この作品は、チェンソーマン二部のネタバレを含みます。
「君がこれやったの?」
赤髪の美人が、このゾンビ達を俺がやったのかと聞いている。
前にもこんなことがあったような気がする。
誰だっけな。
お母さん?
ママ?
……マキマさんだ。
これは夢か?
マキマさんのことは残念だけど、諦めきれてたと思ってた。
でも、まだ悔いが残ってるのかもな。
夢なら勝手に覚めるだろ。
だから俺は、せめて夢の中だけでも、悔いを取り除きたいと思った。
俺の悔い。もしかしたらマキマさんを止められたかもしれないと言う物だ。
俺はマキマさんに、沢山のことをして貰った。
初めての間接キスの味はチュッパチャプスだし、他人を理解することで、もっと気持ち良くなれると言うことも教えて貰った。
本当に、俺にとっては母親のように、無償の愛を届けてくれた。
仮令それが見せかけだけであったとしても、俺にとっては掛け替えの無い記憶なんだ。
でも、マキマさんは母親じゃない。
未だに出来るならそう言うこともしたいと思ってる。
当時の俺は、無償の愛にかまけて、俺の方から愛することを怠っていたように思えた。
だから俺はこの夢の中でくらい、
マキマさんを愛そうと思う。
マキマさんがくれた無償の愛を返そうと思う。
なぜなら、マキマさんも俺と同じ映画を見て泣いていたから。
ナユタと沢山の映画を見て分かったことがある。
映画で泣けるのは、自分にとって不足してる所を見つけた時、涙が出る。
俺とマキマさんは同じ映画で同じ場面で泣いた。
家族との別れで泣いていた。
俺もマキマさんも、愛を欲していたんだ。
一方的に無償の愛を貰うなんて、傲慢すぎるよな、マキマさん。
「だ、、、抱かせて…」
チェンソーが出ていて、頭に血が回っていなかったからか、それとも、ループ系映画でよくある、運命的な奴のせいなのか、同じことを言っちまった。
でもまあ、気の効いた言葉なんて思い付かないし、心の底から絞り出た一言なのは変わらない。
だから今はいーや。
それに、夢も覚める頃合いだろう。
ナユタ起こさなくちゃな。
目が覚めると、へそを出しながら寝息を立てているナユタの寝顔、、、
ではなく、マキマさんの笑顔があった。
夢はまだ続いてるみてーだ。
作り笑いだと分かっていても、やっぱり嬉しい。
包み込まれるような優しい目をしている。可愛い。
「起きたの?まだ寝てても良いんだよ。」
「大丈夫っす。あー後俺の名前はデンジです。」
タイムリープ映画とかでは、出来るだけ前回と同じ事をした方が良い。か…
でも、うかうかしてるとマキマさんはすぐにどっか行っちゃうしな。
夢だから、かんけーねーかもだけど、名前くらいは先に名乗った方がいいよな。
「私はマキマ。デンジ君は、お腹減ってない?もう少しでパーキングエリアに着くよ。」
「マジっすかアザーッス!腹ペコペコだったんすよ!」
「それは良かったね。」
少し車のスピードが上がったような気がした。
黒服に気をつかわせちまったか?
まあいーや。男になら迷惑かけても問題ねぇ。
そのまま俺とマキマさんは他愛ない話をしながら、お互いの理解を深めていった。
俺にとっては、大体知ってる事ばかりだ。
マキマさんは犬や映画が好きだとかだ。
俺もナユタと一緒に、映画を沢山見ていたので、割と話せたと思う。
あんまり公安の事とかの話題は振らなかった。
マキマさんも基本的に自分から話す事はなかった。
マキマさんは公安が嫌いなのか?
嫌いではないにしても、興味はそんなに無いのかもしれない。
と言うより、俺が聞かなかったから、向こうも言わないだけだろう。
それでも、多分公安としてやっていくことになるだろうから、簡単に質問はしておいた。
けど、良く考えてみると、俺は悪魔を狩ればそれで仕事は良かったし、未だにそれくらいしか頭に入ってないので、聞く必要も無かったな。
そうして俺達は、パーキングエリアに到着した。
「俺はうどんとー、、、いや、うどんは無しで、フランクフルト二つと、カレー」
うどんは前回伸びてたしな。
フランクフルトの個数は忘れちまったけど、
まあいいだろう。
うどんは、マキマさんに食べさせて貰ったから、最高に美味しかったけど、折角だし今回は伸びない奴を食いたい。
「たっ……!助けてくれっ!」
あーこんな奴いたな。
あの時、俺は筋肉の悪魔に騙されて、一緒に逃げちゃわねーかと言ってたな。
あれは失敗だったんじゃあねぇか?
マキマさんは動物を支配できる筈だ。
俺の言動だとかを監視していたのかもしれない。
つまり、一緒に逃げると言うのは、裏切りになっちまう。
まてよ…?
逆に言えば、マキマさんが仮に動物とかで監視している時にも、マキマさんLOVEを常に発揮しておけば、マキマさんを落とせるんじゃねぇか?!
なんか俺、出来る気がしてきたぜぇ!
俺がマキマさんに与えたいのは、無償の愛だ。
無償の愛とは、見返りのない愛。
簡単に言えば、理由なく愛すること。
それでいて、マキマさんの愛と言うのは、多分独占欲だ。
つまり、常にマキマさんが俺を独占していて、俺がマキマさんを独占している状態を作れれば良いってことだな?
ナユタは結構俺を独り占めしたがっていた。
マキマさんとナユタの愛の共通点が一緒なら、マキマさんは前回、俺が裏切ろうとした時点で、独り占め出来なくなった。
俺は俺の利益のために逃げようとしちまった。
それは無償の愛じゃない。
無償の愛があるならば、自分の安全のために逃げるなんて、ありえない。
筋肉の悪魔は、出会って直ぐに殺そう。
そんな事を思っていると、マキマさんが俺に行けと命じた。
俺はワンと言いながら、すぐに筋肉の悪魔に直行しようとした。
「いいね。従順な犬は好きだよ。」
場所はあんま良く覚えてねぇが、少女の笑い声が聞こえたので、すぐに見つけられた。
「あ」
少女が驚き、
筋肉の悪魔が、怯えた子犬のような目で、ウルウルと俺を見つめてきた。
「お前かぁ!!悪魔はぁ!!」
「お願いです!この悪魔さんを許してあげて!」
少女が筋肉の悪魔を庇う。
だが、俺はこの悪魔の本性を知っているし、何よりも俺はマキマさんに無償の愛を誓った。
だから、コイツを殺すのに躊躇はいらねぇ!!!!!!!!!!
俺は、胸にあるスターターを思いっきり手で引っ張る。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
頭はチェンソー。
ギザギザの歯に、両手にもチェンソー。
それゆけ、チェンソーマン
筋肉の悪魔の表情筋が強張った。
悪魔なら、誰もが聞き覚えのある音。
筋肉の悪魔が戦闘形態になろうとしたが、もう遅い。
「わりぃなあああ!!!!!!
俺はマキマさんの犬だからよおおおお!!!!!!!」
ただ、恵んで貰うだけの犬じゃなく、飼い主を幸せにするタイプの犬だ。
マキマさんが飼っていた犬のように。
「悪魔のお前はあああああ!!!!!
殺さねぇといけねぇんだああああああ!!!!!!」
血飛沫が上がる。
筋肉の悪魔の体は真っ二つに切り分けられ、
「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ!!!!!」
地獄級の悲鳴を上げて、筋肉の悪魔は生き絶えた。
少し血を出しすぎちまったな。
まぁいいや、この後はお楽しみのイベントがある。
ここは素直に少女を連れてマキマさんの所に戻ろう。
取りあえずここまで。
もう少し先のストックはあります。
基本的にガンガン進みます。