もあって、創世はホッとした顔を見せる。
自分が悪い事を自覚して謝らなければならないと思った時、すぐに謝れる人は稀有である。
謝らないままずるずると引き摺ってしまう人もいるだろう。
頭では分かっていても、どう謝って良いのかとか考えてしまって踏み切れないものだ。
それが今の響と未来だった。
どちらも友達でいたいと思っていても、言葉を伝えない為に何処か気持ちがすれ違っていて。
そうして1日という時間が経過してしまっているのが、今の響と未来。
未来がいる筈の席を見つめて、響は何か思い続けた。
未来の座席が空白のまま、午前の授業が進められて昨日の夜から朝方まで雨を降らし続けていた雨雲は、正午を過ぎた頃にはすっかり市内の上空から過ぎ去って、夏が近づいているのが窺える六月特有の、鮮やかなような淡いような独特の色合いをしている青空を広がらせている陽の光が、地上に降り注がれ、さっきまで雨模様だったのも、草木には無数の雨粒が付着して、澄んだ陽光は雨玉たちを煌めかせている。
山の方角を見れば、七色がくっきりと浮かぶ虹がアーチを描いてもいた。
猫と青愛は昼休憩の時に響と別れてその時間帯を利用して、森と隣接し、生徒も教員も余り立ち入らない校舎の裏手側で、猫が〔スパイダーフォン〕を片手に、受話器部分を耳に密着させている。
電話を掛ける相手は、未来だ。
もう何度も発信ボタンを押しては通信の電波を送っているのだが、耳に通ってくるのは、待機音のメロディと。
『ただいま、電話に出ることができません、ピーと音が鳴ったら――』
淡々とした口調で留守電メッセージを勧めてくるアナウンスの音声、あとはゆったりと、この場に流れるそよ風と、それに揺れる草木の葉の音色くらい。
一向に、未来が電話に出る様子を見せてくれずにいた。
青愛
「姉さんまだ、未来と繋がらないの?」
猫
「そうみたい」
耳に密着させた〔スパイダーフォン〕を離す
青愛
「それにしても姉さん、流石に電話を掛け過ぎだと思います
単に体調が優れず休息しているのならそれに越したことはないのでは?
其れにこの場に奏さんが居たら『心配なのは分かるけどさ、気にし過ぎだぞ猫』と言ってきますよ」
猫
「そう………なんだけど」
青愛の言葉に、頷かされつつも猫は顰められた眉間から疑念が離れない。
奏さんの物真似を披露した青愛の言う通り本当に、猫達よりも寮を早く出て学校まで行く道中、具合が悪くなり大事を取って休むことにしたのなら、それに越したことはない。
猫は心にそう語り掛けても、猫の胸の内のざわめきは、収まってはくれない上に、単なる考え過ぎだと片付けられない理由があった。
午前の授業の合間の小休憩中に猫は、未来のスマートフォン宛てにSNSアプリのメールを送っていた。
送信からほどなくして、〝既読〟と時刻が表示された。
未来が猫からのメールを読んだと言う何よりの証明なのに、あれから一向に、返信がこないし、くど過ぎない程度に何度か電話も掛けてはいるが、先程の通り待機音の音色とが流れるばかり。
せっかく踏み出そうとしている響を、憶測とすら呼べない自分の〝懸念〟のせいで無用に不安へと陥れたくもなかったので、現状は青愛にしか打ち明けていない。
情報の秘め方、明かし方、そして扱い方を見誤ってしまうと、どんな痛い目を被ることになるのか………ここ数日に、突きつけられる形で思い知らされたからな。
青愛
「其れよりもお姉さん、そろそろ昼休憩の時間が終わりだよ」
猫
「うん……」
青愛にお昼休憩時間も終わりに近づいていると知らされた猫は、一旦教室に戻ることにする。
できれば杞憂で終わってほしいんだけど、そう願いたくもなるからこそ、胸のざわめきが収まらない。
けど猫自身もなぜこうも妙に未来と連絡が取れない状況に直感が引っかかりを覚えるのか、まだその原因もはっきりしていない。
猫
(なんだろう?
一体私に何か引っかかっている?)
弦十郎
『――出現地点から、イチイバルの波形パターンが検知された』
不意に、今朝の弦十郎との通信の際、彼が発した言葉の一部がリフレインしてきて、脳内で何度も反響される。
間髪入れず、私の思考は、脳裏にとある可能性を投影させてきた。
猫
(いや…まさか……確かに今まで自分が見てきた小日向未来なら、ああいう状況に巡り合ったとして、そう未来が行動を移してもおかしくはない……でも――)
驚愕が己の顔に現れる直前、大気を伝って
「~!~!~!」
特異災害発生を報せるサイレンが、響き渡ってきた。
猫と青愛は
猫、青愛
「「!?」」
お互い顔を合わせ、頷き合う、各々の己の面持ちを戦士に変身させて、突風の如き勢いで大地を蹴り上げて走り出す。
未来のことが気がかりでもあるが、今もそうは言っていられず無事に避難できると願うしかない。
駆け上がりながら猫と青愛は其々の通信デバイスを操作すると、二課の司令部と、早朝時のノイズ発生の調査で現場周辺にいる弦十郎との回線を繋ぐ。
猫
「状況を教えて下さい!」
猫が現況の詳細を求めた。
弦十郎
『発生地点は大まかに三か所、おそらく、早朝未明に観測されたノイズと〝関連性〟がある筈だ』
端末が表示した立体モニターに映されている市内の俯瞰図には、司令の言う通り、主に三つの地点(エリア)に分けられる形で、ノイズの反応を示す赤く点滅する円が記されている。
俯瞰図に表示された点と円の数と密度を前に、猫と青愛は絶句する。
物量で言えば、円の数範囲が示す特異災害の規模は……今まで自分が戦ってきたものより、遥かに上回っていた。
響
「猫ちゃん!
青愛ちゃん!」
避難誘導が迅速に行われたようで、人気が深夜くらいに消えた中央棟エリア内の道路沿いに面した辺りで、響と翼に合流をする。
まだ未来とは仲直り一歩手前なのもあって、私としては複雑だけど……いくつか修羅場を潜ってきた為か、前と比べるまでもなく響のあどけない顔立ちからは、精悍さが帯びていた。
無論、この状況下において、感傷に浸かって溺れる気はさらさらない。
猫
「こちら猫、装者全員揃いました」
弦十郎
『分かった、翼と響君は〝73式〟に乗ってくれ』
猫がこの報告をした直後、道路に大型の荷台(キャビン)を背負った暗緑色の大型トラック――陸自の輸送車両73式改が止まる。
二課には装者を一刻も早く、かつ一般人にできるだけ悟られぬよう現場に向かわせる為の〝足〟となる自衛隊のものと同じ輸送車両も大小含め所有しており、このトラックもその一台。
特異災害発生時は市街地に多くの自衛隊の車両を拝むことは多々あるので、お手頃にカモフラージュの役も果たしている。
「さあ、こちらへ」
響
「はい!」
二課のスタッフに促される形で、荷台に付いたドアから二人が乗車すると、73式陸自トラックは戦場となっていく市街地へと走らせていった。
弦十郎
『猫と青愛は司令部が指示するルートに従って空から急行してくれ』
猫、青愛
「「了解」」
猫と青愛だけ乗車しなかったのは、現状唯一単独で飛行できる人間で現場との距離を踏まえれば、直接飛んで出向いた方が早いと言う判断からである。
猫と青愛は其々の変身アイテムを出して
『FOURZE DRIVER』
『かわるるん!』
猫
「変身」
青愛
「プリキュア!
くるりんミラーチェンジ!」
『♪―♪』
[PON!! PON!! PON!!]
『READY FIGHT』
青愛
「歴史に刻まれる蒼き煌めき、キュアサファイア!」
と変身を終えて更に
『かわるるん!』
青愛
「プリキュア!
くるりんミラーチェンジ!」
[PON!! PON!! PON!!]
『天空に舞う蒼き風! キュアプリンセス!』
青愛はキュアプリンセスの飛行能力を得て猫は仮面ライダーフォーゼのロケットモジュールを装備して其のまま飛翔した。
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