デンジ視点
目の前にいる悪魔の形状から何の悪魔か想定する。
1 傘の悪魔
2 ダンゴムシの悪魔
3 大根の悪魔
傘の見た目は、からかさおばけ、空を飛んできている。
ダンゴムシは、頭部に肉食獣のような鋭い牙を持った口がついており、
胸部の一つ一つは人体の背骨のような物で構成されている。
特徴的なのが、至るところに目玉がついている。
転がりながらこっちに向かってきている。
普通なら俺を捉えることは出来ないだろうが、
さっきから何度避けても追ってきているから、
幾つもある目玉で俺の位置を認識してるんだろう。
大根は、葉の部分が人体の足となっており、
根の上部と中部、中部と下部の間に大きな口がついている。
上部、中部、下部に一つづつ目がついている。
部屋はかなり広い。
チェンソーマン状態で飛び回れるほどにはな。
そして俺はスターターを引っ張った。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
この戦いにおいての最適解は、三体まとめて戦闘不能にすることだ。
岸辺隊長からは、殺すなとしか言われてない。
だから、足を切り落とすとかして、移動手段を失わせた時点で勝利だ。
傘の場合、自身の体を回転させることで飛んでいる。
だから、体を刻めば飛べなくなるんじゃないか?
大根はそれこそ足を全部切り落とせば良い。
ダンゴムシは俺のチェーンで一時間縛れば良いだろう。
「よっしゃあ、ぼこぼこにしてやるぜぇ!!
……何だありゃあ?!」
三体が合体してやがる。
藤宮の時とは違い、かなり無理矢理だが。
まるで飛行バイクだ。
丸まったダンゴムシをタイヤとし、
大根が足でスイングアームの役割を果たし、
傘を上部と中部の口で固定することによって飛行が出きるようにもなる。
地上はダンゴムシが走り、空中は傘が飛ぶ。
そして大根がそれらの接続部となる。
こんな組み合わせがあるのか?
野良じゃ見たことねーぞ?!
三方向からの攻撃で、俺は一回死んだ。
スターターを引っ張らねぇと!
そう思い口で引っ張ろうとするが、届かない。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「何か知らねぇけど引っ張れたぜえええええ」
これは多分姫野先輩だ。
幽霊の悪魔を残しておいてくれたんだろう。
だが、このままだとまずいな。
一旦引くか
姫野視点
本当に無理するなぁ、岸辺隊長は。
私は、岸辺隊長に言われて、
ゴーストをデンジ君の部屋に残して、監視室に移動した。
「えぇ、悪魔が合体してる?!あんなのありですか?隊長!!」
「ありありだ、徒党を組んでくる悪魔がいるんだから、合体してきてもおかしくない」
「そう言うものなんですね、、、」
「まあ、この三体は意図的に合体を練習させたがな」
本当に自由だなぁ、もう突っ込まないけど。
「て言うか、私への指導はデンジ君のスターターを引っ張る係ですか?」
私は既に、岸辺隊長を止めようとは思っていなかった。
この人は無駄に頑固だからだ。
「そうだ、お前がデンジをすぐに復活させられるようになれれば、
下手な技術を与えるよりも対悪魔には効果的だろう」
「ですけど、私が一人の時とかはどうするんですか?」
「その時は一服してから覚悟を決めろ」
「いやいや、それじゃ何の解決にもならないですって」
「いつも言ってるだろ、デビルハンターで重要なのは、頭のネジを外す事だ」
「割と外せてると思いますけどねぇ、死と隣り合わせなのに、気分は悪くないですし」
「じゃあ、アキが死にそうになったらどうだ」
「その時は…」
助けるに決まってる。
「お前は助けるだろうな。自分を犠牲にして。
それは勝利に導く一手になるかもしれないが、敗因になり得るかも知れない。
だが、それ自体は悪くない。
お前は戦局を見ずに、アキを優先する。
悪魔にとっては予想外の行動だ」
「…でも、それを操られるかもしれない」
「何だ分かってんじゃねぇか。
そう、ネジが外れきれてないお前は、
悪魔にとって気持ちを理解しやすい。
理解できれば、利用ができる」
良く分かる。
私と似たような人達は、気持ちを利用されて殺されてた。
だから私はアキくんにはデビルハンターをやめて欲しい。
「…頭のネジを外すって、どう言うことなんですか?」
「やっぱりお前は根っこがまともだな。デビルハンターの才能無し!
だから、教えてやるよ」
まじか、教えられる物なのか?
「良いか?前提として、悪魔の能力は理不尽なものだ」
「はい」
「お前の契約悪魔のように、目に見えないところから攻撃してくるかもしれないし、仲間の姿をして襲ってくるかもしれない」
「……」
「それに対して、人間の手段は少ない。
決まった武術、決まった武器で戦うしかない
デビルハンターが悪魔を使うのは、その手段の延長と言う事になる」
岸辺隊長が酒を一口飲み、話を進める
「だが、どんなに強い武器を持った所で、扱うのは人間だ。
武器と言うのは平等であり、敵も味方も傷つけられる。
さっきお前が言ったように、人間を惑わしたり操ったりするのが得意な悪魔がいたとしたら、強い武器を持つ人間は、人間の脅威となる」
「……」
「ただでさえ攻撃手段の少ない人間が、
まともな判断をして戦おうとしたら、
悪魔に勝つ事ができるか?
俺の考えでは不可能だ」
「……」
「まともな司令官のいる、まともな大規模軍隊があったとして、そいつらが皆銃を保有していたとする。
悪魔が司令官一人を操るだけで、まともな軍隊は使い物にならなくなる
銃はただの鉄屑に成り下がる」
「……」
「しかし、そんな中で指示を無視して一人で突撃するような、ネジの外れてる奴が一人いたとしたらどうなる?」
「混乱が起きます。
ですが、混乱が良い状態なんですか?」
「勿論最悪だ。
統率がとれず、皆が銃を持っている状態では、分断が起きる。
しかし、それは軍隊だから起きる事だ」
軍隊だから起こる…と言うことは、、、
「デビルハンターの場合は軍隊と違い、少数精鋭なので、混乱が良いスパイスになる」
「そう言う事だ。
だから俺はいつも酒を飲めと言ってるだろ、
まともな人間は自力じゃネジが外せないからな。
技術なんかを学ぶよりも重要だ」
酒ねぇ、好きだけどそんなに強くないしなぁ
でも、価値はあるのだろう。
気楽に生きるのも大変ですなぁ
そんなことを考えていると、既に二回死んでる
デンジ君の笑い声が聞こえた。
「ギャハハハハハ!!!!」
え?
デンジ君が飛んでる