ただのプロローグ的なものです
では!
静かな住宅街で、火の粉が飛び散っていた。
至る所で炎が上がり、その火は止まる事を知らず、火の粉の数だけ”命”が散っている。
その命は、まるで洗濯をされるように降ってきた雨によって消え失せていく。
少年の目の前で血まみれで倒れている男女も例外ではない。
「母さん、父さん!! 起きろよ!!」
目の前の女性と男性を揺さぶって目覚めさせようとするが、既に2人は虫の息だった。
そして少年には何も出来ない
ただ、自分の手の中で冷たくなっていく2人を呼ぶことしか出来ない。
「ごめ……ん……ね」
「やだ! 嫌だ!! 死ぬな! 死ぬな……!!」
「あい……してるわ」
どうしてこうなったのだろう
どうしてこんな状況になってしまったのだろう
それは少年が考えても分からない事で、どうしようもなかった……。
少年が泣き叫んでいればいつしか、既に目の前の2人の息は無かった
泣きながらそれをみてしまった少年は頭を抱えてうずくまった
「う……うわああああああああ……!!」
少年の慟哭が、悲痛に満ちた叫びが、ただ1人しかいない戦火に轟いた
13年後 東京池袋
何時もと変わらない天気,あの日と何も変わらない天気。
黒の逆立った髪に金茶色の瞳,黒のシャツに真っ赤なジャケットを羽織っている青年は,周りの人間とは異なる雰囲気を纏っていた。
ナップザックを手に,彼は大学内で空いてる場所を見つけ,座っておむすびを食べ始めた。
今日の味はただの塩だ。ただ彼からすればただの習慣として食しているだけで味なんてどうでも良いと思っているが。
そんな彼の目の前を2人の女生徒が通り過ぎた
──うわ,本当に変わってる
──なんでナップザック? うける
彼女たちの口から吐き出されたのは,到底好意的ではない陰口。
彼をこうして忌避するのは彼女たちだけではない。別に全員を数えた訳じゃないが,多分大概の人間が自分を嫌っているかそれに値する感情を持っているだろうなと思っている。
実際,彼を見てコソコソと笑ったりしている人がちらほらといる。
(……そんなにコソコソする位なら普通に言えば良いものを。あとナップザックは余計なお世話だ)
こうして心の内で言っている内は,彼も同じだが。
おむすびを食べ終えたら,小さくご馳走さまと唱えラップをゴミ箱に捨てた。その後は,自分のゼミナールの教室へと向かい今日の準備をする。
各自の発表に合わせた資料を作り,班員にメールを送っておく。この各自のメールアドレスだって聞くのに苦労したものだ。なんせ,ほんとどの奴が自分を避ける癖に面倒なことは押し付けてくるのだから。
メールが送られたのと同時,教室の外から教室にも聞こえるくらいうるさい声が聞こえ彼は自分のパソコンを閉じた。
「……でさ」
教室に入って来た今時の大学生らしく金髪に染めている男子で,その後ろから数人の女生徒と男生徒が入って来た。
彼らはどこか困惑した様子で話し声を止めたが,彼が眼を閉じ何も気にしていないと分かると各々の席に座り会話を始めた。彼らにとって青年はどういう存在なのか……それを問われれば得体の知れない……或いは怖い人間……そう言う対象だ。だから青年が何か作業しているだけでもビクビクしている。
だから一々こんな無反応をしなければならない。
とっても面倒なことをする事にほぼ意味はない。強いて言うなら静かに事に当たる為だけにしているだけ。
青年の名は虎舞