メサイアマジック <あの時の君へ胸張れる転生を>   作:桜の宿

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二章十七話 「相棒が向かってるから」

 

 

 男は、一人場所を探っていた。ボスの風格を魅せる彼に、無謀にも立ち向かう戦士はいないため、邪魔のない行動ができていた。

 

 

 時々地を叩き、感触を確かめている。破壊の意思はなく、ノックくらいの強さにより音を聞いているようだ。場所の目星はついているようで、広く一か所に絞って探索している。

 

 

 ある場所でぴたりと止まった。すると、拳に力を込めて振りかぶった。先ほどノックした場所目がけて大きな衝撃を与える。

 

 

 

 空洞が解放された。下へと続く鉄の道。自由落下に身を任せてみると、終着点が見えてきた。クッションは無い。それでも、この高さ程度であれば緩衝材など必要ではない。

 

 

 

 そこには小さな部屋があった。壁、机、椅子までもがすべて鉄でできている鉄の家。人一人いないことも相まって、文字通り無機質な空間は、不気味さを醸し出している。

 

 

 ある一室への扉に手をかけようとすると

 

 

 

 「・・・・ようこそ!どっきりびっくりドリームハウスへ!!」

 

 

 どこからか声がするも、人の姿は見えない。

 

 

 「普段であれば誰でも歓迎するのじゃが・・・。」

 

 

 

 ジャキッ!!ガガガガガゴゴゴゴゴ・・・・!!!ジャキン!!

 

 

 

 刃物の切っ先や銃口が、壁などから現れて一か所を狙い始める。標的は巨体のゴブリンだ。

 

 

 

 「お前さんは、今死んどけや。」

 

 

 

 ゴオオオオォォォ・・!! ガガガガガン!! ダアァン!!!

 

 

 

 火炎放射で燃やされて、大量の銃撃にさらされて、部屋を埋め尽くすほど口の大きい砲台に蹂躙され、鉄の家はめちゃくちゃだ。内部の構造にまで危害が広がり、部屋が瓦解する。大男は地下深くのがれきに埋め尽くされた。

 

 

 

 

 

 映像が砂嵐に埋め尽くされる。足の踏み場もないほどガラクタがある一室で、一部始終を眺めていた老人は、安堵の色を浮かべる。

 

 

 一番来てほしくなかったのは、大勢の味方を盾として使い、魔法などで武器を片っ端から破壊してくる根っからの悪だったからだ。一人でのこのこと現れた挙句、すべての砲撃を一身に受けるという考えもしないくらいの大馬鹿者だ。

 

 

 「・・・・所詮老人と考え、舐め腐ったその思考が敗因じゃよ。小僧。」

 

 

 

 とはいえ防衛費用はバカにならない。国を脅してでも倍で返してもらおう。幸い、脅しの材料は揃っている。

 

 

 

 ・・・扉が唸っている。全体が揺れるほどの力を受けたその扉は、歪に歪んでいく。ここは地下深い。重量に押しつぶされないバケモノなどいるものか。

 

 

 

 「私が、なぜ一人で来たか教えてやろうか?」

 

 

 

 扉の変形と共に姿を現す。向こうのがれきが少量なだれ込み、その勢いで血だらけの大男が未だ余裕を見せていた。

 

 

 

 「ここで襲撃を受けることは、予想に容易くてな。兵力を減らすわけにも行かず、適任として私が一人で来たのだ。」

 

 

 

 「頭が一番不適じゃろう。」

 

 

 ケッテツが椅子に備えられたボタンを押すと、四方八方から老人を取り囲むように障壁が張られた。声や姿は通せど生身は通さず。

 

 

 「機械で魔法障壁を似せたか。さすがだな、"世界有数の機械技師"の手腕は。」

 

 

 老人のもとへと近づく。

 

 

 「だからこそ、この場所の防衛を任されたのだろうな。」

 

 

 

 暗い部屋で、足音だけが響く。

 

 

 

 「目的のものを聞こう。邪魔な障壁は破壊させてもらうぞ・・・!」

 

 

 

 大きな拳を振りかぶる。気迫だけで痺れた壁の薄さでは、防ぐなど不可能だろう。互いに覚悟を決めた時、障壁からぴょこんと何かが飛び出した。

 

 

 

 

 「・・・!?なんだこれは・・・!?」

 

 

 

 「・・・・・?・・・っあ!昨日のわしが食おうとしたイカじゃ!」

 

 

 

 バリイイィィィィン!!!

 

 

 やはり一撃で、粉々に砕け散った。いつでも手にかけることができる位置で、目的を果たそうとする。

 

 

 「答えろ。例のものはどこにある。」

 

 

 「ああ!!見つかったら食べようと思ってたのに・・・!!」

 

 

 「知らん!!さっさと吐け!!"進化の石"のありかを!!!」

 

 

 

 声と威圧が強くなる。吐けなんてそんな・・・と呟く老人にペースが飲まれないようにと、後ろのモニターを割るほどの圧力をかけた。

 

 

 

 「・・・・お前のような奴はいつもそうじゃな。恐怖による脅しがお得意。・・・世の中には、イカ一本でわしの気が変わるなど考えるバカ野郎もいるというのに。」

 

 

 

 割れたモニターの奥から光が漏れる。日や電気の類ではない。緑色の薄明りだが、不思議と引き込まれる。老人の横を過ぎ、壁を破壊しようとする。

 

 

 

 「じゃが、それで良かった。そういうバカが良かった。力でしか物事を変えられんから、いい様に邪魔されるんじゃないのか?」

 

 

 

 殴られた壁が、機械ごと崩れ落ちる。差し込む光がまぶしいほどに増し、格別に広い部屋が解放された。

 

 

 

 「そんな奴よりもわしは、歯ぁ出してアホ面下げて、踊り狂うやつの方が大好物じゃ・・・!」

 

 

 

 大男の体と同じくらい大きい結晶が、中央で浮いている。発光している元凶はこれだろう。それよりも、視界に映る存在がいた。

 

 

 

 追い求めたものを目の前にして、最後の異常事態。邪魔が入った。

 

 

 

 

 「悪いなぁ!地面が固いから、お仲間の幹部を二人ほど椅子にさせてもらってる。」

 

 

 

 歯を出して笑顔を浮かべ、剣を一本携えた少年が一人、足を組んで座っている。尻に敷かれているのは、大男と変わらないくらい巨体の魚人と、今にも溶けてなくなりそうな男一人ずつ。切り傷から血が出ており、死には至らないがしばらく戦えはしないだろう。

 

 

 

 「大将とは初対面だったな。俺の名前はトウガだ!」

 

 

 「・・・アテンドス・・・!貴様を屠る名だ。覚えておけ。」

 

 

 「ハッ!!言ってろ・・!!」

 

 

 立ち上がり剣を抜く。敵を足蹴にして勢いをつけ、大将の頭目がけて一太刀入れようとするも、力任せに振るう腕で弾き飛ばされる。

 

 

 

 ガイイイィィィィン!!

 

 

 皮膚に刃が通らず嫌な顔をするが、体でわかる。隙をつけば傷がつけられる。攻撃の手を緩めるな。進化の石にたどり着かせた時点で負けだ。

 

 

 「(とう) ・ 屡断(るだん) ・ ()子規(ほととぎす)!!!」

 

 

 速さだけを追い求める。所詮相手の武器は二本の腕だけだ。一本の剣で戦う方よりマシだが、殺傷力とリーチはこちらに分がある。

 

 

 振り回さなければ防げない程度の硬さならば、さぞ気を張っていることだろう。ケッテツによる怪我も後を引いているはずだ。少しずつ守りを削っていく。

 

 

 

 「・・・!?」

 

 

 血が飛んだ。量は少ないが、少しの焦りが見える。相手は格上のため、気を抜けば巻き返される。

 

 

 

 「ぬううぅ!!」

 

 

 ガアアァン!!

 

 

 怪我を覚悟して、腕を振るい吹き飛ばす。勢いよく壁に激突して潰されたことにより、血が口から溢れた。

 

 

 「うぅ・・ぉぉォォォオオオオ!!!」

 

 

 

 舞う土煙から飛び出し、片手で得物を思いきり振りかぶる。ぎりぎりの手数からの大振りには、アテンドスも困惑するが、隙を逃す男ではない。最短距離で殴りにかかる。

 

 

 「刀 ・ 迅断(じんだん) 」

 

 

 

 眼前に迫る拳。振りかぶる剣を戻そうにも、時間が足りない。ぶつかる寸前、すれすれを跳躍し、剣を用いて大きな腕をつたう。金属のような音を響かせ、刃の通らない腕とは別の場所、背後へと狙いを定めて。

 

 

 

 「()花逆襲(はながさね)!!!!」

 

 

 ザン!!

 

 

 

 勢いを殺さぬまま、胴を切り裂いた。事前の損傷がたたって膝をつく。

 

 

 

 

 「ぐぅ・・・ハァ・・ハァ・・・。それほどの力を持って、、ここに来るのは惜しいな。」

 

 

 

 意味の分からないことを話し出すアテンドスの、真意を問う。

 

 

 

 「見えてはいないか?蠢く太陽を・・・!あれは放っておけば都市が焼き捨てられる。貴様であれば止めれたやもしれんが、惜しいことをしたな。」

 

 

 

 都市の防衛に躍起になって、突如現れた第二の太陽を忘れている戦士は多い。不気味な脅威より、見える脅威に対処した方がわかりやすく、合理的だからだ。

 

 

 だが、考えていないわけではない。

 

 

 

 「太陽か。あれなら大丈夫だろ。」

 

 

 あいつは大体、俺の見えていない場所を見て、それに対処しようとする。それならば、あいつの見えていない、届かない場所は俺が守るしかないだろう。

 

 

 

 「"相棒(あいつ)"が向かってんだからよ・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

 







サブ連載 < 魔人っ子の平和(?)な散歩道 >

二十五話 「魔人っ子の悲しめ(?)な別れ」


 キュー!!

 「おー!!ドリュ〇ズ!!無事だったかぁ~!!よしよしよしよしよしよしよし」


 体毛が剥がれ落ちるくらい撫でてやる。


 「・・・あの爆発、想像よりは威力がありませんでしたね。」

 「村を陥没させたものは研究という事実の防衛、二発目は研究者本人の自爆装置だったのかもな。」


 確かに黒焦げだけで済んだ。無事ではないよ。


 「さて。謎の陥没に関しては無事、解決した。となれば当初の目的、この村の復興を開始するか。」

 「忘れてた。」


 そういえば数日間っていう約束だった。まだ一日目の夜だった。


 「まぁ、たかが数日ではやれることに限度があるからな。建物の一つすらできず、その時が来るだろう。」

 「不完全燃焼。」


 やり切った感は味わえなさそうだけど、私にも進むべき道があるのだ。道を急いでるっていう設定、みんな憶えてる?


 「では、お二方と一緒にいれるのは後数日しかないのですね。」

 「いや、メイラと貴様がともにいれるのはこの日だけだぞ。」


 「・・・え?」


 シララちゃんが呆気に取られてる。しょうがないよね。急いでいるのは私だけじゃないから。


 「この村に関しての情報は、私が粗方資料にまとめておいた。物好きにはこれで十分だろう。」

 「・・・え。」


 姐御が紙束を持ってる。いつの間にあんなの作ってたの?


 「今の奴の場所を考えると、明日にでも出発しなければ間に合わない距離にある。中央に帰還した後となれば面倒なことになるからな。」

 「あの・・・。ちょっ・・。ちょっと待ってくださいよ。」


 悲しいというより、疑問を抱いている。


 「メイラさんもエトシアさんも、ジブンのことを救ってくれました。お二方をもてなせたわけでもありません。それなのに・・・。それなのになぜ、何もしていないジブンにこんな。」


 「確かに、貴様自身が私たちに何かできたわけでもない。」


 おぉ。はっきり言いなさる。私としては可愛い子を見れたから全然いいんだけど。


 「だが、チャンスを得たのは貴様だ。チャンスを得るための行動を起こしていたのが、貴様だ。シララ。」


 「ジブンが、行動を・・・。」


 「夢を語り、道筋を描き、命の危険を省みずゾンビ村まで調査に来た貴様だからこそ、私が気まぐれを起こしたのだ。」


 「・・・。」


 「だが学者になれるかは、貴様の努力次第だ。私たちは一切の救けを拒否する。」


 私は何もできないしね。・・・ぁいて!?ドリ〇ウズ!腕噛まないで!!腐ってないから!!焦げてるだけだから!!・・・・え。腐ってるのかな。


 「・・・・。ありがとうございます。」


 ねぇ。私の腕、本当に腐ってない?切り落とすのだけはやだよ。ねぇ。姐さん。ほっぺじゃないから。ほっぺぷにぷにしないで。ほっぺじゃないから。


 「みんながくれたこの機会、絶対に腐らせません!!」


 今腐るとかやめて!!タイムリーなの!恐ろしいの!!


 「腐ってない!!何があっても、腐るなんてことない!!」

 「ありがとうございます!!!」


 あれ?なんか違う。


 「メイラさん。」

 「はい。」


 大きな声でありがとうございますなんて言われたから、萎縮しちゃった。冷静に考えてみたら、普通に動く時点で腐ってるわけない。


 「次会う時は、メイラさんに負けないくらい立派になります。だから、またいつか。・・・・元気な姿でお会いしましょう!!」


 「・・・ん!」


 良い顔してるし、まぁいっか。


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