デンジ視点
オエエエエエ
「ギャハハ!!大好きな姫野先輩から熱いの貰えて良かったじゃねぇか!!」
姫野先輩のゲロチューの餌食は荒井だった。
俺は、荒井をトイレで全部吐かせるために背中をさすっていた。
「あ、ありがとう。少しは良くなっオロロロロロ」
「おいおい、無理して喋んな」
俺は経験済みだから分かるが、無理して喋ると余計に登ってくる。
こう言う時は、出来るだけボーッとしてた方が良い。
「ハァイ、デンジ君と荒井君。荒井君ゴメンねぇ、謝りたいからぁ、今日はウチに来ようかぁ。デンジ君今までありがとねぇ」
「お、おう」
荒井は固まった。
「姫野先輩を止めてくれ」と目で訴えられているが、無視しよう。
大丈夫大丈夫。
荒井にとってはお楽しみかもしれないからな。
…アイツはサクッとやりそうだな。
何がとは言わないが
「デンジ君」
「あ、マキマさん!」
「荒井君は?」
「何か姫野先輩が連れていっちゃいました!」
「そうなんだ」
わざわざ一人で来たってことは、藤宮関連の事だろうか。
「どうしたんですか?マキマさん」
「明日私は京都に出張に行くでしょ?」
「はい」
「それでね、デンジ君と離れる事になっちゃうから、駅まで見送って欲しいんだ」
「えぇ?!」
めちゃくちゃ嬉しい。けど、明日はヤクザ達が来る可能性が高い。
仮に来たとしたら、アキ達を見捨てることになる。前回は俺がいたからアキは死ななかったけど、俺がいなければサムライソードに殺されるだろう。
どうする?
………マキマさんが俺に見送って欲しい?
そんなことあるのか?いやそりゃあ、本当なら嬉しいけどよ…
ぶっちゃけ今んところ何もマキマさんに出来ていない。
本心じゃない…だとするなら、、、
アキかマキマさんを選べってことか…?
……どうしよう、殺したくない。
と言うかそれが本当なら、ヤクザ達を仕向けたのはマキマさんって事になるのか?
分からない。でも、その可能性は大いにある。
いや、今はそんなことよりも、どっちを選ぶかだ。
どうしよう………
「デンジ君無理なの?」
「あ、あの……」
純粋な子供のような目で俺を見てくる。
きっと偽物なのに。
ヤバい、時間がどんどん過ぎていく。
このままだと崩れ落ちる。マキマさんLOVEの俺が崩れ落ちてしまう。
だが、失言だけはしてはいけない。
例えば、「6課が来たら危ないんじゃないですか?」とかだ。
これは、一意見としては間違ってはいないだろうが、マキマさんLOVEであると言う俺の根底を覆す発言となる。
つまり、6課が来た時、本当に俺がマキマさんLOVEなら、マキマさんを守れればそれで良いのだ。
「6課が来たら危ないんじゃないですか?」
これは6課が来ることによって、
"マキマさん以外"も危ないんじゃないですか?
となってしまう。
これでは、マキマさん第一かもしれないが、他の皆も助けたいと言うことになる。
マキマさんは無償の愛を欲しがっていると言うのが俺の考えだ。
それともう一つ、支配の悪魔は独占欲が強いのではないか?と言うものもある。
これは前に言ったが、ナユタと生活することで予想したものだ。
あの言い訳めいた発言では、後者が守られない。
俺の予想でしかないが、多分マキマさんも同じだろう。
他の言い訳のパターンも試してみたがダメだった。そもそもこの状況で、頭も回らない。
……どうしようか。
今気付いた、俺は矛盾を抱えている。
俺は今まで、アキやパワーの死を考えないなど、遠回しにしてきた。
きっと今までの俺は、解決したいんじゃなくて、やっと戻ってきた日常に浸っていたかっただけなんだ。
じゃあ俺はどうする?
正直、マキマさんを倒すことは出来るかもしれない。
少なくとも、前回よりも高確率で倒せる。
マキマさんの弱点だとか、今の俺の戦闘経験があれば出来るだろう。
むしろ、何も知らなかった前回で、マキマさんを倒せたのが奇跡だったのだ。
今、俺の頭には幾つかの世界が見えている。
アキやパワーと一緒にいつもみたいな毎日を過ごす世界。
姫野先輩とそういうことをしたりして、毎日酒とか飲みながら民間デビルハンターをやってる世界。
幸せな世界だけじゃない
俺の知り合いが誰も居なくなった世界。
俺が封印されて、動けなくなってる世界
全部が俺の妄想なのかも知れないし、
"俺の選択次第であり得る世界"なのかもしれない。
俺はなにを選ぶか。
所詮は夢だ、何でも良い。
でも、何でも良くない。
アキとパワーとは、沢山遊んだなぁ。スゲー楽しかった。
偽物だったとしても、楽しかった記憶は変わらない。
姫野先輩とそう言うことしたかったなぁ。
荒井はもうしてる頃だろうか。
楽しい未来は見えている。
何となく、マキマさん以外を選んだ方が楽しくなれる気がする。
マキマさんと言う諸悪の根元さえ居なくなれば、全部解決。
皆幸せになれる。
前回の俺は幸せになりたかった。
それは今も変わらない。
幸せになりたい俺は、、、
それでもマキマさんを選ぶよ。
「行きます」
沢山の幸せな世界の中で、俺はマキマさんを選ぶ。
マキマルートを選ぶんだ。
「良かった。
実は、京都の偉い人達が凄く怖いんだよね。
最後にデンジ君の顔が見たかったんだ」
「マジっすか?!全然いつでも行けますよ!俺はマキマさんLOVEですからね!!」
「それじゃあ、駅に4時集合ね。待ってるよ」
「はい!!」
皆ごめんな。
なんかごちゃごちゃ