鍵崎視点
「おい、メガネ!デンジはウヌがやれ!ワシは藤宮をやる。」
「っ!任せろ!!」
適切な判断だ。
俺達はデビルハンター。
仲間の死にも覚悟を決めているとは言え、
バディ同士は気持ち的に、やりにくいだろう。
まあ、俺は仲間の死を一度は拒絶してしまったが、完璧に切り替えれた。
藤宮は敵だ。
もう迷わねぇ。
甘エビの悪魔と契約し、俺の髪の毛全てを捧げることで、全てを使わせて貰う。
俺はオールバックの髪型から、一気にスキンヘッドとなった。
…涙を堪えていないと言えば嘘になる。
それでも、甘エビの悪魔は弱い代わりに、契約内容が格安だ。
強力な悪魔なら、スキンヘッドどころか、契約者の全てを捧げないと、全ては使わせてくれない。
なので、これは弱い悪魔と契約している特権である。
勿論、甘エビの悪魔が弱いからだけではない。
弱い悪魔は基本的にすぐ死ぬ。
だから俺達、民間のデビルハンターは、毎月
契約者の毛を支払うことで、長期契約をしているのだ。
弱い悪魔は、狐の悪魔の様に、同時に出現させられる数が少ない。
強ければ強いほど、契約者が多くても力を貸せるのだ。
甘エビの悪魔にそんなことは出来ないので、実質、俺だけの悪魔のようになっている。
だから、全てを使う契約もスキンヘッド程度で事足りるのだ。
「甘エビ、デンジを捕らえろ。」
甘エビの悪魔は、全身のシルエットは甘エビその物と大差ない。
しかし、二つの大きくギザギザなハサミを持ち、足は人体の肋骨と同じ形状、並びをしている。
触覚は人の腕となっている。
ハサミと触覚でデンジを捕まえ、足で固定する。
デンジは頭の中で、蝶々の悪魔と契約した藤宮と戦っている筈だ。
なので、空間把握は完璧ではないだろう。
フッ勝ったな。
「甘エビ、触覚。」
触覚がデンジを捕らえる為に伸びる。
デンジはこっちを認識しているのか謎だが、的確に回避している。
直感などがそうさせているのだろうか。
いくら触覚で追尾しても追いつきそうにない。
それでいてデンジは、少しずつこちら側に近づいてきている。
…過剰な程丁寧に。
近づいてはいるが、こちらもただ眺めるだけではない。
デンジの回避パターンを何度も見て覚える。
妙に慎重なお陰で、かなり読めるようになってきた。
同じような場所でずっと飛び回ってるんだ。
動きが一辺倒になってしまうのも仕方ない。
確実に詰めて来ている。
パワーの方は、大丈…夫か?
大きな血の鎌で戦っている。
さっき貧血だと言ってたし、一つの武器に全ベットしたのか?
まあ、彼女には彼女なりの戦い方があるのだろう。
藤宮の方は、、、何も見たくねえ…
状況確認は終わった。もう少しやれそうだが、パワーがそろそろヤバそうだ。
そろそろ良いかもな。
「甘エビ、突撃。」
デンジ、お前のパターンは把握した。
ここで確実に捕らえる。
甘エビは、触覚の追尾はそのままで、本体が直接詰めに行った。
人の肋骨の形状をした足で、壁を利用しジャンプした。
触覚でデンジの両肩を掴み離さない。
ハサミでデンジの右足を切り落とす。
デビルハンターは続けられなくなるだろうが、殉職しないだけマシだと思え!
「クソッ…!」
デンジは全身をくねらせ、触覚を腕のチェンソーで切り落とした。
痛くて目が覚めてくれると思ってたんだがな、、、
悲鳴すら上げないとは、アイツ何なんだ?
武器人間だとか言っていた気がするが…
「甘エビ、パンチ」
デンジは、右腕のチェンソーで触覚を切り落とした。
つまり、今はチェーンでの移動がしにくいはず。
ここがチャンスだ。
足を切り落として目が覚めなかった時点で、お前は死ぬことで決定した。
すまないなデンジ、恨んでくれ。
こんなことになっちまったのは、俺の責任だ。
甘エビがハサミのパンチを繰り出し、デンジに命中した。
この衝撃に人間は耐えられるはずがない。
パワーを手伝いに行こう。
「パワー、悪いがデンジは殺した。
今からお前を援護する!」
「頼むぞハゲメガネ!!」
ハゲメガネ?!
………今だけは許そう。
俺は怒りを抑えて、甘エビに命令しようとした瞬間に、その音が聞こえた。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
頭の形状から、もしかしたらと思ってはいたが、魔人か?
いや、藤宮に近い謎の存在だろう。
どちらにしろ変わらない。
何度でもひっぱたいて、回復できないようにしてやる。
回復にも限りがあるだろう。
「すまないパワー、少し待て。」
「なんじゃと?!」
「甘エビ、切断」
打撃がダメなら斬撃だ。
真っ二つになれば回復出来たとしても時間がかかるだろう。
行け、甘エビ!!
…デンジの上半身を切り落とした。
しかし、、、
「嘘だろ…?」
切り落とされた上半身が、甘エビの悪魔のハサミを両方とも切り落とした。
頭も多少傷つけられた。
かなりヤバい。
無いとは思うが、またデンジが復活したら、あのチェンソーの刃は甘エビどころか、俺の所までやってくるだろう。
「……まさか?!」
デンジはスターターを既に引っ張っていた。
甘エビを攻撃したと同時に引っ張ったのか?
と言うか、スターターで復活するのか。
さっき叩きつけた時は、確実に仕留めたと思っていたから復活方法を見つけられなかった。
ヴヴヴヴ…………ベチャベチャ
頭からチェンソーが生えてこない。
回復限界か?
それでも、胴体から腰、太もも辺りまで回復している。
九死に一生ってやつか。
あぶねぇな。
「あちゃー、デンジ君もしかして貧血ぅ?」
「甘エビ、特効」
甘エビを藤宮に向けて特効させた。
藤宮には避けられたが、これで2対1だ。
「はぁ…はぁ…ハゲメガネ、ワシは血の武器作成の枠をあと一つ残しておる。ウヌが攻撃し、隙を見計らってワシが頭を切り落とす。」
「了解した。」
藤宮の動きをみて分かったが、身体能力が向上してはいるものの、デンジ程ではない。
いや、デンジと比べたら圧倒的な力量差だ。
勝ったな。
「ねぇねぇ、もしかして、勝ったとか思ってるんじゃないの?これみなよ。」
ボロボロだった藤宮の片羽が回復している。
不覚だ、回復の隙を与えてしまっていたのか。
「俺を操るつもりか?」
「んー、ブブー!
そっちも面白そうだけどぉ、正解はぁ~?」
そう言い、藤宮はデンジに血管の触手を刺した。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ
「いつの間に、甘エビ、突進!!」
甘エビはデンジ目掛けて突進した。
しかし、突進したと同時に、バラバラになった。
「なん…だと?」
「はーい、これが私の最後の最後の必殺技!同じ人に鱗粉を二回与える。」
既に、藤宮の羽は無くなっていた。
「なんだぁ?!パワーもメガネも寝返ったのか?!じゃあ死ぬしかねぇなああああ!!!!!」
「彼の私への敵意を君達に与えたんだ。」
蝶々の悪魔はそんなことまで出来るのか?!
ここまで行くと、別の悪魔の力なんじゃないか?
「フフ、そうだよぉ。私が契約してるのは、洗脳の悪魔。悪魔との契約内容に嘘はつけないけど、名前はつき放題だもんねぇ。」
「パワー!攻撃出来るか?!」
「…逃げる。」
そう言い、そそくさとパワーは逃げていった。
バトルなが