さしすの先輩聡人くん!   作:コトバノ

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 呪術2期放送祝い……!

 感想、評価、久しぶりに頼んます!その内暑さに打ち克てれば、下も投稿する予定。あつがなつすぎるんじゃ……!


閑話 双子 上

 

 

 

 

 「──いやー、いよいよセミが鳴き出す季節になっちゃったなー……もーマジ最悪。チョベリバだわー……」

 「チョベリバってもう死語ですよ、聡人先輩。ってかなんですか、セミ嫌いなんですか?」

 「大嫌い。硝子ちゃんにはいつだか言ったけど、俺、耳めちゃくちゃ良いからさ……セミの大合唱とかされると、もう頭割れそうになっちゃうのよ」

 「へー……どんまいっスね」

 「励ましが浅っさいなー……」

 

 ──星漿体及び高専襲撃事件から、数ヵ月経ったとある初夏の日。

 

 任務のなかった俺は、高専の2年生の教室で。

 

 机を挟んで椅子を向かい合わせ、暇潰しがてらに硝子ちゃんとお喋りをしていた。

 

 窓の外には、森林の緑と入道雲の浮かぶ青空とが広がり、やや強めの日差しが照り付けている。

 

 激動の春が終わり、俺にとって高校最後の夏が始まろうとしていた。

 

 初夏といえば、冬の終わりから春にかけての人間の負の念が一気に呪いとなって現れる、呪術師にとっての繁忙期。

 

 去年の今頃なんかは、便利なコマ扱いをされて、あっちこっちに送られていたが……今年はそうではなかったり。何故なら、この前の事件のあおりで、上層部と悟や傑、九十九さんらが表立って反目し始めちゃったもんだから、今俺には、下手な任務は回ってこないようになってしまっているのだ。

 

 詳述すると、俺の立場というのは、上層部と悟たちが強く対立し出した原因。テキトーな任務なんて与えられないよなって話なのだ。上は一枚岩じゃない、悟たちにダメージを負わせたいやつらからすれば、なるべく俺に危険な任務をやらせたいだろうけど、ことを荒立てたくないやつらは、そもそも藪をつつきたくないから、任務自体を受けさせたくない。だが悟寄りのやつらは俺に功績を積ませたいから、良さげな任務をやらせたい……色んな思惑が重なった結果、難度バラバラの任務が、週1で俺に与えられるようになっていた。

 

 「……でもアレですね。耳がそんなに良いってことは、ちょくちょく皆で行ってるゲーセンとかって、ヤバかったりするんじゃないですか?」

 「いや、遊びに行くときは呪力で何とかしてるから大丈夫なのよ。でもコレ、聞こえる音量を調節するのって、わりと高度な技術だからさ。セミのうるささを凌ぐために、イチイチそんなことをやるのは面倒じゃん?だから困ってるのよ」

 「いや、まず遊びに行くのにわざわざそんな高度な術使ってんじゃねーよって話ですけど……この人ほんと遊びに命懸けてんな……」

 

 片や頬杖をつき、片や机に顎をのっけて、だらだらと会話を垂れ流す。

 

 穏やかな日常。だがそれは、突如として破られた。

 

 俺の耳が音を捉えたと思ったのも束の間、ガララと音を立てて入り口の戸が開けられる。

 

 硝子ちゃんと揃ってそちらを見れば、そこには、朝早くからいづこかに出かけていた筈の悟が立っていて。

 

 「──やっほ、聡人に硝子。ただいまー!」

 「おかえんなさーい、悟ー」

 「おかえりー。お土産は?お菓子とかはないの?」

 「お菓子ィ?あるわけないじゃん。っていうか硝子、そんなにお菓子ばっか食ってたら太るよ?」

 「は???殺すぞ???」

 

 昼下がりののどかな雰囲気が、悟の発言を受けた硝子ちゃんの殺気で消し飛ぶ。

 

 ひぃ……何の捻りもない殺害予告がいっちゃん怖いよぉ……悟はデリカシーをどこに置いてきたんだ……???

 

 あわわと慄いていると、ヘラヘラと笑った悟が硝子を宥めにかかる。

 

 「おー、怖い怖い。まぁでも、お土産はきちんとあるよ?お菓子じゃないけど。──ほら、2人とも、入っといでー」

 

 そして彼は、教室の外へ呼びかける。それに応じておずおずと現れたのは──顔立ちの整った、黒髪の双子だった。

 

 纏うはそれぞれ朱色と淡緑色の着物、年は6、7歳くらいに見える。

 

 1人は意思の強そうな目で周囲を窺っており、もう1人はおっかなびっくりに、その娘の背に隠れていた。

 

 混乱する思考の中、なんとか俺は言葉を絞り出す。

 

 「………………え、悟オマエちょっと……だ、誰との子なのぉ……???も、もしかして歌姫さん……?だとしたら超絶ショックなんですけどぉ……そ、それともそれとも理子ちゃんだったり?あるいは美里さん……?もしくは冥さんか……?ま、まさか硝子ちゃんとかは言わないよな……?」

 「や、少なくとも私の子ではないですよ……ああでも、夏油との子どもの可能性とかはあるかも」

 「あ、確かに……!!そうか、それもあったか……!!」

 「いや、ねーよ。違ぇよ。今出された解の全てが的外れ、最後のに至っては的ですらなかったわ」

 

 提示した推測が、まとめて否定される。それにほっと安心するも、よくよく考えたらその場合、この子たちは、俺のまったく知らない、どこぞの者とも分からない余所の娘との子どもになるということに気付いて、俺は慌てる。

 

 だ、誰よその女っ、いったい悟の心を射止めたのは、どこの女なのよ!?

 

 死ぬほどテンパっていると、悟は双子の背後に回って彼女たちの肩を軽く叩き。

 

 「このままだと、バカな先輩と同期が更に変なこと言い出しちゃうから、軽く自己紹介したげて」

 

 そんなことを宣って、促す。彼女らはこくんと頷くと、こちらを見据えて口を開いた。

 

 「禪院真希だ。いきなりこの白いヤツに連れて来られたから、あんまよく分かってないけど……よろしく」

 「……禪院真依、です。あの、色々頑張るので、ここに置いてください。よろしくお願いします……」

 

 気丈に、また気弱に語られる情報。その言葉の意味するところに気付いた俺は──ガタガタと震え出す。

 

 「どどっ、どっどどどどうしよう硝子ちゃんっ、これ誘拐だ……!!さ、悟がやらかしちゃったよ……!! 110番、110番しないと……!!」

 「まさか同期から犯罪者が出るとは……まぁでも、いつかやらかすとは思ってた。聡人先輩は、とりあえずタバコでも吸って落ち着いてください」

 「コイツら……。はぁ……言っとくけど、誘拐じゃねぇから。ちゃーんと本人たちの同意も貰ってるし」

 「あ、そーなの?……いやでも待てよ、未成年の子どもが相手なんだから、同意を貰っててもダメじゃないか……!?」

 「そりゃあっちの保護者がまともだった場合の話だな。まぁ聡人が、このガキんちょたちがどうなっても良いってんだったら、今すぐ戻してくるけど?」

 

 会話の途中で、ワケありの雰囲気が仄めかされる。「保護者がまともだった場合」という発言や、「戻してくる」という台詞を聞いた双子ちゃんたちの不安そうな反応も気になるところだ。

 

 意識を切り替えて、俺は悟に続きを求める。

 

 「……悟。本当のところ、いったいどんな理由があって、この子たちを連れて来たんだ?」

 「あぁ、それはな──」

 

 悟は、ゆっくりと概要を語り始めた。

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 ──5分ほどかけて展開された、双子ちゃんの惨憺たるお家事情。聞くところによれば彼女らは、双子という性質に、術式の格や術師としての素質、挙げ句は女だからという理由で蔑まれ、陰口を叩かれ、暴力を振るわれ、虐げられてきたらしい。まだ俺の半年も生きていないだろう年齢の子に、だ。

 

 「──よし、禪院家ぶっ壊そう(ガチ) 。悟、今すぐ案内しろ」

 「やめろやめろ、こっちにも予定があるんだよ。今は抑えろ」

 「えー……?」

 

 普通に苛立たし過ぎて頭おかしくなりそうなんですがァ?発散させてくれよ……。

 

 「分かった、じゃあ半壊。半壊させるくらいだったら良いだろ?」

 「良くねーんだわ。譲歩してやったみたいな雰囲気出してるけど、結局抑えられてねぇんだよ。頼むからオマエは、大人しくその子たちの面倒見てろ。そのつもりで連れて来たんだから」

 「あ、そーなの?それは何、もしや俺の滲み出る父性に期待してってこと?」

 「いや、ガキはガキと遊ばせとくのが1番だろってことだよ」

 「あー、ね?なるほど…………え待って、俺今ガキ扱いされた???」

 

 え、嘘でしょ???ちょっと???

 

 「じゃあ硝子、俺もうそろそろ行かないとだから、お守り任せたわ」

 「また勝手なことを……はいはい、任せろ任せろ。3人まとめて面倒見といてあげるよ」

 「さんきゅ、頼むわ」

 

 そして悟は、背中越しに手をひらひらと振って、教室を出てく。まったく勝手なやつだ。……ところで今、硝子ちゃんも俺のことガキ扱いしてなかった???3人って言ってたもんね???

 

 失敬なと思っていると、当の彼女──硝子ちゃんが、こちらを見てくる。交錯する視線、彼女は机に頬杖をついた姿勢で、言葉を発した。

 

 「……で、どーします?この子たち。とりま私たちも自己紹介とかしといた方が良いですかね?」

 「ああ、それは確かに……よしっ」

 

 彼女の提案を受けた俺は、席を立ち、未だ入り口付近で所在なさげにしている双子ちゃんたちに近付く。

 

 膝を曲げてしゃがみ込み、目線をしっかりと合わせてから、簡単に自己紹介をしてみる。

 

 「──やぁ、2人とも、初めまして。あの白いヤツの先輩の、墓之瀬聡人って言います。気軽に聡人お兄ちゃんって呼んでね!」

 「分かった、聡人だな」

 「わ、分かりました、聡人さん」

 「いや、そうじゃなくて……いや合ってるんだけどな?どうせならお兄ちゃんも付けて欲しいなーって思うのよ。そこんとこどう?」

 「え?聡人は聡人だろ?」

 「えっと、なんで?」

 「……そっかー……子どもにこの機微は分からないかー……」

 

 男はね、小さい子どもにはお兄ちゃんって呼ばれたいものなのよ……。

 

 「こら、子ども相手に何バカなこと言ってるんですか。お兄ちゃん呼びなら今度七海たちにさせますから、今は諦めてください」

 「硝子ちゃんこそ何バカなこと言ってんの。軽率に地獄を産み出そうとすんなや」

 「良いじゃないですか、面白そうで。──さて」

 

 同じく席を立って、こっちにやって来た硝子ちゃんは、俺を軽く嗜めた後、また同じく隣にしゃがみ込み。

 

 「初めまして。私は家入硝子、あの白いバカの同期だよ。よろしくー」

 

 ひらひらと小さく片手を揺らして、双子ちゃんに声をかける。

 

 それに彼女たちが返事をしていく光景を眺めつつ、この先どうしようかと思案する。

 

 子どもと仲良くなる方法とか俺、全然分かんないしなー……しかも女の子と来た。なんだろう……おままごと辺りか?それとも普通に鬼ごっこ?或いはお得意のマ○カー(得意とは言っていない)か?いやはや悩ましいな……。悟め、難題を押し付けやがって。

 

 ……まぁでも、急ぐことはないか。幸い近頃は、お誂え向きに時間も余っている。ゆっくりと仲良くなっていけば良いだろう。

 

 そう、結論付けて。

 

 何やら白いバカのことで盛り上がっている彼女らの話に、俺もまた、交ざりに入ろうとするのだった。

 

 

 






 次回、プリクラ目オジサンか、ドブカスくんを出すつもり……どっちにしよか?

次回、みんな大好き扇と直哉、どっちボコす?

  • 私がボコされるなど……笑止千万(フラグ)
  • ざけんなや 呪力が練れん ドブカスが
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