現実とリアルの狭間で   作:あるとりあ

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3話

あれから数日たった。あの日から少し千冬先生は俺に優しくというか、気遣ってくれている。

「この時間はクラス代表を決める時間となる。自薦でも他薦構わない。クラスの代表者にふさわしいと思う奴を選べ。以上だ」

「私織斑くんがいいと思いまーす」

「私も私もー」

「せっかく男子がいるんだしねー」

俺的にはどっちでもいい。クラス代表はクラス代表戦というこの学園の一大イベントに出場できる。

そこで俺の有用性を周りに示し、実験施設行きは避けたいところだ。

いや別に強引な手を使えば避けることはできる。ただそれは決して俺が望む平穏な日常ではない。

それに今世ではあまり人を殺したくないんだ。必要な場合は殺すが、それでも進んで人を殺したいとは思はないし、何より一夏くんの手を汚したくない。

「納得できませんわ!」

そこに金髪縦ロールのいかにもって感じのお嬢様が異議を唱えた。

「ただでさえこんな極東の島国に派遣されることが屈辱ですのに、私にこの男の下につけと申しますの!?

大体文化レベルで違うのですから同じ括りにすることすら我慢なりませんのに」

俺は昨日この世界の本を読み漁っていくうちにこの世界について気づいたことがある。

それは多くの人物がISについての固定概念に囚われているということである。

ISに通常兵器は通じず、ISでしか倒すことは出来ない。確かに通常兵器で落とすは極めて困難だ。

シールドエネルギーに絶対防御これらの装置があるおかげで登場者はまず命の危険に晒さられる必要は無い。

ただそれらを超える威力の大規模戦略兵器の場合はどうだろう。ただでさえISという未知の技術のせいでこの世界の科学力は上がっているんだ。

核兵器や水爆などのクオリティも上がっているに決まっている。

第二次世界大戦の際の広島型原爆でさえ16万人殺したんだぞ?なら現代の原爆なんて少なくとも100万は殺せる。都市ひとつをまるまる蒸発させるような威力のものをISが防ぎ切れるはずがない。

それに今核弾頭の数は俺の世界の倍、約20000発近くある。軍の上層部はわかっているのだ、ISに核兵器は有効だと。

『千冬先生、こいつがクラス代表やるのはなしなんですか?』

「いや、そんなことは無いが。それでも他薦されたということは期待されているということだ。それに別の目的もある。

私自身がお前の成長した姿を見たいという気持ちもあるがな」

千冬先生が言う別の目的というのは、唯一の男性搭乗者として世界に有用性を示すということだろう。

『ではどのようにクラス代表を決めるのでしょうか』

「通常なら決闘という形で決まるな」

『わかりました』

「ふっ、あなたごときが私に勝てるとでも?」

『質問よろしいですか?今回の決闘の許容範囲はどのくらいですか?』

「どういう意味ですの?」

「当たり前だが死亡、四肢欠損までの威力を誇る兵器の使用は禁止する。許せるのは気絶までだろうな」

『わかりました』

「初心者が私を殺せるといいますの?笑えますわね、本気でそう思っているのかしら」

「方法が無い訳では無い。それこそ米国から核弾頭でも持って来なければならないがな。

そろそろ時間か。決闘は1週間後第3アリーナで行う事とする。それと織斑、お前に政府から専用機を与えることとなった」

専用機か、まあデータ入手の為だもんな。

専用機一機で男もISを乗れる可能性があるとなるとそりゃ安い出費か。

『正しくモルモットという訳ですね』

「ああ、すまんな」

彼女は申し訳なさそうに謝罪してくるが別に千冬先生が悪い訳では無いのだ。

『千冬先生のせいじゃないですから、謝らないでください』

「すまん」

『では次の座学の準備がありますから』

そろそろ次の授業が始まる時間となったので話を切り上げ準備をすることにした。

ああでもそれだけが理由じゃないのは確かだ。

 

 

この日の授業が全て終わり、俺は道場に向かう。今日は彼女と約束していた剣道で一戦交えると約束した日だ。

彼女は千冬先生に用事があるらしいので先に道場に行って剣道部の方に防具を貸し出してもらい装着する。

前世を含めて剣道は初めてだったのだが、一夏がやっていたと聞いて急いでルールや防具の着用の仕方などを調べた。

防具を着用し、正座をして心を整える。日本の武道は主に心体技この3つで成り立っている。

どれか一つでも欠けてしまうとそれは武道とは呼べない。ただこの3つの中で特に大事なものは心の部分だ。

剣には心が現れると言うように、その人の根本的なものを示してくれるのが剣だ。

「すまない一夏!」

急いできたのだろう。うっすらと汗が浮かんできている。彼女は急いで更衣室に向かい、すぐに自分の道着を着て出てきた。

「遅れてすまなかった」

『いや、いい。お前にも用事があったんだろうしな。この間で俺も少し感覚を掴めた。アップは?』

「ここまで走ってきたからな。体は既に温まっている。こちらはいつでもいけるぞ」

『じゃあやるか』

「ああ」

俺たちは向かい合い互いに礼をして竹刀を構える。

(大丈夫、これは剣道だ。決して殺し合いでも奪い合いでもない。誤るなよ)

箒の踏み込みによって火蓋が切られた。彼女は真っ直ぐ踏み込んでこちらの面に躊躇なく竹刀を振り下ろす。俺はそれを竹刀の腹で受け流した。

(やっぱり、足腰がしっかりしている。受け流されても体のブレはほとんどなく次の動作への移り変わりが早い)

そのまま彼女の攻撃は続く。小手、胴などお手本といっともいいほど真っ直ぐな剣が俺を襲うが別に受け流すことが難しいわけじゃない。

動きが直線的、短絡的すぎるので予測がしやすく、避けやすいのだ。

彼女の息が少し上がり始めたところで攻撃を開始した。彼女の竹刀を自分の竹刀で押し付ける。

次の瞬間、俺は竹刀の鍔で箒の竹刀を絡め取った。

「なっ!?」

『俺の勝ちだな箒』

「怪我をしていたのではなかったのか?明らかに動きが熟練者のそれだったぞ?」

『まあ、何でもしたからな』

「何でも?」

『ああ、何でも』

「だから常に何かを気にしていたのか?」

こいつ、それに気づいたのか。やるな。前世でもそんな些細なことに気付けたのは数人だったぞ。

『箒は目がいいんだな。その能力を生かすといい。文字通り世界が変わるぞ』

「目か、、確かに言われてみればISの検査で動体視力が群を抜いていた気がするな」

前世に見切りを極限まで極めた達人がいた、確かそいつが言っていたのは、、、

『敵の意思が見えるだったか、、?』

「どうした?」

『いや、箒と同じく目が良い奴を知っていてな。そいつが目を極めると敵の意思が見えるようになると言っていた』

「その人はどんな人だったんだ?」

『まあ、剣のことしか頭になかったな。ただ良い奴だったよ』

「だった?もう会えないのか?」

『会えないな。生きているかも分からないし』

「そうか、、」

『別に箒が気に病むことでもないだろ?さあもう門限だし、早く着替えて帰るぞ』

「そうだな」

ああ、でもいつかはまたお前たちと笑える日が来たらいいな。

その日ほいつもより少しいい夢を見れた気がしたんだ。

 

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