メサイアマジック <あの時の君へ胸張れる転生を>   作:桜の宿

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一章四話 「四角い世界」

 

 ーーーここは本のような世界だ

 

 

 例にならって少女がそこにいる。

 

 

 

 「だが東西南北など、現実でも一緒の概念は存在する。ただ"世界"が違うそれだけの話。」

 

 

 

 顔がはっきりと見えるほど、距離が縮まった。背丈はほぼ同じなので視線を動かさなくても見える。

 

 

 「初の戦闘、生存おめでとう!・・・・痛かったよね。辛かったよね。死ぬかと思ったよね。」

 

 

 喉まできているのに、出せない。

 

 

 「・・・・もしかして、楽しかった?」

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 「・・・」

 

 

 

 目を覚ましたそこは原っぱの上。鳥や虫の鳴き声を耳、まぶしい日光を目で感じ、そよ風を肌で感じる。いつもであれば素晴らしい日光浴だと感傷に浸るが、今は体の節々が痛む。

 

 

 

 「やっと目を覚ましたか。半日は眠り込んだんじゃないか?」

 

 

 角が生え、その長い黒髪を風に揺らしている女性がこちらに気づき話しかけた。突然の声掛けに驚き、うぉ!?と声を漏らし手の力で後ずさってしまう。

 

 

 

 「あ、おい。そっちは・・・」

 

 「うええぇ!?」

 

 

 両手になにかが引っ掛かったと思いきや足をすくいあげられ、蓑のように木につるされた。見たところ(つる)のようだが、事前に仕掛けられていた罠か何かか?

 

 

 ってか、さっきからポケットに入ってるやつ落ちちゃう。手ぶらじゃなかったんだ。

 

 

 

 「それは"釣り蔓(つりづる)"、雑草に紛れ込ませた蔓に動物が食いついたらその体を巻き付かせてつるす植物だ。意思や目的あっての習性ではないから害はない。・・・まぁ、そのままつるされ続ければ餓死するがな。」

 

 

 「害あるじゃねぇか!?外してくれ頼む!」

 

 

 「そのまま聞いてろ。」

 

 

 

 え?なんでと言う質問は無視して、気だるそうに女性は話し出す。

 

 

 

 「まずは頑張った貴様を称えるとこから始めたいが、まぁ、、、わかるだろう?・・・誰だ?貴様は」

 

 

 「・・・ッ!?・・オ、、レだって聞きたいことが山ほどあるん」

 

 

 「では後からいくらでも答えてやる。今はこちらの番だ。」

 

 

 

 いきなりこの体に転生してきました~なんて言えるわけがない。俺だって想像したくないんだ。そんなこと。

 

 

 

 「・・・わからないんだよ。気づいたら戦闘が始まってて、ここがどこか、あんたが誰なのかも知らない。」

 

 

 「記憶喪失か。厄介だな。見たところ人格まで変わっている始末。・・・」

 

 

 

 女性は少し悩んだ素振りを見せ、再びこちらに向き直る。

 

 

 

 

 「エトシア。」

 

 

 

 「・・・? 名前か?」

 

 

 「そうだ、私のことはそう呼ぶといい。」

 

 

 

 どうやらこちらの質問に答えてくれているようであった。エトシアと名乗る女性はもう一つの解答に移る。

 

 

 

 「そしてここは"三界面(さんかいめん)"の南方、"縁邪(じゃえん)の森"内部だな。」

 

 

 聞きなれない単語が2つ出てきた。ここからしばらくは知らない単語に悩まされ続ける人生を送りそうだと先への不安を募らせる。

 

 

 

 「三界面?縁邪の森?」

 

 

 「・・・そこからか」

 

 

 本格的にめんどくさそうな顔をするエトシアだが、説明を続けてくれる。

 

 

 

 「まず私たちがいるこの世界が全6面で構成されていることはわかるな?そこから生き物の生息数に応じて順番が決められて、3番目に位置付けられたのが三界面だ。その南方にある森林地帯がこの縁邪の森」

 

 

 「ちょっ! ちょっと待て!! 世界ってのはその・・・星のことか?、、それなら星ってのは丸いもんじゃないのか!?それってのは、その、、ちゃんと正常に動作みたいなのってするものなのか?重力とか!!」

 

 

 

 エトシアの呆れ顔が凄まじくなっている気がするが、こればっかりは気になってしまう。理由付けなんて魔法がうんぬんかんぬんでできてしまうことはわかっているが、俺の常識が叫んでいるんだ。

 

 

 

 「貴様はいったい何を言っている?世界が丸いわけないだろう。正方形でできている。だからここは"セホキニューア"と呼ばれているんだ。」

 

 

「立方体じゃないんだ。」

 

 

 

 確証が得られてしまった。謎の神様?が言っていた通り、ここは本当に"異世界"なんだ。心のどこかではまだ信じ切れていなかった。なにせ一瞬、告げられただけだったから。

 

 

初対面のエトシアの全てを信頼してはいないが、嘘をつく理由がないとなんとなく思っている。なぜなら俺は、バスメルとエトシア自体は初対面なわけがなく、

 

 

 

 「記憶喪失による気の落ち込みはなさそうだから聞くが、これからどうするんだ?」

 

 

 「・・・これから」

 

 

 

 「前の貴様は確か"強い男になる"らしいことを言っていたな。だがその目標は今消え失せ、私と貴様が共にいる契約はなくなったも同然だ。」

 

 

 

 「・・・」

 

 

 

 無情にも、今からでも離れ離れになってもいいのだぞと言われた。そうなると俺は変な森で遭難ルートか?心細いどころの話ではない。生死に関わる。こうなればうやむやにでもしなければならない。

 

 

 

 「そ、、そういえば、あのゴブリンはどこ行ったんだ?エトシアが追い払ってくれたのか?」

 

 

 「すでに去っていったぞ。私が来たからではない。自らの意思でこの場を離れていた。」

 

 

 先に起き上がっていたのか。あの時は加減なんか一切せず殴り飛ばそうとしていたから、最悪死んでいたのではないかと心配もしたが、想像以上にタフだったようだ。

 

 

 

 「あ・・・その時によ。俺の体じゃ出せるわけないくらいの力が湧き上がってきた気がしたんだけど、あれも魔法かなんかなのか?」

 

 

 「それは"身体強化魔法"だな。効果に見合わず膨大な魔力を持っていかれるから使い手は少ないが、存外上手に使いこなせていた。・・・急に目覚めるものでもない。私はその瞬間、"魔王の革命"を疑ったがな。」

 

 

 「魔王の・・・革命?」

 

 

 質問攻めで本当に申し訳ない。だが知識を持つ者がいる今だからこそ、疑問に思ったことを逃さず聞いておきたい。

 

 

 「端的にいえば人類の敵、魔王に与する者が与えられる異質な力だ。」

 

 

 魔王が人類の敵と言われるのはわかる。ゲームでよく見る話だ。問題はその後、異質な力という単語。転生した俺からすれば魔法がそれにあたる。

 

 

 「魔法とはどう違うんだ?」

 

 

 「・・・超常であることには変わりないな。明確に違う点は、"他者とは違う"。それだけだ。」

 

 

 結局よくわからない。誰も使えない魔法を、そいつだけが使えるみたいな?疑われた件で言えば、本来なら急には目覚めない身体強化魔法を突発的に使えるようになった、という誰にもできない事象を、俺が魔王に与することによって起こすことができた、と。

 

 

 よくわかんねぇや。もう後でもいい。そんなことより俺が生き残るすべを・・・。

 

 

 

 「肝心の身体強化魔法。初級ではあったが、伸びしろは十分に」

 

 

 「それだ! 俺にその身体強化魔法ってのを教えてくれ!」

 

 

 突破口はこれしかない!技術を教えてもらいつつ、流れで出口まで運んでいってもらう。エトシアが嫌な人ではなさそうだからこそできるかもしれない一つの手段。

 

 

 

 「ほう・・・。まぁ、別にいいぞ。」

 

 

 「...!ありがとう!!」

 

 

 開けた!これで森林孤独死ENDは回避された!一石二鳥ってやつだよこれが。ちゃんと刮目してるか?人生最大の窮地を乗り越える俺の姿を!!

 

 

 

 「この蔓、外してください。」

 

 

 さすがに頭に血が上ってきた。

 

 

 




サブ連載 < 魔人っ子の平和(?)な散歩道 >

三話 「魔人っ子の大丈夫(?)な命名」


「・・・なるほど?たった一人で旅してて、そこのモグラちゃんが傷ついてたから一緒に連れて行こうとしたんだ。」

 「そゆこと。」


 この人がすごい形相で迫って来たから水浴び終わらせた。タオル取り出して包まれた。いい匂いがした。

 「私は"ロソロ"!あなたの名前は?」

 「メイラ。」

 あれ?よく考えたらこの人も一人じゃん。水浴びとかしないのかな。


 キュー!


 「・・・!?溺れてる!?」

 なんで水に突っ込んだ?モグラって泳げたっけ?辛いことがあるなら聞くよ。


 「・・・その子大丈夫なの?傷も悪化してない?」

 「たぶん大丈夫。でも、できれば早く街に行きたいな。ロソロちゃん。」

 医療の知識なんてない。だから急がないと。


 「じゃあ途中まで一緒に行こうよ!メイラちゃん!私も帰る途中だったんだ!」

 「ん!行こ!」

 ひひ!思った通り。仲良くなって道案内してもらう作戦成功。名前を呼ぶと早く仲良くなれる気がするのだ。

 「その子の名前は?」


 「ドリ〇ウズ!」

 「ドリュ・・!?・・・・かっこ、いいね?」



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