仮面の猫と青の光の戦士のデュエット   作:ジェットプテラ

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第四十三話が完成しました
其れではどうぞ


未来を案内する

響と未来が仲直りした数日後にノイズが出現したらしい、という報告を猫達は受けていた。

らしい、というのは、すぐにノイズの反応が途絶えた為である。

そしてそれと同時にイチイバル(シンフォギア)の反応も確認されていた。

実は一昨日だけではなく、ノイズとイチイバルの反応が同時に出ては消えるという事が此処最近、それなりの頻度で起こっている。

恐らくはフィーネがソロモンの杖(完全聖遺物)を使ってノイズにクリスが追われているのだろうというのが二課の見解だ。

結局、すぐにその場から離れてしまうからクリスの行方は未だに不明。

響はクリスに対しての心配を募らせているが、今のところはクリス、あるいはノイズを操るフィーネを捜索する以外にできる事はない

そのクリスを心配して居ても学校に投稿する時間は迫ってくる

いつも通りに、私立リディアン音楽院の校舎に生徒達は学校へと足を運んでいた。

6月という事もあって梅雨入りしたらしく、今日も纏わりつくような湿気の中、雨が降っていた。

だが、台風でもない限り学校は平常運転。

猫と青愛は傘をさして登校して青愛はいつも以上に気怠そうな欠伸をしながら校門をくぐり、周りの生徒達を横目で見やる。

 

生徒A

「おっはよー!」

 

生徒B

「おはよ

 雨だっていうのに元気ねぇ」

 

生徒A

「あたし、気圧で頭痛は起きないから!」

 

 元気な生徒。

 

生徒C

「おはよー!

 ……どしたの、そのマスク?」

 

生徒D

「風邪よ風邪。

 喉痛いの」

 

生徒C

「ちょ、早くも夏風邪じゃないでしょうね」

 

 不調な生徒。

 

弓美

「大ピンチッ!

 課題やってないッ!!」

 

詩織

「こっちを見ても見せてあげませんからね、板場さん。

 安藤さんも、甘やかしちゃダメですよ」

 

創世

「あー、うん。

 テラジもこう言ってるし、2対1でごめんね?」

 

弓美

「はう!?

 此処はアニメだったらなんだかんだ言いつつ見せてくれるところでは!?」

 

別の意味で不調な弓美

 

猫と青愛はそれらを見て

 

猫、青愛

「「平和だな」」

 

と言ってしまう

これでも戦いが起きてからそんなに経ってないんだよな、とか。

板場の課題の件は担当の教員にチクってやろうか、とか。

最近ノイズの出現があったけどその中でも生徒達が登校できている現状は、猫達が守った一時の平和を感じさせる。

彼女達がこんな状況でも通学する理由は、学校に行く事が習慣付いているという惰性的な部分もあるが、もう1つは世界を守る戦士達の存在がある。

例え人類守護の戦士達がいたとしても危険な事に変わりはないが、彼女達はその戦士達を信じていた。

何より、ノイズの出現も今に始まった事じゃない。

そういうわけでもリディアンの図太い学生達は登校を続けているのである。

響が守りたいと考えている日常とは、つまりそういうものなのだろう。

学校があって、授業があって、友達と話す。

そんな普通の、だからこそかけがえのない毎日。

ちなみにそんな響は日頃のの訓練を張り切り過ぎたせいで授業を爆睡。

案の定、担任にどやされていた事は言うまでもない。

 

授業も終わって放課後、全く見えやしない日が落ち、雲さえなければ夕日が拝めるような時間帯。

響、猫、青愛は未来と共に二課の本部へとやって来ていた。

授業で寝たせいか響の目は大変パッチリとしている。担任が知ったらまた怒られそうだ。

数日前のノイズ発生、つまり響と未来の喧嘩の後、小日向未来は『民間協力者』という形で特異災害対策機動部二課へ加入する事が決定した。

隠し事をするには響と未来の距離はあまりにも近い。

しかも響の戦いをばっちり見ている。

さらに言えば猫と青愛も未来に真実を話して居る為もう流石に未来を無関係な一般人としておくには無理があった。

そこで取られた手法が民間協力者という措置。

晴れて未来は二課の一員という事になったのだ。

勿論、未来が戦うわけではない。

未来にしてもらう事は避難誘導などを始めとした、彼女でもできる裏方仕事。

それから前線のメンバー、特に響の精神を支える事だ。

二課へ自由に出入りできるようになった未来。

だが、まだ二課がどういう場所なのかを理解したわけではない。

そういうわけで未来は響達に連れられて、二課本部までやって来たというわけだ。

これは弦十郎達二課のメンバーへの紹介も兼ねている。

通路を歩く4人。

道中、未来は興味深そうに辺りを何度も見やっている。

 

未来

「リディアンの地下に、こんな施設が……」

 

「フフーン、深さは東京スカイタワー3本分もあるんだよー」

 

未来

「そんなに!?」

 

 

いつぞや了子から教えられた事を得意気にひけらかす響。

 

「いや過去に了子さんから聞いた説明を其のまま使っているだけでしょ」

 

未来

「そ、そうなんだ」

 

猫がツッコミを入れるが響は気にしない

普段ならば勉強を教えられる立場の響は、未来に物を教えるのが楽しいのだろう。

まあ、響もまだよく分かってないところは多いのだが。

ともあれ優越感に浸る響と何を見るにも新鮮な未来が歩き続けた先には司令室。

響が先導する形で、未来は司令室へと足を踏み入れた

司令室の中に居たのはオペレーターの2人、朔也とあおい。

さらに翼と奏、其れからマネージャーの慎次が居た

ちなみに慎次はマネージャーモードではない為か、眼鏡をかけていなかった。

 

「あ、翼さん、奏さん!」

 

響は声を駆けると司令室に居る面々はこっちに気が付いて

 

「立花、猫、青愛……それに小日向もか」

 

「学校お疲れさん」

 

未来

「どうも」

 

響そして彼女に続く形で未来が翼達の下へに駆け寄った

 

慎次

「二人は何を?」

 

「未来に本部を案内していたところなんです」

 

未来は翼達の方を向いて

 

未来

「改めて、この間はありがとうございました」

 

深々と頭を下げた小日向は、今は解消に至ったこの前の響との確執の一件で、礼を述べてきた。

 

「いや、私の方こそ色々至らぬ余り……二人には色々と苦労させてしまった、すまない」

 

翼も、彼女に一礼する

 

「この上、不躾を承知の上でだが……どうか、立花を支えてやってほしい」

 

 翼は未来に切願した。

 

未来

「……いえ、響は何かと面倒がかかる残念な子なので、今後も色々と迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いします」

 

未来は、翼の言葉の意図をある程度察したらしい様相を一瞬見せつつも、ちょっとした機知を利かせた返しを見せた。

しかしまあ、さすが幼き頃よりの付き合いか、中々の遠慮のない直球を見せる。

実際、あの二年前の日の以前より、何かと世話を焼かされていたのだろう。

 

「ふぇ?

 なに?

 どういうこと?」

 

当の本人と言えば、翼と未来のやり取りを理解し切れず、困った様子だ。

奏に関しては笑い堪える為に明後日の方向を向く

 

慎次

「響さんを通じて、お二人が意気投合していると言うことですよ」

 

「な~んかはぐらかされた気もしますけど………まぁいっか」

 

そこに慎次からのオブラートを用いた言い回しと、立花の人柄が上手く作用し合い、ことを穏便に収めてくれたが

 

「要するに、お前の馬鹿さ加減に誰も彼もが手を焼いているって事だろ」

 

「奏さん!?

 はっきり言わないでくださいよッ!?」

 

「何だ?

 はぐらかされたくないんだろ?」

 

「ぬぬ……」

 

折角慎次が包んだオブラートを全力で引き剥がして嘲笑する奏

対して響ははっきり言われるのも何だか嫌だと、より一層に拗ねた

クスクスと笑う翼、未来、猫、青愛

響も拗ねつつながら、そんな光景が楽しいのかちょっと笑みを見せていると

 

了子

「あ~らいいわね♪」

 

「櫻井女史…」

 

司令室に了子が、この場に入り込んできた。

 

了子

「みんなで仲良くガールズトークかしら♪」

 

早速了子は、マイペースと表する他ない調子で冗談を投げかけてくる。

 

慎次

「どこから突っ込んでいいのか迷いますが……」

 

朔也

「とりあえず俺達の存在を無視しないで下さい……」

 

男性である慎次と朔也は、この場には女性しかいないとでも言いたげな了子の発言に対し、苦言を呈した。

当然了子は、一つや二つの苦言程度で気に止めるお人ではないし。

 

「了子さんもそう言うの興味があるんですか!?」

 

ずずいと響に顔を近づけて

 

了子

「モッチのロン!

 私の恋バナ百物語聞いたら、夜眠れなくなるわよぉ?」

 

ニヤリと怪しく微笑む了子。

 

未来

「まるで怪談みたいですね……」

 

苦笑する未来の発言には同感する。

 

「了子さんの恋話!?

 きっと、おっとりメロメロお洒落で大人な銀座の恋の物語ぃ~~!」

 

 人差し指と中指で頭を抱え、溜息が吐かれた。

 

青愛

「おいおい」

 

「響………貴方の大人の恋愛に対して、一体どういう印象を持っている?」

 

猫達はツッコミを入れる

入れている側で了子は

 

了子

「そうねぇ……」

 

了子は宙へ、過去に想いを馳せていると思われる遠い眼差しを向けて

 

了子

「もう遠い昔になるわ………こう見えても呆れちゃうくらい一途なんだから……」

 

響、未来

「「おおぉ~」」

 

年頃の女子ゆえなのか、響も未来も恋愛の話題に興味津々な様子を隠さず見せる。

奏はうっとりとした表情を赤らめた顔に浮かべて、昔を懐かしんでいるらしい了子のカミングアウトに

 

「それにしても意外だな……」

 

驚きを禁じ得ない。

 

「てっきり櫻井女史は、なんと言いますか………聖遺物と、その研究そのものと交際している方だとばかり」

 

翼も意外とこんな表現な言葉が出てくる

 

了子

「研究と付き合っているのはあながち間違っていないけどね、命短し恋せよ乙女、とも言うじゃない?

 それに女の子の恋するパワーって、そぉ~れはもう凄いんだから」

 

慎次

「お、女の子……ですか……」

 

恋のレクチャーを始める了子の言葉を聞きつつ、慎次は微量な笑いと共に小さな声で呟く。

ところが一定年齢を過ぎた女性の耳はどういうわけだか年齢関係の話題に関しては地獄耳となるらしく

 

慎次

「がはぁ!」

 

慎次の額に、櫻井女史の裏拳が叩き込まれ、衝撃で眼鏡が外れて床へと落ちた。

此れには猫と青愛は驚きの感情が沸く。

戦闘でないとは言え、まさか、調査の一環でヤクザの事務所一つを一人で壊滅に至らせる事が出来る慎次の端整な顔を赤くさせる程の一撃を当てる事に驚いていた

 

気を取り直して、了子は話を再開させた。

 

了子

「私が聖遺物の研究を始めたのも、そもそも……」

 

言おうとした瞬間了子はそこで口籠ってしまう。

目の前で目を輝かせて、グイッと近づいてきた響と未来の様子を見て急に恥ずかしくなったのだろう。

頬を赤らめて、ちょっとその場から下がって。

 

了子

「ま、まあ!

 私も忙しいから?

 弦十郎君を探しに来たんだけど、いないみたいだし。

 だったら此処で油も売ってられないから。

 そろそろドロンさせてもらうわね?」

 

慎次

「自分から割り込んできたのに……」

 

 退散しようとする了子に、慎次はツッコミの性でもあるのか懲りずに指摘

 

慎次

「ぐわぁ!」

 

また一歩遅かった

二度目の地雷を踏んでしまった慎次の腫れたお顔に、了子のヒールが履かれた足の踵から、キレのある蹴りが見舞われた。

慎次でも、一発貰って程なく受けた直撃に、仰向けで倒れ込んでしまった

 

「緒川さん!」

 

「生きているか?」

 

「大丈夫ですか!

 しっかりして下さい!」

 

これには思わず駆け寄って、倒れた彼の身体を揺すらずにはいられなかった。

 

了子

「と~にもかくにも、デキる女の条件の一つは、どれだけ良い恋をしてるかってことなのよ、ガールズたちもいつかどこかでイイ恋、なさいね――んじゃバーイ♪」

 

 そうして締めの言葉を猫達に伝えた了子は、背を向けて手を振り、この場から去って行った。

 

未来

「聞きそびれちゃったね……」

 

「ガードは固いか………だとしてもいつか、絶ッ―対了子さんのロマンスを聞き出してみせる!」

 

残された響と未来は聞きそびれた事を残念がりながらも、割とどうでもいい決意を新たにした。

リディアンは女学校故に出会いも少なく、翼に至ってはアイドルという下手したら彼氏厳禁な職業である。

はたして彼女達が恋を経験するのは何時になるのか。少なくとも響は彼氏いない歴を暴露したばかりだが。

慎次はよろりと起き上がりつつ腕時計を見やる。

そして時間を確認した慎次は、まだじんじんする痛みを押し殺しつつ、眼鏡を取り出して着用しながら翼に顔を向けた。

 

慎次

「翼さん、奏さん、次のスケジュールが迫ってきましたね

 もう少ししたら移動の準備を」

 

「もうですか?

 ……困りましたね、司令にメディカルチェックの結果を報告しなければならないのに」

 

「この前の大怪我の事だな」

 

奏が言って居るのは先日の戦いで絶唱を使って受けたバックファイアのダメージの事で、翼はメディカルチェックを受けた。

結果は、凄く砕けた言い方をすると『そこそこよし』。

今までの仕事は全て休みにする、という状況に比べればいくらか改善されていた。

そんなわけで、翼は奏と慎次と相談の上でアーティストとしての仕事を入れているのだ。

驚いたのは響だ。

復帰から間もないというのに既に仕事が入っているという事に。

 

「もうお仕事、入れてるんですか!?」

 

「少しずつね。

 今はまだ慣らし運転のつもりよ」

 

慎次

「怪我自体は完治していても、いきなり無理をさせるわけにはいきませんから」

 

「そうそう、もう少し休んでいろ」

 

怪我の後にはリハビリが付いて回るように、いきなり健常だった頃に戻すのは負担が大きい。

そこを考慮し、仕事のスケジュールは入れてこそいるが以前ほどに忙しくは無かった。

翼の予定を管理している慎次の手帳の書き込みも数ページ前からは考えられないくらいに少ない。それだけ予定を詰めていないという事を示していた。

 

「じゃあ、以前のような過密スケジュールではないんですね!」

 

「え? ええ」

 

 

今の会話を聞いた響はならば、と以前からずっと考えていた提案を口にする。

 れは友達とか、先輩後輩とか、そういう人同士なら当たり前な提案を。

 

「だったら翼さん、デートしましょ!」

 

響の一言で

 

「はい?」

 

翼の思考がフリーズする




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